Webコンテンツの公開は何時ごろが良いのか、朝昼夜の閲覧行動を把握して判断するには(第26回)
Webコンテンツの最適な公開タイミングを探るために、時間帯によってユーザーの閲覧行動に違いがあるのかを分析したい
自社サイトの時間帯別の利用パターンを見たことがあるだろうか。サイトのタイプやコンテンツによって当然その利用パターンはさまざまな顔を見せてくれる。
典型的なBtoCサイトなら、図1のように[ユーザー]>[サマリー]レポートで、ある1日を選択し、表示単位を「時間別」(図1赤枠部分)にすれば、日中は昼休みのピークがあり、夜の自由時間にゆったり閲覧するようなパターン(図1青枠部分)が多いのではないだろうか。
また通勤時間帯はスマートフォンからの閲覧比率が相対的に高いなど、時間帯によって利用している機器にも違いがある。利用時間に応じて、その利用場所、利用機器、利用目的、緊急度、アクセス方法(検索エンジン経由なのか、ブックマークからなのかなど)、閲覧コンテンツなどにどのような違いがあるのだろう。
またそれを知ることで、どのようなタイミングで、どのようなコンテンツを見せたらよいのかのヒントはないだろうか。
そこで今回は次のセグメントを紹介しよう。
- 朝方(たとえば午前7時~9時)の利用セッション
- 昼休み(午後0時台)の利用セッション
- 夜(たとえば午後9時~12時)の利用セッション
なお、それぞれ選択する時間帯は、自分のサイトの事情に応じて変化を付けていただくのがよいだろう。
時間帯別に利用状況を分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図2赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図2青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図2赤枠部分)のエリアをクリックすると、図3のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図3赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図4赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図4青枠部分)を選択しよう。
図4はその「条件」を選択した画面だ。セグメントの条件設定は、図4緑枠部分で行う。
今回設定するセグメントは以下の3つだ。
- 午前7時~9時(7時台と8時台)の利用セッション
- 午後0時台の利用セッション
- 午後9時~12時(9時台と10時台と11時台)の利用セッション
それぞれは図5と図6、図7のような設定内容になる。
どれも共通で、まずフィルタの設定を「セッション」「含める」(図5~図7赤枠部分)とし、全体の指定をセッション ベースに指定する。そしてディメンションは「時」を選択(図5~図7青枠部分)し、最後に時間帯を指定する。
「時」ディメンションの指定のしかた
「時」のディメンションの値は、たとえば「00」が午前0時台を表し、最後の「23」が午後11時台を表す。「00」のように表記するので文字列とも考えられるが、数値として並び替えることもできるので、基本的には数値として扱ってよいようだ。
実際「午前7時~9時(7時台と8時台)の利用セッション」セグメントの設定では、「時=07」か「時=08」のような指定(図5緑枠部分)でも、「時が7以上」かつ「時が8以下」のような指定(図8緑枠部分)でも、同じセグメントの指定内容になる。
「午後0時台のセッション」セグメントの指定は「時=12」と指定(図6緑枠部分)する。
「午後9時~12時(9時台と10時台と11時台)の利用セッション」セグメントの指定は、午後9時以降すべての意味で、「時≥21」と指定(図7緑枠部分)すればよい。
設定ミスに見える現象について
ただ原因はわからないが、範囲指定した時間の1時間前の時間帯のデータの一部が混入する現象があるようだ。たとえば図9は「午前7時~9時(7時台と8時台)の利用セッション」セグメントを掛けたレポートだが、午前6時のデータ(図9赤枠部分)がごく一部だが含まれている。
セッションがカウントされる時間は、セッション開始時点の時刻が利用されると筆者は解釈している。前の時間帯とまたいで2カウントされることはないと思うのだが、わずかなので無視してよいだろう。
時間帯ごとに利用デバイスに違いがあるか確認するには?
次にこのセグメントをどう活用していくのかを見ていこう。まずはどのデバイスから利用しているかだ。冒頭にも述べたが、朝の通勤時間帯はスマートフォンからの利用が多いと思われるが、本当にそうなのだろうか。ユーザーの利用シーンを念のため確認しておこう。
[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポートに、この3つのセグメントを掛けた(図10赤枠部分)のが図10だ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[モバイル][サマリー]を順にクリックする
- 「午前7時~9時の利用セッション」「午後0時台の利用セッション」「午後9時~12時の利用セッション」セグメント(図10赤枠部分)を「適用」する
- 「すべてのセッション」の適用を外す
「午前7時~9時(7時台と8時台)の利用セッション」のセグメントでは、「デバイスカテゴリ」が「mobile」(スマートフォンからの利用)の割合が55.50%(図10青枠部分)と高い。また「午後0時台の利用セッション」のセグメントでは、「desktop」(パソコンからの利用)の割合が57.52%(図10緑枠部分)と高い。
やはり朝の時間帯は移動中にスマートフォンからの利用、昼休みの時間帯は職場などのパソコンからの利用が中心であるということが確認できた。
さらに利用行動を詳しく見てみよう(図10黒枠部分)。たとえば直帰率はパソコンよりスマートフォンの方がどの時間帯でも全般的に高いという頷ける結果になっているし、それに連動して1セッションあたりのページビュー数はスマートフォンの方が低いが、平均セッション時間はあまり変わらない。これは、スマートフォンではコンテンツが読みにくいので、閲覧に時間が掛かっているのではないかといった仮説につなげていこう。
時間帯によって、集客チャネルに違いがあるか確認するには?
次は時間帯による集客チャネルに大きな違いがあるのかどうかを見ておこう。[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに3つのセグメントを掛けた(図11赤枠部分)のが図11だ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[すべてのトラフィック]をクリックする
- 「午前7時~9時の利用セッション」「午後0時台の利用セッション」「午後9時~12時の利用セッション」セグメント(図11赤枠部分)を「適用」する
- 「すべてのセッション」の適用を外す
たとえば時間帯によって集客チャネルは大きく違うのかは、集客チャネル別の各セグメントの構成比(図11青枠部分)に違いがあるかを確認する。違いがあるとしたらその理由はなんだろうと考えていこう。
また広告効果の高い時間帯はあるのかについては、各セグメント別のコンバージョン率の指標(図11緑枠部分)を見ることで確認しよう。
その他にも新規ユーザーの割合や直帰率、平均セッション時間など、利用者や利用行動に特徴はないかといった点も見ておこう。
時間帯によって、閲覧コンテンツに違いがあるか確認するには?
最後は[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに、3つのセグメントを掛けた(図12赤枠部分)レポートだ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト コンテンツ][すべてのページ]を順にクリックする
- 「午前7時~9時の利用セッション」「午後0時台の利用セッション」「午後9時~12時の利用セッション」セグメント(図12赤枠部分)を「適用」する
- 「すべてのセッション」の適用を外す
時間帯によって閲覧コンテンツに大きな違うだろうか? ページ別の各セグメントの構成比(図12青枠部分)に違いがあるかを確認しよう。違いがあったらセカンダリ ディメンションで集客チャネルとの組み合わせで確認するといった形で見ていくのがよいだろう。
また「平均ページ滞在時間」や「閲覧開始数」「直帰率」といったユーザー行動の特性を表す指標(図12緑枠部分)や、成果を示す指標である「ページの価値」(図12黒枠部分)なども見て、利用時間帯別のページの特性の違いがないかをチェックするとよい。
ユーザーの利用環境や利用時間によって変化する利用行動から、ユーザーの状況に合わせてコンテンツの提示方法を変えることができないか、考えるヒントにしてみるとよいのではないだろうか。
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