Web担当者必見! リサーチ データ&市場調査レポート

有名企業300社Webサイトクオリティ調査 みずほFGが昨年に続き2冠達成

あなたのサイトは大丈夫? 検査項目を一度確認してみることをおススメします

Web担編集部

2010年9月21日 9:00

日本と中国を中心にWebサイトのコンサルティングサービスを行うバーチャルコミュニケーションズは、上場企業300社のWebサイトの品質検査の結果を「Webサイトクオリティランキング」として発表した。2009年6月に発表した「2009年版 上場企業300社Webサイトクオリティランキング」に続く2回目の調査となる。

本調査での「クオリティ」とは、画面のデザインやユーザビリティではなく、リンク切れ(画像やCSSファイルなどの素材データを含むすべてのリンク切れ、別ページへのリンク切れ、ページ内リンクのリンク切れ)や要素の欠落(title要素、metaタグ内のdescription要素、imgタグ内のaltテキスト)といったHTMLの構成を示している。調査は、同社がASPとして提供しているWeb総合検査サービス「IBM Rational Policy Tester(アイ・ビー・エム ラショナル・ポリシー・テスター)」を利用し、各サイトのトップページから階層が浅い100ページを抽出し6つの検査項目をスコア化、重要度別の重み付けを反映させ、100点満点で評価している(詳しくは調査概要を参照)。

日本でのWebサイトの品質状況を把握し、比較・分析することで問題点を探るのが目的。また、「よりユーザー視点に立った高品質のWebサイトを提言するための情報収集として使用できるのではないか」(バーチャルコミュニケーションズ)としている。総合ランキングの結果からお伝えしていくことにしよう。

ランキングトップは昨年に続きみずほフィナンシャルグループ

表1-1 Webサイトクオリティランキングトップ10
順位 企業名 業種 評価 偏差値 リンク切れ(すべて) リンク切れ(別ページ) リンク切れ(ページ内) タイトル要素なし 説明文なし altテキストなし
1 みずほフィナンシャルグループ 銀行業 97.0 69.99 5 5 5 5 2 5
2 丸紅 卸売業 97.0 69.99 5 5 5 5 2 5
3 みずほ信託銀行 銀行業 97.0 69.99 5 5 5 5 2 5
4 みずほ証券 証券業 93.5 67.96 4 5 5 5 2 5
5 ファナック 電気機器 93.0 67.68 5 5 4 5 2 5
6 野村ホールディングス 証券業 90.5 66.23 4 5 4 5 3 5
7 スズケン 卸売業 90.0 65.94 4 5 5 5 3 2
8 西日本旅客鉄道 陸運業 90.0 65.94 4 5 5 5 3 2
9 日本製鋼所 機械 88.5 65.07 5 5 4 5 2 2
10 住友金属工業 鉄鋼 88.5 65.07 4 5 5 5 3 1
※「説明文なし」はmeta descriptionが記述されていないことを示す
※評価点数が同一の場合はエラー総数の少ない順

ランキングトップを飾ったのは「みずほフィナンシャルグループ」。昨年調査に続いてのトップで、2冠となった。説明文(meta description)の漏れ以外の検査項目はいずれもスコア5(不備なし)で優秀な成績だといえる。

次いで「丸紅」が総合2位で「みずほ信託銀行」が3位。どちらもみずほFGと同様にほぼ完璧だったが、説明文(meta description)が記入されていないページの数でトップを逃している。

4位のみずほ証券は素材のリンク切れが、5位のファナックはページ内アンカーのリンク切れが(ほんの少し)あったため、この位置となった。

表1-2 Webサイトクオリティランキング(11位~30位)
順位 企業名 業種 評価 偏差値 リンク切れ(すべて) リンク切れ(別ページ) リンク切れ(ページ内) タイトル要素なし 説明文なし altテキストなし
11 アステラス製薬 医薬品 88.0 64.78 5 5 3 5 4 3
12 日本ガイシ ガラス・土石製品 87.5 64.50 4 5 4 5 3 3
13 フジ・メディア・ホールディングス 通信業 87.5 64.50 2 5 5 5 3 5
14 中央三井トラスト・ホールディングス 銀行業 87.5 64.50 5 5 4 5 1 2
15 NTN 機械 87.5 64.50 4 5 5 5 2 1
16 JFEホールディングス 鉄鋼 86.5 63.92 3 5 5 5 3 2
17 明治ホールディングス 食料品 86.5 63.92 3 5 5 5 3 2
18 イビデン 電気機器 86.0 63.63 4 5 4 5 3 2
19 アルフレッサ ホールディングス 卸売業 86.0 63.63 4 5 5 5 2 0
20 スルガ銀行 銀行業 85.5 63.34 4 4 5 5 5 3
21 住友商事 卸売業 85.5 63.34 5 5 3 5 3 2
22 東海旅客鉄道 陸運業 85.5 63.34 4 4 5 5 2 5
23 任天堂 その他製品 85.5 63.34 3 5 5 5 2 2
24 コニカミノルタホールディングス 電気機器 85.0 63.05 2 5 5 5 2 4
25 エルピーダメモリ 電気機器 85.0 63.05 5 5 2 5 2 5
26 あおぞら銀行 銀行業 85.0 63.05 4 5 4 5 2 2
27 エーザイ 医薬品 85.0 63.05 2 5 5 5 2 4
28 KDDI 通信業 85.0 63.05 1 5 5 5 4 5
29 THK 機械 85.0 63.05 5 5 3 5 4 1
30 大林組 建設業 84.5 62.76 2 5 5 5 3 3
※「説明文なし」はmeta descriptionが記述されていないことを示す
※評価点数が同一の場合はエラー総数の少ない順

上位企業のスコアをみると、「リンク切れ(別ページ)」や「タイトル要素なし」の項目は、トップ19位まですべての企業においてスコア5(不備なし)の評価を得ている。ただし、7位以降のサイトではaltテキストの設定漏れが散見される場合があった(7位以降でもaltテキスト漏れがゼロの企業もいくつかある)。altテキストは、ブラウザ上で画像が表示できない際の代替テキストや音声ブラウザが読み上げるテキストとして、その画像の本来の役割を果たすために設定が義務付けられている(HTML4)。また、SEO的にみても画像に関連するテキストを入力することが好ましい。

総合評価の分布
図1 総合評価の分布
縦軸に評価(ポイント)、横軸に300社の数値を取っている。ランキングの上位と下位でグラフの傾きが変化しているが、特に上位と下位を大きく分けるようなポイントが見当たるわけではない。

検査項目の個別スコアには大きな開きが

続いて、個別のスコアを掘り下げてみていくことにしよう。縦軸に評価スコア(0~5の6段階)、横軸に300社の数値を取り、スコアの分布状態を確認してみた。

画像やCSSファイルなどの素材データを含むすべてのリンク切れのスコア分布
図2 「リンク切れ(画像素材すべて)」: 画像やCSSファイルなどの素材データを含むすべてのリンク切れのスコア分布(昨年平均は2.1)
別ページへのリンク切れのスコア分布
図3 「リンク切れ(別ページ)」: 別ページへのリンク切れのスコア分布(昨年平均は3.2)
ページ内リンクのリンク切れのスコア分布
図4 「リンク切れ(ページ内)」: ページ内リンクのリンク切れのスコア分布(昨年平均は3.8)
title要素が設定されていないページのスコア分布
図5 「タイトル要素なし」: title要素が設定されていないページのスコア分布(昨年平均は4.9)
metaタグでのdescription要素が設定されていないページのスコア分布
図6 「description要素なし」: metaタグでのdescription要素が設定されていないページのスコア分布(昨年平均は2.3)
altテキストが設定されていない画像のスコア分布
図7 「altテキストなし」: altテキストが設定されていない画像のスコア分布(昨年平均は1.1)

平均スコアが最も高かったのは「タイトル要素なし」の4.9ポイント(図2)。ほとんどの企業のページでタイトルがきちんとつけられている。

※ただし、今回の調査ではtitle要素の有無のみで判断しているため、検査結果にはタイトルが重複しているケースも多く見受けられた。

反対に、最も平均スコアが低かったのは「altテキストなし」の項目(図7)。もちろん、サイトの種類によって画像の使用数は大きく異なり一概に平均化することはできないが、平均1.9ポイントと、他のスコアに比べて低い。

ただし、昨年調査と比べると、altテキストがない率は減っている(昨年平均1.1ポイントに対して今年平均1.9ポイント)。発見された問題点の個数平均を昨年調査と比べてみると(表2)、altテキスト抜けの平均数が激減していることがわかるだろう。他の項目も全体としては改善している傾向があるが、別ページへのリンク切れだけは増加している。

表2: 各検査項目の絶対数
1社(調査対象となった100ページ)あたり、各検査項目で発見された問題点の平均値(上下5%を除く270社)は次のとおり
検査項目 発見された問題点の個数
今回(2010年) 前回(2009年)
画像やCSSファイルなどの素材データを含むすべてのリンク切れ (↓)62.5 74.7
別ページへのリンク切れ (↑)13.3 8.6
ページ内リンクのリンク切れ (↓)4.2 4.7
title要素が設定されていないページ (↓)0.0 0.1
metaタグでのdescription要素が設定されていないページ (↓)37.3 44.1
altテキストが設定されていない画像 (↓)338.8 1,084.2

各項目の標準偏差(ばらつき具合)を調べてみると、「リンク切れ(別ページ)」「altテキストなし」「リンク切れ(ページ内)」の数値が他の検査項目に比べて高くなった。これらは企業によって品質に差が出やすい項目だと言える。

業種別トップは証券で偏差値56.0

最後に、調査対象300社を業種別に分けたデータを紹介しよう。

表3 業種別の平均スコア(※企業数が少ない区分に関しては参考値)
証券コード協議会の「業種別分類表」中分類の33区分から、時価総額上位300社に該当がない「水産・農林業」を除いた32業種
順位 業種 偏差値 企業数 平均順位 昨年平均順位 リンク切れ(すべて) リンク切れ(別ページ) リンク切れ(ページ内) タイトル要素なし 説明文なし altテキストなし
1 証券業 56.0 4 103 149 3.0 3.5 4.0 5.0 2.8 3.8
2 ガラス・土石製品 55.8 5 98 119 2.4 3.6 4.6 5.0 2.6 2.8
3 卸売業 54.8 11 106 118 3.0 3.5 3.8 5.0 2.9 2.9
4 鉱業 54.1 2 119 186 2.5 3.5 5.0 5.0 2.0 0.5
5 機械 53.8 19 119 142 2.7 3.8 3.7 4.9 2.2 1.5
6 銀行業 53.3 25 123 113 2.6 3.4 4.1 4.9 2.6 1.8
7 建設業 52.6 10 126 169 2.0 3.5 4.3 5.0 2.7 1.4
8 精密機器 52.1 6 133 112 2.8 3.0 4.0 5.0 2.3 2.5
9 ゴム製品 51.9 2 135 160 1.0 3.5 5.0 5.0 2.0 1.5
10 その他製品 51.4 5 140 110 2.4 3.2 4.2 4.6 2.2 1.8
11 保険業 51.2 4 140 179 2.8 2.5 4.5 5.0 2.8 2.8
12 通信業 51.0 18 135 154 2.2 3.1 4.0 4.9 2.6 2.4
13 食料品 50.8 12 139 133 2.3 3.3 3.7 4.9 2.3 1.8
14 不動産業 50.7 7 150 159 1.6 3.1 4.1 4.9 3.0 2.4
15 化学 49.7 20 155 148 2.3 2.9 4.2 4.9 2.4 1.6
16 石油・石炭製品 49.2 4 159 147 2.0 2.8 4.0 5.0 2.8 2.3
17 電気機器 48.9 39 162 178 2.1 2.8 3.8 4.8 2.4 2.3
18 空運業 48.9 1 167 274 2.0 4.0 2.0 5.0 2.0 1.0
19 陸運業 48.8 13 160 97 2.4 2.7 3.9 4.9 2.2 1.8
20 金属製品 48.8 5 165 144 1.8 2.4 4.4 5.0 4.0 2.2
21 鉄鋼 48.6 6 150 186 2.0 2.8 4.3 4.7 2.5 0.8
22 その他金融業 48.5 4 162 145 2.5 2.5 4.3 4.8 2.8 1.3
23 小売業 47.8 14 166 145 1.7 2.9 4.0 4.6 2.5 1.4
24 医薬品 47.1 13 168 131 1.8 2.5 4.0 4.7 2.5 2.1
25 輸送用機器 46.6 19 181 166 2.0 2.6 3.6 4.8 2.4 1.4
26 電気・ガス業 46.3 13 188 211 1.8 3.2 2.4 4.8 2.5 1.8
27 海運業 46.3 3 186 193 1.3 2.7 3.7 5.0 2.3 2.0
28 非鉄金属 46.1 4 186 164 2.3 2.3 3.5 5.0 2.8 2.0
29 繊維製品 45.8 3 194 226 1.7 2.7 3.7 4.7 2.0 1.3
30 サービス業 45.0 6 197 211 1.8 2.0 4.2 5.0 2.5 1.5
31 パルプ・紙 44.0 2 210 158 1.5 2.0 4.5 5.0 2.0 0.5
32 倉庫・運輸関連業 43.1 1 219 - 2.0 2.0 4.0 4.0 2.0 1.0
全体平均   2.1 2.9 4.0 4.9 2.5 1.8
※「説明文なし」はmeta descriptionが記述されていないことを示す
※評価点数が同一の場合はエラー総数の少ない順

証券コードの業種区分に基づき32区分に分けたところ、総合スコアが最も高いのは「証券」、続いて第2位が「ガラス・土石製品」、第3位が「卸売業」となっている。

※ただし、企業数にかかわらず単純平均したスコアリングであるため、企業数が少ない業種ほど有利になる計算となっている。
◇◇◇

昨年調査と比べてみると、全体としてWebサイトの品質が(やや)向上していることは、喜ばしいだろう。ただし、実際には全体が向上しているのではなく、上位のサイトはより良くなり、下位のサイトはより悪くなっている「二極化」の様相がみられる。

個別企業をみると、大幅にWebサイト品質を改善した企業が多数あり、トップ30企業のうち19社が昨年から入れ替わっている。

上場企業ということは、多くのサイトが大量のページをもつ大規模サイトとなっているであろう。そうなると、担当者が目視と手動でチェックして品質を保つには限界がある。まずはWebサイト品質を向上し、保つ意識をもったうえで、可能な限りチェックを自動化していかない限りは、サイト品質の向上は現実的にはならないだろう。

調査概要

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  • 調査対象
    有名企業の公式Webサイト300社
    (2010年4月時点での上場企業、時価総額が高い順に300社を抽出)
  • 調査期間
    2010年6月21日~8月12日
  • 調査方法
    「IBM Rational Policy Tester(アイ・ビー・エム ラショナル・ポリシー・テスター)」
    IBM社の「PolicyTester」を利用したASPサービス環境を利用し、対象となった300社の公式Webサイトのトップページからクローリングを行い、浅い階層の100ページまでを調査。JavaScriptやFlashファイルへのリンクに対しても解析を行った。
  • 検査項目
    • 「リンク切れ(画像素材すべて)」: 画像やCSSファイルなどの素材データを含むすべてのリンク切れ
    • 「リンク切れ(別ページ)」: 別ページへのリンク切れ
    • 「リンク切れ(ページ内)」: ページ内リンクのリンク切れ
    • 「タイトル要素なし」: title要素が設定されていないページ
    • 「description要素なし」: metaタグでのdescription要素が設定されていないページ
    • 「altテキストなし」: altテキストが設定されていない画像
    「別ページへのリンク切れ」を全体の40%の重み付けとし、ほかユーザーがアクセスする際に違和感を感じると思われるものや検索時に不適切な設定などを順に重み付けを行った。
  • 調査実施機関
    バーチャルコミュニケーションズ株式会社
  • 調査の特徴
    アプリケーションでの検査の為、人為的なミスなどが生じない。また、目視では判別することが困難なJavaScriptやFlashファイルの問題も把握できる。

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