「コンテンツマーケティング」に関する調査結果を、イギリスの公共放送局であるBBCが、3月15日に東京で行われた「BBC Advertising Content Marketing Workshop」で発表した。
この調査は、「Science of Engagement」という名称で、顔表情分析(フェイシャルコーディング)の専門会社「CrowdEmotion」と、BBCの調査専門チームが共同実施したもの。
BBC.com上のキャンペーンについて、ユーザーの潜在的な反応を、秒刻みの顔の動きなどから測定した。これにより、コンテンツを見ている人が意識的にあるいは無意識にどう反応するか、コンテンツマーケティングが感情にどのような影響ももたらすか、どう効果的に消費者とのエンゲージメントを深めることができるのかを分析した。
調査では、次のようなことがわかったという。
- コンテンツマーケティングは、ポジティブな反応を14%増加させる。
- 調査回答者の64%が、「どの企業の提供によるものか」が明確なコンテンツに対して、高い満足を見せた。媒体に対する深い理解を持つ人に限ると、この数字は80%以上にまで上昇し、その大部分がコンテンツをシェアすると回答している。
- 明確な企業名表記がなされたコンテンツでは、「親しみやすさ」が10%アップ、「好感度」が14%アップした。
- 明確な企業名表記がなされたコンテンツの拒否率は、平均を7%下回った。逆に非表記コンテンツの拒否率は平均を18%上回った。
- 「編集クオリティが反映されている場合に満足である」と63%が回答。そのうちの半数以上が、そのコンテンツを「有益な情報」「興味深い」と見なしていた。57%はそのコンテンツをシェアすると回答している。
この調査結果を受け、BBC Advertisingのコンテンツ マーケティング部門であるBBC StoryWorksは、「コンテンツマーケティングを成功させるための基本」として、5つのポイントをあげている。
コンテンツマーケティングを成功させるための基本
- 透明性を高めること
- 編集コンテンツと同等の質を提供すること
- そのコンテンツによって何を達成しようとしているのかをまず明確にし、あわせて、どういった感情の変化がその目的をサポートできるのかを検討すること
- より大きな結果をもたらすために、コンテンツ内にブランドをスマートに組み込むこと
- コンテンツに信頼性を付与し、より大きな効果を生むために、プレミアムなメディア上でコンテンツを展開すること
調査概要
- 対象:オーストラリア、香港、シンガポール、アメリカ、カナダ、ドイツにおける、英語の国際ニュースのデジタルユーザー
- 調査人数:5,153人
- 調査手法:オンラインによる定量調査、フェイシャルコーディング、潜在反応調査(悲しみ、困惑、幸せ、恐れ、拒絶、驚き)
メディアエージェンシーのシニアエグゼクティブ、海外向け広告を展開する広告主、および世界中の学術研究者など、20名のメディア専門家たちが協力
参考リンク
「デジタルコンテンツマーケティングは本当にブランドに活かせるのか フェイスコーディング調査によって明らかに」ニュースリリース(PDFファイル:178KB)
「Science of Engagement」に関するビデオインフォグラフィック(BBC Advertising)
http://advertising.bbcworldwide.com/home/insights/science-of-engagement
BBCニュース日本語版
BBC
Web担先生と初心者君のやさしいニュース解説
1つ目は?
コンテンツマーケティングは、企業に対してポジティブな反応を生んで好感度を上げる効果があることだね。
もう1つは?
どの企業がそのコンテンツを作っているかを明示するほうが効果的だということだ。
でも、企業名を出すと広告っぽく見えるから、出さないほうがいいのでは?
そうじゃない。企業がマーケ目的で作っているコンテンツならば、それがわかるようにする「透明性」が大切なんだよ。
えー。
いまのユーザーは、ネット上の情報に、ある種の疑いの感覚をもって触れているんじゃないかな。
あー、たしかに。ぜんぶ鵜呑みにするわけじゃないですね。
だから、「この情報は、だれが作ったのか」がわかれば、疑いではなく安心感につながっているのではないかな。
なんとなく納得。
また、BBCが調べたのが、「購買」などのコンバージョンではなく、「コンテンツに触れた人の感情の動き」だったのは、興味深い点だ。
というと?
コンテンツマーケティングを「購買にすぐ結びつくか」といった観点で考えるのではなく、「企業のブランディングにどういう効果があるか」という観点で考える価値があるというメッセージなんだろうね。
感情が動いて好意度に結びつくことの価値ですね。
そのとおり。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
この調査からわかるポイントが2つある。