プレスリリース・ニュースリリースの書き方&活用基礎講座

ネット時代でも重要な紙のリリースとその活用法/リリースの書き方基礎講座#9

旧来の4マスメディアに関する広報活動の事例を交えて、紙でのニュースリリースの重要性を検討していきます。

この連載では、主に企業の広報担当者に向けて、初めて書く人でもわかるリリースの書き方から、ネット時代に即したリリースの書き方など、明日から役立つ基礎情報をお届けします。

前回は、テキストベースで作ったニュースリリースの文書を、紙で配布するためのカスタマイズについて説明しました。今回は、ネット時代となって軽視されがちな紙のリリースの重要性を改めて解説するとともに、その活用方法について紹介します。

最近、インターネットを活用した広報活動の重要性が大きく叫ばれているためか、新聞やテレビなど旧来からのマスコミへのアプローチがないがしろにされているようにも感じます。「記者と仲良くするよりネットを使え」のような標語を打ち出す書籍もあります。もちろん、ネットを活かした広報活動が大切になっていることは疑う余地のないことですが、新聞やテレビの影響力は、中途半端なSEOとは比較にならないほど大きいのが現実です。リリースで扱う商品・サービスがすべてインターネットの中で完結する性格のものだとしても、新聞や雑誌、テレビを無視することはできません。

新聞や雑誌に取り上げられることのメリット

インターネットがメディアとして確立された現在、大手新聞社の記者が書いた記事は、新聞紙面に載るだけでなく、膨大なアクセス数を誇るポータルサイトにニュース記事として掲載され、新聞社自身のサイトでも公開されます。雑誌、テレビも同様です。新聞やテレビなどを、あたかも時代遅れのように「オールドメディア」と呼ぶ人がいますが、新聞やテレビのニュース用書かれた記事がそのままインターネットコンテンツとなる現状では、新聞記事やテレビニュースの記事もネットメディアの一種ととらえるべきでしょう。

新聞や雑誌で記事になるのは、新聞記者、雑誌編集者が客観的な目で見て、これは掲載に値する内容だと判断した結果です。もちろん、疑わしい企業やあやふやな商品・サービスは扱われません。

ブロック紙
販売地域が複数の都道府県にまたがり、一般的な地方紙にくらべて発行部数が多く広範囲に影響を与える新聞。東京新聞、北海道新聞、中日新聞、西日本新聞などが該当する。

私が広報アドバイザーを務めたクライアントで、ECビジネスを立ち上げたばかりのベンチャー企業の例を紹介しましょう。新サービスを開始する内容のリリースを作成して新聞社に届けたら、従来にないビジネスだったのと、起業した人たちが医師や大手商社出身者だったこともあって、全国紙やブロック紙の特集コーナーで大きく取り上げられました。掲載されたことで問い合わせが来ましたが、それ以上に起業した人たちを喜ばせたことは、それまでいくらアプローチしても相手にしてくれなかった大手都市銀行が、向こうからすり寄って来たことです。銀行員は「新聞に記事が載るような会社だとは思っていなくて……」と恐縮して、相談にすら乗ろうとしなかった融資について快諾したといいます。このベンチャー企業は、複数の新聞に記事が載った事実を自社のサイトで告知し、初めてサイトを訪れたユーザーを安心させました。さらに、新聞記事を見たテレビのワイドショーが取材に来て番組で紹介。それを見た雑誌が特集記事を組み、それを読んだブロガーがクチコミを広げ……と素晴らしい循環が生まれました。

この事例のポイントは、新聞社に持ち込んだリリースが記事になったことでその会社や新サービスに対する信用が生まれたことです。新聞記事によってテレビや雑誌、ブロガーも、取り上げるに足る会社、商品・サービスだと感じたのです。銀行も付き合っても問題ない会社だと考えたのでしょう。

こんな事例もあります。あるアイデア商品を考案してネットで販売している業者がいました。ネット通販のみということもあって、キーワード広告やSEOにコストをかけたため、販売サイトへのアクセス数はそれなりに伸びたのですが、実際にその商品はほとんど売れませんでした。アドバイスを依頼された私は、まずその商品のユニークな点を強調するとともに、消費者にとってどんなメリットがあるのかをアピールする内容のニュースリリースを作り、大手新聞社に情報提供しました。

その結果、ブロック紙の地方版と全国紙の日曜版の別刷りで記事として取り上げられました。当然のことですが、新聞に掲載された直後にアクセス数は一気に伸びました。しかも、それまでとは違って、アクセスしてきたユーザーの3人に2人は商品を購入し、コンバージョン率が飛躍的にアップしたのです。新聞に記事が掲載されたことで業者や商品への信頼が生まれ、サイトへのアクセスが購入という行動につながったのです。

これらはあくまでうまくいった場合の例ですが、インターネットでのビジネスだからといって、新聞や雑誌をないがしろにしてはダメです。逆に、商品・サービスの膨大な情報が流れるネット時代だからこそ新聞、雑誌にアプローチして、信用を得ることが重要なのです。

媒体に見合った送付方法

新聞社や雑誌出版社に対しては紙のリリースを使うのが基本だと前回の記事で解説しました。あるニュースリリース配信会社が、新聞や雑誌、テレビ各社に対してニュースリリースはメールかFAXのどちらで送ってもらいたいかをアンケートした結果、メールが4割に対してFAXが6割だったといいます。FAXで送信するためには、前回解説したような紙のリリースとしてのカスタマイズが必要になります。

紙のリリースの活用は、FAXか郵送か直接手渡しのいずれかですが、メディアによって向き不向きに若干の違いがあります。簡単にまとめたのが次のリストです。

  • 新聞社:FAX
    企業ニュースを扱うのは一般紙であれば経済部です。経済紙の場合は業界で分かれているので、事前に問い合わせた方がいいでしょう。また、内容によっては、生活関連の情報を扱う部署や、企画特集の担当もあるので、紙面の特徴をよく見極めたうえで、各部署宛てにリリースを送るようにします。

  • 雑誌出版社:FAXか郵送
    自社のリリースがどんな雑誌にマッチするかを事前に綿密に調べる必要があります。自社の内容に合致する媒体宛てにリリースを送りましょう。

  • テレビ局:FAXか郵送
    テレビはニュース番組だけではなく、情報番組やワイドショーなど情報提供したい各番組宛てに届けます。リリースを提供する方法は、FAXより郵送の方がベターだといわれています。

もちろん、新聞や雑誌、テレビのいずれの方法にせよ、担当の記者や編集者らにアポイントが取れるのなら、直接会って紙のリリースを手渡して説明するのがベストです。しかし、相手も多忙なため容易ではないのが実情です。

ネット時代のリリースは、マスコミ以外も対象になるため「プレスリリース」ではなく「ニュースリリース」と呼ぶと第1回の記事で定義しました。しかし広報活動という観点でいうと、リリースはまずマスコミをターゲットに考えるべきだと思います。ページ自体からの誘導が期待できるネットのニュースに比べ、新聞や雑誌の記事は、その後すぐに来客や直接の売り上げにつながらなかったりする場合もありますが、お金で買えない信用を得ることができ、企業価値の向上につながります。新聞では取り上げてもらえないだろうとあきらめたり、ネット関連の商品・サービスには関係ないと無視したりせずに、まずはダメモトでもいいので、紙のリリースを作ってしっかりアプローチするべきでしょう。

◇◇◇

次回はリリースのネット利用のためのカスタマイズ法、その次の回ではネットを使ったリリースの活用法を紹介します。

第九章のポイント
  • ネット時代とはいえ、広報活動で新聞やテレビなど既存メディアを軽視してはならない
  • 新聞や雑誌、テレビでの露出による最大のメリットは、一般消費者のみならず銀行や関連業者など多くの利害関係者の信用を得られること
  • 新聞社、雑誌出版社など各メディアにはそれぞれに合った紙のリリースでアプローチする
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