誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック

次のWeb施策の優先順位が決まりません。アクセス解析からヒントを得たいです

成約数を増やしたいならば、集客数を増やすか、成約率を上げるしかない。これはシンプルだけど強い公理だ。
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誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
綾瀬ゆい
研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
次のWeb施策の優先順位が決まりません。アクセス解析からヒントを得たいです

※今週は、筆者から1/17開催の名古屋セミナーのお知らせが記事末尾にあります

アクセス解析はしない

……どれからやろうかしら?

付箋をたくさん並べて、どうしたの?

実は、やりたいことを整理しようとしているの。いろいろアイデアはあるけど、どれからやったらいいのか、いまいち自信がなくて……。

アイデアがたくさんあるなんて、贅沢な悩みだよ。僕たちもレベルアップしたものだね。

でも、次に何をするべきかわからないのよ。もう、いろいろありすぎて、時間がいくらあっても足りないわ。

確かに。多くのWeb担当者の悩みは、実はアクセス解析じゃなくて、時間がないことだと思うね。まあ、これは全人類共通の悩みかもしれないけどね。

そういえば、僕自身も最近は、ルーチンワークをこなすだけで時間が過ぎてしまいます。生産的な仕事ができていないと感じて、正直焦っています。

よし、じゃあ、今日はそんな2人に使えるアクセス解析について考えてみよう。

とはいうものの、このお題だと、いきなりアクセス解析の話をするわけにはいかないね。そもそも、そんな解析をしている時間がないわけだから。

それで、綾瀬さんは今、何に一番悩んでいるのかな?

一番は、優先順位付けだと思います。

ちょうど前回の記事でもスティーブ・ジョブズの言葉を紹介したね。

もっとも重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めること

実は、優先順位付けは思ったよりも難しい。最近では「決定手法」に関するベストセラーなんかも出ているしね。

何か、Webサイトの優先順位を考えるロジックみたいなものがあるのでしょうか?

もちろん売り上げだよ!……と言いたいところだけど、これもちょっと違う。企業の状況や成長段階によって優先順位というのは異なるんだ。それに、短期的な売り上げを最大化しても、長期的には続かないことってよくあるしね。施策は正しく選びたいところだ。

それで迷うのですよ。

すぐに成果は出ないけれども将来への種まきになるFacebookのような仕事はおもしろいけど、それで売り上げが上がるとは思えないし……。

サイトの最適化はある程度やっているので、これ以上アイデアも出てこないし。フルリニューアルというのも大変だし。手詰まりになっています。

そうそう。簡単にできる作業は全部終わっているから、あとは時間がかかる作業ばかり残っているのよね(笑)。

多くのサイトやWeb担当者がそういう状態になっているもんだ。こういう場合、まずシンプルに考えてみよう。

集客か、成約率か

まず、アクセス解析だけの式ではないけれど、以下の式は頻繁に登場する。

集客数 × 成約率 = 成約数

成約数を増やしたいならば、集客数を増やすか、成約率を上げるしかないわけだ。これはシンプルだけど強い公理だと言える。綾瀬さんはどっちを伸ばしたい?

強いて言えば、成約率ですかね。

であれば、先ほどのアイデアから、まずは成約率を伸ばす施策から選べばいい。これである程度絞り込まれるのではないかな?

確かに。でもサイトの最適化はある程度やり尽くしているのですよ。なので、具体的にどうすればいいのかよくわからなくて……。「メルマガの文書をうまく書く」とか、そういう施策は残っていると思うのですが、本当にそれが今、最適な施策なのかがわからないのです。

その場合、大きく分けて次の2つの手法があるんだ。

  • 合理的に施策を決める方法
  • やりたいことを優先する手法

「やりたいことをやってみる」なんて、あまりに無謀じゃないですか?

普通そう思うのだけど、僕の経験則だと、意外とそうでもない。やりたいことをやってうまくいくこともあるから不思議だね。おそらく、やりたいことや勘というのは、その人の経験や無意識も含む分析結果だし、まったくの当てずっぽうではないんだね。ただ、向こう見ずでは、当然のようにうまくいかない場合もある。

できれば合理的な手法も把握しておければ、さらに自信が持てる。そこで、今回は合理的に施策を決める方法をお伝えしよう。

合理的な決定のためにアクセス解析を使う

まず、この問題を考えるに先だって、「良い決定とは何か?」について考えてみよう。ちょうど今年出版された『決定力!正解を導く4つのプロセス』(早川書房)という本で紹介された、「WRAPプロセス(ラッププロセス)」というものを紹介しよう。

より良い決定をするために:WRAPプロセス
  • W選択肢を広げる(Widen Your Options)
  • R仮説の現実性を確かめる(Reality-Test Your Assumptions)
  • A決断の前に距離を置く(Attain Distance Before Deciding)
  • P誤りに備える(Prepare To Be Wrong)
※『決定力! :正解を導く4つのプロセス』(チップ・ハース、ダン・ハース著)より

ざっくり言うと、良い決断をするには、たくさんの選択肢を用意し、データを収集・分析し、冷静になって判断し、万が一間違っていた場合のことも考えておくという話だね。

そんなの当たり前の話ですよね。それができないから困っているのです。

そうだね。でも、本当はそれが肝だ。なので、先ほどの本では、視野を広げるための質問や事例などがふんだんに盛り込んである。興味があったら読んでみるとおもしろいよ。

ただ、今回話したいとはそのことではなく、アクセス解析だ。アクセス解析は先ほど言ったなかでは、「データ収集・分析」の作業になるね。

そのとおりです。でも、そんなに膨大な量を分析する時間がないのがジレンマになっています。

時間のない人にお薦めしたいのは、「分析して、やることを出す」のではなく、「やることを決めてから、分析する」ことだ。つまりプロセスを逆転させれば、ピンポイントの分析で済む。

どういうことですか?

先ほど、綾瀬さんは「メルマガをやりたい」といったね。ここでは、「メルマガの過去の効果を分析し、未来予測をシミュレーションしてみよう」ということになる。

なるほど。確かにセグメントでメルマガだけにデータを絞ることで、メルマガの効果がわかりますね!

新規セグメントを作成する。
※例はメルマガのURLパラメータにmmというキーワードが入っている場合の設定

このときのコツはね、1年など長いスパンで効果を見ることだ。前にも言ったけど、基本的には期間が長くなれば、サンプル数が大きくなる。サンプル数が大きくなれば、平均化するので、そのデータを信じられる確率が上がる。もちろんデータの精査ができる人は、よりデータを綺麗にしてみてほしい。

期間を長くしてデータを確認する

調査の結果、思ったよりもメルマガからの成約率が低かったことがわかりました。本当にこの成約率は上がるのでしょうか?

いい質問だね。最後にそれをシミュレーションしてみよう。

まず、綾瀬さんのサイトの過去1年間のデータは以下のようになっていたね。

過去1年間の分析
メルマガからの
訪問数ユーザー数成約数成約率
1,063799212.63%

このデータをもとに来年、メルマガの文章がうまくなって成約率が上がった場合のシミュレーションをしてみたよ。メルマガは積み上げ型のメディアなので、本来ならば徐々に増える状況も考慮できればいいのだけれども、まずは、そんなに難しく考えずに単純にざっくりとやってみよう。

今後のシミュレーション(年間)
メルマガからの
訪問数ユーザー数成約数成約率
2,0001,500604.00%
懸念点:
  • 成約率を4%まで上げられるのか? そのために何を勉強すればいいのか?
  • メルマガユーザー数は、今の2倍程度までどうやって増やすのか?
  • 成約率を上げ、メルマガユーザー数を増やしたところで、成約数は60と、さほど多くない。
  • →総合して考えると、他の施策に工数をかけるほうが良いのではないか?

ああ、思ったよりも効果がないですね。他の施策を先に検討したほうがいいかもしれません。

まとめ

優先順位付けというのは、いつの時代も永遠のテーマだ。

根本論を言うと、Webは事業の一角を担うから、今回紹介したような本を読んでみるなど「決定」に関する視野は広げておきたい。結局、最初のアイデアをどれだけ集められるかが勝負だったりするからだ。アイデア収集は、外部の力を頼ったほうが早いことも多い。

とはいえ、Web担当者が自分だけで決断しなくてはならないことも多いはずだ。時間がない人に覚えてほしいのは、手当たり次第に分析するのではなく、自分がやってみたいことに絞って、過去データを集め、シミュレーションしてみるということだ。たとえば、ある広告媒体に出したいならば、似たような広告を出したときの長期間のデータを見て、シミュレーションしてみるといったことが考えられる。これなら短い時間でもできるし、それをやるだけでも、いろいろな気付きが出るはずなので、ぜひチャレンジしてほしい。

まず深く考えずに、ざっくりとやることがコツだ。うまくなってきたら、よりこだわったらいい。上司や周りの人の意見なども交えるといいだろう。

今日の処方箋

お悩み次のWeb施策の優先順位が決まりません。アクセス解析からヒントを得たいです

アドバイスまず、やりたいことをいくつか考えてみましょう。そして、その結果をシミュレーションするためにアクセス解析を使います。これならば、手当たり次第に分析するより、はるかに時間の削減になりますし、自分に自信も持てるでしょう。以下の3ステップで進めていきます。

  1. 1【1分】 やりたいことを決めます

    たくさんあって決めかねる人は、「集客数×成約率=成約数」を思い出してください。集客数と成約率の、どちらにメスを入れたいかによって、だいぶ絞り込むことができるはずです。

  2. 23【2分】 過去を集計します

    1で決めた施策の、過去の結果を集計します。セグメント機能を使い、期間を長くして、訪問数やコンバージョン率などを調べていきましょう。

  3. 45【2分】 シミュレーションします

    2で調べた結果をエクセルに入力し、単純にどれくらいまで上がりそうか、上がった場合にどうなるかをシミュレーションしてみましょう。想像でかまいません。

■筆者からお知らせ

2014年1月17日に、筆者の運営するウェブ担当者通信では、名古屋で、運営堂の森野講師を招いてセミナーを行います。

■上司もクライアントも納得!アクセス解析レポート術 in名古屋
~事例で学ぶ効率的なアクセス解析。プロのアクセス解析テンプレート付き~
http://webtan-tsushin.com/seminar/20140117re.html

  • 日時:2014年1月17日(金) 19:00-21:00 (開場:18:50-)
  • 会場:ベースキャンプ名古屋(メインルーム)※名古屋駅から徒歩5分
  • 定員:20名
  • 参加費:一般18,000円(※ウェブ担当者通信メンバーは0円)

内容としては、ワークショップを中心にしながら、実際のサイトデータを用いて、レポート作成術を学んで頂きます。筆者も司会として参加します。

参加者には特典でレポートのテンプレートもプレゼントしますので、どのようなレポートを書いたらよいのかわからない方にも、お役に立てて頂けるのではないかと思います。

このセミナーの詳細情報を見てみる

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

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