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グーグルが商標侵害とサイバースクワッティングに加担? 気になる訴訟の行方

願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。

グーグルによると、ドメイン向けAdSenseプログラムでは、「ドメイン名登録事業者や大規模なドメイン名保有者が、パークウェブページを利用して収入を得られる」そうね。

※Web担編注 ドメイン向けAdSenseプログラムの日本語での情報は確認できなかった。

ところが、何週間か前にイリノイ州北部地区連邦地裁(リンクはPDF)である判決が出たの。この判決のおかげで、原告側の弁護士もグーグルを利用してひと儲けできるようになるかもしれないわ。あるいは、この判決を厳密に解釈するなら、商標所有者が自分たちの登録商標の価値を独り占めできることになるのかも。これについては、人それぞれの視点や、商標やドメイン名ビジネスをどのように捉えているかによって意見が大きく変わると思うわ。

ここで紹介するバルカン・ゴルフ対グーグル他の訴訟は重要なケースなの。

※1 ドメインパーキング

登録したが実際には使わないドメイン名を預かっておくサービス。多くの場合、そのドメイン名にアクセスすると広告が表示される。

というのは、(私の知るかぎり)商標所有者がドメイン名関連の事案でグーグルを訴えたのはこれが初めてだから。原告側は、キーワード広告から学んだことをドメイン名ビジネスにも応用しようとしているの。さらに、この訴訟は集団訴訟に発展する可能性があるので、巨額の賠償金が絡んでくるのよね。考えてみて。自分の商標が、ドメインパーキング※1業者やグーグルのアドセンス広告を利用するドメイン名所有者によって侵害されたことがあれば、理屈の上では誰だって原告団に加わることができるのよ。

イリノイ州の判決によって、広告サービスを提供している企業を、商標侵害およびドメイン名の不正使用(サイバースクワッティング)に対する責任があるとして商標所有者が訴える道が開かれたってわけ。相手の企業が問題のドメイン名を所有も登録もしていなくてもね。

グーグルには非常に優秀で頭のきれる弁護士たちがいるから、こんな訴訟、難なく却下に持ち込めると一般には思われていたわ。ところが、驚いたことに判事は、最近になってこの審理の係属を決定したの。

じゃ、その内容をもっと詳しく見ていきましょう。

1. 誰が誰を訴えたのか

サイバースクワッティングやドメイン名侵害訴訟の多くがそうであるように、本件の原告も、潤沢な資金に恵まれた名のある法人および個人。

そして、その他同様の立場にあるが名前が明らかになっていない多数の原告たち。集団訴訟の場合、最初は少数の原告の名前を出し、その後、原告の数を増やしていくのが一般的なの。

本件で最も興味深いのは、訴えられた被告の顔ぶれね。

よくあるドメイン名侵害訴訟では、問題となったドメイン名の所有者そのものが被告となるんだけど、今回の原告たちはお金を目当てにして、ドメインパーキング業者とグーグルを訴えたの。麻薬中毒者本人ではなく、売人をとっ捕まえるようなものね。

被告として名前の挙がったドメインパーキング業者は、SedoOversee.netDotsterRevenueDirectInternet REIT(iREIT)。言うまでもなく、グーグルのドメイン向けアドセンス広告プログラムについては、みんなよく知っているわよね。

2. 基本的な事実関係

この記事を読もうと思うような人は、ドメインパーキングとアドセンス広告の組み合わせが、どのような仕組みで被告たちの利益に結びついたか、理解しているものとして話を進めるわね(そのドメイン名にアクセスすると、ドメイン名関連のキーワードが並べたページが表示され、そこにアドセンス広告などの広告が表示されている)。ただ、ここで1つだけ強調しておきたいのは、この訴訟では、まったくコンテンツなしで広告を出しているウェブサイトばかりが対象になっているということなの。

裁判所は、原告の訴えを次のようにうまくまとめているわ。

原告側の申し立ては次のとおりである。

グーグルをはじめとする被告らは広範囲にわたる不正行為に関わり、「数十億ドル規模の不当な広告およびマーケティング売上」を手にした。被告らはこの目的のため、誤解を招く恐れがあるとされるドメイン名を故意かつ意図的に登録してライセンスを供与し、当該ドメイン名から利益を得ることで、原告である商標所有者らに損害を与えた。

3. 原告の主張と関係する法律

原告は、以下のような違法行為があったとして被告を訴えているわ。

  • 組織犯罪を取り締まる「RICO」法(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)違反
  • 不当利得
  • 民事謀議
  • 反サイバースクワッティング消費者保護法(ACPA)違反
  • 消費者詐欺および欺瞞的商取引の取締に関するイリノイ州法違反
  • 現在および将来における経済的利益に対する意図的干渉
  • 商標の侵害および希釈化

4. 裁判所が保留にした事項

裁判所がどういう決定を下したかをお話する前に、何を決定しなかったかを説明しておかなくちゃならないわね。

裁判所は今回、誰に責任があって、誰に責任がないかについて判断を下さなかったの。その理由はというと、この訴訟がまだ事実を確認できる段階に至っていないから。公判が開始されるのは手続きの最後の方で、そこから法廷での事実関係の整理が始まり、証拠が検討されていくの。

公判開始の前に、被告はもっと法律的な論拠に基づいて、訴えを却下に持ち込もうとしてもいいの。たとえば、「そのような法律がない」とか、「その法律は今回の件に適用できない」といった理由で告訴自体が的外れだと考えるなら、被告は手続きの早い段階で裁判所に訴訟の却下を要請し、裁判という厄介事を避けることができるのよ。

今回の訴訟で起こったのもそれで、被告は、原告が訴状に列挙している法律は、さまざまな論拠により本件には適用できないと主張して、裁判所に訴訟の却下を要求したわ。つまり、仮に自分たちの行為に対する原告の主張がすべて真実であるとしても、それは法律を犯しているわけではないので、本件訴訟は却下されるべきであると主張したわけ。

これでグーグルが勝った、と誰もが思ったはず。グーグルには自由に使えるブレーンやお金もあり、かなり常識的な主張を展開しているもの。ところが、そうはならなかったのよ。

5. 裁判所の決定

裁判所は、RICO法違反(この法律は、裁判に適用するのがきわめて困難なことで有名)、不当利得、民事謀議、消費者詐欺などの州法違反に対する訴訟を却下することには同意したわ。ここまでは、裁判所にとっても非常に簡単な判断だったのね。

ところが、驚いたことに判事は、商標侵害および反サイバースクワッッティング法違反に対する訴えについては、大部分の審理係属を決定したの。

A. たとえ被告らが問題のドメイン名を自ら所有、登録、使用しなかったとしても、サイバースクワッッティングについては責任があると考えうる。

グーグルもドメインパーキング業者もともに、自分たちは問題のドメイン名を所有も、登録も、使用もしていないので、ACPA上の責任は問われないと主張したわ。つまり、自分たちの関与の度合いはごくわずかで、自動的であり、善意によるものだというわけね。

常識的に考えれば、この主張には納得できる部分もあるわ。被告自身がサイバースクワッティングを行っていたわけではないのに、サイバースクワッティングの罪に問うことなんかできる? 責任があるのは、問題となったドメイン名の所有者だけではないのかしら?

しかし、法廷はそのような見方をせず、違法性を問われているグーグルの行為を次のようにまとめたの。

※2 ドメインテイスティング

ドメイン名の取得後、数日間与えられる無料試用期間だけ広告ページを表示するなどし、無料期間が終わる前に登録を削除する手法。

グーグルは、詐欺的とみなされているドメイン名を使用する見返りとしてドメイン名登録者に金銭を供与し、ドメイン名による収益を報告し、ドメインテイスティング※2に関与した。さらに、セマンティック技術を用いてドメイン名の意味を分析し、その収益を最大化すべく広告を選定するとともに、広告活動の管理および維持を行っている。

これに対する裁判所の判断は次のようなものだったわ。

「不正売買」を禁止したACPAに照らして、(原告側の)主張は妥当である。ACPAは「不正売買」について、「販売、購入、貸与、保証、ライセンス供与、通貨交換、対価を目的とした譲渡、あるいは対価との交換による受領を含むあらゆる取引行為」(合衆国法典第15編§1125(d)項(1)(E)より)に関わることと定義している。

このように、法廷は「不正売買」について広義の解釈を採用し、ドメインパーキング業者およびグーグルは反サイバースクワッッティング法に抵触するとの判断を示したわけ。

要点:ACPAの下では、ドメイン名を所有したり、登録したりしなくてもサイバースクワッッティング行為に対して責任を問われる可能性がある。私が知る限り、そのような判断が下されたのは今回のケースが初めてだわ。他のACPA訴訟では、被告はドメイン名を不正売買しただけでなく、ドメイン名を所有または登録していたもの。

B. 被告は、問題の商標を含むドメイン名を利用して「商行為をなした」のであり、商標侵害に対して責任があると考えうる。

これまで裁判所は、ドメイン名登録業者は「商標を利用して商行為をなしているわけではない」との判断から、商標侵害に対して登録業者の責任を問うことを拒んできたの。

つまり、これまでの裁判では基本的に、登録業者は単に、管理上ドメイン名の登録を行っているだけであるとの判断が下されてきた。登録業者がドメイン名を選んでいるわけでもないし、必ずしもそれを使って何かをするというわけでもないから、その商標を商行為に利用しているとは言えないということね。今回の訴訟でも、被告であるドメインパーキング業者は、自分たちもこれまでのドメイン名登録業者と同じ扱いを受けるべきだと主張したわ。

でも、裁判所は、この考え方も支持しなかったの。法廷は今回のパーキング業者の行為について、単なる登録業務以上のものであるとする原告の主張に沿って、商標が商行為に用いられたと考えるのは完全に妥当であると判断したわ。広告の掲載や広告プログラムの斡旋を行っているのだから、単なる登録業者と同じで積極的に関与したわけではないとするドメインパーキング業者の主張は認められない、ということね。

要点:裁判所はドメインパーキング業者および広告の配信業者を、キーワード連動広告の配信業者と同じように扱おうとしているようね。つまり、彼らの行為は商用使用であり、商標侵害の可能性もあるということよ。今回の訴訟では、問題のドメイン名がキーワードと同様の働きをしているということになるわ。こうした論拠が、metaタグやクリック広告(PPC)キャンペーンに関する訴訟で適用されるのは何度も目にしているけれど、ドメイン名を所有も登録もしていない業者に適用されて、ドメイン名ビジネスとの関わりで争点とされるのは、私が知るかぎり、今回が初めてのケースなの。

6. 今回の判断が意味するもの

ドメインパーキング会社やアドセンス広告をはじめとする広告配信プラットフォームは、この裁定以降、法律違反を問われる危険性が出てきたことになるのよ。

今回のケースが大規模な集団訴訟に発展し、その主張がすべて認められれば、これはドメイン名業界に悪影響を及ぼす可能性があるわ。

理論的には、このような判断が下ったからといっても、商標を侵害しているドメイン名で一儲けすることや、一般的なドメイン名や説明的なドメイン名のほんの一部について、パーキングしたり関連する広告を掲載することが今より難しくなるだけだわ。だけど、実際問題として、パーキング会社や広告配信会社が、自分たちの関わっているすべてのドメイン名に関して、商標侵害で訴えられることを懸念し始めたら、結果として業界全体が冷え込んでしまうおそれがあるの。

1つ確かなことがあるの。今回、原告の主張がある程度認められたことに加えて、ICANNが最近、ドメインテイスティングを容易にしていた5日間の無料試用期間を廃止する決定をしたことで、ビジネスとしてのサイバースクワッティングが以前より割に合わないものとなり、おそらくは消滅していくだろうということ。これはたしかに喜ばしいことなんだけど、完全に合法的なドメイン名保有者が被るかもしれない影響はどうなのかしら?

もっとも、これは最悪の事態を想定したシナリオであって、まだそこまで行ってるわけじゃないわ。原告には、まだ長い道のりが待ってる。被告が商標侵害があることを実際に認識していて、法にもとる行為を働いたという事実を証明しなければならないの。4月に入って提出された訴状には、グーグルは以前に商標の侵害があることを認識していただけでなく、現在もなお商標を侵害し続けて(そこから利益を得て)いると書かれているのは、興味深いところだわ。

さらに原告側は、集団訴訟の原告団を組織するのにも苦労するでしょうね。商標侵害の訴訟は、事実関係について相当厳しい(各商標所有者は、自分が法的に有効な商標を保有していることだけじゃなく、問題のドメイン名が混乱を招くほど自分の所有する商標に似ていることも証明しなければならないの)から、集団訴訟にはしにくいの。

このように、原告はまだまだ苦しい戦いが待っているの。だけど、ここまでのところ、この訴訟で示された判断は、確かに興味深くて広範囲に影響が及びそうだわ。おそらく、他の潜在的原告も、この訴訟をモデルケースとして注視していることでしょうね。みなさんには常に最新情報をお届けするようにするわ。

いつものように、皆さんからの質問やコメント、意見などを楽しみに待ってるわ。

それでは、ごきげんよう。

サラ

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