初代編集長ブログ―安田英久

YouTubeの宇多田ヒカルPV消滅事件にみるトリプルメディア戦略の隠れたリスク

企業サイトのURLにアクセスすると、リダイレクトされてFacebook上のファンページに飛ぶこともあります

今日は、Facebookなどの巨大ソーシャルメディアと企業の距離の置き方に関して。企業サイトを丸ごとFacebookに移行する例もあるようですが、本当にそれでいいのでしょうか?

「トリプルメディア戦略」という考えが最近よく言われるようになっています。自社サイトの「所有するメディア」、マスメディアや商業メディアなどの「購入するメディア」と、ソーシャルメディアやPR露出などの「獲得するメディア」をどう使うかという観点ですね。

ただ、自社メディアと商業メディアは以前からあったものですから、トリプルメディアという切り口の話は、自ずとソーシャルメディア系の話題になりがちです。

特にFacebookのファンページやYouTubeのチャンネルは「企業の顔」を保ちながらソーシャルメディアのユーザーたちと接点をもてるということで注目されています。

最近では、「ソーシャルに飛び込む」ということで、企業サイトのURLにアクセスすると、リダイレクトされてFacebook上のファンページに飛ぶこともあります。つまり、Facebookファンページを企業サイトとして扱っているのです。自社メディアをソーシャルメディア内に持ち出した形ですね。

しかし、それでいいのでしょうか?

先日、歌手の宇多田ヒカルさんがYouTubeにアップロードしていた公式プロモーションビデオが突然消えてしまうという事件がありました。

原因は、宇多田ヒカルさんが契約しているレコード会社が著作権侵害コンテンツの削除依頼をYouTubeに出す作業をしている企業が、間違って削除依頼をしてしまったとのこと。間もなく動画は元に戻りましたが、しばらくの間は閲覧できない状態になっていました。

この誤削除では、問題があったのは最初の削除依頼だけで、グーグル(YouTube)は、前回のコラムで解説したDMCAの「ノーティス・アンド・テイクダウン」に基づく削除として適切に行っているようです。つまり、DMCAに従ったフローを設けているサービス事業者は、著作権者(と名乗る人)から権利侵害コンテンツだという連絡があれば、まず削除して、それが間違いだったらあとから戻すという流れをとるのです。

・あなたの著作物をパクったサイトをGoogle八分に追いやる正しい手順
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/11/16/9201

FacebookやYouTubeなどのソーシャルメディアに企業が飛び込んで行くのは非常に良いことだと思うのですが、そこは第三者の場です。そのため、上記のようなトラブルに遭う可能性があります(特にサービス事業者が米国の場合)。

また、障害対応に関しても判断が難しいところがあります。そんじょそこいらのインフラよりもはるかに強固なFacebookやグーグルのインフラですが、それでもトラブルが発生することはあります。たとえば、社運を賭けた重要な新プロダクトの発表のタイミングで、たまたまFacebookのサービスに不具合が発生したらどうでしょうか。自社サイトで運用していたならば技術者が死ぬ気で対応するでしょうけれども、Facebookにとっては通常の運用ですから、復旧に半日かかるかもしれません。

そもそも、FacebookやYouTubeがいつまで現状のサービスを継続するのかはあなたが制御できるものではありませんよね。

また、ソーシャルメディア内のページに対して集められたリンク評価はすべてソーシャルプラットフォームの評価となり、あなたの財産にならないという問題もあります。

個人的には、FacebookファンページやYouTubeチャンネルを公式サイト的に使うのはおもしろい試みだと思います。

なによりもお金がかかりませんし、デザイナやエンジニアがいなくても、かなりの機能を持ったサイトを作れます。また、Facebook上に自社サイトを移行してしまえば、たとえばYahoo!トピックスに掲載されたときに急激なアクセスが増えてもサーバーがダウンすることはないという大きなメリットもあります。

また、そうしたサイトに公式な場をもっていれば、万が一自社サイトのインフラ(サーバー・ネットワークやドメイン名)にトラブルがあっても、ソーシャルメディア上でトラブル内容に関する告知ができます。

でも、やはり自社サイトあってのソーシャルメディアではないでしょうか。自社サイトは、「正本」としての一次情報を出す場所であって、企業の資産として育てていく場。ソーシャルメディアは、「ユーザーの場」「ユーザーのいる場」に企業がおじゃましに行って、ユーザーの声を聞いたりコミュニケートしたりする場。そうした使い分けを忘れてはいけないと思います。

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