衣袋宏美のデータハックス

外部のショッピングカートを使うとセッションは切れてしまうのか? [アクセス解析Q&A]

外部のショッピングカートで決済をして戻ってきた場合、連続した1つのセッションとみなされるのか?
衣袋宏美のデータハックス

質問:ECサイトを運営しています。決済機能を自前で持つのは大変なので、ショッピングカートから決済までは外部の仕組みを利用しています。この場合、決済が終わってまた自社サイトへユーザーが戻ってきた場合に、セッションはつながっているのでしょうか?

答え30分以内に戻ってくれば、同じセッションとみなすツールもあれば、別のセッションとして区別するツールもあります。同一セッションとして処理できるかどうか、ご使用のサービスやツールのベンダーに問い合わせてみましょう。

解説セッション(訪問)についてまずおさらいしておきます。セッションとは2つのページを見た間隔が30分以上開くと、その前後の2ページの間はお休みが入って、別々の利用行動として考えるということです。

具体的に見ていきましょう。

例:あるサイトにおけるある人のページ閲覧記録だとしましょう。各ページの閲覧開始時間が次のようになっていたとします。

ページ名ページを開いた時刻
ページA12時00分
ページB12時20分
ページC13時10分
ページD13時30分

それぞれの閲覧開始時間の差分が単純にそれぞれのページの滞在時間だとして算出すると、次のようになります。

ページ名滞在時間
ページA20分間
ページB50分間
ページC20分間
ページD不明

最後の閲覧ページは次がないため差分が計算できませんので「不明」としておきました。ここでページBの滞在時間50分となっており、ページ閲覧の間隔が30分以上開いていますので、アクセス解析ツールはページBでいったん閲覧行動が途切れたと考えます。つまりこの一連の閲覧行動は、アクセス解析ツールでは下記のように修正されることになります。

ページ名滞在時間
ページA20分間滞在
ページB不明
閲覧が中断
ページC20分間滞在
ページD不明

さて本題ですが、ECサイトでショッピングカートが計測対象サイトの外にあるケースを以下で考えてみます。ある人のページ遷移と閲覧開始時間は下記のようなものだったとしましょう。

サイト種類ページ名と機能ページを開いた時刻
計測対象サイトページA
(商品をカートに入れる)
12時00分
計測対象サイトページB
(商品をカートに入れる)
12時05分
外部サイトカートX(商品確認)12時10分
外部サイトカートY(住所など入力)12時20分
外部サイトカートZ(入力情報確認)12時25分
計測対象サイトページC(Thank youページ)12時30分

サイト内のページBが商品をカートに入れるページで、決済が終わりサイト内に戻ってThank youページを表示するのがページCです。サイト外ではX、Y、Zとショッピングカードのプロセスがある訳です。

この場合でサイト内の計測において、セッションはどのように判定されるかということですが、多くのツールでは素直に記録できたデータを人別(どのように同一人物を特定するかはそれで議論になりますが、ここでは特定可能であるとします)に時系列で並べるだけです。そうしますと上記の例では次のようになります。

サイト種類ページ名と機能ページを開いた時刻
計測対象サイトページA
(商品をカートに入れる)
12時00分
計測対象サイトページB
(商品をカートに入れる)
12時05分
計測対象サイトページC(Thank youページ)12時30分

これで通常のセッション区切りのルールを当て嵌めると、閲覧間隔はどれも30分以内なので、この3ページの遷移は繋がった1つのセッションとしてカウントされることになります。もちろん同じルールが適用されれば、外部へ出て行った時間(正確には外部に出る直前と直後のページの閲覧開始時間の差)が30分を超えれば、別のセッションとカウントすることになります。

しかしツールによっては、ページCの参照元が外部であることを認知して、セッションはつながっていないと判定するツールもあります。参照元は正確ではないので、セッションの判定は単純に並べることが多いのですが、別セッションとしてカウントするツールもあると思いますので、どのように集計しているのかをツールベンダーに確認するとよいでしょう。

またツールによっては、セッションの数を算出する際には、普通に時系列で並べてカウントする一方で、経路分析は参照元の紐付けを行い、このように外部にいったん出たと思われるケースでは、経路表示上はつながっていないとするツールもあります。具体的には上記のケースでは、下記の2経路と判定されます。

外部のショッピングカートを使うとセッションは切れてしまうのか?

あるいはいったん外に出て30分以内に、検索エンジンやその他キャンペーンなどから再流入した場合に、その参照元の効果は認定してあげようということで、セッション参照元としては、別カウントするといったツールもあるようです。このように同じツール内でも、別のメニューや指標では違うカウント方法を行うということもありますので、気をつけましょう。

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