時間がないなかでサイトを効率的に改善する方法はないでしょうか?
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
時間がないなかでサイトを効率的に改善する方法はないでしょうか?
あー今日も時間がない!!
先生も時間がないのですか?
もちろん! Webサイトを運営していると大変だよね。画像の置き換えやアクセス解析、ブログ記事制作など。ちなみに今はこの原稿の締め切りにも追われているよ(汗)。
先日クライアントに改善案を30種ほど提案したんですが、「時間がなかった」って言い訳されて、ほとんど実行してもらえなかったです。あのクライアントはダメですよ。
みんな時間がないんですね。そういうときに、効率的に改善する方法ってなにかないですかね?
効率的に改善したいならゴールから考える
今回の質問の「効率的に改善したい」っていうのは、万人に共通の悩みだよね。綾瀬さんはどう思うかな?
アクセス解析で悪いところがわかれば効率的に改善できると思います。でも、それで1か月に30個も改善案を出すなんて「鬼」だと思います……。
僕を否定しているようだけど(笑)、HTMLタグとか基本的な部分が悪くてSEOが駄目なんだから、そりゃ細かくてもすべて修正したほうがいいと思うよ。
来栖君の言っていることは正論だけど、さすがに30個もあるとクライアントさんも困ってしまうね。じゃぁ、今日は2人に喜んでもらえるような話をしよう。
効率的に改善したいならば、まずはサイトの“ゴール部分だけ”を分析してみよう。そうすると、やることはずっとシンプルになるよ。
Webサイトで一番重要な「申し込みページ」
一般的に、どんなサイトにも目的があるよね? 商品を買ってもらいたいとか、資料請求をしてほしいとか。こういったサイトの目的を「ゴール」と呼ぶんだ。
それは知っていますけど、なぜゴールだけを分析するのですか?
それは、時間がないからだよ(笑)。逆説的だけど、時間がないならサイトのなかで一番重要な個所を分析するしかない。来栖君はゴールを意識したとき、Webサイト中のどのページが一番重要だと思う?
トップページでしょうか?それとも商品紹介ページかな? 一番重要というのはユーザーによって違うと思います。
こう考えるといい。サイトのなかで一番重要なページは、誰もがゴールにたどり着くまでに必ず通らなければならないページのことだ。ゴールまでに必ず通るというのは、つまり関所のようなものだね。
じゃあサイトのなかの関所ってどこだと思う?
誰もが通る……。ユーザーが申し込み情報を入力する部分でしょうか?
そのとおり! Webサイトの関所は「申し込みフォーム」の場合が非常に多いね。つまりサイトのゴールだけを分析するというのは、Webサイトの関所である「申し込みフォーム」の分析をすることなんだ。これだけでたくさんわかることがある。
なるほど!
申し込みフォームの分析ってEFO(エントリー・フォーム・オプティマイゼーション)ってやつですね。聞いたことがあります! でもEFOを実行するには高いコンサルタントを雇わなくてはいけないのじゃないですか?
綾瀬さんは僕たちの首を絞めるね(笑)。確かにEFOなんだけど、僕が言っているのはもう少しシンプルだ。
関所を通る人数が少ないならば、まず「関所そのもの」を分析しなくてはいけないってことだ。申し込みフォーム(オーダーフォーム)に関するレポートを表示させて、そこにたどり着いた人が何人いて、どんなサイトから来て、どんなキーワードで検索していた人だったのかをみる。それだけでもたくさんわかることがあるんだよ。
申し込みページの善し悪しを判断する方法
では、さっそくデータの読み方をお伝えしよう。
まず前提として、申し込みフォームを見た人のうち1%の申し込み率を目安に考えるといいよ。つまり100人が申し込みフォームを見て1人以上が申し込んでいれば合格点だ。さて、来栖君のサイトはどうだったかな?
申し込みフォームに1か月に36訪問と出ています。申し込み数はゼロです。
じゃぁ申し込みがなくても仕方がないね。関所にたどり着く人数が少なすぎるんだよ。
この場合は、商品の魅せ方が弱いか、そもそも見込顧客を集められていない可能性が高い。申し込みフォームにたどり着いた人の検索キーワードを見直してごらん。目標として、まずは申し込みフォームにたどり着く人数を増やさなきゃいけないね。
綾瀬さんのサイトはどうかな?
私のクライアントさんのサイトでは毎月200人くらい見に来ているみたいです。でも申し込み数はやっぱりゼロ人です。
ということは、関所にはたどり着いたけど、申し込みを躊躇したということだ。
その場合、申し込みフォーム自体がわかりづらいか、サイトの信頼感に問題がある可能性が非常に高いね。つまり関所が厳しすぎるんだ。何か対策を打たないとね。
悪い個所がわかったら成功事例を参考にしよう
ところで先生、悪いことがわかっても、改善案が浮かばないのですが……。
以前「改善案を出すのは人間だ」と話したのを覚えているかな? 残念ながら「どうすればよいか」までアクセス解析ではわからない。悪いところがわかったら、アイデアを出すのは人間だよ。
でも、簡単な良い方法がある。他の成功事例を“参考にする”んだ。他で成功している方法というのは、高確率で成功するから、絶対に自社サイトにもとりいれたほうがいい。
成功事例といってもたくさんありますけど、どれを参考にしたらよいのですか?
自社の弱点を補っていそうな成功事例だよ。
自社サイトに信頼感が足りないと思うならば、信頼感がありそうなサイトのやり方をじっくりと観察して、そのエッセンスを真似る。商品の魅せ方が悪いと思うなら、魅せ方がうまいサイトの方法論をうまく取り入れる。
つまり、自社の関所のハードルが高いと感じるなら、もうちょっとうまくやっているところのスタイルを参考にするんだ。成功事例は自分で他社のWebサイトを見たり、プロの発信するブログやメルマガを読んだり、本やセミナーで仕入れられるよ。
とにかく成功事例を勉強しろってことですね(汗)
もちろんこの連載でも触れていくけどね。
今日の話をまとめると、こんな感じだ。
- まずは関所 = 申し込みページを分析する
- 自社の弱点を補う成功事例を参考にして改善する
- 申し込みページを再検証する
という3ステップで進めてみよう。困ったときは迷路といっしょで、ゴールや要所から考えたほうが早く解決することが多いんだ。
お悩み時間がないなかで効率的に改善する方法はないでしょうか?
アドバイス申し込みフォーム(関所)のレポートを見て、いろいろ対策を練ります。今から5分間、以下の5ステップで作業を進めましょう。
- 【1分】今までのデータを元にどこに問題がありそうか目安を付けます。
- 申し込みページのレポートから気づいたことを書き出していきましょう。
- アドバンスセグメントを使ったデータの絞り込み方を知っている人は、申し込みフォームを見た人のデータに絞り、アクセス経路なども把握しましょう。
- 【1分】サイトの問題点を克服しているサイトを探しましょう。
- 探し出したら成功事例を参考にして良い点を取り入れます。特に広告を出しているサイトはうまくいっていることが多いので、そういったサイトを確認して、自分のサイトと何が違うのかを確認しましょう。
※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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