リスク回避型リンクビルディングの基本「カノニカルバーンページ」とは(前編)
リンクビルディングは、SEO会社やSEOコンサルタントへの依頼が非常に多い業務だが、おすすめのやり方がある。
- リンクビルディングを頼まれる可能性がある人
- リンクビルディングをだれかに依頼しようという人
どちらも把握しておいた方がいい経験則がいくつかある。今も色あせないアドバイスが詰まった名作ホワイトボードフライデーで、ラス・ジョーンズが解説する。
こんにちは。ホワイトボードフライデーにようこそ。僕はラス・ジョーンズ。Mozのプリンシパル検索サイエンティストだ。すばらしい調査をたくさんするようになったが、実のところ、僕がSEOで最初にはまったのはリンクビルディングだった。Mozに参加する前の10年間、SEO会社の立場でたくさんのリンクビルディングを手がけた僕に言わせると、すばらしいリンクの獲得ほどうれしいものはない。
今日の話は、少しSEO会社やSEOコンサルタント寄りだが、発注側(広告主側)の人も活用できる内容だ。発注側の人は、今日の内容全体を、いわば逆方向から考えてもらいたい。SEO会社に対するアドイスの部分は、今後SEO会社を使うかどうかを判断するための経験則として使えるはずだ。
それでは本題に入ろう。
今日はリスク回避型リンクビルディングについて話をする。SEO会社の大多数は、本当に次のように思っているものだ。
顧客に良いリンクを提供したい!
しかし問題は、その正しい方法がわかっていないことだ。このことは認めておこう。
というのも、SEO会社やSEOコンサルタントは、自社のリンクビルディングすらやったことがないところがほとんどだからだ。やっていたとしても、ゲスト投稿か、そうでなければ、リンクが得られる人気のある雑誌やウェブサイトへのありきたりの出稿くらいのものだ。記事を出すのにかかる費用のリストのようなものが出回っているが、Forbesについて言えば、リンクをnofollowにしたのでもう候補にすらならない。そんな状況だ。これは特別な話ではない。
そこで今日は、次のことを紹介する:
- 顧客にとってほんとうに良いリンクを実際に構築するための方法
- 顧客が大きなリスクを冒すことなく強固なリンクプロファイルを得られるよう、リスクを確実に回避するために調べておく必要があるフレームワーク
1. 削除できないリンクを構築してはならない
今回は、格言あるいは公理とでもいうべきものを2つ取り上げる。1つ目は、これだ:
削除できないリンクを構築してはならない
僕もペンギン・アップデート以前はこのことがわかっておらず、いちど張ったリンクを取り除く大変さを思い知ることになった。リンクを否認することも可能だが、問題のあるリンクならばウェブからなくしてしまうほうがすっきりすることが多い。
今はネガティブSEOが潜在的な問題となっており、Googleもペナルティを科すのではなくリンクの価値を下げようとしている。とはいえ、「なくせるならばなくしたほうがいい」のは変わっていない。削除できないリンクを構築してはならない。
でも、それにはどうすればいいのだろうか?
リンクは他サイトに設置されるものなので、必ずしも自分のコントロール下にあるとは限らない。しかし、次の2種類のリンクは分けて考える必要がある:
- 獲得したリンク
- 構築したリンク
「獲得したリンク」とは、なにもせずに手に入るリンクや、すばらしいコンテンツを書いたために獲得したリンクのことだ。これに関しては、心配しなくてよい。削除しようと思うことも、ほぼないだろう。
問題は「構築したリンク」だ。実際に積極的なリンクビルディングを進めていくのなら、次のような点を意識するといいだろう:
- カノニカル「バーン」ページ
- 自分のリンクプロバイダーをよく知るべし
それぞれについて解説する。
カノニカル「バーン」ページ
1つは僕が「カノニカルバーンページ」と呼ぶものだ。ダークな響きがある言葉だが、実のところ、要するにリンクの保険のようなものにすぎない。
この手法の背景にある考え方は、次のようなものだ:
コンテンツの価値とリンクの価値を1つのカゴに入れない
もうちょっとSEO的に説明すると、「コンテンツのURLと、リンクビルディングする際のURLを別にして、そのリンク価値はcanonicalで集約する」というものだ。
具体的に解説しよう。
今回の記事、このホワイトボードフライデーのURLが次のものだったとする:
https://example.com/risk-averse-links
このコンテンツに対してリンクビルディングするために、アウトリーチ(メールやソーシャルやリアルなどを通じての外部の人への働きかけ)を進めるとMozが決めたとしよう。その場合、まず次のようなURLを作り、アウトリーチではこちらのURLへのリンクをお願いする:
https://example.com/risk-averse-linkbuilding
ポイントは次のとおりだ:
- URLの決め方にルールはない、別URLであればいい
- ページの内容は同じにする
- リンクの価値がすべてオリジナルのページに渡るように
rel="canonical"
タグ(URL正規化タグ)を入れる
勘違いしてほしくないのだが、ドアウェイページ(誘導ページ)を大量に作るという手法ではない。分けるのには理由がある。たとえば、次のようなシナリオだ。
アウトリーチでこのコンテンツを知ったブロガーの1人が「これはすばらしい」と思い、ブログ投稿で取り上げるとしよう。その際に、彼が次のように考えたとする。
そうだ、ぼくの管理しているリンクファームの100ブログにも配信することにしよう
おそらく彼は「ブログで紹介しました」とは連絡してくれても、そうした大量のリンクに関しては連絡してくれないだろう。こうして、このページに対する大量のスパムリンクが生まれてしまう。
サイトへのスパムリンクはどうにかしたい。しかし、数千とはいかないまでも数百はあるサイトから相手がリンクを削除してくれる可能性はとても低い。この場合の最悪のシナリオは、このページ、つまりリンク用のページは失われたたので、これは削除する(メインコンテンツとは別URLだから削除できる)。そしてまた新しくバーンページを作り、リンクビルディング続けていくのだ。
あるいは、こんなシナリオも考えられるだろう。
すばらしいコンテンツができたおかげで検索上位に入り始め、すばらしいリンクビルディングが完了した。
すると、どこかのだれかが妬んで、この上位ページに大量のスパムリンクを張ってきた。
法律の分野ではいつもこうしたことがあり、僕はショックを受けた。みなさんは法律家にスパムを仕掛けようとは思わないかもしれないが、法律家はほかの法律家を恐れないようなのだ。
こうした状況に対しては、オリジナルのページを削除し、リンクをすべて保持しているカノニカルページを残すという方法がある(さきほどとは削除するのが逆である点に注意)。
つまり、検索上位に入る可能性を失ってしまうことがないように、卵をさまざまなカゴに分けて入れておくのだ。それをカノニカルバーンページと呼んでいる。
自分のリンクプロバイダーをよく知るべし
そして、馬鹿らしいほど当たり前のことだが、リンクプロバイダー(リンクを張ってくれる相手)のことをよく知るべきだ。
「これこれのパッケージに50ドル払えば、傘下のサイトから〇〇件のリンクを獲得できますよ」などと言っているウェブサイトからリンクを入手していると、カノニカルバーンページのようなものを使っているのでない限り、いったん獲得したリンクは取り除けない。どうしようもない。
しかし、上質なリンクを獲得しようとしている場合は、将来的にリンクの削除が必要になるかもしれないことを相手が理解してくれるような関係を築こう。リンクをいくらか失うことになるだろうが、長期的には、君と顧客を守ることになる。
これは実に強力なセールスポイントになる。顧客にセールスの電話をしている時に、リンクビルディングをやってほしいと言われたとする。この顧客は痛い目に遭ったことがある。ペナルティを受けるとどうなるのかを知っている。「対処法がまったくわからない」と言われたらどういう気分になるのか、よくわかっている相手だ。
そんな相手にこう言えたらどうだろうか?
リンクビルディングはお引き受けします。リンクの質には自信があるので、構築したリンクは1週間以内に削除できると約束しますし、そのことを保証します(ここは2週間以内でもなんでも、とにかく実際にかかる期間を入れておく)。
こうした保証をプロダクトに加えておくと、リンクがもたらすかもしれない損害を心配している顧客にとっては、計り知れない価値がある。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編では、「良いリンクを構築するのに必要な、良いコンテンツをいかにして作るか」のポイントと、ツールの活用、そして正しいリンクビルディングで得られる信頼と評判について説明する。
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