「リターゲティングメール」(カゴ落ちメール)の導入状況と配信タイミングに関する調査結果の2016年版を、ナビプラスが2月22日に公開した。通販ECサイトのうち、売り上げ上位の500サイト(日本ネット経済新聞社による)に対し、調査を実施した。
リターゲティングメール(カゴ落ちメール、カート放棄メール)の効果は非常に高い
「リターゲティングメール」とは、「“商品をカートへ入れたが、購入せず離脱してしまったユーザー”に対するフォローのメール」を指す。「カゴ落ちメール」「カート放棄メール」とも呼ばれ、効果が高いことがわかっている。
具体的には、国内のECサイトで、リターゲティングメール1通が生み出す売上高は、一斉送信のメールマガジン1通当たりと比べて53倍だった。
このデータは、カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーに、離脱後30分経ってから、カートに入れていたアイテムの情報を記載したリターゲティングメールを送って測定したもの。リターゲティングメールの配信数は、一斉送信のメールマガジンを含む全メール(100万通)のうちわずか0.3%(左グラフ)だったが、そこからの売上高は、全メール経由売上高の13.8%(右グラフ)を占めていた。
日本のリターゲティングメール導入は増えているがまだまだ
調査結果リターゲティングメールを導入していたサイトは、全500サイト中50サイト(10%)。前回調査(2015年10月)では34サイト(7%)だったが、そこから16サイト増加している。
業種別で内訳をみると、「アパレル」12サイトがトップ。以下「総合通販」8サイト、「化粧品・健康食品」7サイト、「家電/PC」6サイト、「スポーツ用品」5サイトなどが上位だった。
リターゲティングメール配信タイミングは最適化の余地あり
これらのサイトについて、「ユーザーがサイトを離脱後、どれくらいの時間内に、リターゲティングメールを送っているか」を調べたところ、トップは「1日後」50.0%、ついで「1週間以内」19.4%だった。開封率が高く効果的だと思われる「1時間以内」(後述)に送っているのは16.1%と低く、「1日以内」も9.7%に留まっている。
また、1通目で購入に結び付かなかったユーザーに対し、「2通目」を送っていたサイトは35%。その配信タイミングは、「1週間後」34.8%、「1週間以内」30.4%、「1日以内」21.7%が上位だった。
SeeWhy社の調査(2013年)によると、商品がまだカートに残っていると思われる「離脱後1時間以内」の配信が、コンバージョン率14%と、もっとも購買につながったという。こうしたデータを考えると、リターゲティングメールについて「導入は進んでいるが、配信タイミングはまだまだ」というのが現状だといえるだろう。
調査概要
- 調査対象:2015年夏の通販EC売り上げ上位500サイト(参照:日本ネット経済新聞社公表)
- 調査期間:2015年12月24日~2016年1月20日
- 調査手法:該当500サイトにてメール会員登録を行った上でサイトに訪問。買い物カゴに商品を投入後にサイトを離脱後、届いたメールの「件名」「内容」「配信タイミング」などから、どのような目的のメールをどのような意図を持って配信しているかを独自調査。
参考リンク
ニュースリリースページ(ナビプラス)
資料ダウンロードページ(ナビプラス)
Web担先生と初心者君のやさしいニュース解説
まだスマホやパソコンを使っている可能性が高いし、買ったつもりになって忘れていた人なんかには効くだろうね。
ですよねー。
でもね、ここでは「リターゲティングメール」という観点で解説しているが、大切なのはカゴ落ちメールかどうかではないんだ。
というと?
一斉送信メールマガジンのような「だれにでも同じコミュニケーション」よりも、リターゲティングメールのような「ユーザーそれぞれの状況や行動にあわせたコミュニケーション」のほうが良い、そういう考え方が大切なんだ。
言われてみれば、当然ですけどねー。
「だれがいつ見ても同じ」ではなく、「その人にとってうれしい」にするような考え方で全体の仕組みを作っていけるといいと思うよ。
とは言ってもシステム面での対応が大変そうですけどねー。
まぁね。ただ、検討する価値は十分にあると思うよ。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
カゴ落ちメールを1時間以内に送るとコンバージョン率14%って、けっこうスゴいですね。