企業ホームページ運営の心得

コピペから始めるファイル管理ルール、世代管理で作業効率を高める

ファイル管理ルールのある・なしでWeb担当者の仕事の効率は変わります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の361

デジタルだからできること

STAP細胞の論文を作成したパワポのデータを「何度も上書き」し、元画像の存在がわからなくなったと釈明した小保方晴子博士。会見を見ていて、新社会人として配属された先で口うるさく「上書き」を注意された、四半世紀と1年前を思い出します。

デジタルデータの利点は、過去のデータの利活用による「効率化」です。ワープロソフト「ワード」でつくった遠足の案内や、表計算ソフトの「エクセル」による町内会の収支報告書などもデジタルデータ。

遠足の案内状は、日付と訪問先を変えればいつまでも使えますし、町内会の会計はだいたい毎年同じです。しかし、デジタルデータを「上書き」すると最新情報しか残されず、過去を遡ることは不可能となります。前回触れた画像データの喪失も、上書きを理由とするものが少なくありません。再び作り直すにしても、わずかな可能性を信じて原版を探すにしても、「効率化」の対極にあります。

科学の世界はわかりませんが、効率化はWeb担に求められる重要能力の1つです。そして作業効率の追究を目指すなら「上書き厳禁」です。

永遠のゼロ

作業効率の追究とは、手順の省略を意味しません。「急がば回れ」というように、必要な手間暇をかけることです。

過去のデータに手を加えるときは、いきなりファイルを開くのは厳禁。

複製ファイル作る

ことから始めます。ファイルメニューからのコピペや、Mac OSなら「option」キー、Windowsなら「Ctrl」キーを押しながらのドラッグで複製ファイルを作り、ファイル名を変更してから手を加えます。

ファイルを開いた後に「別名保存」しても結果は同じとは、「うっかり」の恐ろしさを知らない人の台詞です。無意識にやってしまうのが「うっかり」で、意識化でコントロールできていないから「うっかり」です。複製ファイルを作成しリネームするのに要する時間は数秒。上書きによって、データが永遠のゼロになるリスクを思えば、わずかにもならない時間です。

一目瞭然で時短

リネームするファイル名にルールを適用するのも効率化のために大切です。行程管理の文化が根付いている会社なら、プロジェクトごとにファイル名を統一するなどのローカルルールがあるでしょうからそれに従います。問題は、その社内ルールの存在をほとんど耳にしないことです。

私が知る限りでは、部・課単位でも統一ルールがなく、最悪のケースでは個人の自主性に委ねている現場もあります。そこで提案するのが「日付入りファイル名」です。

「クライアント」「プロジェクト」「イベント」を基本に、次のような感じで「日付」を組み合わせます。

  • ××-140220-イベント.psd
  • ○○-140328-名刺.ai

○と×はクライアント名、次に日付、最後が案件です。日付は作業開始日、納品予定日、イベント実施日などにします。たとえば、本コラムの原稿であれば次の要素を組み合わせます。

クライアント名日付案件
インプレス140528コラム原稿.txt

ファイル名を見ただけで中身を文字通り「一目瞭然」とする狙いです。これによってハードディスクにある「画像やデータのテキスト検索」が可能となるのは、前回の「alt」と同じ発想です。複製で元の画像データの消失を防ぎ、テキスト検索で捜索(検索)時間の短縮を実現します。

ファイル名で世代管理

さらに、実業務では下記のようにしています。

  • ○○-140328-名刺-初稿.ai
  • ○○-140328-名刺-2稿.ai
  • ○○-140328-名刺-3稿.ai
  • ○○-140328-名刺-決定稿.ai

ファイル名で「世代管理」もしてしまうのです。プロジェクトごとにフォルダも分け、各世代をまとめておけば、ファイル数が増えても混乱はありません。この利点は2つ。まず「やっぱり前のに戻して」というクライアントのわがままに迅速に対応できること。同時に「いった、言わない」を回避する物証になることです。現場で作業する人なら、これが作業効率を高めることに異論はないでしょう。

未練まで保存

作成途中で別のアイデアが浮かんだときは、すかさず「別名」で保存します。

  • ○○-140328-名刺-2稿-A案.ai
  • ○○-140328-名刺-2稿-ひらめき.ai

こちらはルール化する必要はありません。ルール化とは、社内のだれもが理解できるようにし、共有資産とするための方法ですが、作業中のアイデアやひらめきが、資産になるほど役立つことはあまりないからです。

それでも別名保存するのは、閃いたアイデアを思い出そうとする時間を削減するためです。人は忘れたアイデアにしがみつきたくなる習性があります。そこで別名保存というわずかな手間で「キープ」しておきます。現在のプロジェクトが終わってから、ファイルを開いて確認し、秀逸なアイデアなら儲けものですし、そうでないなら、そうでないと納得でき、未練なく次の案件に移れます。

2002年までのファイル管理

ファイル名による管理の基本は、プログラマの修業時代に先輩方から学んだことですが、世代管理は21世紀になってから確立した方法です。ハードディスクの容量に限界があったころは、不要ファイルの削除は欠かせない業務でした。地味で創造性のない作業ですが、会社員時代はプロジェクト終了のたびに不要ファイルの管理に数日充てたのは息抜きだったといま告白します。

ところが「ムーアの法則」を超える速度で、記憶媒体の容量は増え、価格は下落し、無制限な保存が事実上許される環境が整いました。各世代も未練も、すべてを残せるなら、不要ファイルの削除は不用です。そして経験の分母が増えれば増えるほど、画像データを筆頭に「ファイル検索」で、過去の資産のすべてを利用できるメリットが増します。そして当社では現在、2002年の正月用のイベントデータから現在まで、すべてのプロジェクトのデータが、いつでもアクセス可能な状態で保存されています。

かつて「上書き保存」にはリスクがともないました。パソコンの処理能力の低さから、保存命令をだした瞬間に「フリーズ」することが珍しくなかったからです。そこで負荷の少ないOSレベルでの複製が推奨されたのです。今このリスクはほとんどありませんが、わずかな手間で回避できるリスクは避けるのも効率化です。ちなみに当時の複製方法は、ドラッグではなくMS-DOSの「copy」命令でした。

今回のポイント

ファイル名で世代管理

急がば回れは経験則

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