ShopifyのクズSEOアプリに注意、 Lighthouseのスコアを良く見せるだけの詐欺も【SEO情報まとめ】
日本でも人気のECサービス「Shopify(ショピファイ)」向けSEOツールのなかに、実際にはなんの意味もないが、効果があると勘違いさせる詐欺的なアプリがあると、Shopifyのエンジニアが注意喚起している。
どんな仕組みなのか、なぜ良くないのか、具体的な例を解説している。Shopifyに限らず「SEOツール」「SEO改善サービス」に興味がある人は、ぜひ知っておいてほしい。
今回は、ピックアップしたShopifyの話題に加えて、EC(ネットショップ)向けのSEO情報をさらに2つ紹介している。ECに携わる人ならばぜひチェックしてほしい。
ほかにも、コア アルゴリズム アップデートへの対処、AMPをやめた場合の影響、パーソナライズ検索などなど、あなたのSEO力をブーストする情報をまとめてお届けする。
- ECサイトには、販売ページと情報提供ページの両方が必要?
- 特売品のページをグーグル検索で目立たせる方法
- コア アップデートに対処したら、何日で結果が出る? サイトの一部だけの改善でもいい?
- AMPをやめるとランキングは下がるのか?
- 検索結果1位にふさわしい自分のページが上位表示しないのはどうしてなのか?
- グーグルのパーソナライズ検索は今でもめったに適用されないのか?
- site:検索で全ページが結果に出てこないのはなぜ?
- Search Console Insightsによくある7つの質問にグーグルが回答
- グーグル、リンクスパム対策のアルゴリズム更新を実施
- ページタイトル生成の新しいアルゴリズムについてGoogleが説明
- Chromeデベロッパーツールが日本語をサポート
今週のピックアップ
ShopifyのクズSEOアプリに注意、 Lighthouseのスコアを良く見せるだけの詐欺も
Lighthouseはランキングには使われない (John Mueller on Twitter) 海外情報
Shopify(ショピファイ)は、日本でも人気の高まっているECプラットフォームだ。そのShopify用の「SEOツール」のなかに、実際の検索順位には効果がなく単にLighthouseやPageSpeed Insightsのスコアを良く見せるだけの詐欺的なものがあると、Shopifyのエンジニアであるコリン・ベンデル氏が注意喚起している。
起業家たちにインチキ品を売りつけようとする技術者に腹がたって仕方がない。
Shopifyパートナーが販売している「SEOツール」的なもののなかに、その実はLighthouseのスコアを良い数値に見せかけるだけで購買者の体験を改善しないものがある。これは規約違反であり、相応の結果につながる
これは警告だ。
ShopifyはECサイトを運営するサービスだが、その特徴に、第三者が提供する「Shopifyアプリ」で機能を拡張できることがある(WordPressのプラグインのようなものをイメージしてほしい)。そうした機能を今や多くの企業が提供しているのだが、そのなかに詐欺的なものがあるというのだ。
アクセスしてきたのがLighthouseかどうかをUA(ユーザーエージェント)名で判別し、
Chrome-Lighthouse
だった場合にはLighthouseのアクセスだと判断し、特殊な処理をする ―― そんな悪事をする人のために、地獄には専用の場所が用意されている。これはLighthouseの見た目をごまかしているだけで、ビジネスにとってはマイナスしかない。
Lighthouse(やPageSpeed Insights)向けに特別な処理をしているだけのやつのなかには、コードを難読化しているものもある。
こうした難読化は、不誠実な何かを隠そうとしていることの現れであり、ビジネスにとってマイナスしかない。そんなことをするやつらはクビになるべきだ。
There is a special place in hell for people that add UA checks for 'Chrome-Lighthouse' and then use document.write()
— Colin Bendell (@colinbendell) August 4, 2021
This is not tricking SEO ranking. Only hurting your business. pic.twitter.com/iFFfTsnar2
Code obfuscation is a strong smell that a dev is trying to hide something dishonest, and is likely hurting your business. Fire that team.
— Colin Bendell (@colinbendell) August 26, 2021
More examples of lighthouse UA sniffing that is actually making things slower: pic.twitter.com/G9VkN9ccOx
Lighthouse(ライトハウス)とは、Chrome のデベロッパーツールから利用できる、ページ表示の速度や状況を実測できるツールだ。コア ウェブ バイタルなどのパフォーマンスを測定できるし、PageSpeed Insightsのラボデータは、バックグラウンドでLighthouseを利用している。
Lighthouseは測定するタイミングで実際に対象のページに(機械的に)アクセスして調査している。その際に専用のユーザーエージェント(UA)名を名乗る。これを悪用して、Lighthouseのアクセスがあったときだけページの中身をほぼ空にするなどして、優れたパフォーマンスに見せかけるShopifyアプリが見付かっているというのだ。
Lighthouseの(見た目の)スコアは良くなるが、それ以外には何の意味もなく、無駄な処理が入るだけ実際のページ表示は(若干だが)悪くなる。
こうしたイカサマに対して、グーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントしている。
Lighthouseのスコアはグーグル検索のランキングには影響を与えない。
この手のユーザーエージェントを元にしたクローキングは、ろくでもない仕組みだ。自分を騙しているに過ぎない。まったく無意味だし、もっと重要な問題の発見を妨げている。
こういうプラグインに出会ったら、CMS提供元に通報したほうがいい。
つまり、Lighthouseのスコアを良く見せかけたとしても、価値があるのは「Lighthouseでスコアをチェックする開発者がうれしい」だけでしかない。検索順位には何の影響もない。
念のために補足しておこう。ページ表示速度関連のデータは大きく次の2種類に分かれる:
- フィールドデータ ―― 世の中の数多くのChromeユーザーがサイトを利用したときの実データ
- コア ウェブ バイタルのデータとして使われる
- ラボデータ ―― 検証やデータ測定のために、データセンター・シミュレーション環境・テスト環境などから測定したデータ
- コア ウェブ バイタルのデータとして使われない
Lighthouseのスコアは後者のラボデータだ。Lighthouseのスコアはあくまでも問題発見や検証のためのものだ。潜在的な問題点を発見し、それを解決するためには有用だが、ランキングには何も関係ない。
Lighthouseのスコアを見かけ上よく見せかけても得するどころか、損をするのは自分だ。まったくもって愚策としかいいようがない。
日本でもShopifyの人気が高まっているので、注意してほしい(WordPressなど他のCMS向けプラグインにもこうした詐欺的なものが混じっている可能性も否定できないので注意はしておきたい)。
- ホントにSEOを極めたい人だけ
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グーグル検索SEO情報①
ECサイトには、販売ページと情報提供ページの両方が必要?
ユーザーの検索意図は絶えず変化する (John Mueller on YouTube) 海外情報
ECサイトはSEOのことを考えるならば、次の2種類のコンテンツを用意しておくべきだ:
- 商品販売ページ
- 情報提供(記事コンテンツ)ページ
こんなアドバイスを、米国のSEOコンサルタントであるリリー・レイ氏がツイッターで投稿した。
その理由としてレイ氏が示しているのは、完全に同一のクエリなのに、上位表示するページのタイプがその時々で大きく変化するデータだ。
An example of why ecomm sites should have content:
— Lily Ray 😏 (@lilyraynyc) August 11, 2021
Using @ahrefs to analyze rankings for the kw "bar stool"
Orange, red & green = transactional pages
Blue = an article called "how to pick the right bar stool"
Serve all possible intents; Google will pick the one it likes best pic.twitter.com/8NvCbtw03D
このページに埋め込んだツイートだけではわかりづらいので、元ツイートを表示してツイートに添付されているグラフを見てほしい。グラフは次ように読む:
- 「bar stool」(バー スツール。バーのカウンター席などで使用される、背もたれのない、座部が高い丸椅子)の検索に関するデータ
- 縦軸は検索順位(上が1位、下が100位)
- 横軸は時間(左が2020年3月ごろ、右が2021年8月)
- オレンジ・赤・緑が、商品(販売)ページの順位
- 青が「バースツールの正しい選び方」の記事ページの順位
同じ「bar stool」の検索でも、上位に表示されるページがタイミングによって異なっているのがわかる。購入の意図に適した販売ページが上位表示するときもあるし、製品の選び方を知りたいという意図に対応情報提供のページが上位表示することもあったそうだ。
この発見について、グーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントした。
私が見たところ、クエリには現れない検索意図が時間の経過とともに変化しているようだ。
これは、サイト運営者の手の及ぶところではない。ユーザーが求めるものが変わる場合もあるし、アルゴリズムが変わる場合もあるし、そのほかの理由もある。
想定されうる検索意図を両方ともカバーするには、そうした変化に対する防衛策を張っておくことだろう。
As I see it, these inferred intents change over time, and it's a bit out of a site-owners control (sometimes user expectations vary, sometimes algorithms, or other things). By covering both possible intents, you're hedging against those changes.
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) August 12, 2021
ミューラー氏の言う「防衛策」とは、たとえばECサイトであれば、レイ氏が言うように次の2種類のページを提供することかもしれない:
- 商品詳細(販売)ページ
- その商品に関する、役に立つ情報を提供するページ
複数の検索意図がありそうな検索キーワードでユーザーの検索ニーズを満たすには、それぞれの検索意図に応えるコンテンツを作成しておくしかないだろう。そうすれば、時間やアルゴリズムによる変化にも対応できそうだ(事前にかかる工数は増えるが)。
- すべてのWeb担当者 必見!
特売品のページをグーグル検索で目立たせる方法
日本未導入の機能だが参考になる (グーグル検索セントラル ブログ) 国内情報
ECサイトの特売ページを検索結果で目立たせる施策のベストプラクティスを、グーグルが検索セントラルブログで解説した。
米国のグーグル(google.com)では、セール商品の専用枠が検索結果に表示されることがある。
また、ブラック フライデーやサイバー マンデーのような季節的なセールイベントでも、特別な枠に商品を掲載することも予定している。
こうした特売ページ専用の表示機能は日本では提供されていない。それでも、グーグルがアドバイスしているベストプラクティスはセール商品の内容をグーグルに伝えることにおおいに役立ちそうだ。たとえば、ベストプラクティスには次のような施策が含まれる:
「ブラック フライデー」「サイバー マンデー」などの専用ページを作成する
毎年同じ URL を再利用する
ページを早めに作成して、グーグルがインデックスに登録できるようにする
標準的な SEO のベスト プラクティスを実施する
ホームページからセールページにリンクする
高品質の画像を掲載する
グーグルのアドバイスを参考に、年末商戦に向けて今から準備しておこう。
- すべてのECサイトWeb担当者 必見!
コア アップデートに対処したら、何日で結果が出る? サイトの一部だけの改善でもいい?
低品質ページ削除は正しい対処? (Google SEO office-hours) 海外情報
コア アップデートによる順位下落への対処に関する質問にグーグルのジョン・ミューラー氏が英語版オフィスアワーで回答した。
Q1. サイトに変更を加えて結果が出るまでにはどのくらいの時間がかかるか?
通常は数か月だ。でも、2か月くらいの場合もあるだろうし、半年以上かかる場合もあるかもしれない。
Q2. 低品質ページを削除するのは正しい対処法か?
判断が難しい。ページを削除したことにより短期的にトラフィックが減るかもしれない。その後、徐々に回復するかもしれないが、少しの回復かもしれないし、一方で、突然大きく回復するかもしれない。
Q3. 試験的に、サイトの一部分だけを改善して様子をみるのはどうか?
そのやり方は推奨しない。グーグルはサイト全体を見て品質を判断しようとするからだ。一部分だけでは高品質と判断するのに十分ではない。
品質改善は一朝一夕ではできない。時間をかけてコツコツと取り組んでいくしかない(そもそも、初めから低品質コンテンツを公開すべきではない)。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
AMPをやめるとランキングは下がるのか?
直接の影響で下がりはしないけれど…… (John Mueller on Twitter) 海外情報
グーグルのジョン・ミューラー氏に次のようにツイッターで質問された。
AMP版のページをなくしたらランキングは下がりますか?
ミューラー氏は次のように回答した。
たぶん同じままだろう。
表示速度のように若干の影響があるかもしれないが、ページとクエリにもよると思うし、あったとしてもごく僅かのはずだ。
Probably it will remain the same. There are subtle effects like speed, but depending on the page and query they might be minimal. Why move away from amp though?
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) August 26, 2021
AMPは導入以来ランキング要因であったことは一度もない。しがたって、AMPではなくなったからといって、それが理由で評価が下がることはない。
ただし、注意してほしい。「AMPをやめても順位は変わらない」わけではなく、「AMPをやめても表示速度が同じ程度ならば順位は変わらない」が本質だ。
AMPは本質的にコア ウェブ バイタルに優れている。AMP版の提供をやめたことでコア ウェブ バイタルのスコアが悪くなったとしたら、ランキングに悪い影響が出る可能性もある。
実は、筆者は運営するブログでAMPを停止した経験がある。すると、Search Consoleのページエクスペリエンス レポートの数値がガクンと下がった。原因は、AMP停止によるコア ウェブ バイタルの悪化だ(モバイル向けページのコア ウェブ バイタルが芳しくなかった)。
結局筆者のブログでは、AMP版の提供を再開した。すると、元の状態に戻った。
ページエクスペリエンスが悪かった時期にも目につくようなランキングの低下はなかったが、通常ページの構成によってはAMPを停止するとコア ウェブ バイタルが悪くなる危険があるのは事実だ。
- AMP導入しているすべてのWeb担当者 必見!
- CWV改善がんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ソーシャルもやってます!