Web広告研究会セミナーレポート

愛用者をしっかり追いかけることで“真のファン”に育てあげる、CLUB Panasonicに脈づく「奉仕の心」とは【WAB月例セミナーレポート】

パナソニックの増田健二氏が登壇し、「CLUB Panasonicオーナーズサービス」を中心に、自社の取り組みについて語った。
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この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

200万人超が愛用者登録をしている「CLUB Panasonicオーナーズサービス」。この巨大コミュニティをパナソニックはどう運用し何を目指しているのか? データマネジメント部の増田健二氏が語る。

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会(以下、Web広告研究会)は9月24日に月例セミナーを開催。「コミュニティ型へシフトするソーシャルメディアマーケティング」というテーマのもと、第2部ではパナソニックの増田健二氏が登壇し、「CLUB Panasonicオーナーズサービス」を中心に、自社の取り組みについて語った。

培ってきた伝統をデジタルでパワーアップさせる

パナソニックの「CLUB Panasonicオーナーズサービス」は、サポート、愛用者向けイベント、特典提供などを行う、登録者向けのコミュニティサービスだ。「クラパナ」の愛称でも知られている。もともとは「CLUB Panasonic」として運営されていたが、2018年より製品購入者・愛用者に特化したサービスとして、「CLUB Panasonicオーナーズサービス」に生まれ変わった。

増田氏自身は、国内オーディオ製品の商品別企画やマーケティング、インターネット事業推進(hi-ho)、デジタルマーケティングなどさまざまな事業に関わり、2019年より現職を務めているという。2019年は、パナソニックが社内カンパニー体制を4社から7社に移行した年でもある。そのうちアプライアンス社は家電・空調・食品流通などを扱い、2.5兆円(国内1.1兆円)の事業規模だ。

「アプライアンス社は100カテゴリ・1万品番を扱っているため、太陽光パネルのような商品もあるが、“パナソニックの家電”は、文字どおり家庭用のイメージが強い。デジタルマーケティングの難しさもそこにある」(増田氏)。そして、少子高齢化・世帯数減あるいはEC拡大などを受け、国内家電を巡る状況は大きく移り変わっている。

そういった状況に対して同社では、次の3つのマーケティング改革に取り組んでいるという。

・デジタルシフトを見据えた、流通作り
・“単品の物売り”に寄らない、商品価値作り
・顧客との接点を重視した、強い繋がり作り

このうち“顧客との接点”については、「広報・広告、あるいは問い合わせの現場において、いままで培ってきた伝統をデジタルでパワーアップさせる」(増田氏)というのが基本戦略だ。「買うならパナソニック、と思っていただけることを目指している」と増田氏はゴールを明確にしている。

パナソニック株式会社アプライアンス社 日本地域CM部門 コンシューマーマーケティングジャパン本部 データマネジメント部 部長 増田 健二 氏

データ数は1億5千万超、複数BIツールでデータ分析

では、実際にデジタル接点を強化すると、顧客の反応は上がるのだろうか?

「CLUB Panasonicの相談窓口を使った人と使っていない人についてNPS(実質推奨スコア)を1年ほど調査したところ、電話対応した人はNPSがドンと上がる。メールやFAQを使った人はさらにNPSが高かった。アナログに加え、デジタルの顧客体験も大事なことが裏付けられた。お客様を深く理解することが重要」(増田氏)。

そして、顧客を深く理解してエンゲージを醸成するためには、デジタルを駆使した一元的なデータマネジメントが鍵になると増田氏は指摘する。

データマネジメントに関して増田氏は「いま一般的にCDP(カスタマーデータプラットフォーム)あるいはDMP(データマネジメントプラットフォーム)と言われているものがある。パナソニックでも同様のものを2016年から構築開始し、2018年4月から運用している」という。

そのデジタルマーケティング基盤では、
・CLUB Panasonicや自社ECサイトなどの登録情報・購入履歴・修理履歴・相談内容
・関連サイトでの行動データ
・サードパーティデータ
などを組み合わせ、個人情報を削除した形でデータを一元管理する形になっており、データ数としては1億5千万~1億6千万を保持する。

これらのデータは、Treasure Data、Tableau、magellanといった複数のBIツールで可視化され、マーケティングのさまざまな局面で活用される。その全体において次のようなサイクルを意識していると増田氏は言う。

・認知してもらう
・サイトに来ていただいたお客様としっかりつながる
・適切なお客様に適切なメッセージを届けて購買に進んでもらう
・購入してくれた人には愛用者登録をしてもらう
・会員になってくれた人にはさらにファンになってもらう
・ファンになってくれた人にはリピートしてもらう
・クチコミでさらに人の輪をつなげてもらう

CLUB Panasonicオーナーズサービスはお客様とパナソニックが「選び、選ばれる」関係

ご愛用者へのサービスの歴史は古く、始まりは1966年にさかのぼる。創業者・松下幸之助氏の掲げる
・お客様への奉仕の心
・売る前のお世辞より、売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る
という理念のもと、電気店経由で顧客とつながる「くらしの泉会」を開始したのがルーツだ。

2007年にはデジタル接点として、会員登録サイト「CLUB Panasonic」がスタート。

そして2018年4月から、登録・購入しているユーザーを重視した「CLUB Panasonicオーナーズサービス」が始まった。

オーナーズサービスでは、愛用者登録数にはこだわるが、登録だけの会員数にはこだわっていないのだという。増田氏はその方針について、「愛用品をわざわざ登録されている方とされていない方、どちらにも同じサービスを提供するのは、ある意味不公平。 “パナソニックを愛用し続けるユーザーさんを育てていくんだ”と考えており、登録だけの会員数にはこだわっていない」と説明する。

LTVを最大化すれば売り上げがそれに追いついてくるという考えのもと改革を進めており、重要視しているのは、
・愛用者登録したユーザーをしっかり追いかけていくこと
・何度も購入してくれる“真のファン”を育てること
といった部分。そして、愛用者登録を行うことで利用できる独自サービスが「CLUB Panasonicオーナーズサービス」なのだ。

オーナーズサービスでは、登録者に対してたとえば次のような特典が提供されている。

・安心サポートサービス
・スポーツ観戦や工場見学といった体験イベント
・独自ポイントの“CLUB Panasonicコイン”

登録そのものについてもデジタルでハードルを下げることを意識。ほぼすべての製品にQRコードが付いており、カメラアプリあるいはCLUB Panasonicアプリで撮影することで、簡単に登録ができる仕組みを用意した。

「おもてなし」と「ネットサポート」で顧客の信頼を強化

以前の「CLUB Panasonic」といまの「CLUB Panasonicオーナーズサービス」とでは、明確な違いがある。対象が購入者であることはすでに説明したが、それに加えて、しっかりとリピート購入をうながすことを意識しているのだという。「お客様とパナソニックが“選び、選ばれる”、そういう関係性を作っていきたい」(増田氏)。

CLUB Panasonicオーナーズサービスの基本的な考えは、「サービス面をより便利にし、よりパーソナライズすることで、共感と信頼を築いていく」というもの。その具体的な施策は、
・おもてなし
・ネットサポート
という2つの方向性で展開している。

「おもてなし」では、次のように多彩なイベントを開催している。

・商品体験: ビストロ体験教室、セルフエステ体験、LUMIXフォトスクールなど
・スポーツ観戦: エスコートキッズ体験、観戦に招待など
・お子様ワークショップ: 電池作りなどの工作体験、家族で料理作りなど

2018年は約170回のイベントを実施し、合計でおよそ1万人の招待に16万件の応募が寄せられた。人気イベントに参加した体験者の多くが、その後なんらかの商品を購入するなど、売り上げ増にも結び付いた。

「ネットサポート」では、デジタルならではのプロアクティブなサポートを進めている。具体的には、ユーザーが困って問い合わせてくる前に、先回りして情報を届ける仕組みだ。

それを実現するために、過去のデータから
・製品を購入したユーザーから1日後に来る問い合わせ
・1週間後に来る問い合わせ
・1か月後に来る問い合わせ
といった内容をパターン抽出し、“お困りごとの発生時期”を予測しカスタマジャーニーを作成。段階を追ったサポート情報を1to1で配信し、先回りしてフォローする仕組みを作り上げた。

この取り組みはまず売れ筋の大型テレビを対象に始めたが、DIGA・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・美容/健康・食洗器・炊飯器・レンジ・トワレ・空清の11商品までに広がっているという。

その他にも、デジタル施策ではなくアナログ施策だが、一定条件以上の愛用者登録のあるオーナーのみが利用できる「専用問い合わせダイアル」も、No. 1オペレーターが対応することで、高く評価されている。

今後の展開としては、IoTデータの活用を視野に入れているという増田氏。「たとえば、洗濯機にIoTが搭載されていた場合、時間帯別・曜日別の洗濯機の稼働状況が計測できる。実際に試験したところ『土曜のほうが日曜より稼働が多い』といった知見が得られた。こういったデータから、ライフスタイルやライフステージに合わせた新サービス展開が可能となる」と説明しセミナーを締めくくった。

◇ ◇ ◇

【パナソニック株式会社アプライアンス社が取り組む、3つのマーケティング改革】

・デジタルシフトを見据えた、流通作り
・“単品の物売り”に寄らない、商品価値作り
・顧客との接点を重視した、強い繋がり作り

【顧客との繋がり作りで大事な点】

・デジタルの顧客体験が大事なことは、裏付けがとれている
・顧客を深く理解することが重要
・エンゲージを醸成するためにデジタルを駆使し「一元的なデータマネジメント」を行う
・そのための、CLUB Panasonic。さらに愛用者に絞ったのがオーナーズサービス

【CLUB Panasonicオーナーズサービスの施策】
・「おもてなし」と「ネットサポート」で顧客の信頼を強化
・一定条件をクリアしたユーザーだけで利用できる「専用問い合わせダイアル」も高い満足度
・今後はIoT活用を視野に


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Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
愛用者をしっかり追いかけることで“真のファン”に育てあげる、CLUB Panasonicに脈づく「奉仕の心」【パナソニック増田氏】2019年9月24日開催 月例セミナーレポート(2)(2019/12/18)

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