新人Web担当者・マーケターのための運用型広告活用の基礎知識

運用型広告の成功はKPI設定次第! 押さえておくべき目標設定とプランニングの基本

運用型広告の運用で欠かせない、「目標設定」と「プランニング」について解説。
天野可純(オプト)+小市優介(オプト) 2017/6/29 7:00 |

ネット広告手法のなかでも主流になった運用型広告の最大の特徴は、文字通り「掲載中に出稿条件の変更などを行うこと」、つまり運用しながら成果を高められることです。しかもリアルタイムに。

これは言い換えれば、目標達成に向けて、いかに効率良く運用していくのかが重要だということです。

今回は、運用型広告の運用で欠かせない、「目標設定」と「プランニング」について解説します。KGI/KPI/CPA/CPCといった難しい用語も登場してきますが、今みなさんが実施しているWebプロモーションの全体目標の立て方やプランニングの流れを知ることで、施策の良し悪しや改善ポイントが見えてくるはずです。

ネット広告で達成したい目的を決める

ネット広告を実施するうえで最初に決めるべきことは、広告の目的です。広告で解決したい課題は企業ごとに異なります。目的によって、ターゲットや選択する広告、届けるべきメッセージが異なるため、ビジネスゴールや解決したい課題から、ネット広告の目的と成果地点を設定する必要があります。以下がその一例です。

目的・ゴール(KGI)目標(KPI)
会社や商品のことを知ってもらいたいサイト来訪数、ページの読了、動画視聴数、etc
見込顧客や新規顧客を増やしたい資料請求、無料サンプル申し込み、etc
売り上げをあげたい商品購入、来店予約、etc

目標を決めるときは、目的(KGI)の達成に必要な「通過点」として、計測できる数値(KPI)を設定することがポイントです。これが、広告評価でよく使われる、KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)です。

ただし、目的が来店促進やブランドイメージ向上など、はっきりした数値としての計測が難しい場合もあります。こうした場合は、「店頭でクーポン画面を見せてもらう」「店舗のアクセスページを見た人の数を評価する」「アンケート調査を組み合わせる」など、デジタルデータだけにこだわらないのもポイントです。

目的に対してかけるべきコストを決める

ネット広告の目的と成果地点を決めたら、目的を達成するためにどれくらいの広告コストをかけるべきか検討します。ここでは仮に、ネット広告の目的を「商品購入」として、目標CPAを設定していきましょう。

CPAとは、商品購入や資料請求などの成果(CV:Conversion)1件あたりの獲得コストです。

  • CPA(Cost Per Action):商品購入や資料請求など、CV1件あたりの獲得コスト

単純な計算ですが、原価5,000円、定価10,000円の商品を売ろうとした場合、CPAは5,000円以内に収めないと利益が出ません。

CPAが安価であればあるほど利益率は高まりますが、購入数が少なくなり、利益額が少なくなってしまうリスクもあります。そのため、目的(ここでは購入数)が最大化される最適なコスト(広告投下費用)をどう設定するかがポイントになります。

特に運用型広告は、オークション制度によって広告掲載が決定するため、目標CPAを高く設定すればするほど購入数は増加し、低ければ低いほど購入数が減少する傾向があります。運用をしていくなかで、ときには目標設定を変えるなど柔軟な対応も必要です。

CPAとCVの相関関係の例(サンプル)

なお、CPAは次の計算式によって成り立ちます。

  • CPA(Cost Per Action):商品購入や資料請求など、CV1件あたりの獲得コスト
  • CPC(Cost Per Click):広告1クリックあたりのコスト
  • CVR(Conversion Rate):広告をクリックしてサイトを訪れたユーザーがコンバージョンした割合
  • CTR(Click Through Rate):表示された広告がクリックされた割合
  • Impression:広告の表示回数。1,000 ImpressionあたりのコストをCPM(Cost Per Mille)と呼ぶこともある

広告を運用するときには、

  • どれくらいの掲載費用(CPC/CPM)に抑えないと達成しないのか
  • どれくらいの獲得率(CVR)にしないと達成しないのか

以上を把握し、最適な目標を設定してCPA目標に合わせた運用を実施していきます。

プランニングの基本はコミュニケーション設計

広告のプランニングとは、企業のマーケティング戦略にもとづいて広告施策の全体像を設計することです。プランニングは、ユーザーとのコミュニケーションから始まります。

ネット広告の特徴として、成果を数字としてダイレクトに可視化できるため、CPCやCPMの相場だけを見て広告出稿先を選定するケースがあります。しかし、「広告」である以上、ユーザーとのコミュニケーションをしっかりと設計したうえで、最適な出稿先を選定することが重要です。

広告のプランニングでは、次の要素が欠かせません。

  1. 誰に
  2. 何を
  3. いつ、どこで
  4. どのように
  5. いくらで

1. 誰に(ターゲット)

ネット広告の目的に対するターゲットは「誰なのか」「その人はどういう状況なのか」を整理していきます。ここでは例として、不動産販売の資料請求を目的に整理してみましょう。

不動産購入を検討するユーザーのパーチェスファネル(購買プロセス)の例

不動産を売りたいという企業の目的からターゲットユーザーを整理していきます。この図は認知から資料請求までの流れを表した、典型的なパーチェスファネル(購買プロセス)の例です。

2. 何を(メッセージ)

ターゲットが決まったら、次はそのターゲットに「何を」伝えるべきかを検討します。

メッセージをイメージするときは、仮想のユーザー像「ペルソナ」を作成することが有効です。ペルソナがあることで、画一的なターゲット像ではなく「人となり」を具体的にイメージできるようになり、ターゲットに対して商品のどこを訴求すべきかがより具体的に見えてきます。

不動産の資料請求をしてもらいたいペルソナ(ターゲット像)
imtmphoto/Thinkstock

ターゲットとメッセージの考え方は、不動産以外の業種であっても基本は同じですが、訴求する商品の単価や購入までの検討期間によって変えていく必要があります。

ペルソナをもとにしたファネルごとに伝えるべきメッセージの例

なお本来、ペルソナは実際のユーザー調査から得た具体的なデータをもとに作成されるものですが、この記事では簡易的なペルソナとして進めていきます。

3. いつ、どこで(広告メニュー、出稿メディア)

ターゲットに伝えるべきメッセージが決まったら、次に広告メニューを選定します。

目的・業種・ターゲットなど、さまざまな要因があるため広告メニューの選定に正解はありませんが、購買プロセスごとにリーチしやすい広告メニューがあります。まず、ここから選定するのがスムーズでしょう。

購買プロセスごとにリーチしやすい広告メニューの例

広告メニューを選定するコツは、次の通りです。

a. ターゲットの含有量

広告出稿先の各メディアのメインユーザー層を確認し、一定の母数があるか確認します。母数が少ないと、的確にターゲットユーザーにリーチできない可能性が高くなります。

たとえば、10代~20代の若年層をメインターゲットとするなら、若年層に活用されているInstagramが候補に上がってきます。今回の記事のように、不動産を検討する30代のビジネスマンがターゲットであれば、ビジネス系メディアやFacebookが有力な候補になるでしょう。各メディアの特徴を把握することが大切です。

b. ターゲティングの精度

各メディアのターゲティングロジックの理解は重要です。30代のユーザーにアプローチしたい場合でも、さまざまなターゲティング手法があります。たとえば、Facebookはユーザーの登録情報をもとにターゲティングしますが、広告配信プラットフォームのDSP(Demand Side Platform)などではユーザーの行動履歴から年代を想定してターゲティングする仕様も多く、メディアごとに精度が異なる可能性があります。

c. 配信対象ユーザーの重複を避ける

複数メディアで広告出稿する場合、各メディアのユーザー重複度合いも考慮する必要があります。すべてが無駄ではないものの、配信枠の重複によって無駄な広告コストが生まれる可能性が高くなるためです。

特にDSPは、複数実施していても同じ広告ネットワークに掲載されるケースがあるため、実施前に出稿先の確認をしておきましょう。同一のユーザーに広告が何度もでてしまい無駄なコストが掛からないよう注意が必要です。

4. どのように(訴求メッセージの伝え方、表現方法)

出稿メディアを決めたら、どのようにターゲットにメッセージを伝えるのか検討します。

各メディアによって、「広告掲載箇所」「出稿規定」「広告フォーマット」「閲覧時の心理状況・活用目的」が異なるため、それぞれに合わせた表現に工夫することで、より高い広告効果が期待できます。

一例として近年、出稿が増加してきているインフィード広告について、各メディアのフォーマットの特徴を紹介します。

Yahoo! JAPAN
メインターゲット:ニュース閲覧ユーザー

メディアの特徴
  • ニュース・ファイナンスなど一度にいろいろな情報を得られる場
  • ニュース閲覧を目的としてユーザーが来訪
  • 商品の具体性や情報の信憑性に重きを置く
  • ランキングやクチコミなどの客観的かつニュース性のある情報の効果が高い傾向

Facebook
メインターゲット:ビジネスライクユーザー

メディアの特徴
  • 近況などをフォーマルに伝えるよそ行きの場
  • ビジネスライクにて情報を発信・閲覧するユーザーが来訪
  • 抽象的な情報よりは「いいね」と押したくなるような具体性やストーリー性のある情報を好む
  • 画像や文章量が多く伝える情報が多いのが特徴的

Twitter
メインターゲット:情報キャッチユーザー

メディアの特徴
  • サブカル系文化は根強く、匿名を名乗り趣味を通じて不特定多数とつながる場
  • タイムリーかつ多様な情報キャッチを目的としたユーザーが来訪
  • つぶやく媒体特有であるが、第3者の体験談などをもとに自分ゴト化へ発展させたような客観性のある情報をベースにした生々しさを好む
  • テキストにURLやタグを挿入したり、文章量が少ないのが特徴的

LINE
メインターゲット:フレンド交流ユーザー

メディアの特徴
  • 友人や家族、あるいは企業と日常的なコミュニケーションをとる場
  • LINEは、フレンド交流を目的としたユーザーが来訪
  • テキストのみならず絵文字やスタンプでも表現できるようなシンプルでわかりやすい情報交換を好む
  • ユーザー目線での有益な情報(キャンペーンやポイント)を求める傾向

5. いくらで(KPI設計)

広告のプランニングでは、広告のKGI(目的)と目的達成のためのKPI(目標)を最初に定めますが、広告によってどの状態のターゲット(パーチェスファネルの上段なのか下段なのか)に対してリーチできるのか、性質が違ってきます。

広告の役割が違えば、評価すべき指標も変わります。すべての広告の評価指標をKPIである「CV」と「目標CPA」だけ見て運用してしまうと、全体としての効果に結びつきづらくなります。

そのため、最初に定めたKPIを達成するために、さらに必要な通過点がなにかを考案・設計し、広告メニューの特徴・役割ごとに、細かなKPIを設定していきましょう。

パーチェスファネルごとの広告評価指標の例
セッション:Webサイトの「訪問」のこと。ユーザーがWebサイトにアクセスし、一定時間内に行った一連の行動を1セッションと数える。

広告メニュー、つまりパーチェスファネルに与えるプロモーション役割ごとにKPIを変更することで、全体として機会損失のない運用を目指します。

また、ビジネスゴールにつながっているかという点も忘れてはいけません。今回の例では「物件契約数(KGI)」を目的として「資料請求数(KPI)」を広告の目標として設定しましたが、広告ごとの特性や獲得したユーザーの性質によっては、「資料請求数」に対して「物件契約数」に至る割合が大きく異なるケースもあります

定期的に分析し、KPIを見直していくことでより有効な成果へと近づく可能性があります。

これらがネット広告の目標設定とプランニングの基本です。しっかりと広告主と代理店(運用者)の間での「運用」上の認識が擦り合わされていることが、ネット広告の成果を上げ、お互いにとって健全な取り組みができるか否かの分かれ道となります。ぜひ、みなさんも現状の取り組み状況を振り返ってみてください。

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