国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
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検索→チャットAI大変革期。GoogleもBingも新たな動きでSEO新時代が来るか?【SEO情報まとめ】

グーグルとBingが相次いで検索領域でのチャット型AIによるサービスを発表・開始した。SEOの世界に影響がくるのはもう少し先だが、今から動きを把握しておくほうがよさそうだ。

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グーグルとBingが相次いで検索領域でのチャット型AIによるサービスを発表・開始した。このコーナーの更新を少しお休みしていた間に、一気に検索エンジンをとりまく状況が動きはじめた印象だ。

それぞれの発表やサービスをざっと解説する。SEOの世界に影響がくるのはもう少し先だが、今から動きを把握しておくほうがよさそうだ。

紹介記事の1つ目も「AIが書いた記事をグーグルがどう扱うか」と、AI関連。ほかにも、あなたのサイト内検索がスパムに利用されるリスクの注意喚起記事や、SEO神インタビューなどなど、今回もあなたのSEOパワーをチャージする情報をまとめてお届けする。

筆者のブログ記事からの紹介も、今回から少し多めにお届けしている。隔週(+たまにお休み)でも、情報はできるだけ盛々の方向だ。

  • グーグルが会話型AIサービス「Bard」を発表
  • BingがAIチャット応答エンジンを一足先にサービス公開
  • AIに書かせたコンテンツはグーグル検索でどう扱われる?
  • 【注意喚起】サイト内検索スパムが急増中。その問題と対処方法とは?
  • 視覚情報+テキスト情報で検索できるマルチ検索
  • SEOの神が語るSEOの未来
  • 言語が異なっても301リダイレクトは有効
  • Search Consoleでは404と410は同じ扱い
  • 2023年2月の1回目のグーグル ポリシー オフィスアワー: リソースファイルの扱い、イベント構造化データ、グローバルサイトのhreflangなど
  • target="_blank"にrel="noopener"を付けるのは今は昔の話
  • Googleが検索に導入するBardとは? LaMDAをベースにした対話型のAIアンサーエンジン
  • BingのAIチャットを使ってみた。Microsoftの巻き返し、Googleキラーになるか?
  • 「誰が、どのように、なぜ」そのコンテンツを作ったのか?をあなたは明確に説明できるか?
  • サイト名とファビコンのPC検索での表示をGoogleが広範囲でテスト中

今週のピックアップ

グーグルが会話型AIサービス「Bard」を発表
SEOを脅かす存在になるのか? (Google Japan Blog) 国内情報

グーグルは、会話形AIサービス「Bard(バード)」を開発中であると発表した。

会話形AIでは、人間が普段使う自然な言葉でAIとやり取りできる。さまざまな質問に答えてくれるほか、アイデア出しを手伝ってくれたり、文章の要約を作成してくれたりする。会話型AIといえば、2022年11月にリリースされたChatGPT(チャット・ジー・ピー・ティー)が大きな話題を呼んだ。利用している読者も多いに違いない。

※筆者補足: ChatGPTについては深津貴之氏による解説の記事を参照

ChatGPTの登場はグーグルが緊急事態を発動するきっかけとなる一大事でもあった。おそらく、ChatGPTの対抗馬として、Bardの開発を急ピッチで進めているに違いない。現在、Bardは、一部の信頼されたユーザーによるテストが行われている。デモ画面が公式アナウンスに掲載されているが、実際のリリース時にどんなふうになっているかはわからない。一般公開は数週間後とのことである。

グーグルはこれまで検索のさまざまなフェーズでAIを活用してきたが、検索結果の表というUI部分には(直接的には)AIを利用していなかった。しかしBardによって、最終的なプレゼンテーション部分にもAIによる会話が導入されることになるのかもしれない。

チャットAIといえば「事実と異なることを、もっともらしく言う」とされている。もちろん現在の検索でも「事実と異なることを示しているコンテンツのURL」が検索結果ページに出てくることがまったくないとは言えないが、グーグルは可能な限り検索ニーズを満たす高品質な情報を選ぶように改善を続けている。そしてBardが提示する情報の「品質」についても、次のように述べている:

Bard の回答が品質・安全性・現実世界の情報の根拠の高い基準(英語)を満たしていることを確認します。

BardやChatGPTが、検索に置き換わるのではないか」と懸念する声もある。これらの会話型AIが回答を直接与えてくれるのであれば、検索する必要がなくなるからだ。AIが回答を導き出した参照先を提示しないならば、ウェブサイトへのトラフィックがなおさら減少しそうだ(ChatGPTは、基本的に情報源を示さない。グーグルのBardもデモを見る限りでは情報源を示していない)。

会話型AIの進歩は、ユーザーの立場としてはわくわくする。一方で、ウェブ担当者の立場としてはやきもきする。刻々と変わる情勢にアンテナを張っておきたい。

ちなみに、Bardは「吟遊詩人」の意である。日本語での発音が同じBird(鳥)と混同してはいけない。

★★★★☆
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BingがAIチャット応答エンジンを一足先にサービス公開
OpenAIへの投資が効いた? (マイクロソフト ニュースセンター) 国内情報

マイクロソフトは、会話型AIサービスをリリースした。同社が提供する検索エンジンのBing(ビング)とブラウザのEdge(エッジ)ですでに利用できる。グーグルも会話型AIとしてBardを発表したと伝えたが、検索エンジンとしてはマイクロソフトが先行した。

※筆者注: Neeva(ニーヴァ)やYou.com(ユー・コム)といったややニッチな検索エンジンはさらに先行してAIチャットを導入している

自然な言葉でBingとやりとりできる。たとえば次に示すのは、筆者が実際にBingチャットとやり取りした場面だ:

Bing チャット

次のように質問した:

AIには難しいと思われる職業にはどんなものがある?

これに対してBingは次のように回答した:

AIには難しいと思われる職業には、クリエイティブな仕事、戦略的な仕事、ココロを動かす仕事などがあります。AIはデータをもとに解決策や改善を提案できますが、新しいものを生み出したり、感情に訴えたりすることは苦手です。また、AIの一歩先を行く高度な知能労働もAIに代替できません。

さらに続けて質問した:

ブログの記事ライターはどう?

Bingの回答はこうだ:

ブログの記事ライターはAIに代替される可能性があります。AIライティングツールはキーワードを入力するだけで、ブログ記事やセールスコピーなどのコンテンツを自動で生成できるからです。しかし、AIライティングツールはまだ完璧ではありません。文章の品質やオリジナリティに問題がある場合もあります。そのため、ブログの記事ライターはAIと協力して、よりクリエイティブで魅力的なコンテンツを作ることが求められます。

機械とではなく、まるで人間と会話しているような感じだ。

これだけを見ると、未来を舞台にしたSF映画が現実になったかのように錯覚する。しかし実際のところは誤った情報を返すことも少なくない。信頼性という点では、不安が残る。それでも未来感を確実に感じさせるイノベーションであることに議論の余地はないであろう。

検索エンジンとしては完全にグーグルの後を行くBingであるが、AIチャットでは挽回できるであろうか?

ちなみにマイクロソフトはこの機能を「新しいBing」と呼んでいる。UI内で「検索」と「チャット」は別になっており、キャッチフレーズも「AIを利用した応答エンジン」だ。今のところは、これを「新しい検索エンジン」として既存の検索を置き換える意図はないようだ。

新しいBingへようこそ AIを利用した応答エンジン

このシステムが利用しているAIは、ChatGPTと同じくOpenAIが開発したものだが、ChatGPTが利用しているものよりも大規模な次世代の言語モデルを使っている。さらにその言語モデルを検索で利用するための「Microsoft Prometheus(プロメテウス)モデル」という機能・技術を組み合わせている。

これにより、質問に対して最新の情報を検索して回答に組み込むといったことを実現している。実際にチャットへの回答では、さらに詳しく知るためのURLも併せてリンクとして表示している(前出画像の1つ目の回答で4つのURL、2つ目の回答で6つのURLがリンクになっている)。このあたりは、検索エンジンであるBingの隣接機能らしい作りだ。

Bingでこの機能を利用するには、新しいBingの紹介ページから「順番待ちリストに参加」する必要がある。また、利用にはマイクロソフトのブラウザであるEdgeとMicrosoftアカウントが必要なようだ。

★★★★☆
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グーグル検索SEO情報①

AIに書かせたコンテンツはグーグル検索でどう扱われる?
制作方法に関係なく、E-E-A-Tを満たすことが重要 (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報

ChatGPT のようなAIを利用したコンテンツ作成が身近になってきた。こうした流れを受けたせいもあるのか、検索におけるAI生成コンテンツに関するガイダンスをグーグルが示した。

要点をまとめると次のようなものだ:

  • 人間が作ったものか、AIが作ったものかにかかわらず、高品質のコンテンツをグーグルは評価する。

  • AIによる自動化で有用なコンテンツを作成することに問題はないが、「検索結果のランキング操作を主な目的としてAIによる自動化をコンテンツ作成に利用すること」は、スパムポリシーに違反する。

  • コンテンツの作成方法を問わず、E-E-A-T の品質を満たす、オリジナルで高品質な、ユーザー第一のコンテンツの制作を意識する必要がある。

元記事で必ず全体に目をとおしてほしい。

また、ガイダンスのあとには、AI コンテンツと Google 検索に関するよくある質問と回答を10個、掲載している。こちらも必読だ。

★★★★★
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【注意喚起】サイト内検索スパムが急増中。その問題と対処方法とは?
被害に遭わないように事前の対策を (株式会社JADE) 国内情報

他者のサイトのサイト内検索結果を不正にインデックスさせる行為が急増しているという。放置しておくと、検索エンジンスパムに悪用されかねない。

JADEの村山氏が、サイト内検索スパムに関して次を解説した。

  • サイト内検索スパムとは
  • サイト内検索スパムの実例
  • サイト内検索スパムの被害にあっているかどうかの確認方法
  • サイト内検索スパムへの対処

大切なことなので、まず結論を。とるべき対策を簡潔にまとめると次のいずれかだ:

  • サイト内検索をインデックスさせない(サイト内検索結果ページはすべてnoindexにする)

  • サイト内検索をインデックスさせるが、サイト内検索結果が0件のときは404やnoindexにする

  • サイト内検索をインデックスさせるが、特定の文字列を含むサイト内検索の場合はnoindexにする

元記事では、具体的な事例や周辺の状況も詳しく解説している。自分が運営するサイトが被害に遭わないためにも一読することをおすすめする。

★★★★☆
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視覚情報+テキスト情報で検索できるマルチ検索
言葉では表せない物をさらに具体的に検索 (Google Japan Blog) 国内情報

グーグルは、Googleレンズを利用できるすべての国で「マルチ検索」を導入した。日本も含まれる。

「マルチ検索」は、画像とテキストを組み合わせて検索する機能だ。たとえば、形や大きさ、材質が気に入ったソファを見つけたとする。しかし、ブルーではなくアイボリーのカラーが自分の部屋には似合うと考えた。

そんなときはマルチ検索の出番だ。

  1. (ブルーの)ソファをグーグルレンズで写す

    マルチ検索
  2. 「検索に追加」ボックスで「アイボリー」と入力する

    マルチ検索
  3. マルチ検索が、そのソファと類似した形状の、アイボリーのソファを探してくれる

    マルチ検索

目に見えている状態を言葉で表現するのが難しい物体に、情報を足して探しものをする際にマルチ検索は便利だ。一般のユーザーに普及したら、マルチ検索経由のアクセスがあなたのサイトに増えるかもしれない。

マルチ検索はAIによって実現した機能だ。さらなる詳細は元記事を参照してほしい。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
用語集
HTML / SEO / インデックス / クリエイティブ / ディレクトリ / リンク / 検索エンジン / 構造化データ

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