大きな企業サイトだと特にそうだが、サイトには様々なコンテンツがあり、様々な人々がそれぞれ別の目的でサイトを利用しにくる。大きなサイトあるいは多目的なサイトであればあるほど、サイト全体の推移分析を行っても、その上下動の理由は簡単に見えてこないものだ。そこで様々なブレークダウン(切り分け)をして、その理由を探し出す必要が出てくる。
原因追究にはセグメント化が有効
リアルの店舗で考えてみよう。売上がもし不振だったら、どういう分析をするだろう? 商品カテゴリー別、エリア別、メーカー別、価格帯別、などのセグメントに分けて、予算対比で落ちてないか、対前月対比で落ちてないか、月次のトレンドで下落傾向がないかといった分析をすることが頭に浮かぶ。
また、利益率が落ちているといった場合はどうだろう。原価率が上がっている、販売奨励金の割合が増えている、間接人件費の割合が増えている、など比率が悪化する要因を挙げて分析しなくてはならない。
アクセス解析でも同様の分析ができる。グラフ1をご覧いただこう。これはあるサイトの日別のトレンドグラフである。サイト全体のページビュー数を折れ線で示しているが、これだけを見た限りでは一定のパターンがなく、サイト全体で一体どういうアクセスパターンをもったサイトなのか想像できない。
全体のページビュー数でパターンが見えない場合は、まずコンテンツ別に分けて集計してみるのが有効だ。ツールによっては標準で第1ディレクトリ別あるいは、すべてのディレクトリ別に集計してくれたり、独自でコンテンツグループを定義してグルーピングできるようなものもあるが、このデータを活用して、上位の主要なコンテンツ群であるAからCまでの日別のページビュー数の推移を重ねて表示したのがグラフ2だ。
こうすることで、このサイトの特徴が明確になってくる。コンテンツAとコンテンツCは比較的コンスタントに見られているのに対して、コンテンツBは不規則な激しい上下動がある。これらの波が重なることで、サイト全体もパターン化できない不規則な上下動をしている結果に見えていたのだということが理解できる。
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この記事の筆者
衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)
1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。2023年活動停止。
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