動的サイトにおけるSEOの施策/充実のSES London最終日レポート(前編)
どうしても抜けられないクライアントの会議があって、「SES London 2008」最終日の最初のセッションを聞き逃しちゃった。何人かに聞いた話だと、とてもすばらしい内容だったらしくて、すごく残念。あとは、今日の残りのセッションがそれと同じくらい充実した内容であることを祈るばかりだ。
セッション2
動的ウェブサイト応用編
SEOの世界にオールスターチームのようなものがあるとすれば、それはおそらく、このセッションのパネリストたちだといっていいだろう。その顔ぶれを紹介すると
- ミッケル・デミブ・スベンゼン氏
- ラルフ・テトマイヤー氏
- ジェイク・ベイリー氏(このセッションが行われていた会場はすごく暗かったから、スピーカーの中にジェイクがいないみたいだとわかるまでに20分もかかった)
- マイク・グレハン氏
- クリスジャーン・マー・ホークソン氏
マイクがいうように、長年の経験もさることながら、彼らは、動的なウェブサイトを対象としたSEOの問題に対して真に国際的な識見をも提供してくれる。
ミッケルはまず、動的なウェブサイト一般に存在する問題を取り上げた。その解説の仕方は、シンプルかつ視覚に訴える、本当にすばらしい方法だった。彼の指摘したポイントで「よくぞ言ってくれた」と思ったのは、動的なサイトの要求仕様が、SEOへの配慮を欠いたまま、マーケティング担当者によってまとめられ、開発者によって実装されている場合がよくある、ということだ。
その結果どうなるかというと、邪魔なものだらけの恐ろしく複雑なサイトができ上がって、結局、スパイダ(クローラ)が中に入れない事態を招いてしまう。彼は、データベースを使うこと、動的サイトでよくみるパラメータ(「?」に続く引数)付きのURLを使うこと自体に問題があるわけではないという。問題はその使い方にあるんだ。
では、どんなことに気をつけなければならないのだろうか? 注意しなければならないポイントはたくさんあるが、その一部を以下に挙げておいた。
- 長すぎるURL
- 複製コンテンツ
- セッションID
- 検索エンジンと親和性の低い技術(Ajax)
- スパイダトラップ
- サーバーのダウンタイム
- Flash、JavaScript
- パーソナライズ機能/地域ターゲティング(コンテンツにはノーマルバージョンも必ず用意すること)
- フォームおよびフォームベースのナビゲーション
ミッケルは、折り合いをつける方法を次のように表現して、このセッションのスピーチを終えた。
修正を試みよう。それができない場合は、橋渡しとなるレイヤーをシステムに加えてみるといい。それでもダメなら、コンテンツをもっと洗練された形で複製できないか、考えよう。
ミッケルのスピーチが終わると、マイクが登場して、今日がミッケルの誕生日であることを告げた。この場を借りてミッケルにお祝いの言葉を言うよ。ミッケルにすばらしいことが起こりますように。
次はラルフだ。テーマは、動的なサイトの最適化におけるサイト内リンクの使い方。これは、動的なサイトが直面する問題の中でも僕が重要な役割を果たすと考える問題だ。特に、ページが補足インデックスに入っているときは(たとえ補足インデックスなどもう存在しないとマット・カッツが言っても)、なおさらこれが重要になってくる。そして、ラルフも僕と同意見のようだ(ま、僕のことはどうでもいいとして)。
ラルフは、このような問題を確実に認識して修正するには、次のような手順に従うのがいいと言っている。
- サイト全体をクロールする
クライアントの技術チームに、自分がサイト全体をクロールしようとしていることをきちんと伝え、かつ、トラフィックが突発的に多くなったとしても、それがクライアントとって過度な負担になるようなやり方はしない、ということを確実に理解してもらう。
- 徹底的にリンク分析する
サイト上にどれだけページがあるかを調べる。複製ページなのか、複製URLなのか、孤立したページなのかどうかは関係ない。そして、現在あるリンクの種類と数を把握するとともに、サイト構造とPageRankの分散状況をチェックする。
- 代替シナリオを考える
ユーザビリティ、アクセス性、デザイン、コンテンツ管理システムの問題など、さまざまな要素を考慮に入れる。ただし、これらの点は、最終的にどこかで妥協しなければならない可能性もある。
- 改良提案をする
好ましいリンク構造、URL最適化、アンカーテキストの改良、PageRankの受け渡し、サイト外へのリンクに対処する方法など、サイト分析の結果浮上したポイントすべてを網羅した提案を作成する。
- 方針決定
技術チーム、システム管理者、マーケティング担当者、デザイナーなど、すべての関係者に意見を聞く。
- 実行
あとは実行あるのみ!
ラルフはそれから、考え得る構造について一通りおさらいした。これは、僕がここで要約するよう強く求められたポイントだ。早い話が、リンクの構造化についてはできるだけ多くの可能性を検討し、方針を決定する前にそれをすべて分析してみなければならない、ということだ。
クリスジャーンは、主な検索エンジンがいまや、動的サイトに関する問題についてのアドバイスを数多く提供してくれるようになった点を指摘し、これはスパイダだけに限った話ではないと主張する。
ではここで問題。君なら、以下の2つのURLのうち、どちらをクリックする可能性が高い?
- www.example.com/ghghghg&ghgt//*?y.asp
- www.example.com/stuff/really-interesting-stuff
そう、その通り。僕も同じだ。
クリスジャーンは、ほんのちょっとした変更がインデックス化やランキングをはじめ、トラフィックとか売上にいかに大きな影響を与えるか、ということがよくわかる、信じられないような事例をいくつか示した。
このセッションの情報レベルはすばらしかった。振り返ってみると、僕は今まで、こうした戦術的な情報をきちんと活用したことはほとんどなかった。これは、戦術的な情報に具体的な事例をうまく組み合わせて説明すれば、セッションの出席者にすばらしい価値を提供できることを示した良い例だ。
クリスジャーンが指摘したことは、SEOの経験が浅い人にも自明のことのように思えるものだったけれども、実際には多くの人が、まだこうした問題を考えてみることさえしていない。それで僕らの仕事が増えているんだという事実も、今回の事例研究ではっきり見えてきたよ!
SES London最終日セッションレポートの第1弾はここまで。次回のレポートでは、法的な規制や業界規制に対してSEO担当者がいかに取り組むべきかという話題のセッションを取り上げる。
→「規制の厳しい業界のSEO/充実のSES London最終日レポート(中編)」を読む
→「SEO支援ツールの数々を紹介&評判管理/充実のSES London最終日レポート(後編)」を読む
筆者のシアランは、オンラインマーケティング代理店Altogether DigitalのSEO担当者で、ソーシャルメディア担当ディレクタを務めている。彼はようやくLondon SEOを後援できて本当に喜んでいた。
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