各社の事例でわかるオウンドメディア運営の「企画」「構築」「成果」ノウハウ

ゼロから始めた後発の自転車オウンドメディアが業界最大級に成長した秘訣は? ”ロードマップ”全容公開

自転車メディア「FRAME」が後発ながら業界最大級に成長するまでにはさまざまな試みや失敗があった。ゼロからメディアを立ち上げて形になるまでの試行錯誤を振り返る。

はじめまして、自転車創業の青木です。私達は、社名のとおり自転車に特化して事業を展開しています。今回は、自転車関連の企業オウンドメディアとしては後発スタートの「FRAME(フレイム)」が、業界最大級のトラフィックを獲得するに至ったプロセスと、それぞれの段階で直面した課題についてお話しいたします。

  • ポイント① キーワードを広げて手つかずの領域を発見
  • ポイント② 伸び悩みの原因を明らかにして、別の切り口の記事が大ヒット
  • ポイント③ 安易なプレスリリースは競合サイトを増やすだけ
  • ポイント④ SEO重視から「ファン獲得」へと方向転換
  • ポイント⑤ 新しく編集長とインフルエンサーを迎えてメディアの方向性を一新。広告売上が2倍に!

「マイペースに自転車を楽しむ」がコンセプトの「FRAME」

「マイペースに自転車を楽しむ」がコンセプトの「FRAME」サイトで見る

そもそもは「自転車保険比較」のメディアとしてスタート

自転車Webメディア「FRAME」は、最初は別のWebサイトとしてスタートしました。2014年4月に自転車保険の比較サイト「マサルでもわかる自転車保険」のオウンドメディアとして「マサルでもわかる自転車保険blog(ブログ)」を立ち上げたのがそもそもの始まりです。

立ち上げ当時は今とは異なり「マサルでもわかる自転車保険blog(ブログ)」というサイトだった
立ち上げ当時は今とは異なり「マサルでもわかる自転車保険blog(ブログ)」というサイトだった

当初は、「自転車保険比較サイトとしてのトラフィック拡大」を目的としてオウンドメディアをスタートしました。目指したのは「自転車保険」という単体ワードでのSEO上位獲得です。

「自転車保険」単体ワードでの検索上位を目指した立ち上げ期

自転車保険比較のオウンドメディアをスタートして、まず実施したのは著名人のインタビューコンテンツです。最初のインタビューはジャーナリスト・作家であり、自転車の愛好家という顔も持つ佐々木俊尚氏にお願いしました。業界でも有名な佐々木氏がインタビューに応じてくれたことは、その後のインタビューのアポイントをとるうえでもプラスに働きました。

拡散を狙ったインタビューや取材記事、ならびに「自転車保険」での検索トラフィック狙いの記事などを中心に年末まで運用しましたが、半年以上たってもなかなか思うような成果は出ませんでした。2014年4月の立ち上げからおよそ8か月目で月間15万PV、「自転車保険」での順位は30位という数字でした。

コンテンツの軸を「自転車」に広げたら手つかずの領域に気付いた

「自転車保険」関連のキーワードはおおよそ記事を作成しきったと判断して、さらなるトラフィック獲得に向けて「自転車」に軸を広げたコンテンツの作成をスタートしました。それまでは明確に「自転車保険」を軸にしていたので、現在の単体ワードにおける順位への悪影響も考えられましたが、先述したとおり伸び悩んでいたこともあり、実験的にテーマを広げることにしたのです。これが最初の転機になりました。

ある程度「自転車」を軸にコンテンツを作成してみたところ、いくつかのキーワードの記事がグーグルの検索結果1ページ目に表示されはじめ、サイトのトラフィックも倍の30万PVほどに伸びました。そこで「自転車」関連のキーワードの可能性に気付き、より詳細なリサーチを行うことにしました。

自転車関連のキーワードをリサーチしてわかったことは、「ブランド名などのキーワードは当然メーカーなどが上位に来るが、3位あるいは4位に表示されるのは個人ブログが多い」ということです。なかには、個人ブログのコンテンツがメーカーよりも上位に来ているケースもありました。

さらに、自転車ジャンルで先発の他メディアのトラフィック状況を調べたところ、トラフィック獲得手段の中心は検索ではなくSNSや直接訪問だということもわかりました(調査はSimilarWebを利用)。そのほとんどがニュースやレース結果などのフロー情報で、検索エンジン向けのストック情報はあまり提供されていなかったのです。ここに狙い目があるのではないかと考えました。

【ポイント①】 キーワードを広げて手つかずの領域を発見

新たに「FRAME」立ち上げ、しかし……。PV伸び悩みの原因は?

日本には自転車が6,000万台ほどあるなかで、先発メディアが対象としていたのはスポーツ志向の自転車ユーザーで、多く見積もっても国内で150万台程度です。「レース情報以外のゆるめの自転車ネタ」で、5,000万台強のボリュームゾーンを狙って勝負できるのではないかと考え、新たに「FRAME」の立ち上げを決めました。

そのときに定めた媒体のポジショニングは次の図のとおりです。

「FRAME」の媒体ポジショニング

「FRAME」の媒体ポジショニング

そして、2015年7月にWebサイトの名称を「FRAME(フレイム)」と改め、自転車レース以外の幅広い情報を扱う自転車Webメディアとして新たなコンテンツ制作をスタートしました。本業のためのオウンドメディアから、自転車のWebメディアとして力を入れようと考えたのもこのころです。

毎月記事を100本作ってもトラフィックが伸びない? 悩みに悩んでたどり着いた原因は「冬は寒いから」!

最初はSEOを意識して毎月100本の記事作成をKPIに設定してコンテンツを作り続けました。しかし、サイトの名称を変えてから年末まで半年間ほどコンテンツを作り続けたものの、月間60万PVまで伸びた後、トラフィックの伸びが止まってしまいました。

「なぜ伸びが止まったのか?」を調査してわかったのは、「寒くなると自転車に乗らないから」という理由でした。夏には世界的なレースがあったり、自転車の新型モデルの発表が続いたりして盛り上がる一方で、秋から冬にかけてはそもそも自転車に乗る人口が減るため、検索ボリューム自体が落ち込みます。

「冬に落ち込む」という状況は、主要キーワードである「ロードバイク」と「クロスバイク」の単体キーワードの状況をGoogleトレンドで見ると明らかでした。

Googleトレンドで「ロードバイク」(青)と「クロスバイク」(赤)のキーワードを調べた様子。毎年冬に落ち込みがあることがわかる
Googleトレンドで「ロードバイク」(青)と「クロスバイク」(赤)のキーワードを調べた様子。毎年冬に落ち込みがあることがわかる

当時は検索からのトラフィックに注力していたため、検索ボリュームの減少がそのままWebサイトのトラフィック減少につながるという構図です。このようにSEO狙いの記事は落ち込んだものの、一方でバズ狙いの記事も継続してチャレンジしていて、こちらがトラフィックの伸びに貢献しました。

なかでも最もヒットしたのは「オタク層×自転車」の組み合わせです。人気マンガの『弱虫ペダル』から自転車にはまるユーザーも多く、弱虫ペダルのコスプレをする人もインターネットで写真を公開していました。既存の自転車媒体では扱わないカテゴリですが、特集したところ当時としては単一記事で最大のトラフィックを獲得し、「まだまだ自転車の世界にもブルーオーシャンがあるな」と感じるコンテンツでした。

【ポイント②】 伸び悩みの原因を明らかにして、別の切り口の記事が大ヒット

月間100万PVに到達。ここからはマネタイズが課題に

バズを狙った記事のヒットに加えて、冬を通り越して春が近づいてくると徐々にトラフィックが上昇し始めました。暖かくなるのに伴い半年以上かけて仕込んでいた記事の検索トラフィックが増え始め、ついに月間100万PVを突破しました。

メディアの収益化を目的に出したプレスリリースは失敗

トラフィックが100万PVを突破したことで、メディアとしてのマネタイズにも力を入れていくためにプレスリリースを打ちました。自転車メディア「FRAME」を認知してもらい、タイアップ記事や純広告などの売り上げを伸ばしていくことが目的です。

しかし、結果からお伝えするとプレスリリースは失敗でした。タイアップの問い合わせがあることもなく、逆に「FRAMEは自転車関連のSEOでトラフィックを伸ばしている」ということを周りに認知させてしまったために、同じ自転車ジャンルのキーワードの競合サイトを増やしてしまうという残念な結果になったのです。

競合が増えた結果、過去の記事も相対的に順位が落ち、あらためて記事の見直しと修正が必要になり、売り上げアップどころかさらなる追加費用が発生してしまいました。プレスリリースなどの情報発信は、もっと「勝てる」見込みが立ってからにしたほうがよいと学びました。

SEOだけでは継続的な売り上げにつながらないという壁

競合サイトの増加という出来事はあったものの、新規キーワード向けのコンテンツ展開や検索上位を獲得しているコンテンツの見直しを繰り返すなかで、トラフィックは安定して獲得できるようになっていました。

しかし相変わらずタイアップ記事や広告などの反応は伸びず、継続的な営業・売り上げの獲得には課題を抱えていました。SEOでのトラフィック獲得は他社に勝る武器として必要ではあったものの、それだけを売りにする広告営業には限界がありました。「SEO以外の施策が必要」であることに気付いたのです。

【ポイント③】 安易なプレスリリースは競合サイトを増やすだけ

SEOの限界を感じ、ファン獲得を重視して編集方針を大きく変更

FRAMEを運営して2回目の冬を迎えたときのことです。他の競合自転車メディアといろいろな接点を持つなかで、固定ファンがついているメディアのほうが、自転車シーズンにおける1ファンあたりのトラフィックがより多い傾向があることに気付きました。

FRAMEと流入ユーザー数がほぼ変わらない競合サイトでは、ユーザー1人あたりのトラフィックが約3倍という差がありました。「固定ファンのついているメディアのほうがより収益性が高く安定している」ということが見えてきたため、FRAMEでも思い切ってファン獲得に大きく舵を切ることにしたのです。

【ポイント④】 SEO重視から「ファン獲得」へと方向転換

人の個性を生かした「ファン作り」という取り組み

2017年から、よりファンを増やす記事づくりに舵を切って運営しています。まず大きく変えたのは新編集長を迎えたこと。Facebookの友達をたどって候補の方10名くらいと話をさせていただき、自転車雑誌とライフスタイル系雑誌で編集経験がある方に編集長としてフルタイムで参加してもらいました。これにより「ライフスタイルとして自転車を楽しむ」ファン層の獲得を狙いました。

そしてもう1つは、自転車ジャンルでナンバーワンのファン数を持つユーチューバー「けんた」さんをメンバーに迎えたことです。

自転車ユーチューバー「けんたさん」

自転車ユーチューバー「けんたさん」YouTubeのサイトで見る

さらに、Facebookでのファンに向けたマーケティング活動にも取り組んでいます。新しい記事や過去の記事を、ターゲティングを変えながらFacebook広告で露出し、コストあたりのリーチやエンゲージメントをチェックしています。その結果、実際にファンの増加という成果も出ており、ターゲットセグメントへの記事の反応を確認できることが、今後のファン獲得にも大きな意味をもたらしてくれていると考えています。

従来のキーワードベースの記事作りから、「自転車周辺の体験」を中心にしたコンテンツ制作に力を入れることで、Facebookファン数が2倍に伸び、トラフィック流入数にも変化が出ています。

ファンを獲得し、売り上げが前年比2倍以上にアップ!

従来の製品情報のインプレッションを中心とした広告提案から、興味関心層への自転車体験を入口とした広告提案へと進化したことで、単純なページビュー数だけを見ると前年よりも少ない場合があるにもかかわらず、広告売上が前年比で2倍以上に成長しました。課題だったマネタイズにおいて、編集方針の変更が大きな成果を生みました。

【ポイント⑤】 新しく編集長とインフルエンサーを迎えてメディアの方向性を一新。広告売上が2倍に!

SEOもファン獲得も重要。メディアの成長段階に応じて打ち手を変える

FRAMEは「自転車保険」のオウンドメディアからスタートして、常に自社の状況や競合の動き、マーケットの反応を見ながらチャレンジしてきた結果、少しずつ現在の形になってきました。これからとる戦略も、状況によって変わっていくと思います。

SEOは立ち上げ期のトラフィックを獲得する手段としてはとても大切で、避けては通れません。一方で、ある程度トラフィックを獲得できるようになったら、ファン獲得もメディアの成長にはとても重要です。FRAMEは現在「ターゲットユーザーの体験を意識しながら、検索エンジン向けの記事としても完成度を上げる」ことを目指しています。

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