Web広告研究会セミナーレポート

広告脳には目からうろこ「広告主が成功するアフィリエイト広告6つのルール」【WAB月例セミナーレポート】

日本アフィリエイト協議会の笠井北斗氏が、アフィリエイト業界の現状と広告主がするべきことを解説。
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Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

アフィリエイト広告は、フェイク広告や薬機法違反といったマイナスのイメージのために出稿をためらう広告主もいるのではないか。しかし、広告主が正しく運用すれば、アフィリエイトは売上や新規顧客獲得などに効果をもたらすものだ。

では、具体的に何に注意してどうすればいいのか。アフィリエイト業界の現状と広告主がするべきことについて、日本アフィリエイト協議会の笠井北斗氏が語った。

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会は2019年10月30日に「企業がマーケティング活動を行う場を、真に信頼される場としていくために」というテーマで月例セミナーを開催した。会場では、第6回WebグランプリのWeb人部門で特別賞を受賞した
・日本アフィリエイト協議会の笠井北斗氏
・JADEの辻正浩氏
という2名が登壇し、それぞれアフィリエイトとSEOに関して、現状と問題点、そしてあるべき姿について講演した。

なお、辻氏の講演は検索エンジンによるコンテンツ評価などに関する最新の情報を詳しく解説するもので、広く公開すると悪用されかねない内容を含んでいるため、講演内容の詳細は非公開としている。

写真: 株式会社JADE 代表取締役副社長 辻正浩氏(セミナー内容は非公開)

アフィリエイト広告で1万円以上の収入があるのは6%

セッション「アフィリエイトの現在とこれからのあるべき姿」では、日本アフィリエイト協議会の笠井氏が登壇した。日本アフィリエイト協議会は、アフィリエイトの健全な発展と普及、消費者利益と事業者利益の共存と成長を図ることを目的として2010年12月に設立された団体。
会員には、アフィリエイトにかかわる
・広告主
・アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)
・アフィリエイトサイト運営者(アフィリエイター)
・広告代理店
といったさまざまな立場の人が参加しており、特に業界の健全化に対して貢献している。

写真: 日本アフィリエイト協議会 代表理事 笠井北斗氏

なお「アフィリエイト広告」とは、購入や申し込みなどの成果に応じて広告費が発生する成果報酬型広告の総称である。笠井氏は、アフィリエイト広告の特徴として、以下の3つをあげた。

・サイトやブログの運営者がどの広告をどこに掲載するか選ぶことができる
・広告主側のページで購入や申込が発生しない限り成果報酬も発生しない
・報酬が発生するまでに最低でも「2クリック」以上が必要

3つ目の「2クリック」とは、アフィリエイトサイトでの1クリックに加えて、移動した広告主側のサイトでの購入や申し込みなどのためクリックが発生しなければ成果とみなされないことを意味する。「広告を掲載するだけ」あるいは「広告がクリックされた」だけで広告料金が発生するようなものは、アフィリエイト広告には含まれない。

アフィリエイトの特徴として、広告主とアフィリエイターを仲介するASPの存在がある。広告主とアフィリエイターが直接やり取りする場合もあるが、多くの場合はASP経由での取引となる。日本全国で、
・ASPは100社以上
・ASPと契約してアフィリエイトを活用する広告主は1万社以上
・アフィリエイターは累計400万人~500万人
にのぼる。

図:アフィリエイト業界のプレイヤー

矢野経済研究所の調査では、アフィリエイトの市場規模は2019年で3408億円であり、年率15%前後で成長しているとのこと。

笠井氏は、アフィリエイターの月あたりの収入をデータでみると次のような調査結果になっているという。

・月額1,000円未満が全体の73%
・月額3万円以上は5.8%

これは、広告主の立場でみると、自社のアフィリエイト広告を1000サイトが掲載(アフィリエイト用語では「提携する」という)していても、そのうち成果を出すのは5%~6%に過ぎないことを意味する。

「アフィリエイターが勝手にやった」は通用しない!

アフィリエイト広告は、働き方改革などの社会変化により副収入として注目される一方で、広告主にとってはリスクとなるマイナスの側面もある。たとえば、次のようなものだ。

・薬機法や景表法などの法令違反
・フェイク広告
・アドフラウド(広告詐欺)
・怪しい情報商材

原則としてアフィリエイト広告は、各アフィリエイターが自分のサイトなどで広告主の商品を紹介する。つまり、こうした行為があったとしても、その行為を行っているのは広告主ではなくアフィリエイターだ。しかし笠井氏は「アフィリエイターが行ったマイナス行為の責任を広告主が問われる場合がある」と警鐘を鳴らす。

たとえば、アフィリエイターが自社メディアに誘導するためにアドネットワークで広告を出稿することがある。その広告内容が景品表示法に違反していた場合、「アフィリエイターが勝手にやった」という言い訳は通じず、広告主側が行政処分を受けることもあるのだ。

図:消費者トラブルが増えている広告出稿の流れ

笠井氏は「広告主は消費者庁が公開している以下の内容を読んでおいてほしい」と会場に訴えた。

●アフィリエイト用のバナー広告の表記責任
消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では、企業がアフィリエイト広告で出稿しているバナー画像に対して、企業が景表法の責任を負うことが明記されている。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guidelin
e/pdf/120509premiums_2.pdf

●アフィリエイターによる表示の責任
消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」では健康食品の場合、アフィリエイトサイト上の景表法、健康増進法などの表示の責任を広告主側が追うと明記されている。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160
630premiums_9.pdf

実際に行政処分を受けた事例もあり、消費者団体が広告の訴求内容について裁判に訴える例もある。「広告主はきちんと対応しておかないと、いきなり訴状が届いて裁判になる場合がある。それがメディアに取り上げられれば、売上減少やブランド毀損のダメージがある」と笠井氏は話す。

アフィリエイト運用で守るべき6つのポイント

だからといって「アフィリエイトは危ないので出稿しないほうがいい」というわけではない。正しく運用して成果をあげている企業も多数あるのだ。では、アフィリエイトで成果を出している広告主はどのようなことをやっているのか。笠井氏は次の6点をあげる。

●アフィリエイト運用で守るべき6つのポイント


1. 信頼できるASPや広告代理店を選ぶ
2. 不適切な表示をしているアフィリエイターとは提携しない
3. アフィリエイターの不適切な表示や行動をパトロールする
4. アフィリエイター向けに法律や規約を教育・啓発する
5. 違反サイトは提携解除や報酬支払拒否といった措置を取る
6. 信頼できるアフィリエイターと共に成長する

すべての基本としてあるのは、不適切なアフィリエイターを抱えているASPや代理店は避けて、信頼できる会社を選ぶことだ。
さらに、ASPや広告代理店と契約したあとも彼らに運用を任せっきりにしてはいけない。広告主自身がアフィリエイトサイトをパトロールして、不適切な表現を使っていないかチェックしたり、メルマガなどを通じて教育・啓もうしたりすることも重要だ。

一見すると手間がかかるだけのように思えるかもしれないが、笠井氏は「パトロールや教育・啓もうに必要な時間は、1か月あたり数時間程度でしかない。広告主側には“アフィリエイト・パートナーを選択する権利”があるので、その権利を執行してほしい」と、こうしたことの重要性を説く。

アフィリエイトに成功する企業は何をやって何をやらないのか?

続いて成功している事例として、サプリメントを販売している健康食品会社の運用が紹介された。この会社は、次のようなルールを設けて運用している:

1. 根拠のないランキングサイトや商品比較サイトとは提携しない
2. 「サプリメント名+効果・効能・口コミ・評判」も除外
3. 自社商品を使ってもらいたい媒体運営者を開拓
4. 掲載記事やページの薬機&景表法の無料チェック

1つ目の「根拠のないランキングサイトや商品比較サイトとは提携しない」の理由は、こうしたランキングや価格比較の中には報酬額で順位を決めているサイトもあり、消費者の誤認を招きかねないからだ。無理やりサイト上位に掲載してもらおうとすると報酬単価を上げることになり、広告費の高騰につながる。消費者の信頼を失うだけでなく、結果として ROIも悪化してしまう
2つ目の「『サプリメント名+効果・効能・口コミ・評判』も除外」は、こうしたキーワードで集客を図っているサイトは提携対象としないということだ。その理由は、健康食品の効果や効能を前面に打ち出したアフィリエイトサイトで紹介されてしまうと、薬機法や健康増進法に抵触してしまうリスクが高まるからだ。
3つ目と4つ目は、誠実に商品を紹介するアフィリエイターを自ら探して提携してもらい、さらに、掲載された記事に関して薬機法や景表法に触れないかを広告主が自らチェックし、問題があれば指摘して改善してもらうという運用だ。

こうした動きのなかで、特にアフィリエイターが執筆して掲載している内容を広告主がチェックしてフィードバックする取り組みに関して笠井氏は、「アフィリエイターから感謝され、結果として取り組みを強化してくれることにつながる」と説明する。この会社では、取り組みを始めてから10ヶ月ほど経過すると、発生成果が大きく伸びていた。つまり、アフィリエイターの多くは悪意をもって違反しているわけではなく、単に「知らない」だけのことが多いのだ。

他の成功企業として笠井氏は、次のような企業を紹介した:

・自社の公式サイトにアフィリエイトプログラムのページを用意して、報酬、商品の貸し出し規定、啓発活動などを紹介している企業(大手PCメーカー)
・工場見学などアフィリエイター向けのイベントを企画して、アフィリエイターと共に成長をしている企業(中小ギフトショップ)

アフィリエイトで成功するための基本的な考え方を、笠井氏は次のように話す。

「アフィリエイトがうまくいかない企業の多くが、わかりやすいキーワードで検索上位に表示されているアフィリエイトサイトに依頼する。そうすると、競合との報酬価格の勝負になってしまい、広告費が高騰してしまう。
そうではなく、『このアフィリエイターさんたちと一緒にビジネスを伸ばしていきたい』という思いで良好な関係を築いていけば、多少時間はかかるがアフィリエイターが良いサイト、よい記事を作るようになり、新規顧客獲得、休眠顧客の掘り起こしなどの成果につながっていく」

最後に笠井氏は次のように述べ、講演を締めくくった。

「法律やルール、そしてモラルを守って広告主がアフィリエイトを運用していけば、すごくよい社会になる。
・優れた商品をアフィリエイトサイトで知り購入することで、消費者は豊かな生活が送れる
・ASPは健全な運用をするアフィリエイターを集められればそれがセールスポイントになる
・アフィリエイターは正しく評価され収益を得られる
・広告主は売上が上がる
みんながメリットを得られるので、社会そのものが大きな恩恵を受けられる」(笠井氏)

◇ ◇ ◇

フェイク広告やアドフラウドなど、アフィリエイト広告にマイナスなイメージがつきまとうが、広告主が法律とルールを正しく理解し、健全なアフィリエイター、ASPとタッグを組むことで、売上が上がり自社のファンを作れる。

そのためには、広告主自身が信頼のできるASPと広告代理店を選び、アフィリエイトサイトをパトロールしてコンテンツをチェックする、さらにアフィリエイターが成長できるような情報提供、イベントなどを用意するなど積極的な関わりが求められる。


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Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
広告脳には目からうろこ「広告主が成功するアフィリエイト広告6つのルール」2019年10月30日開催 月例セミナーレポート(2019/12/06)

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