EC利用者の58%はアマゾンで商品検索をスタート。グーグルのSEOだけでなくAmazon内の表示対策が大切な理由
この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。
消費者の75%が商品の検索をオンライン通販サイトで行い、その内58%はAmazon(アマゾン)で検索をスタートしています。この事実を考えると、ネット上でブランドの存在感を高めるには、バーチャルな商品棚での陳列を最適化することが、最も重要な要素だといえるでしょう。
アマゾンの広告ビジネス拡大のニュースを聞き、投資家たちは喜んでいるように見えます。広告ビジネスの成長を見込んで、BMOキャピタルは最近、アマゾンの株価の目標価格を1,600ドルに引き上げました。他のアナリストも、「アマゾンは商品検索でグーグルを打ち負かすだろう」と予想しています。「警戒しなさい、グーグル」と警告を送っているとも言えるでしょう。
投資家の視点では、アマゾンが広告ネットワークとして利益を最大化するまでの道のりは、まだ長いと考えられています(アマゾンにとって、広告が最も利益率の高いビジネスになるとはまだ考えづらいからです)。しかしながら、製造業者が商品をオンラインで販売し、消費者がオンラインで商品を買う現状を見れば、アマゾンはすでに最も影響力のある広告ネットワークなのです。
2017年には、小売業界全体の売り上げの約4%をアマゾンが占めていたと言われています(編注:全米の小売市場)。ウォルマートと比べて、アマゾンの規模がとても小さいことを考えると、驚くべき数字です。オンラインの小売の売り上げでは、アマゾン経由が44%(編注:Internet Retailer社の調査では43%)を占めています(オンライン上で求も影響力のあるプラットフォームになっています)。しかしながら、売り上げの数字だけではその全容はわかりません。
Market Track社が行った調査によると、75%の消費者はオンラインで商品を探すとき、オンライン通販サイトで検索をスタートします(その内、58%はアマゾンで検索をスタート)。オンライン上でブランドの存在感を高めるには、バーチャルな商品棚での陳列を最適化するのが最も重要な要素だということが言えるでしょう。伝統的な広告活動よりも大切で、自社サイトよりも重要度が高く、グーグルよりも重視しなければいけないということです。
ブランドがオンライン上で効果的に商品を販売するには、正しいアマゾン戦略を持つことが大切であることは明らかです。またアマゾンは、消費者がアマゾンで買おうが買うまいが、最初に訪れる場所になっています。
アマゾンの1-Clicl注文で買おうとしているのか、それともBest Buyの店頭でどのテレビを買おうか迷っているのか。いずれにしても、アマゾンが商品情報を手に入れるための情報源になっているのです。
ですから、アマゾンを商品販売のためだけに利用するという戦略は、ブランドのマーケティングの努力をひどく損なうことになるでしょう。
商品を見つけてもらうのか、もしくは買ってもらうのか。どちらにしてもアマゾン(もしくは他のオンライン通販サイト)のバーチャルな商品棚のなかで、ページの1行目もしくは検索結果の最初の3つ以内に表示されることが重要です。
もし表示されない場合は、購入の可能性が大きく下がります。バーチャルな商品棚で良い場所を確保することが大変重要なのです。企業は1,000番目に表示されるような商品を「ロングテール」と呼んでいるのかもしれませんが、実際は10番目か20番目には商品が表示されないと何も起こらないのです。
しかしながら、商品の表示場所を改善するだけで購入につなげることは困難です。オンライン上での購入にあまり積極的でない消費者を巻き込むためには、バーチャルな商品棚で興味喚起を行い、購入を検討させ、購入そして評価まで、これらすべてのプロセスを行う必要があるかもしれません。
一方、前述したテレビを買おうとしている消費者の例のように、購入に積極的な消費者のカスタマージャーニーでは、バーチャルな商品棚はそれほど大きな役割を果たさないでしょう。
検索の初期段階、他の消費者のコメントチェック、実店舗に行く前の価格確認など、消費者がどの段階であったとしても、バーチャルな商品棚はブランドが商品を伝えるための重要な場所になっています。しかし、すべての要素を上手に活用するには、より広い視野でバーチャルな商品棚について考える必要があります。
バーチャルな商品棚を効果的に利用するには、すべてのマーケティング要素を把握することが大切です。「検索結果の表示場所」「商品詳細」「価格変更」「在庫表示」「商品レビュー」まで、すべての要素です。実店舗で使われている商品管理の原則をオンライン用に少しカスタマイズして、デジタルの環境でも利用してみましょう。
以下がデジタル環境で使う原則です。
- KPIを注視して、隙間を埋めるためにプロモーションに投資することで小売事業者との関係を築いていく。
- 商品の表示位置の変更、商品の評価、レビューなどの変化を、実際の売り上げの結果に照らし合わせて考える。
- 悪いレビューに対処する方法や、在庫切れ、小売事業者とのオープンなコミュニケーション方法など、バーチャルな商品棚で展開するにあたり、どこに問題があるのかを確認して解決する。
最終的に勝ち残るのは、行動を起こし、先を見越してバーチャルな商品棚の管理にリソースを割くブランドです。先に述べたように、バーチャルな商品棚には単なる商品販売以上の意味があるからです。アマゾンはすでに最も影響力のあるデジタル広告ネットワークになっています。
アマゾンをカスタマージャーニーのきっかけにすると同時に、販売場所として捉えているブランドは競合に差をつけ、オムニチャネルの売り上げを伸ばすでしょう。商品の購入のみならず、カスタマージャーニーのきっかけもコントロールできるようになるのです。
オリジナル記事はこちら:EC利用者の58%はアマゾンで商品検索をスタート。グーグルのSEOだけでなくAmazon内の表示対策が大切な理由(2018/05/17)
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