[商用CMSガイド] 編集部の気になる製品チェック!

FatWire Content Server―コンテンツの構造化により高度なマーケティング活用を実現/FatWire

最新のFatWire Content Server 7.5では未来プレビュー機能を追加。
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[商用CMSガイド] 編集部の気になる製品チェック!

編集部の気になる製品チェック!

コンテンツの構造化により高度なマーケティング活用を実現

FatWire Content Server 7.5(ファットワイヤ・コンテント・サーバー)
FatWire株式会社

URL http://cms.fatwire.com/

[FatWireのフィロソフィー]
マーケティングのプラットフォームとして企業活動を支援する

FatWireのCMS「FatWire Content Server」が目指すのは、企業のマーケティングのプラットフォームとなることだ。単なるWebサイトの更新ツールにとどまらず、マーケティングの基盤として企業活動を支えることを理念に開発されている。企業内の資産を有効活用するべく、既存のドキュメント管理システムや基幹システムなどとの連携も可能にし、その範囲はWebに限定されない。また、後述するように柔軟なアセット属性をコンテンツのタイプごとに設定して管理できる。

FatWireのCMS最大の特徴はマーケティングに活用できるCMSである点だ。データベース連動による動的なページの配信は携帯コンテンツの普及によって一般化したが、多くのワントゥーワンのコンテンツ配信が必ずしも効果的に行われているとはいえない。会員登録情報や過去のユーザー履歴をもとにパーソナライズしたコンテンツを適切に配信するためには、会員情報や顧客情報をデータベース化するだけでなく、コンテンツを構造化して管理し、顧客視点に立ったサイトを運用していく必要がある。これを可能にするのがFatWire Content Serverだ。

FatWireのコンテンツ管理ソリューション
図1 FatWireのコンテンツ管理ソリューション

[最適なサイトと適さないサイト]
パーソナライズしたコンテンツの動的配信に適する
更新だけが目的では顧客エクスペリエンスを高められない

FatWireが最も実力を発揮するのは、顧客エクスペリエンスを高めるため、多くのコンテンツを活用したいサイト(会員サイト、FAQ、ECサイト)などだ。大量の会員情報を管理し、属性や購買行動などの情報をもとに、顧客エクスペリエンスを高めるために1人ひとりにパーソナライズした最適なコンテンツを動的配信するといったときに威力を発揮する。

ただし、CMS導入の目的が、コンプライアンスのために静的な企業の広報サイトの社内業務を効率化することだけだとしたら、顧客エクスペリエンスを高めるサイトを重要視するFatWireの魅力を十二分には発揮できないかも知れない。

FatWire CMSの構成は、Content Serverを中核エンジンにワンソースマルチユースでポータルサイト、モバイルサイト、サテライトサイトなどのマルチサイトコントロールを実現する。Content Serverの働きは図1にあるようにConceptualize(コンセプトを決定)→Author(コンテンツ作成)→Design(サイトデザイン)→Publish(ステージングに配信)→Target(ターゲッティング・セグメンテーション)→Deliver(ターゲット顧客に公開)→Analyze(分析)→Participate(顧客エクスペリエンス)とPDCAで顧客エクスペリエンスを高めるための機能を網羅している。配信方法はユーザーの予算に合わせて静的配信と動的配信の2つを用意している。静的配信では、Content Serverで作成されたコンテンツを各Webサーバーに配信し、動的配信では、ミラーリングされたContent Serverの環境にリアルタイムにパーソナライズされたコンテンツを配信して顧客エクスペリエンスを高める。

FatWire Content Serverの典型導入パターンと価格

エンタープライズ規模のサイトへの導入で、静的配信の構成ならば、ハードと基本ソフトを含めて1,500万円~。動的配信の構成にする場合は3,000万円~。

◇◇◇

データベース技術者に頼らないコンテンツの構造化格納

FatWireのCMSの中核エンジンであるFatWire Content Serverはテンプレートと各種コンテンツを切り離して保持することで、双方の作成作業を分離するほか、日常的に発生するコンテンツの入れ替えにもスピーディーな対応を実現する。コンテンツの共有や再利用、統一的なデザインでの配信も可能だ。

また、Content ServerはWebページをコンテンツの集合体による情報伝達のオブジェクトとして考え、個々のコンテンツ、またはコンテンツタイプごとに「アセット(情報・資産)」として収集し、構造化してデータベースに格納する。それぞれのアセットは、記事、イメージ、広告アセットなどと定義された「アセットタイプ」を情報として持ち、さらにアセット同士を関連付けることが可能で、アセットの変更は関連するすべてのアセットに反映される。アセットとしてCMSで管理されるコンテンツは属性などを自由に定義できるため、アクセスするエンドユーザーの特性にあわせたページ表示が可能になる。アセットの作成に制限はなく、大規模なコンテンツの自在なコントロールが可能だ。

さらに「フレックスアセット」という機能を持ち、一度定義したコンテンツのアセットタイプやデータ形式などの属性項目を、運用後も自由に設定変更できる。その際、データベーステーブル(項目)の変更操作は不要なため、技術者でなくコンテンツ作成ユーザー自身が、それぞれのコンテンツに必要な属性をブラウザ上で簡単に選択できる。アセットタイプはグループによる継承が可能なため、企業の商品情報や設計図、部品情報など多様なタイプのコンテンツを、データベースの知識なしに柔軟かつ高い自由度で管理できる。 また、基幹システムのデータベースにある情報をソースとして自動的に取り込むこと(XML Post)が可能だ。これにより、手作業のHTML作成時のミスなども削減できため、コンテンツに誤った表示が許されない製薬業などの採用も多い。

また、マーケティング活用を考える場合、各種基幹システムとの連携も重要になる。たとえば、商品販売を主眼とするサイトであれば在庫情報との連動が必須になるし、顧客の購買履歴との連携によって表示するコンテンツを変更することも効果的だ。FatWireはJ2EE準拠でこれらの社内システムと連携することが可能だ。

こうした連携が可能な点は、B2Cばかりでなく企業情報ポータルの運用管理にも有効だ。サイトを画一的な情報発信に利用するのではなく、企業内の資産をマルチユースするプラットフォームと捉えることで、FatWireの強力なメリットが見えてくる。

効率的な活用と導入を支援するオプションサービス

FatWireでは、さらに効率的なソリューションを実現するためにレコメンドエンジンの「Fatwire Engage」や分析レポート用の「Fatwire Analytics」など、多彩なオプションも用意されている。また、「FIRST SITE」はノウハウを凝縮したサンプルテンプレート集で、アセットタイプ集なども提供し、要件定義やカスタマイズをサポートする。

強力な動的配信を実現するには、システムの購入のほかに基本のテンプレートやアセットの作成なども含めある程度の予算が必要となるが、FatWireでは静的配信クイックスタートキットのFIRST SITE Liteを1年間の保守料金込み555万円で提供している。このためスモールスタートで段階的に利用を高度化していく導入方法も選択できる。

日比谷花壇
図2 日比谷花壇
効率的なコンテンツ管理とパーソナライズを実現しECサイトを再構築する。

FatWireのパフォーマンスを最大限に活用しようとすれば、同社に蓄積されている経験とノウハウを有効に利用すべきだろう。そのため同社ではトレーニングの「エデュケーション・サービス」やコンサルティングの「プロフェッショナル・サービス」、技術情報提供などの「カスタマーサポート・サービス」を提供している。特に大規模な動的配信を必要とするようなサイトは、インフラが複雑なため、有効なキャッシュの制御が重要になるので「FatWireのプロフェッショナル・サービス」の利用が効果的だという。

最新バージョン7.5の強化ポイント
外部サーバーの顧客情報も利用可能に

この5月には新しいバージョンのFatWire Content Server 7.5が発表され、マネージメント関連機能がさらに強化された。

1つ目の強化点は、レコメンドエンジンのFatWire Engageが、外部サーバーからでも顧客情報を引っ張ってこられるようになった点だ。従来のバージョンでは、内部データベースに顧客情報を持つ必要があったが、新バージョンではSiebelやsalesforceなど外部サービス上の顧客情報を参照して処理を行えるようになったため、手間とコストが削減できる。

次に未来サイトのプレビューが可能になった。カレンダーと連動させてコンテンツを変更するケースはECサイトなどで特に多く見られる。従来もRevision Trackingシステムによって過去のコンテンツ状態への復帰はできたが、新機能では4月一杯まではフレッシュマンフェアのバナーをトップに出し、5月1日にはそれを消し、10月にはハロウィン、12月にはクリスマスフェアのバナーを出すなどの将来的なコンテンツコントロールを時系列に制御可能で、カレンダーの対応日付をクリックすればブラウザでその見栄えを確認できる。

ほかにも、サイトのフレキシブルな更新が可能になるリアルタイムパブリッシング機能が加わった。これを利用すれば、編集~承認~一括アップロードといった、コンテンツ公開までの承認フローに例外処理を作り、緊急を要するコンテンツだけを先にアップロードできる。企業によっては必ずしも承認フローが必要とは限らないし、緊急時には通常の承認フローを省略することも考えられる。今回の機能追加によって配信コントロールの自由度がさらに向上した。

今後は、外部ガジェットとのマッシュアップの一元管理を行う「FatWire Gadget Server」や、ブログやアンケートなどのUGCを管理する「FatWire Community Server」などをリリースしてさらにグループ製品を強化していく予定だという。

カレンダー対応の未来プレビュー機能
図3 カレンダー対応の未来プレビュー機能。選択した日のサイトの状況を簡単に確認できる。
◇◇◇

商用CMS製品 製品データ

対象規模[?]:エンタープライズ

価格[?]:555万円~(CPU単位のみで価格算定)

ライセンス形態[?]:CPU単位

オプション機能/価格帯[?]:①【Content Server Foundation Suite】Content Server 8CPU、Engage 8CPU(エンゲージメントエンジン)のセットで2,100万円 ②【Content Server Solution Suite】Content Server14CPU、Engage 14CPU、Salellite Server 12CPU(キャッシュ管理エンジン)、Analytics 3CPU(ログ分析エンジン)のセットで3,000万円

典型導入パターン[?]:静的配信構成ならハード、基本ソフトを含めて1,500万円程度~、動的配信構成3,000万円~

典型導入価格例[?]:ハード、基本ソフトを含めて1,500万円程度~

ASP版の有無[?]:FatWireパートナーが提供

システム環境[?]:Windows 2003、Solaris、AIX、Linux / Oracle、DB2、SQLサーバー/ J2EEアプリケーションサーバー(Tomcat、JBOSS、BEA、IBM、Sun、Oracle)

商用CMS製品 対応機能データ

○:標準で対応 △:オプションやカスタマイズで対応 ×:非対応、機能なし
ワークフロー管理
公開承認[?]作業役割/権限分担[?]
指定時間公開[?]時限発行[?]
世代管理/ロールバック[?]
ステージ管理/ロールフォワード[?]
ワークフロー通知[?]
管理・運用者向けの機能
サイト階層構造管理[?]リンク切れチェック[?]
アクセス解析機能[?]XMLデータ出力[?]
既存コンテンツの取り込み[?]Officeファイルのインポート[?]
WYSIWYGエディタ搭載[?]
別システムでのユーザー認証(LDAPなど)[?]
ウェブサイトで実現する機能
静的ファイル出力[?]動的ページ出力[?]
サイト内検索[?]ケータイ対応[?]
RSS出力[?]ブログ[?]
ユーザーアンケート[?]利用ユーザー登録[?]
新着情報/サイトマップ/ナビゲーション自動作成[?]
アクセシビリティガイドライン対応[?]
用語集
ASP / CMS / FatWire / HTML / RSS / UGC / Webサーバー / アクセシビリティ / アクセス解析 / アセット / アップロード / キャッシュ / コンテンツ管理 / サテライトサイト / ナビゲーション / パーソナライズ / リンク切れ / 商用CMS
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