LINE・Facebook・Twitterの登場で高まるブログSEOの有効性
コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の362
振り返る10年
ブログのSEOを強く感じています。この10年で最高に。なぜ10年かといえば、10年前にこう言われていたからです。
当時はフレーム構造のサイトもまだ多く、テーブルタグの濫用による複雑な内部構造など、「非SEO」的に作られていたことの裏返しです。また、ブログの普及期とも重なります。ブログはテンプレートの差し替えによる量産が可能で、しかも中身(コンテンツ)の更新を客任せにできることから、Web屋にとって理想的なプラットフォームでした。そして、「ブログSEO」が喧伝されていたのです。
時を経て、ブログのSEO効果を再確認しています。そこで、ブログに強いSEOを感じるようになった理由を分析しました。
著者SEOの可能性
昨年のはじめごろから、一部のSEO業者のなかで効果を喧伝する動きが出始めているのが「Author Rank(オーサーランク)」と呼ばれる指標の存在です。オーサーランクとは、一言で言うと記事の作成者を評価するもので、
著者SEO
という可能性が論じられています。
書籍や漫画を著者の名前だけで買う読者がいることから考えれば、あり得ない話ではありません。事実、グーグルは以前から著者情報を利用したいという考えを示しています。しかし、現時点では検索順位に影響する要素ではなく、SEOのオーソリティ、鈴木謙一さんの「海外SEO情報ブログ」(2014年3月13日)の記事によれば、
ランキングを決める要因として今現在は利用していない
とグーグルは公式に発言しています。また、今年5月にも公式フォーラムで同様の趣旨の発言がされているといいます。
オーサーランクについて、グーグルは今後の可能性は否定していませんが、微力以上になり得ないと私は考えます。なぜなら、無名の著者の傑作もあれば、メガヒットを飛ばした巨匠の駄作もあるからです。「Author=著者」を過剰に重視することは、「コンテンツファースト」というグーグルのコンセプトに背くことになります。
グーグルを取り巻く環境
ここ数年のアップデートによって、グーグルはコンテンツファーストの姿勢をより鮮明にしています。外部リンクの相対的な価値の低下はその表れの1つです。しかし、「ブログ」だからと特別扱いすることは、そのコンテンツファーストに反します。「何で作られたか」ではなく「何が記されているか」、すなわちコンテンツが重要だからです。そこでグーグルの外に理由を求めてみます。
ご存知のようにWebにおいてはSNSが花盛りです。Twitter、Facebook、そしてLINE。これらを「コンテンツファースト」の視点でみれば、Twitterは短文すぎます。「連投」を「まとめ」によって表現することもできますが、多くは瞬間で消費される街頭中継のようなコンテンツで、空気感は保存されても普遍的なコンテンツとは呼べません。
Facebookは「個人」が強く普遍的なコンテンツとは呼べず、なによりグーグルは、Facebookの多くのページにアクセスできません。最後のLINEは、完全にクローズされています。
これらの状況から以下の仮説が浮かびます。
- Web業界全体で見れば、SNSのシェアは拡大しているが、グーグルが情報収集できる対象は増えていない
- ネットユーザーがSNSに流れたことにより、ブログの執筆者の数が相対的に減っている
- 結果的にブログの執筆によるSEO効果が高まっている
裏付ける証拠
さらに第4の仮説が「まとめサイトの排除」。今年の2月に「2ちゃんねる」界隈を中心に大激震が走ったグーグルの警告です。ここでいう「まとめサイト」とは、主に2ちゃんねるのスレッドへの投稿から、無意味な発言を削除し、1つのコンテンツに「まとめ」たものです。
まとめサイトのすべてがペナルティの対象とはなりませんが、乱立する多くのサイトの目的が「アフィリエイト」による広告収入であることは明らかです。すると、グーグルが嫌う複製だけで構築された内容の薄い「コピペコンテンツ」に該当し、スパム認定されれば検索結果から排除されます。それが「大激震」の理由です。
一方でコピペコンテンツの排除は、相対的にオリジナルのブログの価値を高めることにつながります。
現時点において、有名どころの「まとめサイト」で検索結果から除外された話しは耳にしませんが、有名人の1つのエピソードを使い回す、事実上の「コピペコンテンツ」の順位は、すでに下がっているように感じます。具体的には昨年の「ネット選挙解禁」に合わせて拡散された、某立候補者の名前に「逮捕」を組み合わせたコピペコンテンツは駆逐され、手前味噌ながら私のエントリーがワンツーフィニッシュを決めており、オリジナルコンテンツの存在感は益々高まっているように感じます。
卵も、ニワトリも
グーグルを取り巻く環境と、グーグル自身のアルゴリズムの変化を重ねて浮かび上がったのが、
ブログはSEOに向く
という結論。
昨年の「ブログのアクセス数を跳ね上げるドーピング」でも紹介しましたが、テレビネタをブログで紹介するとアクセス数が跳ね上がります。しかし、見落としていたのは、すでに投稿していたネタを、テレビが取り上げることでもアクセスが急増していた事実です。
「卵が先かニワトリが先か」の議論ではなく、「卵も、ニワトリも」だったのです。過去の記事がアクセスを集め「ロングテール」を形成しています。一例を挙げれば、3月末で終了した「笑っていいとも!」のエントリーに、今も訪問者が絶えません。SEOを実現したブログは、安定的な集客を実現してくれます。もちろん、ビジネスとして集客する人の質も考慮する必要があります。
10年前から、ブログは100円貯金と呼ばれていました。爆発的な利益は望めなくても、続けることで大きな力を発揮するという意味です。そしてコンテンツファーストを鮮明にするグーグルによって、高いSEOを期待できるとしたら、取り組まない手はありません。特に各種SNSに取り組んでいても、そこから十分な販促効果、売上を得ていないWeb担当者なら、ブログのほうがオススメです。
ただし前提条件があります。それは「質の高いコンテンツ」であること。そのためには「SEO向きのネタを見つける方法」を知らなければならず、予定通りなら次回紹介します。
今回のポイント
ブログSEOの可能性
閉じたSNSの普及により、開かれたブログが再評価
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