SEOキーワードカニバリゼーションに対処する4つの方法と事前カニバリ回避策(後編)
3回に分けてお届けしてきたこの記事も、今回が最終回だ。カニバリゼーションへの対応策については中編でも触れたが、今回はもっと包括的なアプローチで、どのようなソリューションを利用できるか見ていこう。→まず前編と中編を読んでおく
自分の管理するサイトでキーワードのカニバリが発生していたら、どうすればいいのだろうか? 4種類の対処法と、そもそも問題が発生しないようにする予防法を2つ紹介する
カニバリゼーションに対処する4つの方法
重要なのは、遭遇するカニバリゼーションのさまざまなタイプを区別して、ソリューションを柔軟に適用することだ。すべての解決策が同じ結果になるわけではない。
さまざまなカニバリゼーションに関して話したときに可能なソリューションについて軽く触れたが、ここではもっと包括的なアプローチで、検討の候補となりうる4種類の対応を説明する。
- 301リダイレクト
- 正規化
- ページの再最適化
- コンテンツの統合
301リダイレクト
次のように自問してみよう。
カニバリゼーションを起こしているのを見つけたページたちは、すべて本当に必要なページなのか?
答えが「ノー」である場合は、301リダイレクトを利用してみるといい。
たとえば、サイト上で数年前に公開したのと同じ記事の新規(または非常に類似した)バージョンを作成したとする。
どちらも同じ検索意図に応えるものだが、バージョンのほうが最近の状況にも対応していて、できればこちらを優先したい。というよりも、古いバージョンは前面に押しだすべきではない。
しかし、古いURLのほうが検索エンジンの目から見てより多くのエクイティを備えており、時間の経過とともに被リンクを獲得していた可能性がある。そのため、単純に古いほうを削除してしまうのもよろしくない。
そこで、そのうちの一方をリダイレクトすることを検討するかもしれない。
ページ | URL | ブログ記事の日付 |
---|---|---|
ページA | /blog/how-to-wear-ankle-boots | 2016年5月 |
ページB | /blog/how-to-wear-ankle-boots-in-2019 | 2018年12月 |
ページAに被リンクがあるかどうかを確認し、それなりにリンクを得ている場合は、検索上位を取っているキーワードの数(および、それらのキーワードに対してどれほど上位に表示されるか)をチェックしよう。
するべきこと:
ページAが十分なエクイティとビジビリティを備えている場合
- ページBからページAへの301リダイレクトを設定する
- (ページBを参照している)すべてのサイト内リンクをページAに張り直す
- 必要に応じてページAのメタデータを(2019年に言及するなどして)更新する
そうでない場合
上記と逆にする。つまり、ページAからページBへの301リダイレクトを設定し、(ページAを参照している)すべてのサイト内リンクをページBに張り直そう。
正規化
カニバリゼーションを起こしているすべてのページが必要な場合もあるだろう。PPCやソーシャル、テストが目的かもしれないし、あるいは、どれもやはり関連性が高いだけかもしれない。
どんな理由であれ、そうしたときには、canonicalタグを使って正規化する方法を使うのがいい。301リダイレクトとの大きな違いは、どちらのページも維持するが、ページAのエクイティをページBに移すという点だ。
たとえば、既存の記事と同じようなトピックを扱った新しい記事を作成したとする(視点は異なるのだが)。そして、それらのページが互いにカニバリゼーションを起こしているのを発見したとする。
簡単に分析した後、ページBを「主ページ」にすると決めたなら、ページBを参照するcanonicalタグをページAに設置すればいい。canonicalによる正規化を行うほうがいいのは、2つのページのコンテンツをユーザーには別のものとして見てほしいが、検索エンジンには似たようなものと判断してほしい場合だ。
ページ | URL | ブログ記事の日付 |
---|---|---|
ページA | /blog/how-to-wear-ankle-boots-with-skinny-jeans | 2017年12月 |
ページB | /blog/how-to-wear-high-ankle-boots | 2019年1月 |
するべきこと:
ページAにページBを参照するcanonicalタグを設置する。グーグルに念を押すため、ページB自身を参照するcanonicalタグをページBに設置してもいい。
どちらも次のようなタグになるだろう。
<link rel="canonical" href="/blog/how-to-wear-high-ankle-boots">
- 両方のページのアクセスしやすさとサイト内リンクのエクイティを評価した後、必要に応じて、(ページAを参照している)すべてまたは一部のサイト内リンクをページBに張り直したほうがいいだろう。
ページの再最適化
すでに触れたように、これは主にメタデータ型のカニバリゼーションに関するもので、この記事では前編でタイプ①と呼んでいたものだ。
メタデータが重複しているか、またはなぜか同じキーワードや非常に似通ったキーワードをターゲットにしているように見えるページが見つかったら、次のようにする必要がある。
- そのキーワードまたはキーワード群に対してどれを主ページにするかを決める
- 競合するページを再最適化する
より具体的な考え方や例は、前編の「①メタデータ」での説明を参照してほしい。
コンテンツの統合
このタイプの解決策では、ページの一部または全体のコンテンツを別のページに統合する。統合後、コンテンツを削除したページを維持しておく価値があるか、あるいはもう一方のページに301リダイレクトしてしまうかは君次第だ。
複数のページ間でコンテンツが類似または重複している結果としてカニバリゼーションが生じていると思われる場合には(これは前編でいうタイプ②のカニバリゼーションである場合が多い)、1つの選択肢として統合という手段を使うことになる。
内部で競合しているページに対処して検索順位を上げるには、具体的には次のようにする。
- まず主ページを設定する
- 問題を引き起こしているコンテンツを主ページに移動してコンテンツを統合する
たとえば、あるコンテンツテーマ(この場合はブーツの手入れの仕方)に分類される新しい記事を作成したとする。
ページAは「革ブーツ」の手入れのみをターゲットとしたコンテンツで、以前からあった記事だ。ページBは「ブーツ全般」の手入れをターゲットとして新たに作った記事だ。
ページ | URL | 内容 | ブログ記事の日付 |
---|---|---|---|
ページA | /blog/how-to-clean-leather-boots | 革ブーツの手入れ | 2017年12月 |
ページB | /blog/boots-cleaning-guide-2019/ | ブーツの手入れガイド2019年版 | 2019年1月 |
違うといえば違うが、革ブーツの手入れに関する解説はページBにもあり、結果として「革ブーツの手入れ」という意図に対応するページが2つできあがってしまっている。
こうした場合は、問題を起こしているコンテンツをページBからページAに統合し、ページBで革のブーツをカバーしている文章の代わりに、ページAへのサイト内リンクを追加する価値がある。
するべきこと:
ページBでコンテンツに問題がある箇所を探し、内容を見直して、特に緊急性の高い部分をページAに統合する。
ページBで削除したコンテンツを、ページAを参照する直接サイト内リンクに置き換える。
ページのコンテンツを別のページに統合すると、コンテンツを削除したページの多くは不要になる。そういう場合はリダイレクト(301)すればいい。
そもそもカニバリゼーションを避けるにはどうすればいいか?
カニバリゼーションを防ぐ方法を2つ、紹介しておこう。
キーワードマッピングを行っておく
カニバリゼーションを防ぐ最善の方法として、単純だが過小評価されている作業がある。それは、キーワードマッピングを行うことだ。サイトに適したマッピング戦略を実行することはSEOのカギを握るポイントであり、キーワード調査と同じくらい重要だ。
このトピックについてはカーソン・ワード氏がMoz Blogに素晴らしい記事(英語)を書いているので、チェックしてみることをおすすめする。
「意図」を決めつけない
カニバリゼーションを回避するもう1つの方法として、僕が紹介したい最後のヒントには、ほとんどの人がよく知っている要素が関係する。それは検索意図だ。
ほとんどの場合、僕たちは物事を決めつけてしまい、グーグルは一定の動作をして、一定の結果を表示すると想定している。つまり、僕が言いたいのはこういうことだ。
キーワードマッピングを行うときは、特定の結果を想定する前に、検索エンジンがどういう種類の結果を表示しているか確認しなければならない。
多くの場合、グーグルでさえあまりわかっておらず、常に意図を正しく理解してくれるとは限らないのだ。
たとえば、次の2つの検索では、それぞれまったく異なるSERPが表示される。
- 「shoes gift ideas」(靴 プレゼントのアイデア)
- 「gift ideas for shoe lovers」(靴好きの人へのプレゼントのアイデア)
僕の意図は同じようなものであり、それは靴に関するプレゼントのアイデアを探している、ということだ。しかし、グーグルはそうとらえてはいなかった。
左側は、「shoes gift ideas」というクエリに対するSERPを示している。グーグル画像検索のイメージが横一列に表示され、他の画像を見るためのリンクと、1本の記事ページ(情報コンテンツ)があり、残りの結果はすべて購入可能なトランザクションページやEコマースページだ。グーグルは、僕がコンバージョンに近いと見て、商品ページを探していると想定したようだ。
右側は、「gift ideas for shoe loves」というクエリに対するSERPを示している。上部にはGoogleショッピングの広告が横一列に表示されているが、次に記事ページから取得した強調スニペットが表示されている。残りはトランザクションページと記事ページが混在しており、上位10件以内にPinterestのページが2件入っている。
僕が後者のクエリで何を探しているか、グーグルが理解できなかったのは明白だ。まだ検討している段階なのか、それともコンバージョンに移りつつあるのか、判断できなかったのだろう。
ここで示した例は、キーワード調査やマッピング作業を進めるなかで遭遇した多くの例の1つにすぎない。特定のキーワードやキーワード群を追求する前に、以下のすべてのポイントを確認しておこう。
- 既存のページで扱っているトピックでないかチェックする。
- すでに扱っている場合は、次の点を確認する:
- ターゲットキーワードをどれほどカバーしているか?
- 焦点を整理するにはどうすればいいか?
- カニバリゼーションによってページの検索順位が下がっていないか?
- そのトピックを扱っているページがない場合は、次の点を確認する:
- 新規ページを作成する価値があるか?
- ページを作成した場合、既存のページにどのような影響があるか?
- そのターゲットキーワードに対してグーグルに表示される結果をチェックする。自分の予想とは異なるかもしれないからだ。
- 新規ページを作成したら、この記事にあるヒントを用いて、意図せず予想外のカニバリゼーションを引き起こしてしまっていないか、下の階層までダブルチェックする。
まとめ
キーワードのカニバリゼーションは過小評価されているが、特に数年にわたって運営されていてページが多くなってしまっているサイトにはむしろ深刻な問題だ。しかし、恐れることはない。この問題を簡単に監視できる方法はあるし、この記事がそうした方法を見つけるプロセス全体を加速させるのに役立つことを願っている。
ほとんどの場合は、
- 被リンク
- クローラビリティ
- コンテンツの重複
といった、その他のSEO要素を考慮しながら、最も論理的なアプローチを採れば済む。可能であれば、必ず最初に変更点をテストしてから、サイト全体に、あるいは恒久的に適用してほしい。
もし僕のように情報共有が好きな人で、カニバリゼーションで役に立つもっと良い方法があるという人は、下にコメントを書き込んでほしい!
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