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MSのヤフー買収がもたらすものとキーワード調査の重要性/SES London2日目レポート(前編)

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この記事はもともとSEOmozのYOUmozセクションに掲載したものですが、非常に優れているのでこちらのブログに格上げしました。

検索マーケティング関連の主要イベントであるSES London 2008の2日目レポートをお届けする。

今日は、あまりにも多くのセッションがあって、来場者の頭の中が、外の天気みたいに霧でかすんでいないかと少し心配だ。というのも、2日目は、息つく暇もほとんどないほど盛りだくさんの内容が詰め込まれていたからだ。

出展者のブースやセッションを訪れる機会を、来場者にできるだけたくさん与えたいという主催者側の思惑はわかるけど、初日には休憩時間もあって比較的セッション数が少なかったことを考えると、うまいタイムテーブルの組み方だとは思えないね。

繰り返しになるから言いたくはないけど、このカンファレンスが3日間の開催じゃなくて2日間の開催だったら、もっと料金に見合った価値が提供できたんじゃないかと思う。

ニック・カー氏(とその友人たち)の基調講演

ケビン・ライアン氏は、ニック・カー氏が肺の病気のためにこのカンファレンスに出席できない、というちょっとショッキングな発表から始めた。しかし、ここ数週間の出来事(マイクロソフトとヤフーのアレとか)について議論した模様のビデオを紹介してくれた。

ニックの主張では、ヤフーに対するマイクロソフトの買収提案は「インターネットが機能する形の、そしてグローバル経済のビジネスが成立する形の大きな変化を示すものだ」ということ。中央集約的な強大な勢力の出現により、地域化された店舗の必要性がなくなり、産業革命が促進されたという流れを指摘した。彼はまた、将来のコンピューティング像について、ウェブを通じてサービスを提供する形が増えて、中央集中の形がさらに進み、その中でソフトウェア会社は、広告売上を収入源とするメディア企業的様相を強めると示唆した。

これはたしかに、おもしろい議論だ(彼の著書『Big Switch』を読めば、もっと上手い説明があると思う)。しかし、クラウドコンピューティングの考え方が最近行き詰ったという話は、ちょっと引っかかる。そうならないとは言わないまでも、ただ一部の人が思うより、もう少し長く時間がかかる可能性はあるんじゃないかな。

ニックはまた、インターネットが富の分配に及ぼす影響についても触れた。今は、YouTubeのような企業が、従業員100人にも満たないときに、10億ドル以上で買収されるような時代だ。そんな時代に、その他の者たちはいったいどうやって自分たちの利益を確保していけばいいのか。そんな疑問がわいてくる。しかし、こうしたことにも必ず穴は存在するわけで、ニックは、従業員数の割に効率の良い会社の例としてスカイプを引き合いに出した。しかしそんなスカイプにも、最近買収額10億ドルという過大評価がついたことは認めなければならない。

ニックのスピーチは明らかに挑発的な印象だったね。

◇◇◇

基調講演のなかで、マイクロソフトとヤフーの合併(それが成立したとして)が、検索およびウェブ業界全体にとってどのような意味を持つことになるか議論するパネルディスカッションが行われた。パネリストはマイク・グレハン氏を含む豪華な面々だ。

iCrossingのポール・ドールマン氏は「マイクロソフトとヤフーがすでに、いくつかの製品でマイクロソフトのソフトウェア能力とヤフーの優れたソーシャル性をなんとか組み合わせていることを考えると、実際にはこの買収がグーグルを標的にした競争目的ではないとの感触を得ているという。言い換えると、この買収は単に検索分野の側面だけじゃないということだ。

ほかのパネリストの人たちは、まったく同じ見方とは言えないものの、この買収が単に検索面だけでなく、より大きな狙いがあるとする見方には、ほぼ同意していたようだ(ただしマイクは、もし自分が各大手検索エンジンを経営すれば、人類にとって有益になるとほのめかしていたけれどね。ふーむ)。マイクが指摘するのは、グーグルがさまざまな形で公益事業を展開し、サービスを提供しているが、ヤフーとマイクロソフトはここ数年、コンテンツおよびメディア事業にもっぱら注力しているということだ。

また、ヤフーとマイクロソフトの企業文化を融合するのは、非常に難しいという点で全員の意見が一致した。ま、意見を表明するまでもなく自明のことだけどね。

もう1つ、パネリスト全員の意見が一致したのは、この買収が成立して、成功に結びつく可能性だ。つまり、ディスプレイ広告や検索広告などの形態と媒体をすべて統合して、消費者に最高となり得る体験を提供するという形においては、うまくいく可能性があるという。

Future Nowブライアン・アイゼンバーグ氏は、10年という時間があれば検索がまったく様子の違うものになる可能性が高いことを指摘し、これまでも検索エンジンが現れては消えてきたことを考えると、グーグルが永遠に市場を支配するなどという見方は、ほとんど意味がないという。

さて、だれも触れなかったのは、「ヤフー&マイクロソフト」以外の組み合わせの可能性についての話だ。ヤフーがマイクロソフトの買収提案を拒否する意思をほのめかして以来言われてきたことだね。僕は、ヤフーに対するマイクロソフト以外からの申し入れについて、どう思うかパネリストたちに質問してみた。AOLについては、だれも触れることすらなかったが、ポールとブライアンは、News Corp.との組み合わせが非常に興味深いものになり得るという意見で一致したようだ。

プライバシーの問題が持ち上がったとき、マイクが指摘したのは、現在企業は本来なら晒すべきではないデータまで、検索エンジンにクロールすることを許している点だ(こんなやつね)。またパネリストの間からは、プライバシーのことは問題の1つだが、個人情報や行動データを共有することで、より良い消費者体験につながるのならば、人々はそれを歓迎する可能性もあるという意見も出た。僕が目にしたことのある統計は、この見解を裏づけているので、必要なのは啓蒙とこの種のデータのより適切な扱い方を併せた取り組みのように思われる。

◇◇◇

さて、流れが前後するが、2つ目のセッションはあとに回して、セッション3を紹介しよう。

◇◇◇

セッション3:キーワード調査とターゲティング

この日3つめのセッションは、参加者がかなり多かった。これは間違いなくパネリストにSEO Chicksのリーザ・ディトルフセン氏がいたからだ。

このセッション一番手の講演者は、KeyRelevanceのクリスティーン・チャーチル氏だった(と少なくとも僕は思っている。だってここは暗いから、話し手の顔なんてよくわからないんだ)。クリスティーンは、自分の経験談をもとに、企業内で使っている専門用語や業界用語と同じ言葉を、ユーザーも使っていて検索に使うと思いこむことが、いかに危険なことかについて説明した。これは基本的なことなのに、あまりに多くの人たちが、自分が使っている言葉は顧客も知っているだろうと勘違いしてしまうため、繰り返し言及するに足るポイントだ。

クリスティーンが話してくれたのは、キーワード調査の実施方法に関するいくつかの基本だ。これはSEOmozだと『検索エンジン最適化の初心者ガイド』の中のキーワード調査実施方法で(もちろんほかのサイトでも)取り上げているので、ここでは触れないことにする。

ただ、僕としては、ジャーナリストは自分たちの顧客や読者のことを理解しているから、キーワードの良い情報源になる、という意見には異議を唱えたいと思う。たしかに、彼らは顧客や読者のことを良く理解している。けれど印刷媒体に文章を書くときは、その印刷媒体の中での前後関係があるから、専門用語や業界用語を使っても許される。これは、オンラインの世界だと通用しない。主題に関する情報を検索する際、キーワードとしてその言葉を使う可能性は低い、ということだ。そんなことないと思う人は、ジャーナリスト向けSEOの記事を読んでみて。

しかし、フォーラムやブログ、果てはカスタマーサービス・チームさえ掘り起こして、ほかの人が自分の会社や製品や業界をどのように表現しているか調べてみる、という彼女の提案はすばらしいものだった。

◇◇◇

Trellianのマキシム・グランドチャンプ氏も、リストの作り方や綴りを間違えた言葉のターゲティングなど、山のようなキーワード調査の基本を取り上げた。ただ、彼の話し方は(とても上手な)セールス口調だったので、Trellianが販売するツールKeywordDiscoveryにじわじわと引き込まれそうで、ちょっと怖かった。欲しくなったら君のブースに行くから、参加費が1000ポンドもするカンファレンスで、商品を僕に売りつけようとしないでくれ(僕はタダで参加したけど、それは別の話だ)。

◇◇◇

さて、いよいよリーザの登場だ。彼女はまずキーワード調査方法の説明から始めて、調査データの活用方法へと話を移していった。

リーザによると、キーワード調査を実行することで、競合するとは思ってもみなかったサイトや企業が、浮かび上がってくることもあるという。オフラインの競争相手が、必ずしもオンラインでの競争相手とは限らない(実際、オンラインの競争性が高い分野において、機転の利く小さな新興企業が主導権を握るのはよくある話だ)。またリーザは、metaタグやtitleタグにおけるキーワードの使い方に注意していないと、キーワード調査が無駄になることもあると指摘した。結局のところ、metaタグやtitleタグが検索結果ページの主要部分を構成することになるわけだから、どのような意図や目的であれ、metaタグとtitleタグは無料の広告になるということだ。したがって、これらは確実にユニークかつユーザーの心に響くものにしなければならない。

◇◇◇

最後の講演者は、マイクロソフトadCenterのトー・クロカット氏だ。彼女のことは、MIVA(元Espotting)に所属していた頃から知っている。驚くほど知的で、いつもPowerPointを使ったすばらしいプレゼンテーションを行うんだ。

彼女はまず、キーワード調査が重要な理由を説明し、これまでの人とはまったく違う彼女なりの形で、話を進めていった。検索が本質的にプッシュ型ではなくプル型の媒体だという事実を、「関連性」という考え方とは表裏一体だと説明するやり方は、すべてをコンテキストの中に入れて考えるすばらしい方法だ。一方、彼女のキーワードに関する代数学は完ぺきなのだが、僕にはあまりに複雑すぎて、ちょっとここでは説明できない。できれば、直接彼女の話を聞いたほうがいいと思う。

ほかにもトーは、自分のねらうキーワードが別の業界にどうまたがっているのか注意を払わない場合の危険性についても説明した(わかりやすい例として、フランスのベルジュラックのホテル経営者が、同名の英国のテレビ番組を検索している人たちのトラフィックに困惑した、という話がある)。単一の検索フレーズが、複数の要素からなることにも注意を払う必要がある。そうしたキーワードは、それぞれに意味を持つので、キーワード挿入ツールを使うときには慎重を要する。

SESのイベントは、多種多様な能力と経験レベルに訴求すべきだと僕は理解しているのだけど、トーのプレゼンテーションは、複雑さ(それと品質)について僕とは異なる尺度に基づいていたので、僕は彼女が彼女自身にセッションを行うところを見たいと思った。そして、このテーマについて彼女にもっと時間が与えられていたら、そうしたセッションの聴衆はきっと、すばらしい恩恵にあずかれたと思う。

彼女のプレゼンテーションに続いて、このセッションの司会進行役が登場し、「学生時代に、トーが文法の先生だったらよかったと思いませんか?」と問いかけた。僕は心からそう思う。そして、できることなら今でもトーを先生に迎えたい人はこの会場にたくさんいると思う。

筆者のシアランは、オンラインマーケティング代理店Altogether DigitalのSEOで、ソーシャルメディア担当ディレクターを務めている。シアランにも、マイクロソフトとヤフーの買収合併について彼なりの意見があったが、その話で退屈させるつもりはないようだ。

SES London2日目のセッションから、まずはマイクロソフトのヤフー買収話とキーワード調査のセッションの模様をレポートした。後編ではプレスリリース最適化に関するセッションを紹介する。→「SEOとプレスリリース・ニュースリリース最適化/SES London2日目レポート(後編)」を読む

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