Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

あなたが思うよりも深刻なSEOキーワードカニバリゼーションの問題を考え直そう(前編)

SEOの世界には「カニバライゼーション」という概念がある。見逃しがちだが意外と深刻なこの問題を、改めて理解しておこう
筆者の見解はすべて筆者自身のものであり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SEOの世界には「カニバライゼーション」という概念がある。見逃しがちだが意外と深刻なこの問題を、改めて理解しておこう。

「カニバライゼーション(共食い)」と聞いて、どういうわけか一瞬でも伝説の映画『羊たちの沈黙』を思い浮かべたのは、君だけではないはずだ。

「共食い」という言葉はデジタルマーケティングにはあまりそぐわないように聞こえるが、この概念は以前から存在している。この言葉は、検索マーケティングの世界では次のようなことを指す。

SEOにおける「カニバライゼーション(共食い)」とは?

→ 複数のページが、同じ(あるいは非常に似通った)キーワードやキーワード群をめぐって競合している問題のこと

SEOにおいてカニバリゼーションがもたらす「混乱」とグレーゾーン

サイトでカニバリゼーションが発生していると、どんな問題が発生するのだろうか?

複数のページで同じキーワードや類似のキーワードをターゲットにしていると、検索エンジンから見て「混乱」が生じ、どのキーワードに対してどのページを表示すればいいかわからなくなってしまう。

これは、関連するページが持つSEOのポテンシャルを損なう不幸な問題であるにもかかわらず、気づかないことが多いのも事実だ。

具体的な例を挙げながら解説しよう。

僕があるEコマースサイトを運営しているとする。オンラインで靴を販売している「Distilled Shoes」という架空のサイトだ(「Distilled」は筆者が所属する会社の社名)。

そのサイトでは、「ankle boots」(アンクルブーツ)というキーワードを狙って、次の専用カテゴリページを作成した。

  • ページ: カテゴリページ
  • 内容: 商品一覧
  • URL: /boots/ankle-boots/

ECサイトだが記事コンテンツも重要だ。そこで僕は、しばらくしてから2本のブログ記事を作成することにした。どちらもキーワード調査に基づき、アンクルブーツに関連するトピックについて書いた。記事の1本はアンクルブーツの履き方、もう1本は2019年に流行りのアンクルブーツの履き方トップ10を紹介したものだ。

  • ページ: ブログ記事①
  • 内容: アンクルブーツの履き方
  • URL: /blog/how-to-clean-leather-boots/
  • ページ: ブログ記事②
  • 内容: 流行っているアンクルブーツの履き方トップ10
  • URL: /blog/boots-cleaning-guide-2019

1カ月後、僕は、最初はEコマースのカテゴリページが表示されていたいくつかのキーワードで、一部のブログページが検索上位に表示されているのに気づく。

ここであなたに質問だ。この状況は、僕のウェブサイトにとって良いことだろうか、それとも悪いことだろうか?

さあ、それでは答えを発表しよう。答えは……個々の状況と、正確なキーワードと、特定のキーワードで検索しているユーザーの意図によって異なる

キーワードカニバリゼーション(キーワードの共食い)状況は、白か黒かで判断できる問題ではない。いくつものグレーゾーンがあり、このブログ記事ではいくつかのシナリオを見ていく。

その前に時間を5分ほど取って、検索意図というトピックについて実に見事に説明しているこの素晴らしいホワイトボード・フライデーの記事(日本語記事)をチェックしてみることをおすすめする。

あなたが思うよりも深刻なキーワードカニバリゼーションの問題

おそらく、君が思うよりはるかに深刻だ。僕がここ数年の間に取り組んだウェブサイトでは、ほぼすべてのサイトである程度のカニバリゼーションが見られ、解決する必要があった。

とはいうものの、その深刻度を見極めるのは、少し大変だ。というのは、1つのページでこの問題がどれほど足かせになっているかを見積もるのは難しく、ポテンシャルが損なわれた複数のページにわたる問題だからだ。

したがって、この問題に対処する場合には、「1ページずつ分析する」のではなく、「ある程度のカニバリゼーションが生じているページをまとめて分析する」ことを推奨したい。

SEOでカニバリゼーションの問題が特によく見つかる2つの場所

通常、カニバリゼーションを特によく目にするのは、次の2カ所だ。

  • メタデータ
  • ページコンテンツ

①メタデータ

複数のページで、メタデータ(主にtitle要素や見出し)が同じキーワードや非常に似通ったキーワードをターゲットにしている場合に、カニバリゼーションが起きがちだ。この場合はメタデータだけを調整すればいいので、あまり手間をかけずに修正できる。

たとえば、僕のEコマースサイトには、ブーツに関連するページが3ページあり、各ページには次のメタデータが含まれているとする。

ページURLtitle要素見出し1
/boots/all/Women's Boots - Ankle & Chelsea Boots | Distilled Shoes
(女性用ブーツ - アンクルブーツとチェルシーブーツ)
女性用アンクルブーツとチェルシーブーツ
/boots/ankle-boots/Women's Ankle Boots | Distilled Shoes
(女性用アンクルブーツ)
アンクルブーツ
/boots/chelsea-boots/Women's Chelsea Boots | Distilled Shoes
(女性用チェルシーブーツ)
チェルシーブーツ

この種のキーワードカニバリゼーションは、上の例のように具体的なキーワードをターゲットにしているカテゴリ(またはサブカテゴリ)ページを多く含むEコマースサイトで起こりやすい。理想をいえば、ブーツ全体に関連するキーワードをターゲットにした包括的なブーツのページを用意したい。一方、それ以外の2ページでは、各ページで販売している特定の種類のブーツ(アンクルブーツとチェルシーブーツ)に焦点を当てる必要がある。

そこで、次のようにしてみたらどうだろうか? (変更したのは/boots/allページだけだ)

ページURL新しいtitleタグ新しい見出し1
/boots/all/Women's Boots - All Types of Winter Boots | Distilled Shoes
(女性用ブーツ - 冬のブーツ全種類)
女性用冬のブーツ
/boots/ankle-boots/Women's Ankle Boots | Distilled Shoes
(女性用アンクルブーツ)
アンクルブーツ
/boots/chelsea-boots/Women's Chelsea Boots | Distilled Shoes
(女性用チェルシーブーツ)
チェルシーブーツ

たいていの場合、僕たちは、狙うべき非常に具体的なサブグループのキーワードをターゲットにできるようにEコマースサイトのメタデータを区別できていない。結局のところ、カテゴリページがあまりに多くなってしまう主なポイントは、そこにあるのではないだろうか? このトピックに興味のある人は、このテーマについて僕が書いたブログ記事を読んでみてほしい。

Eコマースページの多くはテキストがほとんど含まれていないため、メタデータが非常に重要になる。メタデータは、検索エンジンがページ間の違いを理解するために参照する、主要な要素の1つになるからだ。

②ページコンテンツ

同じサイトの複数のページで、非常に似通ったトピックを本文で取り上げることもあるだろう。こうした場合、ページコンテンツレベルでカニバリゼーションが起こる。

こうした場合の対処には、通常は上述の例より手間がかかる。なぜなら、ウェブマスターはまず、競合するすべてのページを見つけてから、この問題に対処する最適なアプローチを決める必要があるからだ。

たとえば、僕のEコマースサイトにある2つのブログ記事ページが、次のトピックについて取り上げているとしよう。

ページURL記事の目的
/blog/how-to-clean-leather-boots/革のブーツが長持ちする手入れの仕方を提案する
/blog/boots-cleaning-guide-2019/さまざまな種類のブーツを手入れする方法について、個別対応のガイドを掲載する

この種のキーワードカニバリゼーションは通常、相当量のテキストを含む記事ページやトランザクションページで起こる。

ここではっきりさせておきたいのだが、記事コンテンツを作成する場合、SEO担当者が主役ではないことも多い。ソーシャルメディアやエンゲージメントに関わる理由から、コンテンツの作成にはさまざまなチームが関わっているのが当然だからだ。特に大企業では、「あらゆる部門間でバランスを取ることがどれほど複雑か」「いかに物事を見落としてしまいやすいか」を軽く考えがちだ。

純粋にSEO的な観点から、上に挙げた2ページはカニバリゼーションに陥る可能性が非常に高いと断言できる。記事の切り口は異なるとはいえ、ある程度重複したコンテンツが含まれているだろう(これについて、詳しくは後述する)。

これら2本のブログ記事は、どちらもかなり似通った検索意図に応えようとするものではある。しかし、このタスクに取り組む場合には、次のことを自問してほしい。

検索エンジンから見ると、どれほど違うだろうか?

僕が推奨するのは、新しいページの作成に時間やリソースを投じる前に、既存のコンテンツを見直してみることだ。

この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。今回はキーワードカニバリゼーションとはどういったものかを見てきたが、カニバリゼーションにもいくつかのタイプがある。中編となる次回は、そのタイプを紹介すると共に、シナリオごとに利用できる対応策やツールを紹介する。→中編を読む

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

レスポンス広告
ダイレクトレスポンス広告のこと。ダイレクト広告も同義。広告を出したメーカーが、代 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]