有名サイト、かってに解析!

前回+今回のまとめ&アクセス解析でどこに着目するか?

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前回+今回のまとめ&アクセス解析でどこに着目するか?

最後に、データ解析的にはどういうところに着目して数字を見たらよいかをまとめておこう。前回の「浦和レッズ」のサイトの場合も含めて、解説していく。

  1. トップページの見られ方

    特に「日本相撲協会」のサイトは縦長だったわけだが、どのくらい下までスクロールされているのかというユーザー行動を見ておきたい。そして配置関係が適切かどうかを見るためには、どの場所のリンクがどれだけクリックされているのかというデータを見ておきたい。「ヒートマップ」や「クリックマップ」などのデータを提供しているツールがあるので、直感的にわかりやすいそのようなツールを利用してみたい。

    さらにデータを見るまでもないと思うが、ユーザーの利用環境のデータで画面解像度などを取得しているツールが多いと思うので、そのデータから横幅を確認してみたい。「日本相撲協会」のサイトのように、横800ピクセル以下という狭い利用環境で見ている人はもう少ないと予想している。

    あとはグローバルナビゲーションでクリックされているメニューがどれかという点。「浦和レッズ」も「日本相撲協会」も、10個前後と比較的多めのボタンが配置されているが、もう少し少なく絞ってまとめた方がいいかもしれないという仮説をもとに、こちらも「クリックマップ」を提供しているツールで数字を見てみたい。その結果によっては、もう少しメニューの数を絞り込んだり、統合したりするような余地がないかを確認したい。

  2. 選手や力士の一覧ページ

    「浦和レッズ」の方は、「チーム」のページで選手名のリンクがわかりにくいといったことを指摘したが、「ヒートマップ」のような機能を持ったツールを使って、どのあたりの場所に注目がいっているのかを確認したい。「日本相撲協会」の方は、「大相撲名鑑」のページなどで、どの機能が使われる頻度が高いのかを調べて、利用頻度の高い順に並べるといった工夫が必要になるだろう。

  3. 人気ページ

    人によって見る順番は様々だと思うので、全体でどのページが閲覧されているのかをやはり見ておきたい。ユーザーの関心の高さに応じて、コンテンツのリンクの位置などの参考にしたい。また「浦和レッズ」の「経営情報」のページを見ると、広告料収入というものが経営の大きな収益源になっているということがわかるので、スポンサーを獲得するためのページ群のアピールというのが重要だろう。

    そういう視点で、関連するページ(例えば「広告のお問い合わせ」といったページになるのだろうか)へのリンクをトップで配置するとどうなるかのA/Bテストをするといったことも面白いかもしれない。「日本相撲協会」のサイトであれば、「勧進元募集」のページの閲覧回数や、このページからのお問い合わせ電話(ここでしか掲載していない電話番号などがあれば効果測定にベスト)の回数なども追跡しておきたいデータになろう。

    また「勧進元」という相撲業界ならではの言いまわしではなく、「スポンサー募集」みたいなもっと一般的な言葉にしたページを作ってA/Bテストするようなこともしてみたい。

    他にも「浦和レッズ」のページの選手のページで、「次の選手」のボタンが不要ではないかといった指摘をしたのだが、実際この機能がどの程度の割合で使われているのかを見てみたい。「日本相撲協会」のサイトの方であれば、各力士の紹介ページの一番下の検索リンクなどの使用率とかを見てみたい。

  4. チケット購入

    何度かチケット購入している人は、慣れているので問題ないと思うので、新規訪問者に絞った上で、例えば「浦和レッズ」のサイトの場合なら、「チケット残券情報」から「ぴあ」に流れていった人など、購入プロセスに入っていった人が、どのようにしてたどりついたのかという経路を見てみたい。いろいろと迂回させてしまっていないかどうかというのが気掛かりだ。

    「日本相撲協会」のサイトの方では、私がミスをしたように、新規利用登録もしないでログインを試みるようなユーザーがどれだけいるのか、エラー情報を取得するような仕掛けをしておいて、把握してみたい。

  5. ドメイン名分散の問題

    これはどうにもならない問題かもしれないが、「日本相撲協会」はドメイン名が分散していて、統合的に分析し難くなっているのは厳しい。とここまで書いたところで、グローバルナビの12個の配置とドメイン名の関係がわかった。

    上の6つのボタンは(日本相撲協会サイト)の中に収容されているコンテンツ群だ。下の6つのボタンは(goo大相撲)のコンテンツ群ということで、表示もグレーの背景に白抜き文字ということで区別しているということだったのだ。

    さらにチケット販売は「ぴあ」のサイトへ飛ぶということで、この3つのドメイン名の数字を統合的に見なければいけない。データをそれぞれからきちんともらっているのだろうか、と余計なことも想像してしまった。ショッピングサイトは決済の部分は外部のASPを使うことが多く、それは致し方のないことだが、分析者としては悩ましいところでもある。

◇◇◇

前回、今回と、日本でも人気のあるプロスポーツのWebサイトを取り上げてみたが、いかがだっただろうか? 「日本相撲協会」のWebサイトは、ある意味予想どおりだった。これまで協会自体、あまり一般のファンへのファンサービスに熱心に取り組んでいるように見えなかったが、新たなファンを獲得するためのチャネルとしては、Webサイトは無視できないだろう。これからどのように変わっていくのか、楽しみに見ていきたいと思う。

また、「浦和レッズ」のサイトは、正直なところ、少しガッカリした。たとえば同じプロサッカーチームでも、イギリスの「マンチェスター・ユナイテッド」は、英語、スペイン語、日本語、韓国語、中国語、アラビア語のサイトが用意されている上に、オリジナルのテキストコンテンツや動画など盛りだくさんだ。世界でもトップレベルのプロチームと比較するのは酷かもしれないが、日本のプロサッカーチームも、アクセス解析をフル活用して、まずはWebサイトのレベルアップから考えてみてはどうだろう。

◇◇◇

この連載では、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

などを随時募集している。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。

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