企業ホームページ運営の心得

情報の非対称性がキラーコンテンツになる! ブログSEO~ネタ編~

企業とお客の間に存在する情報の非対称性をコンテンツに
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の363

金のなるネタ

ブログが金を生む。Web担当者なら一度は耳にしたことでしょう。この主張の大半は個人ブロガーによる「アフィリエイト」収入を指しますが、その多くは再現性の低い「奇跡」のような現象です。「奇跡」を祈るのはビジネスではなくオカルトです。

10年前のブログブーム以降、企業のブログマーケティングも盛んになりましたが、実際にはブログの更新を「徒労」と感じる人は少なくありません。しかし、ブログをビジネスに結びつけることは可能です。そして前回紹介したように、ブログがSEOに結びつきやすくなっていると感じますが、SEOに効果的なネタと、埋もれてしまう話題があるのも事実です。すると理想的な組み合わせはこうです。

ビジネスになり、SEOに効果的なネタ

こんな都合の良い話しを紹介します。それも簡単な方法で。

以前紹介したように「テレビネタ」はアクセス数を跳ね上げることができます。しかし、ビジネスに結びつくことはありません。ブログに限ったことではありませんが、Webをビジネスに結びつけるには、訪問者の「質」が重要。ビジネス視点においての「SEO」の本質はここにあります。

SEOというフィルタ

ブログでSEOを目指すなら、専門用語を多用します。「地上権」「賃借権」「使用貸借契約」「賃貸借」「強制競売」。守秘義務の関係で割愛していますが、これらのキーワードを組み合わせたSEOによって、ある不動産サイトでは、苦もなく検索結果の上位をキープし、いつもお客を集めています。

耳慣れない言葉ですが、興味がある人であれば専門用語を知っており、ニーズも高いためビジネスにつながる確率が高いのです。先の不動産サイトでも、専門用語で検索してきた訪問者は、実例紹介など、具体的な取引を紹介したコンテンツに移動する傾向が確認できています。

専門用語は一般用語と比較したとき、ネット流通量の少ないスモールキーワードです。競合が少なければ、上位表示も比較的容易となり、SEOに有利な環境であることは言うまでもありません。

具体的名称の強さ

専門用語と同じ効果を期待できるのが「企業名」や「商品名」です。「コカ・コーラ」や「ユニクロ」など、巨大企業の名前ではありません。業界人だけが知っているような企業名が狙い目です。検索エンジンでその会社の公式サイトより、投稿されたブログのエントリーが上位表示されることは珍しくありません。残念ながら基本的なSEOすらできていないホームページや、そうしたサイトを納品するホームページ制作業者はまだいます。そして企業名を知っているということは、取引に関連するユーザーの可能性が高いと言えるのです。

さらに企業名より効果が高いのが「商品名(製品名)」です。ユーザーサイドに立てば簡単なことです。「アイスノン」という商品は知っていても、そのメーカーが「株式会社白元」とまで覚えている人は少ないように、商品名やブランドは覚えていても企業名まで記憶していることは少ないからです。そして型番まで記載すると、より効果が高まるのは、事例を紹介すると字数が尽きるほど。

推測される理由は2つ。体感値として、検索エンジンが細かな型番を「はしょる」傾向があること。また、型番まで記述したコンテンツが少ないことが挙げられます。いずれにせよ、わずかな手間なら記載しない手はありません。

情報の非対称性を利用する

「業界紙」的なネタも、ビジネスとSEOに直結します。たとえば、

産業用モーターが省エネ法トップランナー基準適用へ

とは、世界的な省エネ化対策の声の高まりから、産業用のモーターの規制を強化するために法律が改定されるというニュース。モーターが日本の全消費電力量の約55%、産業部門の消費電力量の75%を占めると推計されることからの取り組みです。洗濯機や掃除機の消費電力の大半は「モーター」で、産業用モーターで省エネ化が進めば、民生品にフィードバックされることは十分に期待できる……とネタになります。

「社内や業界のノウハウはブログのネタになる」とはよくいいますが、業界において常識的な話を、わざわざブログに書く人は多くないのです。しかし、いわゆる「お客」は知りません。端々に登場する「専門用語」と「商品名」がSEOになります。つまり、専門家とお客の間に存在する「情報の非対称性」を逆手に取れば「キラーコンテンツ」になるということです。

コンテンツとの違い

ただし、専門用語の羅列は一般客を遠ざけます。お客の大半はその道の素人ですから、彼らのすべてを置き去りにしてはビジネスのひろがりが欠けます。そこで1つエントリーでは1つの専門用語といったように、内容を絞り込み、素人でもわかるよう心がけるのは、ビジネスとSEOの一挙両得をブログで実現する要諦です。

そして最適解は、あらかじめ「非専門用語のコンテンツ」を用意しておくことです。ホームページの「コンテンツ」と「ブログ」では、それぞれ別の執筆方針をとることで、どちらのお客にも対応できるようにします。掲載スペースの限れた紙媒体と違い、「素人」と「専門家」どちらか一方ではなく、どちらも掲載できるのがWebの魅力です。

ブログを巡る誤解

まとめて言えば、「ビジネスとSEOの一挙両得を実現するブログとは、業界の「当たり前」を書くこと」と言ってもよいでしょう。業界人にとっては、「当たり前」過ぎて取り上げていないネタは、素人のお客にとって、なにより専門用語をかじった半可通……もとい、勉強家には興味をそそられるネタになるということです。

最後に「ブログが金になる」という誤解を解いておきます。純粋に無名のブロガーがアフィリエイトだけで身を立てることは「奇跡」のレベルで、再現性はほぼゼロです。そもそも数多く出版されている「ブログで儲ける」とうたう書籍の大半は、「自己啓発」にカテゴライズされるべき内容で、ビジネスシーンを想定していません。なかには、

書くだけで人生が変わる

と結ぶものもあり、これなどまさに自己啓発セミナーの定型文です。

人生を変えるのは、その人の行動です。ブログはただの「ツール=道具」に過ぎません。道具だからこそ、正しく使えばビジネスの役に立つと、ブログブームから10年を経ての結論です。

今回のポイント

ブログは専門用語でOK

情報の非対称性を活かす

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