広告の課題を発見し、改善につなげていくためには、さまざまな広告効果の指標を正しく読み取る必要がある。今回はLPOの効果を測定するための基本的な指標となる、コンバージョン数(率)、CPA、ROASについて解説する。
高ければ高いほど良い「コンバージョン率」
検索連動型広告で思うような成果を得られていないときは、まず運用中の検索連動型広告の状況を把握してみてほしい。前回、説明した通りスポンサードサーチのコンバージョン測定機能を用いると、インプレッション数やクリック数、クリック率といったデータだけでなく、コンバージョン数、コンバージョン率、CPA(顧客獲得単価)、ROAS(広告費用1円あたりの売り上げ)といった指標も確認できるようになる。これらはLPO(ランディングページ最適化)の効果を測定する際にも有用なので、しっかりと使いこなせるようになっておこう。
まずコンバージョンとは、前回説明したとおり、見込み客をウェブサイトに誘導したことにより獲得した、何らかのビジネス上の成果のことだ。具体的には商品の購入、資料請求や会員登録、セミナーなどへの申し込みがコンバージョンに該当する。
そしてコンバージョン率(コンバージョン・レート=CVRとも呼ばれる)とは、検索連動型広告がクリックされた回数(クリック数)のうち、コンバージョン獲得件数(コンバージョン数)の割合を示す指標だ。以下の式で計算する。
たとえば、クリック数が500、コンバージョン数が10の検索連動型広告であれば、10÷500×100で、コンバージョン率は2%になる。
検索連動型広告の最終的な目的は、できるだけ多くのコンバージョンを効率的に獲得すること。コンバージョン数及びコンバージョン率は、数値が高ければ高いほど良いと単純に考えることができる。
逆にコンバージョン数やコンバージョン率が著しく低いときは、キーワードや広告(タイトルと説明文)よりも、ランディングページに問題があることを疑った方がいい(図参照)。
問題点 | 主な原因 | 主な対策 |
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インプレッション数が少ない |
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クリック数が少ない |
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クリック率が低い |
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問題点 | 主な原因 | 主な対策 |
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コンバージョン数が少ない |
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コンバージョン率が低い |
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CPAが高い/ROASが低い |
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CPAとROASで広告の費用対効果を把握
検索連動型広告を上手に活用するためには、広告の「費用対効果」を常に意識する必要がある。できるだけ低いコストで、多くのコンバージョンを獲得できる広告を目指し、継続的に改善を積み重ねていくことが大事になる。そしてその改善のモノサシとなる指標が、CPAとROASだ。
CPAは顧客獲得単価とも呼ばれており、1回のコンバージョンを得るために、いくらの広告コストがかかっているかを表す。計算式は、以下の2通り。
CPA=平均CPC÷コンバージョン率
下段の式は、上段の式を変形したものだ。広告コストは 平均CPC×クリック数 とも言えるので、CPA=(平均CPC×クリック数)÷コンバージョン数 となり、平均CPC×(クリック数÷コンバージョン数)=平均CPC÷(コンバージョン数÷クリック数) と変形できる。さらに、本記事の冒頭で述べたように、 コンバージョン数÷クリック数 はコンバージョン率であるため、CPA=平均CPC÷コンバージョン率となる。
計算式を見ればわかるように、CPAは値が低ければ低いほど費用対効果の高い広告であることを示している。逆に商品価格(売り上げ)に占めるCPAの割合が多いケースは、広告コストが利益を圧迫している可能性が考えられる。早急な改善が必要だ。
一方、ROASは広告コストの回収率、つまり広告費用1円につき、いくらの売り上げを得られたかを表す指標で次のように計算する。
ROASは、CPAとは逆に数値が高いほど、売り上げに効率よく貢献している広告であることを表す。期待していたほどの売り上げが得られていないときには、CPAと同様の改善策を実行する必要がある。CPA、ROASとも、数値を改善するためにはコンバージョンの向上が不可欠であり、ランディングページも含めて広告を見直さなければならない。
なおROASを測定するためには、販売案件ごとの売り上げを動的な値として取り込める環境を整えたうえでコンバージョン測定用タグを設置する必要があり、専門的な知識が必要だ。しかし、「固定平均値」に平均客単価を設定したコンバージョン測定用タグを使うことで、簡易的にROASを計測することもできる(画面参照)。ぜひ活用してほしい。
※上記画面はサンプルです。実際の表示とは異なる場合がありますのでご了承下さい。
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