Googleアナリティクスを利用してSEOのROI(ビジネス価値)を計測・算出する4つの方法
最上級に効果的なSEO戦術を何時間も学んだとしても、施策の成果を測定できなければ、ビジネスでは役に立たない。
SEOのROI(費用対効果)を測定するには、次の2つの要素が必要になる:
- KPI(重要業績評価指標)
- 現在展開しているSEOキャンペーンのコスト
これらの重要な指標を毎月追跡することで、次のことを実現できるようになる:
- 戦略を微調整して最適化できるようになる
- 知識(データ)に基づいたビジネスの意思決定をできるようになる
コスト(または時間)に見合う最大限の効果を得るには、Googleアナリティクスを使ってROIを計算することを検討してほしい。Googleアナリティクスを使えば、オーディエンスがどこからアクセスしたのかを特定し、効果を維持するための目標を設定し、特に魅力的なキーワードを組み込んで検索エンジンでの順位を上げることができる。
- GoogleアナリティクスでSEOのROIを計算する方法
- ROIの計算を利用して、ビジネスの戦略的意思決定を改善する
GoogleアナリティクスでSEOのROIを計算する方法①
ページの価値
Googleアナリティクスで扱える指標の1つ「ページの価値」は、ROIについて語るうえで考慮すべき重要なものだ。
これはお金のようなものと考えよう。「ページの価値」とは、コンバージョン(目標到達)やEコマーストランザクションが発生したセッションで閲覧されたページに、金銭的価値を割り当てて1ユニークページビューあたりの値として算出したものだ。
「ページの価値」は、どんな場合に利用するといいのだろうか。
たとえばEコマースサイトでは、記事やランディングページなど、トランザクションが生じないページの価値を数値化するのに役立つ。ECサイトにおいてブログ記事は必ずしも売り上げをもたらしてくれるとは限らないが、だからといって顧客の購買決定に貢献しなかったことにはならない。そのため、この「ページの価値」という指標が役立つ。
リードジェネレーションページでは、問い合わせフォームの送信などの目標に価値を割り当てることができるため、順調にいっているかどうかをより正確に測定できる。
グーグルは、「ページの価値」を計算する方法を次のような図で示している。
この例で、ユーザーは次のように行動している:
- ページBを1回閲覧して
- Googleアナリティクスの目標で設定している到達ページDに行き(目標の「値」で10ドルの価値が割り当てられている)
- ECの支払い完了ページEに進む(ここでEC購買が完了し100ドルの売り上げが発生)
ページBに注目して考えると、ページビュー1回で110ドルが生み出されたということであり、これがページの価値になる。
数式では、次のようになる:
(
Eコマースの売り上げ[100ドル]
+
目標の値の合計[10ドル]
)
÷
ページBのユニークページビュー数(1)
= 110ドル
しかし、すべてのページビューがコンバージョンにつながるわけではない。そのため、データを記録し、新たな情報が得られた時点でページの価値を再計算することが重要だ。
2番目の例でこの仕組みを見てみよう。
ここでは2つのセッションがあるが、Eコマーストランザクションに到達したのは1つ(セッション1)だけだ。つまり、ページBのユニークページビュー数が2※でも、Eコマースの収益は変わらない。
次に、この新たな情報を使ってページBのページの価値を再計算できる。
(
Eコマースの売り上げ[100ドル]
+
目標の値の合計[10ドル×2セッション]
)
÷
ページBのユニークページビュー数(2)
= 60ドル
セッションやデータが増えれば、サイトの売り上げに最も貢献しているページがもっと明確になるだろう。
Googleアナリティクスの「ページの価値」は非常に有用で、レポート上でもどのページがどの程度のビジネス価値を生み出しているか確認できる。
しかし、この指標を有効に利用するには、Googleアナリティクスのビューで次のどちらか必要だ(両方設定してもいい):
- 「eコマースの設定」を有効にして、適切に設定する
- 「目標」を設定して、各目標で「値」を指定する
eコマースの設定に関しては本記事の航続部分で解説しているが、ECサイト以外の人は、目標を設定してコンバージョンがもたらす価値を「値」に指定しておくといいだろう。
コンバージョンといってもECサイトのような明確なコンバージョンポイントがない場合もあるかもしれない。その場合は、たとえば次のようなマイクロコンバージョンも含めて設定するといいだろう(イベント設定が必要なものも含む):
- メールマガジン登録
- アンケートフォーム送信
- 1セッションで6ページ以上閲覧
- 読了率100%
- 関連記事クリック
「値」として指定するコンバージョン価値を算定できない場合もあるかもしれない。そうした場合でも、まずはざっくり想定した値を入れてみることをオススメする。
GoogleアナリティクスでSEOのROIを計算する方法②
eコマースの設定
(ECビジネスを運営していない人は、このセクションをスキップしてもらってかまわない)
ECサイトを運営している人には、Googleアナリティクスにより詳細な機能があり、極めて便利な場合がある。「eコマースの設定」を有効にすることで、売上高や注文数、請求先だけでなく、平均注文額も追跡できる。このようにウェブサイトの利用と売上情報を結び付けると、最も効果的なランディングページやキャンペーンをより深く理解できる。
eコマース設定を有効にする方法
Googleアナリティクスの左サイドバーのパネルで「管理」をクリックする
「ビュー」パネル(右端のパネル)で「eコマースの設定」をクリックする
次の2つの項目をオンにする:
- eコマースの有効化
- 拡張eコマースのレポートを有効化
「拡張eコマースのレポートを有効化」設定の下にある「Checkout Labelingオプション」で、「目標到達プロセスのステップ」にたとえば次のように入力していく:
- チェックアウトビュー
- 請求先情報
- 支払いに進む
[保存]ボタンをクリックすることを忘れてはいけない。
これらのステップはGoogleアナリティクスの管理画面でいうと次の場所にある:
ShopifyやWooCommerceを利用している場合は、Googleアナリティクスでこの重要な情報を確認して受け渡しできるように、必ずShopifyやWooCommerceでもトラッキングを設定しよう。
Eコマースのトラッキングを設定すると、以下のデータにアクセスできるようになる。
- 売上高、Eコマースのコンバージョン率、トランザクション、平均注文額、その他の指標の概要
- 製品および販売実績
- 買い物とチェックアウトの行動
これらのデータにより、顧客がサイトをどのように使っているかや、どの商品が最も売れているかをより深く理解できる。SEOのROI計算という点で、顧客が購入するまでに踏む手順や閲覧したページを把握しておくと、個々のページの価値だけでなく、SEOコンテンツ戦略全体の有効性を分析するうえでも役立つ。
GoogleアナリティクスでSEOのROIを計算する方法③
販売実績
これもeコマース設定を有効にしているサイト専用の機能だ。販売実績の機能には、すべてのソースとメディアからの売り上げが表示される。オーガニック検索トラフィックのみのデータを表示して、その収益を明らかにすることもできる。
販売実績を表示するには
販売実績を表示するには、eコマース設定を行ったサイトでトランザクションが発生したあとに、Googleアナリティクスの左側のパネルで、[コンバージョン]>[eコマース]>[販売実績]をクリックする。
こうすると、売り上げの概要と各トランザクションの内訳を確認できる。これを時系列で追跡し、その傾向を見ることで、コンテンツ戦略の指針になる。
平均的な取引額はいくらだろうか?
その情報から顧客について何がわかるか?
文章を微調整してアップセルやクロスセルを推進すると、トランザクション1件あたりの売り上げは影響を受けるだろうか?
顧客の購買行動を詳しく確認するには
SEOのROIを計算して、コンテンツ戦略を最適化するのに役立つもう1つのデータは、顧客の購買行動だ。
顧客の購買行動を詳しく確認するには、eコマース設定を行ったサイトで[拡張eコマースのレポートを有効化]している必要がある。トランザクションが発生したあとに、Googleアナリティクスの左側のパネルで、[コンバージョン]>[eコマース]>[ショッピング行動]をクリックする。
購買ファネルの有効性が一目でわかるようになっている。たとえば、次のようなことがわかる:
1つのステップから次のステップに続いているセッションはどれほどあるか?
ページにアクセスしたが購入しなかった人や、カートに追加したが決済まで到達しかった人はどれほどいるだろうか?
これにより、SEOに目を向ける必要のある領域を明らかにできる。また、文章を最適化し、SEOを実施してオーガニック検索トラフィックを押し上げることで、売り上げをどれくらい増やせるかを予測するのに役立つため、SEOのROIについてさらに理解する助けになる。
たとえば、ページを訪れたが購買サイクルに至らないユーザーの割合が高い場合は、検索可能なキーワードや、よりオーディエンスの共感を得られる文章を掲載する必要があるかもしれない。
さらに、覚えておくべきこととして、オーガニック検索の売り上げは表示されるものの、その売り上げにつながったキーワードは特定できない。だが、オーガニック検索トラフィックは、全体としてマーケティング活動がうまく機能しているかどうかの指標になる。たとえば、PRによってグーグルでのブランド検索数が増えることがある。
ヒント:Google Search Consoleで、ウェブサイトに最もトラフィックをもたらしているキーワードを把握してから、Googleアナリティクスでナビゲーションの履歴を追跡することで、特定のキーワードと売り上げを関連付けることができる。
概して、SEOのROIを正確に測定するには、ビジネスに効果のあるキーワードを見つける必要がある。PRの露出効果が絶大でビジネスに興味を持つ人が出てくるかもしれないが、そういう人は実際にサービスに興味があるとは限らないからだ。この問題に対処するには、購入の意図につながるキーワードを選ぶ必要がある。そうすれば、より質の高いリードをサイトに引きつけることができる。
GoogleアナリティクスでSEOのROIを計算する方法④
エンゲージメントイベント
Eコマースサイトを運営していない人(B2Bマーケターなど)は、ここに注目したい。
Eコマースサイトでもリードジェネレーションサイトでも、ユーザーの行動をGoogleアナリティクスの「イベント」として計測することで、単なるページビュー以上のユーザー行動データをGoogleアナリティクスで活用できるようになる。
また、イベントには「値」を設定できる。これは、Googleアナリティクスの目標設定における「値」と同様に、各イベントがもつ価値を数値で定義できるものだ(ビジネス価値以外の情報を入れても問題ないが)。
このイベントの「値」を利用すれば、ユーザー行動を定量化してビジネス指標として扱いやすくなる。セールスチームと連携して、平均注文額、平均登録数、コンバージョン率に基づくイベントの値を設定しよう。
これらの分析はEコマースにも役立つが、販売サイクルがより長く、オフサイトや複数のセッションの後にトランザクションが発生するリードジェネレーションサイト(B2BのSaaSやマーケティングエージェンシーなど)で特に効果を発揮する可能性が高い。
- ニュースレターの登録
- 問い合わせフォームの送信
- ダウンロード
- カートへの追加
Googleアナリティクスの「イベント」も、活用できればデータ分析の幅が広がるすばらしい仕組みだ。
しかし残念ながら、どのようなイベントをどう計測するのかは、各サイトで設計して実装しなければいけない。
基本的にはGoogleアナリティクスのトラッキングコード(JavaScript)を変更して実装するため、プログラミングの知識が必要だ。ただし、Googleタグマネージャを活用することでプログラミングの知識がなくても可能な場合もある。
いずれにせよ、本記事で解説しているようなイベントのデータを利用するには、まずイベントのデータを取得するための実装が必要であることはご理解いただきたい。
キャンペーンのエンゲージメントデータを表示するには
エンゲージメントデータを表示するには、イベントトラッキングを実装したサイトでデータが貯まったあとに、Googleアナリティクスの左側のパネルで、[行動]>[イベント]>[上位のイベント]をクリックする。
レポート画面は次のようなものだ:
このようなトラッキングにより、ユーザーがウェブサイトの各部分をどのように操作しているかや、ジャーニーの各部分でどのようにエンゲージしているか詳細に把握できる。これを利用してリードジェネレーションの目標を設定したり、SEOが効果をもたらしているかどうかを調査したりできる。
たとえば、ウェブサイトのサービスページに多くのトラフィックがあり、それらの訪問者が高い割合でケーススタディをダウンロードしていることがわかったとしよう。これはつまり、あなたが提供する情報に訪問者が興味を持ち、ケーススタディをもっと閲覧したがっているということだ。
ROIの計算を利用して、ビジネスの戦略的意思決定を改善する
最後に、GoogleアナリティクスをSEOに利用する場合は、ビジネス目標と具体的かつ測定可能な指標を一致させることで、持続的に成長するための長期計画を作成できるように取り組む必要がある。
SEOがビジネスにとって強力なツールであることは周知の事実だが、重要なのは、それを実行可能な個別の計画に具現化して効果を継続させることにある。
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