SEO業界には専門用語が多すぎる! わかりやすく言い換えて伝え、人を動かしていこう
「リッチスニペット」「canonical」「404」「301」、SEO業界には専門用語が多すぎる! そもそも「SEO」からして意味がわからない! ―― さまざまな部署やパートナーと協力して進めなければいけないイマドキのSEOでは、専門用語を使わずに、相手がわかる言葉を使うのがベストだろう。
数年前、女友達たちとアスペンハイランドでスキーを楽しんでいたところ、山側からいきなりスキーヤーが突っ込んできた。相手はプロのスキーヤーで、ものすごいスピードを出していたため、片足のけがで済んだのは幸運だった。とはいえ、足に体重をかけることができず、現地の救急室に向かった。
診断のため医師や看護師が入れかわり検査すること数時間、初めて会う新たな医師が部屋に入ってきた。そして開口一番、こんな風に言われた。
内側半月板に放射状断裂があります。
何のことを話しているの私にはわからなかった。医師はその後も、患者相手よりも医療関係者と会話するのにふさわしい言葉で話し続けた。
私は医療用語にはまったく関心がなかった。子供が生まれたばかりで、なんとしても家族の元に帰りたかった。知りたかったのは、
- けがの程度とどれくらい長引くか
- 家で息子の世話をどれくらいできるのか
だった。
しかし、医師の言葉からはいずれの答えも得られず、残ったのは困惑、戸惑い、不満の感情だった。
みんな業界用語を使いがち
医師もマーケターも、SEO担当者などその他の専門家もそうなのだが、みんな業界用語を使いがちだということを、この経験から実感した。また、自分も同じだということに気がついた。SEOコンサルタントとしてクライアントと話す際、いつも相手を蚊帳の外に置いて混乱させるような言葉遣いになってしまうのだ。
私たちSEOの専門家にはよくわかる言葉であっても、顧客はほとんどわからなかったり、まったく理解できなかったりするものは数多くある。
そうした言葉を会話で使い、うまくコミュニケーションが取れていると思っている人は、実は、社内他部署の人・見込み客・クライアントといったSEOに明るくない人たちを置き去りにし、困惑、戸惑い、不満を感じさせているおそれがある。
何年も前は、そうした感情から企業がSEOコンサルタントやエージェンシーを雇うこともあった。セールスの際に業界用語をいくつもちりばめておくと、見込み客はSEOが難しくて理解できず、専門家を雇うことにしてくれた。
企業の人たちは、検索エンジンに見つけてもらう取り組みを自信を持って独自に進められる道がないため、契約書にサインするほかなかった。サインを手にしたSEOコンサルタントが秘密の魔法のようなものをはじめ、印象的な結果を出してみせる。そんなことが可能だった。
しかし、現在――この5年間――は、このやり方がうまくいかなくなっている。
SEOの基盤はコラボレーション
現在、私たちは企業の専門性/権威性/信頼性(E-A-T)をネット上に構築することで結果を出す。もちろん、やるべきSEOの専門的な作業はある(title要素やmeta descriptionタグの調整など、基本的な作業も忘れてはならない)。しかし、長期的に見れば、大きな成長は企業のE-A-Tを高めることから生まれる。そのためにはコラボレーションが必要だ。
私はSEOのプロである自分を、「検索エンジンという川を下るラフティングのガイド役」に見立てて考えることが多い。この川を下ったことがある私は、次のカーブの周辺でどんなことになりそうなのかを把握している。私の仕事はチームを導くことだ。チームとしての成否は結局、私がタイミングよく適切にガイドできるかどうかにかかっている。
しかし、わたしだけが頑張ればいいという話ではない。成功にはチーム(すなわちクライアント)の奮闘も必要だ。わたしたちは同じいかだに乗っており、同じ川を進むことを選んだのだ。クライアントはパドルを水に差し込み、コース取りに積極的に参加し、なんとしても一致協力しようとする。協力、つまりコラボレーションこそが、われわれ全員の成功をもたらす。
コラボレーションの鍵はコミュニケーション
コラボレーションには効果的なコミュニケーションが欠かせない。そしてコミュニケーションは言葉に依存する。
たとえば、ラフティングのガイドが
左舷バドルをフォワードストロークで
と言えば、チームは戸惑いの視線をガイドに向けるだろう。しかし、
左側のパドルは前進方向に漕いで
と指示すれば、その言葉を理解して適切な行動を取るだろう。
- SEOコンサルタントなら、見込み客やクライアントとのコミュニケーション
- 社内SEO担当者なら、事業部や他部署のスタッフとのコミュニケーション
そういったコミュニケーションを改善していく1つの方法は、業界用語を使わないようにすることだ。わたしはこの数年、クライアントとのコミュニケーションで日常的な言葉を使うことを自分に課している。その結果、うちは取り引きが増え、顧客の満足度が向上し、成績が向上している。いわばウィンウィンウィンだ。
SEOの専門用語はこう言い換えれば意思疎通できる!
以下では、SEOのクライアントとのコミュニケーション(つまりはコラボレーション)における言い換えの具体例を紹介する。
×わかりづらい専門用語XMLサイトマップ
○わかりやすい言い換えウェブサイトのレジュメ
私はクライアントに対して、ウェブサイトに「XMLサイトマップがない」というような言い方はしないようにしている。XMLサイトマップのことは「ウェブサイトのレジュメ(概要)」のようなファイルだと説明する。
就職の面接に行く際には、自分の長所を列挙したわかりやすい形式のレジュメ(職務経歴書)を必ず持参するはずだ。レジュメは、あなたの「中身(コンテンツ)」、すなわち関連する職歴や経験を簡潔に説明したもの。サイトマップも同じで、ウェブサイトのコンテンツと構成を要約したものだ。
×わかりづらい専門用語リンクビルディング
○わかりやすい言い換え仕事上の関係をネットワーク化する
クライアントはリンクビルディングに関する話を耳にすると、相互リンクを依頼するスパムメールが届いた際の感覚をすぐに思い出す。このやり方は強引すぎる、目先しか見ていない、グーグルのサービス規約の違反になるのではないかと、クライアントは心配してしまうかもしれない。
「リンクビルディング」については、こう説明することを考えてみよう:
検索エンジンがすばやく簡単に理解できるよう、会社の仕事上の関係をネットワーク化するのであり、検索エンジンが読める案内標識を立てるのだ。
×わかりづらい専門用語強調スニペット
○わかりやすい言い換え検索1位のさらに上
クライアントは多くの場合、検索順位をとても重視している。「強調スニペットの獲得」について話をする際、そのままの言葉だとクライアントは置いてきぼりになり、取り組みに乗ってこない。
そうではなく、クライアントが欲しがっているもの、選んだキーワードで検索1位をとることに着目しよう。(専門知識を共有することでクライアントを検索結果の上位に押し上げるべく)、新しく完璧なコンテンツに取り組む際には、「検索1位のさらに上」を目指すのだと説明すると、クライアントが乗ってくる。
×わかりづらい専門用語SEO
○わかりやすい言い換え見つけてもらう
なにより重要な用語は「SEO」かもしれない。
われわれは、見込み客やクライアントがSEOとは何の略語でなぜそれが重要なのかをわかっていると決めてかかっている。しかし、略語だけでは混乱につながることのほうが多い。
「SEO」と言いたくなるたびに、「グーグルで見つけてもらう」と言うようにしてみよう。クライアントは混乱なく価値を理解するだろう。
クライアントとのコミュニケーションでどんな表現や言葉を使うのか
業界用語の排除は、クライアントとのコミュニケーションのためにうちが実施した変革のなかでいちばん効果があったものの1つだ。ほかにも、次のようなことを実践しているし、おすすめしている。
- 月例レポートの送付
- フィードバックの積極的な要求
- 明確な期待の設定
クライアントとのコミュニケーションのコツについては、MozのブログやPathfinder SEOにも記事がある。
クライアントや他部署の人への話し方を改善するため、専門用語を使わない共通の言葉を生み出していこう。クライアントに困惑、戸惑い、不満を抱かせるのはやめにしよう。結局のところ、SEOの基盤はコラボレーションだ。コラボレーションのためには、共通の基盤を作り、そこに集うのでなければならない。
みんなのアイデアや体験をコメント欄で紹介してほしい。
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