SEO支援ツールの数々を紹介&評判管理/充実のSES London最終日レポート(後編)
セッション4
自分用のSEMツールボックス
SESの記事を書く際に、ライブブログ形式で書くのは避けるように、って言われたんだけど、この手のセッションなら、すごくいいヒントや情報がいっぱい詰まってると思うんだよね。だからどうしても避けられなかったんだ。ごめんね、Rand!
まずはトーマス・ビンドル氏による、PPCキャンペーンに使えるすばらしいツールの紹介から。トーマスはSMX Londonのとき、僕やSEOmozのジェーンと一緒にパネリストを務めたよ。
Google Sets――関連語を示してくれるのでブレーンストーミングに最適(日本語可)。
Digital Point――Wordtrackerおよびオーバーチュア(後者は地域選択可能)のクエリ結果を示すキーワード推奨ツール([Market]で「Japan」を選べば、オーバーチュア側のデータは日本語も可)。
SEO Bookのキーワードリストジェネレータ――キーワードのパターンや組み合わせの素を指定すれば、フレーズ指定や部分一致などのさまざまなパターンのキーワードリストを生成してくれる。さまざまな形に加工して、簡単にキーワード広告キャンペーンに利用できる(日本語可、英語だが解説動画あり)。
Google Hot Trends(USA)――人々が何を探しているか(あるいは探していたか)がわかる。季節的キャンペーンの計画に最適。米国のデータしかないのが残念。
Refined Labsのキーワード・ツール――トーマスが作成したツールの1つ(グーグルのアドワーズAPIを使っているが日本語不可)。
Google Trends――指定したキーワードでの検索数の時系列的な変動がグラフで見られる(日本語可)。
トーマスは他にもいくつか、キーワード広告キャンペーンの分析や改善の助けになるツールを紹介してくれたんだけど、残念ながら僕はそれを書きとめられなかった。でも、彼は本当に親切な人なので、その旨を連絡すれば、情報を送ってくれると思うよ。
それからSpyFuの説明があって、これはなんとかメモできた。SpyFuは、競合サイトがキーワード広告にどれくらいの金額を支払っているか、ある検索語にどこが入札しているかについての推計を提供してくれる(日本語不可)。
これと似たようなサービスに、GoogSpyというのもある。れは、SpyFuをより人目につかない形にしたものだ(日本語不可)。
そして最後がKeyCompeteで、これもキーワード広告キャンペーンをモニタするツールの1つだ(ブラウザの文字エンコーディングをUTF-8にすれば日本語も使えるが、データは得られない)。
ここに挙げたものの多くは、今のところ主に米国のデータしか扱っていないが、トーマスによると徐々にではあるが別の地域も加わりつつあるのは間違いないという。
次に、Trellianのマキシム・グランドチャンプ氏が演壇に立ち、彼自身のものではないツールの紹介を始めてくれたおかげで、僕の心配は吹っ飛んだ。いいぞ! まずはSE Spiderから。これを使うと、クローラーに見えているのと同じ形でサイトを「見る」ことができる。
さらに、もう少し突っ込んでやってみたい人は、テキストブラウザのLynxを使ってみるといいそうだ。これは、Flash、テーブル、フレームなど、スパイダを悩ませるようなものは一切サポートしていないので、その表示具合から多くの見識を得られる。
マキシムのプレゼンテーションの後半は、Firefox用の検索関連アドオンの紹介だ。
開発者向けのツールバーWeb Developer――画像やフレームなどを一時的に非表示化できるので、検索エンジンが見ているような形でページを見ることができる。また、ヘッダー、アウトラインフレームなど、さまざまな細かいトリックを目で捉えられるのも特長だ。
Document Map――ページ構造の概要をサイドバーに表示できる。
Live HTTP Headers――HTTPヘッダーを表示する。これも名前のまんまの機能だね。
MetaTags――サイト内のメタタグをすべてサイドバーに表示する。
グーグルのウェブマスター・ツール――これはもう説明の必要はないよね?
TrellianのKeywordDiscoveryとCompetitive Intelligence――心配しないで、マキシム。他のツールがすごく役に立つからって、この2つを紹介しないなんてことはないから!
次に登場したのはブルース・クレイ氏だ。このセッションの来場者に、彼のサイトにあるツールの60日間無料利用権を提供するという。やったね。こうして彼は自分のスピーチに観衆をぐっと引きこんでおいて、各種ツールについての自分の評価を話し始めた。ブルースが挙げたツールは、Wordtracker、KeywordDiscovery、グーグルのアドワーズ広告用ツール、SEO Bookのツールだ。その後で彼は、キーワード密度分析ツールを是非試してみるようにと言った。
ブルースの次なるお薦めは、CrazyEggだ。CrazyEggはページ上のどこでクリックが発生したのか視覚化してくれる。これがどのようにSEOに関係するのか、すぐにはわからないかもしれないが、人がどこをクリックするのかを把握すれば、直帰率を最小にできるとブルースは説明する。
彼はそれから、検索エンジンが何をサイトの主題だと仮定する可能性があるのか視覚化してくれるツールのデモを行い、僕らをからかったんだ。
続いては、リンク分析ツールの話だ(W3Cのリンクチェッカーの話もあった)。これらのツールは、グーグルの「link:」コマンドが実質的に役立たずだということを思い出させてくれた。「link:」コマンドを使うくらいなら、Yahoo! Site Explorerを使った方がはるかにましだ。
また僕らも知っているとおり、パーソナライズ検索、ソーシャル検索、ユニバーサル検索の到来と共に、検索結果の順位の意味合いが同じものではなくなってしまったとブルースは主張し、ランクに関するツールについては、1つも取り上げることさえしなかった。そして彼は、2人の人間が「Java」をキーワードに検索しているところを例にとって、行動検索(パーソナライズの究極の形)について解説した。どちらも同じキーワード「Java」で検索しているのに、片方の人は大のコーヒー好きで、もう1人はプログラムコードに興味があれば、得られる結果がまったく異なるというものだ。このことをみんなの頭に刻みこんだうえで、ブルースは僕らに、自分たちのやってる仕事の価値をクライアントあるいは上司に証明するため、リンク分析を利用するよう推奨した。初日のセッションにも参加しておいて本当によかったと思ってるよ。
セッション5
ブランドおよび評判管理
カンファレンスも終盤に来て、ためになるセッションがいくつか続いたので、このSES London 2008最後のセッションに抱く期待も大きくなっている。
トップバッターはSerengeti Communicationsのナン・ドーキンズ氏だ。まずは、検索結果にはマイナスイメージのコンテンツも現れてしまう可能性がある、という話から始まった。ナンはこのことを、Dellをこき下ろしたジェフ・ジャービス氏のブログ投稿がきっかけで起きた、有名な大騒動を例にとって示した。ただしナンは、両者が行った肯定的な面については触れなかった。
SEOを使えば、ネガティブなコンテンツの検索順位を下げられると言う人は多いだろう。けれども、ナンが指摘するように、いまや検索エンジンの数は1つではない。たとえば、だれかがYouTubeにマイナスイメージのビデオを投稿しているかもしれない。そういうものをすべて取り除こうとでもいうのだろうか? 1日が終わろうというときに、自分の製品やサービスに不満を表明している人がいると判明したとしよう。その場合おそらく、まずその不満の種を改善して、それからソーシャルメディアを利用し、消費者の意見に真摯に対応したことをアピールしなければならない。
ナンは、消費者のコメントをいち早く見つけて対応するための方法として、3つのステージを提案した。
データ検索
Technoratiのフィードなどを利用して、自社や自社の製品およびサービスに言及したコンテンツをすべて探し出す。並べ替えと分析
言及を洗い出したら、それがプラスに評価しているものか、マイナスに批判しているものか、あるいはそのどちらでもないものかを見分けなければならない。この作業には、BuzzLogic、Andiamo Systems、Sentiment Metrics、CyberAlertなどのツールが利用できる。しかしナンは、それ以上に役に立つものとして(値段もそれなりだけど)Nielsen BuzzMetrics、Cymfony、Umbria、BrandIntel、Motive Questを挙げた。データから行動に移す
このステージは自分自身の腕にかかっている。問題があるのならそれを見きわめて、その問題を解決するキャンペーンを計画する。
次はアンディ・ビール氏だ。セッションの冒頭でリー・オデン氏は、アンディが自分の著書と評判管理ツールを宣伝するためにここに来ているんだ、と冗談を飛ばし、アンディもこれを認めた。でも、アンディはとても良い人で、宣伝に2分以上費やすことはなかったよ。アンディはまた、自分がビジネスの評判について書くとき、いつも金銭授受なしで素材とアップグレードの提供を受けることが多いため、利害関係で書かないようにしており、みんなもそれに倣ってほしいと述べた。
アンディは、具体的に次のようなアドバイスを示した。
できるだけ評判を落とさないようにする方法
自分の会社の情報を探している人が、多少なりとも批判的な別のサイトに行ってしまわないよう、必ず自分のサイトに十分な情報を掲載する。話をするべきブロガーを見つける方法
Technoratiをチェックして、どの人が検索結果ページの上位に登場するか、どの人がニュースなどで引用されているかを調べる。ブロガーと接触する方法
メールを送りまくるのではなく、彼らのブログに参加する。利用するだけ利用して捨てるのもダメ。企業ブログを運営する方法
かなり昔のものだけど、Scobleizerの解説が役に立つ(ブログ「Geekなページ」に参考和訳あり)。
アンディはほかにもいろいろ話してくれたけど、最後に自分の哲学を3つの言葉でまとめた。
誠実さ、透明性、整合性
「ユニバーサル検索」とは、検索エンジンが最近増やしている、さまざまな種類のデータを検索結果に表示するスタイルの検索。
古い検索エンジンでは、検索結果ページには、該当する「ページ」の見出しと概要が並ぶだけだったが、ユニバーサル検索では、動画、写真、ニュース、ユーザレビュー、株価、地図など、あらゆる種類のデータを統合して表示する。
さて、次はグレッグ・ジャーボー氏だが、実は僕が今日聞いた中で、ユニバーサル検索に言及したのは彼が初めてなんだ。これは驚きだよね。
彼は、このユニバーサル検索という新しい検索結果の表示方法が登場したことで、ネガティブなコンテンツが以前より簡単に、しかも短期間の間に上位ランクを獲得できるようになったという事実を提示して説明した。グレッグはまた、このセオリーをEnquiroが実施した人間の視線追跡研究を引き合いに出して解説した。この研究は、さまざまなカテゴリを一括表示するユニバーサル検索において、たとえ順位が4番目でも、画像が人の目を引きつけることを示したものだ。
グレッグは、英国の政治家デレク・コンウェイ氏の例、フランスのソシエテ・ジェネラル銀行のトレーダーで巨額損失事件を起こしたジェローム・カービル氏の例、そしてShellの例などを取り上げて、いまやSEO担当者がプレスリリース関係の失態にどれほど大きな責任を負っているかを示した。ここに挙げた3例はそれぞれ、disgraced tory(不名誉なトーリー党議員)、rogue trader(悪質なトレーダー)、obscene profits(非常識な利益)という検索結果で上位ランクに出てくる。
つまり、このセッションのパネリスト3人が示す教訓は、評判管理、さらには危機管理といったことを常に考えていなければいけない、ということだと思う。もしそれをしなければ、事が起きてから何かをするには手遅れになるということだ。
全体として今回のSES Londonは、すごく役に立つおもしろいセッションが数多くあったし、非常に楽しかったと言える。初日のフレデリック・マーキニ氏のすばらしい基調講演から、最終日の午後に行われた具体的な手法が満載のセッションまで、この業界で仕事をする人間には何かしら役に立つヒントが必ずあった。最後のセッションも終わったし、次は来年だ。LondonSEOのパーティに行ってビールでも飲もうっと。乾杯!
筆者のシアランは、オンラインマーケティング代理店Altogether DigitalのSEO担当者で、ソーシャルメディア担当ディレクタを務めている。彼はようやくLondon SEOを後援できて本当に喜んでいた。
ソーシャルもやってます!