リリース作成34のポイントとプロの実例/リリースの書き方基礎講座[最終回]
この連載では、主に企業の広報担当者に向けて、初めてでもわかるリリースの書き方から、ネット時代に即したリリースの書き方など、明日から役立つ基礎情報をお届けします。
前回まで添削を含め15回にわたって、リリースの書き方と活用法の初歩を解説してきました。今回は基礎講座の最後のまとめとして、これまで解説してきたポイントをリリース作成時のチェックシートとして取り上げるとともに、一からリリースのサンプルを作ってみます。
リリース作成34のチェックポイント
この連載を1回目から続けて読めば、それなりに形の整ったニュースリリースを作ることは可能です。しかし、忘れてはいけないのがニュースとなる事実があってこそのリリースだということです。一般的なリリースのパターンを踏襲していても、中身がなければ意味がありません。リリース作成前には、まず「訴えたいニュースは何か」の確認が必要になります。これがしっかり定まっていれば、リリース作りの作業過程で迷うことはほとんどなくなります。
最終回では、これまでの基本をおさらいし、リリース作成の前段階から作成時のポイント、リリース文のパーツごとのポイントをまとめました。
リリース作成前のポイント
- リリースとして発表する「ニュース」が何なのか明確になっているか
- リリースで書くべき内容や材料がそろっているか
- 自社視点ではなくリリースの読み手の目線に立っているか
- そのニュースを読むことによる顧客・消費者のメリットが正しく示されているか
- リリースを出すタイミングと効果は適切か
リリース作成は、まずこれらの項目を確認してから書き始めます。次に、作成にあたってリリース全体を通して注意すべきポイントを押さえておきます。
リリース作成時のポイント
- 結論を前に持っていき重要なことから順に書かれているか
- 幅広く読まれることを意識してわかりやすく簡潔に書かれているか
- 専門用語を使う場合は必ず用語説明が加えられているか
- 文章は「ですます調」で書かれているか
- 過剰な丁寧語を使用していないか
- 5W1Hが過不足なく満たされているか
- 宣伝臭のする文言を排除した客観的な表記になっているか
- 用字用語、送り仮名、外来語など表記は統一されているか
文章作成時には、こうした点に注意を払いながらリリースの各パーツについて基本を守って書き進めます。パーツごとにチェックすべき点を書き出しました。
ヘッダー
- この文書がニュースリリースであることが示されているか
- リリース発行日、社名が明示されているか
見出し
- ニュースの内容と特徴を2~3行で言い切っているか
- 宣伝のような誘い文句や大げさな表現をしていないか
リード
- リリースで伝えたいことが350文字以内にまとまっているか
- 書き始めの主語である自社の事業概要が入っているか
- 自社名の後に本社所在地、代表者がカッコで入れてあるか
- 1文目で自社がいつ何を発表するのかが明確になっているか
- 最もアピールしたい点が2文目に示されているか
本文
- 途中で読むのを止めても言いたいことが伝わるように書かれているか
- リリースで訴えたいニュースそのものの説明から始まっているか
- 重要なアピールポイントから順番に説明してあるか
- ニュースの背景やサイドストーリーがメインになっていないか
- 個条書きの羅列ではなく読み物の体裁を採っているか
- リリース全体の分量は多過ぎず少な過ぎず、A4用紙で1枚程度におさまっているか
- プレゼンテーション資料や仕様書をそのまま写していないか
- 主観的な文言や宣伝のような表現を使っていないか
- 補足説明は本文に入れず別紙にまとめてあるか
- 問い合わせ先の電話番号やメールアドレスが明記されているか
別紙、その他
- 会社概要には必要項目が漏れなく記入されているか
- 図版や写真、リストなど理解を促進するような資料が加えられているか
リリース作成後は、これらの基本事項にのっとっているかをチェックし、足りない点があれば手直ししてより効果的なリリースに近付けます。
ここまでできれば、後はリリースの配布方法に合わせ、紙(手渡し、郵送、FAX)用、メール用、サイト掲載用それぞれのカスタマイズを施します。チェックするポイントの詳細は、これまでの連載の各記事を参照してください。
- 紙用のカスタマイズ法はこちら
きちんと読んでもらうためのカスタマイズ術――新聞・雑誌向けには紙のリリースを - メール用のカスタマイズ法はこちら
メールでのリリース配信のカスタマイズ法――読まれるリリースメールはここが違う - サイト掲載用のカスタマイズ法はこちら
サイトでのリリース公開は不特定多数の読者を想定
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