ウェブサイトを成功へ導くためにできることはいろいろあるが、中でもきわめて重要なことの1つは、すばらしい体験を提供するサイトを構築することだ。
「リンクベイト」という言葉にはネガティブな意味合いがあるから僕は好きになれないんだけれども、リンクベイトを視野に入れないとすると、「自分のサイトにリンクしてくれる人がいるとすれば、それはなぜか?」という問いに対する答を考える必要がある。
最初に顧客と話をするとき、僕ははたいてい、リンクの購入(日本語記事)は推奨しないと説明する。また、相互リンクに過度に依存することも薦めない。戦略的パートナーや同じ業界の他の業者とある程度相互リンクするのは構わないけれど、サイト内のリンクが100%相互リンクだけなんていうのは避けたいものだ(相互リンクの割合が50%だっていただけない)。
そうすると、ある興味深い問題が浮かび上がってくる。人から何かをもらいたいというのに、その見返りとして相手にあげるものは何も用意しないってことだよ。うまくいきっこないって気がしないかい?
でも、実はそれほどひどいことじゃないんだ。ウェブとは、ハイパーリンクというコンセプトを核に築かれているメディアだ。本当に価値のあるリソースを提供しているサイト(あるいはページ)の作者たちは、自分のサイトにおけるユーザー体験の質に大いに気を配っている。そして、もし自分のコンテンツを補完してくれるすばらしいリソースがあるのなら、彼らは君のサイトへリンクしたいと考えるだろう。必要なのは、そのことを相手に知ってもらうだけだと言ってもいい。
さらにありがたいことに、こうした人たちのサイトは、最良のリンクを提供してくれるタイプのサイトだということだ。検索エンジンは、本当に信頼できるサイトを把握することを非常に得意としていて、他のリンクよりもそういうサイトのリンクを重視する。もし1日あたり何万、何十万、さらには何百万ものビジターに到達したいと考えるなら、こうしたタイプのリンクが必要になってくるんだ。
質の高いコンテンツ
すでに大勢の人が取り上げている何らかの話題について記事を何本も書くことは、何も書かないよりはマシかもしれない。また、それらの記事でいくつかリンクを獲得できるかもしれない。だが、その手のコンテンツじゃ、第一級のリンクは獲得できないだろうね。
要は、個人であれ企業であれ、自身のサイトで扱っている話題のエキスパートになり、これまでに一度も(あるいは、せいぜい数回しか)行われていない独自のやり方でその話題を提供する必要がある、ということなんだ。ただ、そういう苦労を免れようとする人々はさまざまな仕掛けを利用する。
たとえば、「リンクベイト」という言葉は、“リンクを獲得することだけを目的としてコンテンツを開発する”という考えから生まれたものだ。僕がこの言葉を不快に感じるのは、作成したコンテンツがそのサイトで扱っている題材とどう関係するかなんて、それこそ関係ないという風に解釈している人が多かったからなんだ。断っておくけど、僕は誰もがリンクベイトという言葉をそういう意味に理解していると言ってるわけじゃないないよ! でも、たとえば、本来なら自分のサイトで絶対に取り上げない話題なのに、Diggで記事をプロモートすることを唯一の目的として、その話題について書く、なんてことが起こり得るわけ。
これは、短期的に見ればそれなりの効果がある戦略かもしれないけど、時間という試練には耐えられない。断っておくけど、僕はソーシャルメディアを使ったプロモーションの大ファンだし、自分たちでも大いに活用している。けれどその際には、依頼を受けた顧客の事業と強く結びついたコンテンツを作成するよう、精一杯努力する。
サイトで扱っている話題について専門的な知識を身につけてしまえば、後は簡単な話だ。まず、その知識をいつ、どうやって披露するのか、またどの程度見せるのかを吟味する必要があるね。ウェブベースで事業を行っている多くの企業にとって、価値のある情報をたくさん提供することは、最良の結果をもたらしてくれる手段なんだ。ただし、気をつけないといけないのは、企業によっては、秘密のソースを隠しておかなければならない場合もあるってこと(たとえば、コカコーラは製品のレシピを絶対に公表しない)。
僕は「今すぐにでも始められるリンク獲得の7つの手法(日本語記事)」という記事の中で、いろんなリンク獲得機会について書いた。これらのリンクを獲得するには、注目を集める必要がある。それには、どこかのサイトでわざわざ取り上げてもらわなくちゃいけない。たいていの場合、すでに大勢が取り上げて古くなった話題なんて、誰も取り上げようとはしないだろう。
見せ方が重要
自分なりの専門知識を伸ばすことに加え、人を惹きつけるようなやり方でそれを披露することも必要になってくるけれど、やり過ぎには十分注意しよう。たとえば、君がすばらしい動画を作れるとしても、サイトの利用者は動画を見たがらないかもしれない。それより、記事をプリントして、電車に乗っているときに読む方がいいという人もいるだろう。
君が世界一ステキなウィジェットを開発できたとしても、利用者はそのコンテンツを自分のサイトに組み込みたいとは思わないかもしれない。単に何かを読んだり見たりしたいだけということもある。
僕は動画やウィジェットが大好きだが、どんな状況でも使えるわけではない。写真、スクリーンショット、あるいは図表などをきちんと配したシンプルな記事が、適切な見せ方だという場合もあるんだ。
どんな手段を利用するにしても、最初の数秒間でアピールすることが重要だ。テキストの記事なら、冒頭の数センテンスで確実に読者の関心を引く。動画なら、最初の10秒から15秒で視聴者の気持ちをつかむ。その他の場合も同様だ。読者や視聴者、リンクしてくれる可能性がある人たちは、短時間で注意を引かなければ、すぐに興味を失ってしまうはずだから。
僕は、個々のコンテンツの全体的な見せ方にも時間を使うが、その時間の多くは最初の数センテンスのために費やしているんだ。
どこにコンテンツを掲載するか?
君(または君の会社)の専門知識がまだ世間で認められていないのなら、君のすばらしいコンテンツを他のサイトでもどんどん公開して、積極的に広めることをお薦めする。まずは評判を築くことが必要なのだ。
しかし、全部のコンテンツを他のサイトに持ち出さないように。自分のサイトにしかないものも確保しておかなくてはならない。自分のサイトに上質のコンテンツを集めたセクションを用意するというのは、いいアイデアだ。そうしておけば、よそのサイトで公開したすばらしい記事を見て君のサイトにやって来た人が、さらに多くの記事を目にすることになる。これで、訪問者を君のサイト(と会社)に、直につなぎ止めるチャンスが出てくるというわけだ。
ウェブプロモーションに着手したばかりのサイトの場合、まず20個から30個のコンテンツを作り、その半分を自分のサイトに、残りの半分を他のサイトに掲載する計画を立てるようにアドバイスすることが多い。もちろん、ウィジェットを使って、コンテンツを他のサイトに配信するのもいい。これなら、重複コンテンツ問題が起こる可能性もなくなる。もしこの方法がうまく行けば、これは大きなおまけだ。
時間とともに評価が高まってきたら、外に出すコンテンツの割合を調整するといい。たぶん、コンテンツの20%だけ他のサイトに出して、残りの80%は自分のサイトに掲載するくらいがちょうどいいだろう。この割合は、サイトの評価アップに合わせて調節するように。
まとめ
ウェブではコンテンツが武器になる。市場シェア獲得にコンテンツを役立てよう。本当に注目に値するものを作り、そのことが効果的に伝わるようにしてほしい。
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