どんなデジタル広告を、どんな目的で、どのくらい予算をかけているのか【マーケター必見】
「潜在顧客に対してデジタル広告をどのように活用しているのか」にフォーカスした調査を2016年12月にAdRollが実施した。この調査は、アメリカ、APAC、日本のマーケターが対象。世界と日本のマーケターがデジタル広告に何を期待し、どう活用しているかなどを見てほしい。
AdRollの許諾を得て【グローバル調査レポート】State of Performance Marketingの調査内容を、Web担当者Forumで全公開している。
はじめに
弊社では毎年世界のマーケターに対し、デジタルマーケティング業界の現状を浮き彫りにする「State of Performance Marketing」という調査を実施しています。
毎年主軸となるテーマは世の中の興味関心により変動しますが、昨年の調査結果では、「プログラマティック広告のコンセプトに対する業界のプロフェッショナルたちのアプローチが関心の中心」となったため、今年はグローバルで2,352人、日本でも200人のマーケターに向け、「マーケティングファネル全体を通し潜在顧客にどのようにリーチしているのか」にフォーカスをした調査を行いました。
プログラマティック広告
マーケターの5人中4人(79.5%)が、プログラマティック広告を「とてもよく知っている」、あるいは、「極めてよく知っている」と回答しています。まったく知らないと報告したマーケターはいませんでした。
プログラマティック広告は、複数のデジタルプラットフォームを通じて自動的にメディアを購入するプロセスです。
AdRollのようなパフォーマンス広告テクノロジー企業がそのプロセスのオートメーション化と、広告の掲載とパフォーマンスの最適化をお手伝いしています。
広告主は、プログラマティックマーケティングのテクノロジーによって、手動操作しなくても、適切なメッセージが、適切なタイミングで、適切な人に配信されるようにすることができます。
プログラマティック広告がデジタルマーケティング業界に登場したのはわずか数年前のことですが、昨年のレポートではいかにプログラマテッィク広告が急成長しているかについて弊社代表香村からコメントをしましが、2016年も引き続きプログラマティイグ広告に充てる広告予算の配分は驚くほどの伸びを見せています。
アメリカでは2013年当時、予算の半分以上をプログラマティック広告に投じるマーケターはわずか7%でした。それが、2015年に30%を越え、2016年には一気に50%を突破しました。
日本でも広告予算の50%以上をプログラマティック広告に充てていると回答したマーケターは1年で約3倍に増えました。そして最大の驚きは、下記のグラフを見てもわかる通り、2015年は74%が「プログラマティック広告ではない / わからない」と回答しているのに対し、2016年はすべてのマーケターがなんらかの形でプログラマティック広告に予算を割り当てていることが明らかになった点かもしれません。
2015年は少なかったプログラマティック広告の予算投資が、1年で大きく変化を見せました。これまでデジタル上のマーケティング活動にそこまで注力していなかったマーケターも目を向け始め、マーケティング戦略上とても重要なツールになったと言えるのではないでしょうか。
さらに、これまで世界とは少し異なるトレンドを見せていた日本のマーケティングトレンドが、本調査ではアメリカやAPACのマーケティングトレンドと相似を見せ初めています。下記の調査結果もその一つで、今年は日本の結果もアメリカに類似していることが見て取れます。
色褪せないプログラマティック広告
こうした新しいトレンドに加え、プログラマッティック広告は数年前と変わらず引き続きマーケターに採用されています。世界のマーケターに比べ、日本マーケターのプログラマッティック広告への評価が高いことも明らかになり、マーケターの8割以上が、プログラマティック広告は従来のメディア買付よりも投資収益率(ROI)が高くなると述べています。
81.5%のマーケターが、プログラマティック広告は従来のメディア買付よりも投資収益率(ROI)が高くなると報告しています。
従来のメディア買付よりもROIが高いという結果と平行し、2017年は予算をあげる予定のマーケターが71%に上り、世界のマーケターと比較しても日本のマーケターのプログラマッティック広告への期待度が高いことがわかります。
AdRollとプログラマティック広告
AdRoll は広告主がターゲットとする消費者 / 企業に向け、デスクトップだけでなく、SNS、モバイルなど様々なチャネルを使いアプローチが可能です。AdRollでウェブのディスプレイ広告だけでなく、SNSも利用した広告主のキャンペーンを測定してみると、CTRが平均して約66%、トータルインプレッション数が43%上昇していることが明らかになりました。さらに昨年よりアメリカでは、Eメールを通したリターゲティングも可能となり、さらにチャネルも充実してきています。Eメールでリターゲッティングを行うAdRoll Email は日本でも今年ローンチ予定です。AdRoll Emailについての詳しい情報はこちら
リターゲティング広告
リターゲティング広告はマーケターの間で、見込み客を購入者に転換する一番成果の出るディスプレイ広告だと言われています。ROIが明確に測定可能なことから、プログラマティック広告が最初に大成功を収めるきっかけなりました。
リターゲティング広告は、広告主のサイトやアプリなどを訪れた見込み客の行動データ(カスタマージャニー)に基づき、パーソナライズした広告を配信します。リターゲティングは、あらゆるパフォーマンスマーケティング戦術に適合することもあり、複数のキャンペーン目標の達成に活用しているマーケターも多いです。
日本では、どのでデジタル広告よりもリターゲティングに広告予算を費やすマーケターが多く、2016年は約4人に1人が予算の25% - 50%をリターゲティング広告に使用しており、前年の約4倍の伸びを見せています。さらにマーケターの70%が2017年はリターゲティング広告の予算を増加予定と回答しており、日本では先述のプログラマティック広告及びリターゲティング広告に予算配分が集中する調査結果となりました。
では、なぜそんなにもリターゲティング広告に広告予算を費やす必要があるのか。
マーケターにリターゲティング広告を採用した目的を質問したところ、不思議な結果が浮き彫りとなりました。リターゲティング広告の目的として、34%のマーケターが「ブランド認知」と回答し、ダントツ一位の結果になったのです。
リターゲティング広告は通常、すでに一度広告主のサイトに訪れたことのあるユーザーへ配信する広告のことを指すため、「ブランド認知」としてのファーストステップはすでに踏んでいるユーザーがほとんどになりますが、マーケターはそれでも「ブランド認知」が目的だと回答しています。
なぜ「ブランド認知」を目的としているのかは、アメリカやAPACの結果を見ると判明します。アメリカやAPACのマーケターは「ブランド認知」を目的とするとともに「リード獲得」や「リード育成」も目的としています。
日本の場合、「ブランド認知」がすでに取れていても、認知したユーザーをリードに変えて行くプロセス「リード獲得」、「リード育成」もブランドを知ってもらうステップとして、「ブランド認知」と回答しているのではないでしょうか。
昨年から引き続きマーケターの2人に1人が「ソーシャルメディア」をリターゲティングのいちばんホットな話題だと見ており、その他「モバイルなどのパソコン以外のデバイス(17%)」、「Eメール(16%)」に大きくさをつけて1位となっています。
これは、プログラマティック広告での使用チャネル分析結果とも類似した結果隣となっており、日本はアメリカやAPACと比較しても「ソーシャルメディア」に着目しているマーケターが多い結果となっています。
マーケターにリターゲティング広告のパフォーマンスを他のデジタル広告と比べてもらったところ、なぜリターゲティング広告に予算を多く配分しているのかがよくわかる結果になりました。
世界的にリターゲティング広告の評価は高く「ディスプレイ広告」、「サーチ広告」、「メール広告」のどれをとっても、マーケターはリターゲティング広告のパフォーマンスを評価しています。その中でも特に日本のマーケターは、平均して85%がリターゲティング広告のパフォーマンスに絶大な信頼を寄せていることがわかります。
AdRollとリターゲティング広告
みなさんはもうお気づきでしょうが、今インターネットはとても便利に進化しています。例えばFacebookにあるパソコンを使ってログインすると、次に同じパソコンでFacebookを使用するときは、サインインの必要がありません。
この仕組みはインターネット上に存在するクッキーによるマジックです。小さなデータパケットであるクッキーが訪問したブラウザに格納され、インターネットをなじみの場所に変えるのです。リターゲティングも同じ仕組みです。あなたのサイトに訪問があると、AdRollピクセルが訪問者のブラウザにクッキーを設定します。そのクッキーがブラウザに残っている間は、あなたのウェブサイトにきたことがある人であることがわかるので、直接の広告配信をAdRollがお手伝いします。
モバイルマーケティング
83.2%のマーケターがモバイルマーケティングを実施中!
eMarketerが2016年にまとめた、アジア諸国における消費者メディア利用に関する調査によると、日本の成人(18歳以上)が主要メディアに費やす時間は1日約7時間と言われており、アジアの中で最も長いことが明らかになっています。
その中でもネットメディアの利用はモバイル端末(スマートフォンとタブレット)に牽引されており、1日のメディア利用の7時間のうちの23.3%をモバイル利用に使っていることも判明しています。
(*1)また、米国人は複数のデジタルデバイス上で週に平均60時間、コンテンツを消費していると推計されています。
(*2)そして、Googleによると、買い物のための調査にモバイルデバイスを使う人の93%が、その後に買い物をしています。
多くのマーケターはこのような調査結果からディスプレイマーケティング戦略にモバイルでのターゲティングを加えることの重要さを理解し始めているようです。日本でもモバイルを使ったデジタル広告の配信は、2015年の32%から、今年は83%と昨年に比べ飛躍的に増えており、モバイルマーケティングが軌道に乗っていることが明らかとなりました。
モバイルリターゲティングは手が出しにくい?!
モバイルリターゲティングをマーケティング活動に取り入れるマーケターは年々増えてきてはいますが、まだフル活用できているマーケターは少ないのではないでしょうか。
コンバージョンの認識ができず、キャンペーンのパフォーマンスを追跡できない点は、クロスデバイスのキャンペーンを検討しているマーケターにとって、大きな不安要素となっているようです。
そして、実際にモバイルでキャンペーンの実施経験があるマーケターの23%が「まだいいユーザー体験を作り出せていない」と回答しており、軌道に乗っているかのように見えるモバイルリターゲティングですが、まだまだ導入への意欲に関しては、課題が残ることも同時に浮き彫りとなりました。
78%のマーケターが、2017年はモバイルリターゲティング予算増加を計画
しかし、多くのマーケターは、この課題を乗り越えたいという意識を持ち合わせているようです。78%のマーケターが、2017年はモバイルリターゲティングの予算を増加する回答しており、今後の成果やユーザー体験に期待を寄せていることが明らかになりました。
またモバイルリターゲティングを現在実施しているうちの9割以上が、今後予算を増加する予定があると回答しており、実際に使っている企業は効果に満足している企業が多いと言える結果となりました。今後このように実際に活用し、満足している企業の声が、まだ導入に至っていない企業へのきっかけになれば、モバイルマーケティングの活用が増えるかもしれません。
AdRollでモバイルの不安を乗り越える
先述のeMarketer の調査でもあるように、モバイルの利用時間や利用者が増え続ける中、AdRoll は、デスクトップとモバイルの両プラットフォームでマーケティングを展開することで、キャンペーンのパフォーマンス相乗効果があることを証明しています。2016年にデスクトップとモバイルのキャンペーンを同時に実施したAdRollの顧客は、デスクトップ広告のみを実施した顧客との比較で、CTRを120%、合計インプレッション数を約40%あげることに成功しています。
パーソナイズ化が進むメールマーケティング
メールマーケティングは元々、1種類のメールを複数のメールアドレスに送信する手法が一般的でした。しかし、去年から今年にかけ、マーケターの考え方もテクノロジーも進化していることが明らかとなっています。
行動をベースにオーディエンスをグループ化し、複数の種類のメールを送る「パーソナライゼーション」が浸透してきていることが調査結果のデータから読み取れました。キャンペーンはいまや、個々のユーザー向けにパーソナライズされたダイナミックコンテンツから作られます。
実際に、本調査でマーケターの約9割が、メールでのリテンション施策を「ユーザーの行動に焦点を合わせて実施している」と回答する驚きの結果となりました。つまり、一人ひとりのネット上での行動に基づいた内容が送信メールに追加されるほどメールマーケティングが進化しているということです。
メールマーケティング
日本のマーケターの84%が現在のメールマーケティングはパーソナライズされたダイナミックな物だと回答。あなたの企業はどうですか?
メールが人気を集める
元々はペイドメディア向けに開発されたプログラマティックのテクノロジーを、マーケターが顧客の受信トレイに適用していることで、メールが今、変革の時期を迎えています。
事実、今年のレポートのために調査したマーケターの約84%が、ユーザーの行動に基づくダイナミックなメールキャンペーンを実施していると主張し、従来の一括送信からすでに移行したことが判明しました。
メールマーケティングを実施する主な目的を質問したところ、日本では多くのマーケターが「リードの獲得」を目的にしていると回答しました。
アメリカやAPACと比較をするとアメリカは比較的類似したトレンドが見れましたが、APACでは、「ユーザーの教育」を目的にしている企業が多くいることがわかりました。このトレンドから日本と似て代理店を通したデジタルマーケティング施策が多く行われているAPACでは、中小企業向けのセルフ運用型サービスや、消費者の離脱を防ぐ為の「消費者の教育」に力をいれている企業が多いと言えます。
顧客満足度やリテンション施策の前にAPACは、消費者に企業や商品・製品を理解してもらうキャンペーンがメールを通じてできているということが垣間見れる結果となりました。
マーケターは2016年、メールキャンペーンと、メッセージ、レポート、KPI調整といったその他のマーケティングの取り組みとを統合する方法を考えるのに苦労している事が昨年の調査からあきらかになっています。メールはほかのものとほとんど統合していないという回答と、まったく統合していないという回答が、調査全体の約30%を占めました。
Lucianoのワンポイントアドバイス:
日本のマーケターが対面するメールマーケティングの「理想」と「現実」の正体私は、今回の調査結果を見て、日本のマーケターは、メールマーケティングの「理想」と「現実」にギャップを感じているのではないかと思いました。
メールマーケティングを実施してる35%のマーケターが効果測定もしくは成功したかは「実際の売り上げに繋がっているか」で測定をしていると回答しています。しかし、上記の調査結果では、マーケターはメールマーケティングの目的として、「リード獲得(37%)」、「顧客満足度(33%)」、「クロスセル / アップセル(売り上げ増加)(27.5%)」など複数の回答を上げ、回答率も分散していますが、測定指標は「実際の売り上げ」に回答が集中してしまっています。
目的は複数あっても、効果測定指標は一つでいいのでしょうか。世界のマーケターとしても同じトレンドが見られますが、複数の目的を設定するからには、それぞれの目的に合わせたKPI 設定が必要となってくると思います。メールマーケティングだけでなく、全ての広告戦略で言えることかと思いますが、そのためにも次のトピックで分析を行ったアトリビューションや、顧客のニーズを理解下マーケティングが必要になってくるのです。
メールマーケティングをAdRollで成功させる
日本でも公開予定のAdRoll Email。アメリカやヨーロッパではすでに導入され、実際に使用している企業からは高い評価を得ています。メールマーケティングのパーソナライゼーションには、AdRoll Emailのようなメールリターゲティング製品を使う方法が極めて効果的です。調査したアメリカのマーケターの約3分の1が、メールキャンペーンの成功はエンゲージメント、すなわちクリック数を指標にしていると述べました。
AdRoll Emailを利用している広告主は、メール開封率が50~60%、クリックスルー率が10~20%という結果になっています。日本のマーケターには時多くのマーケティング目標があり、その目標を達成する為にマーケティング手法を選ばねばなりません。そのような場合、AdRoll Emailのようなメールマーケティングでパーソナライズできる手法は、「リードの獲得」(新規顧客獲得)や「顧客満足度向上」などに最適です。
*オープンスルーコンバージョン率とは、メールを開封したがクリックしなかったユーザーが、後ほど別の方法で広告で表示されたサイトにアクセスし、商品購入や資料請求などのコンバージョンに至る率を指します。
デジタルマーケティング業界の王者 アトリビューション
昨年は、アトリビューションがデジタルメディアの中でもとりわけ議論される話題になった経緯についてレポートしました。それ以降、取り組みの評価の改善や意思決定プロセスの最適化のため、マーケティング測定への関心は高まる一方です。
現在、マーケターの過半数がシングルクリックアトリビューション(ファーストクリックとラストクリック)に頼っていますが、アトリビューションの重要性が高まっている証拠に、マーケターの約65%が2017年はアプローチを変える計画だと報告しています。
アトリビューション
80%以上のマーケターが、アトリビューションは重要、または極めて重要だと考えています。価値がないとしているのは1%未満で、昨年の1/16の結果に。
アトリビューションとは、元々英語のAttribute(おかげと考える/~に起因する)を語源とし、もともとは金融業界で使われていた用語です。パフォーマンス評価において、リターンがどのような源泉から生み出されたのかを明らかにする分析の事を指します。
(*3)マーケティング業界の場合は、直接成果につながった流入経路・広告や、成果に至るまでの各接触履歴を解析し、成果への貢献度を測る手法として使われており、マーケティング施策が成功したか否かを測定する為に不可欠な分析方法です。
毎年世界のマーケターが示す「アトリビューション」への興味は増加しています。アメリカでは68%、APACでは79%が、日本では80%がアトリービューションを「重要」、もしくは「極めて重要」と回答しており、アトリビューションのトレンド化がみてとれます。
しかし、日本は昨年まで約半数(45%)のマーケターがアトリビューションを「全く重要ではない」もしくは「トラッキングしてない」回答していましたが、今年は1%未満と、ここ1年で興味関心の急激な成長が見られます。
また、プログラマティック広告同様にマーケターの意識が海外のマーケターの意識に追いついて来ているのがよくわかります。興味関心の急激な成長が予算配分にも現れています。マーケターの半数以上(53%)がマーケティング予算のうち10% - 50%をアトリビューションに費やしていると回答しています。
しかし、一方で72%の使用しているアトリビューションモデルは、「シングルクリック」だとしています。
そのうちの6割が「ファーストクリックモデル」を採用しており、ラストクリックから脱却しつつあるマーケターが増えている事が読み取れますが、「マーケティング手法によってアトリビューションモデルをカスタマイズしている」と回答したマーケターは0人となり、まだまだ「シングルクリック」によるアトリビューションモデル重視している日本のマーケターの存在が浮き彫りとなりました。
ソリューション
「シングルクリック」によるアトリビューションモデルを重視するマーケターがまだまだ多く存在することが明らかになりましたが、このモデルを引き続き使用するには、ディスプレイ広告を普段クリックしないことにしている、日本人の大多数のインターネットユーザーのオーディエンスを無視している事になります。
ラストクリックの測定は、一時膨大な人気を集め、多くのマーケターが採用しましたが、その結果マーケターはネットユーザーのうちの約2割しか相手にできてない事が明らかとなっています。
(*4)その解決方法として、皆さんは、「混合アトリビューション」と言う「シングルクリック」アトリビューションモデルに変わるシンプルなアトリビューションモデルをご存知ですか?
「混合アトリビューション」では、広告の閲覧とクリックの2つを含む、購入前の顧客タッチポイントを組み入れます。クリックベースのアトリビューションのシンプルさと直接性を維持しつつ、閲覧の蓄積の影響も説明する指標です。
フルファネルのパフォーマンスマーケティング
フルファネルマーケティングという考え方は、従来の購買ファネルを使用し、潜在顧客の購買サイクルにおける各ステージに合わせ、アプローチ方法や想定方法を調整することを指し、広告主のマーケティング戦略に合わせて最適なアプローチを実施可能にするマーケティング手法です。
購買ファネルの別のステージにそれぞれいる潜在顧客は全て違うものを求めている可能性が高い為、広告主側もその顧客に合わせて戦略を変える必要があります。
購買ファネルは、ブランド認知からコンバージョンまでの潜在顧客がとる道筋を表現しており、行程は顧客によって異なりますが、一般に、上層、中層、下層の3つのファネルに分けることができます。
上層ファネルは、ブランド認知を目標に顧客の「ATTRACT(発掘)」を行います。ファネルの中層を降りていくと、潜在顧客のコンバージョンとアップセルの機会の活性化を狙い「CONVERT(転換)」をし、ファネルの下層では既存顧客の維持と「GROW(拡大)」を目指します。
広告主となる皆様は常に、マーケティング活動を行うことで、どれだけ会社の利益によい影響が与えられるかを考えていることと思いますが、マーケティング活動を通じて、会社の利益・売り上げを増加する方法は2つあります。
一つは客数の増加、もしくは客単価の増加になります。その二つを同時に目標にするにはもちろんターゲットとするオーディエンスも「新規顧客」の獲得もしくは、「既存顧客」へのアプローチと、二つになります。
どちらをターゲットとするかによって、設定すべきKPIは変わってきます。その異なるKPIを別々のマーケティング活動で組み立てるのは大変ですが、「フルファネルマーケティング」の手法を使って購買ファネルのどのステージにいるユーザーもアプローチが可能になります。
マーケターはこのように段階の一つ一つで顧客を引き寄せてコンバージョンに導く為に様々なチャネルを利用します。企業によっては、最適なチャネルがすぐに見つかる可能性もありますが、さらにその先を求めて顧客へのリーチの拡大を目指す事はとても重要な事ではないでしょうか。
フルファネルマーケティングの詳しい手法は、「フルファネル・マーケティングガイド」のホワイトペーパーからご覧いただけます。フルファネル戦略によって、マーケターは広告の取り組みを多様化し、カスタマージャーニーのすべての段階で顧客を標的にすることができます。適切なKPIを設定し成功を評価することで、キャンペーンの最適化とビジネスの拡大の方法を学ぶことができます。
本調査を一目見て思ったことは、日本のマーケターの意識が昨年と比べ、急激に海外のマーケターの思考に近づいてきているということです。昨年までは、グローバルで調査を行っても、日本と海外の調査結果では大きな違いがありました。
しかし今年は、プログラマティック広告やリターゲティング広告の予算配分、アトリビューションへの興味関心など、アメリカやAPACと同じようなトレンドが見られました。この結果から、日本のマーケターのプログラマティイクに関する理解が深まってきたということが浮き彫りになったと言えるのではないでしょうか。
アトリビューション分析に関しては、ここ1年で興味関心だけでなく予算配分も大きな伸びを見せています。しかしその興味関心と予算配分とは反対に実際には、「シングルクリック」に頼りがちな部分も今回の調査で露呈しました。
「シングルクリック」だけに頼らないアトリビューションモデルを模索していてもなかなか新しいモデルには手を出せていないそんなマーケターの姿が浮き彫りになったのではないかと思います。
もちろん現状すでに効果が出ている手法からまだ効果への不安が残る手法に切り替えるのには勇気がいることですが、今後さらにad-techが進化することにより、さらに細かな分析が可能になり、アトリビューションの分析と計測の手法が増えていきます。
さらに、デジタル広告に期待する目的という問いに関しては、昨年と比較して「売り上げ促進」(driving sales) が順位を2位から4位に下げており、昨年3位だった「顧客維持」(customerretention) が2位、そして昨年6位だった「ソーシャルエンゲージメント」が3位に上がっております。
このことからも、冒頭で述べたように日本のマーケターのデジタル広告の利用方法や目的が欧米に近づいてきていることを示していると言えます。だからこそ、目的に合わせたKPIの設定が今まで以上に重要になってくると言えるでしょう。
AdRollで本調査同様昨年末に実施をした「消費者リサーチ2017」で、マーケティング戦略全体のKPIを質問したところ、マーケターの6割以上が「ユーザーリーチ数」を、約半数が「クリック数」をKPIとしており、CPA偏重からの脱却が少しずつ進んでいることも分かります。しかしながらもっとクリエイティブに、目的に合わせた様々なKPIを設定していくことをAdRollとしては推奨していきたいと考えております。
今回の調査でマーケターの皆様には最後にこんな質問をしました。「あなたは、データドリブンのマーケターですか?」その結果、90%が「はい」と回答し、MAやSFAなどテクノロジーの進化が進むにつれ、多くのマーケターがしっかりデータを分析し、将来のマーケティング戦略に役立てているという嬉しい結果が見られました。
他のマーケティング手法をバランスよく活用することで、新たな結果が見えてくるかもしれません。AdRollが、そんな皆様のマーケティング活動のお手伝いが少しでもできれば、嬉しいです。AdRoll Tokyoは今年5月で2周年を迎えました。3年目となる2017年は、日本のアドテク業界を牽引していく心意気で皆様のマーケティング活動のお手伝いができればと思っています。
今後ともAdRoll をよろしくお願いいたします。
AdRoll Tokyo 代表 香村竜一郎
結論
本調査から見える一つのトレンドとして、マーケターが長年抱いていた理想のデジタルマーケティングにツールが追いつかない時代が終わりつつあると言うことができるのではないでしょうか。そして、そのことを認識し始めているマーケターもいることがわかっています。データドリブンの意思決定、機械学習、及びオートメーションの利用が現実となっているのです。
では、マーケティング活動における課題解決への道をどの程度私たちは進んできているのでしょうか。
本レポートでは、2017年にマーケターたちがデジタル広告をどう活用していくのかを、プログラマティック広告、リターゲティング広告、モバイルマーケティング、メールマーケティング、アトリビューションなどカテゴリーごとに調査を行い、分析しています。レポートから浮き彫りになるマーケティング活動の課題、そして未来をAdRollと一緒に考えて見ませんか。
クレジット
レポートについて
- *1 eMarketer「 Asia-Pacific Time Spent with Media: China, Japan, South Korea and India Estimates and Forecasts for 2013-2018」
(https://news.yahoo.co.jp/byline/kokuboshigenobu/20161222-00065607/) - *2. Allison Mooney・Brad Johnsmeyer(2015年5月)「I-Want-to-Buy Moments: How Mobile Has Reshaped the Purchase Journey」
(https://www.thinkwithgoogle.com/articles/i-want-to-buy-moments.html) - *3 金融用語辞典
(http://money.infobank.co.jp/contents/A100089.htm) - *4 AdRoll 調べ「消費者リサーチ2017」
(https://www.adroll.com/ja-JP/resources/guides-and-reports/consumer-research-jp)
調査概要
- 調査会社:Qualtrics(https://www.qualtrics.com/jp/corporate/)
- 調査対象(日本):全国のマーケター200名(B2C:63名、B2B:137名 / 代理店:112名、メーカー:88名)
- 調査対象(グローバル):アメリカ・ヨーロッパ・APAC・日本のマーケター全2,352名
- 調査期間:2016年12月
AdRollの実際のキャンペーンの統計を使っています。AdRollでは毎日150テラバイト以上のデータを処理しており、これは、ニューヨーク株式取引所の同じく1日のデータの30倍に相当します。この大量のデータが、広告の現在のトレンドに関するたくさんの知見をAdRollにもたらしています。(https://www.adroll.com/ja-JP/resources/guides-and-reports/consumer-research-jp)
AdRollについて
AdRollは世界で最も幅広い顧客層に利用されているパフォーマンス広告プラットフォームを提供し、全世界で35,000社を超える広告主に採用されています。2015年6月には新規顧客へのリーチを拡大する AdRoll Prospectingサービスを開始しました。フレキシブルなプラットフォームにより、あらゆる規模の企業が自社ウェブサイトから得た顧客データを活用し、個々のユーザーにパーソナライズされた広告キャンペーンを、オンライン・オフライン問わず高い広告費用対効果で実施できるように支援するとともに、Google、Facebook Exchangeなど最大規模の広告インベントリーソースにわたって比類のない透過性 とリーチをもたらします。詳細については、www.adroll.com/、AdRoll株式会社についてはこちらwww.adroll.jp をご覧ください。
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