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業界の中心イベント「PubCon」初日のセッションレポート

12月に開催された、SEOをはじめとする検索マーケティングを中心にネットマーケティングを扱う大規模イベント「PubCon」のレポートだ。ジェーンが書いてくれた前回のレポートの続きだ。

ジェーンが席を離れなくちゃならなかったためにレポートを書けなかったリンクビルディングのセッションに、僕も参加していたんだ。ここで念を押しておきたい。僕はこれらセッションの詳細を記述するつもりはない(口述記録といえるほどの実況ブログを書いている人がたくさんいるしね)けれど、代わりに全般的な印象と最も良かった部分について書いていこうと思う。

リンクビルディングキャンペーンとその戦略

このプレゼンについては、前回ジェーンがほんのさわりだけ書いていたけど、その内容は極めて標準的な問題だ。ジム・ボイキン氏は、リンクビルディングを実施する際の基本的な方法(こちらでディレクトリ、あちらでフォーラム参加、そしてリンクを依頼するという苦労の多い時間のかかる作業)について説明した。その内容は必ずしも目新しいものじゃなかったけれど、たとえありふれた話でも、それらの方法を役に立たないものだと軽視するのは浅はかだと、巧みに語っていた。

グレッグ・ハートネット氏は、ディレクトリのリンク価値について、実に楽しく熱弁をふるっていた。以前Randは、ディレクトリの多くが価値のないものだと発言して数多くの非難を浴びたけれど、ディレクトリBest of The Web社長のグレッグがその意見におおむね同意したのは、良かった点だ。もし効果的なディレクトリのリンクが欲しければ、良好な経歴を持ち適切な編集管理が行き届き、編集担当による検討が行われているディレクトリを探す必要がある。ディレクトリからベイト的なトラフィックは期待できず、獲得できるフローもごくわずかだが、そのトラフィックはターゲット化適性とコンバージョン率が高いことが多い。

グレッグはDMOZにエールを送ることでプレゼンを締めくくった。時折発生する不正問題にもかかわらず、同ディレクトリは価値のあるリソースで、運営もおおむね良好だと彼は示唆した。その点について、この日僕が一番気に入った言葉、すなわち「現在、猛烈な反商業主義の元東ドイツ共産党司書官たちがODP(Open Directory Project)を運営している。それが問題だ」という発言に、ODPの創設者でセッションの司会を務めたクリス・トレス氏は頷いていたけど、これはジョークでも何でもない。もしDMOZに登録しようとしたとき、ナチスに追い立てられるインディ・ジョーンズのように、登録の輪から追い出されたと感じたことがあるなら、それは以上のような理由のせいだ。

続いてレイ・ホフマン氏は、リンク構築におけるアウトソースと雇用に関して、とても有益な「べし・べからず集」でプレゼンの口火を切った。レイのプレゼンは彼女のブログにも載るので、リンクビルディングに携わる新たな人材を求めている人たちは、請負業者や担当従業員候補に対してどんなこと聞けばいいのか、レイの作ったすばらしい設問に目を通してみることをお奨めするよ。これらの質問によって、多くの悩みが解決する。

レイは、リンクビルディングやリンク購入に関する良い業者選択の指標として、繰り返しカンファレンスのスポンサーになっていることに目を向けるよう提案したが、僕としては、ちょっと賛同しかねる。カンファレンスのスポンサーすべてが疑わしいとは言わないけれど、いつもカンファレンスに名を刻んでいるText Link Adsが、Text Link Brokersと共にその規模の大きさと半ば制限のないリンク枠から、効果よりも害を与えているとして、パネル全員がみんな非難したことを考えざるを得ない。

最後にロジャー・モンティ氏が、「リンクビルディングの別の手段」で締めくくった。その内容は、リンク購入の初級講座といえるもので、関連性のあるサイトと1対1のリンク購入を交渉するという話だ(ヒント:相応の金額の年払いで交渉すること。月ごとの支払いは避けよう)。特に司会のクリスなどパネラーの多くは、中傷を受けがちなリンク購入手法について、ロジャーが大っぴらに話していることを少々不快に感じたようで、クリスは「ロジャーの言っているやり方では、ペナルティを科されてしまう」と率直な意見を出していた。おそらく、その通りだ。でもリンク購入のセッションについては後段で触れるので、後ほど詳しく話したいと思う。

レイは「サイトの関連性」に関して優れた指摘を行った。ロジャーは、旅行関係のサイトは料理のサイトにリンクを求めるべきではないといった業界の常識に触れたけど、それに対してレイは、タイに関する旅行サイトの場合、強力な料理サイト向けに本物のタイ料理に関するコンテンツを提供することで、有利に働き得ると説明した。関連性に関しては、枠にとらわれないことが必要なんだ。

このセッションを総論的にまとめると、リンクビルディングはつまらなくて退屈で、時間も掛かる作業だが、多くのウェブマスターおよびSEO担当者にとって、その重要性は非常に大きく、それゆえに慎重かつ注意深く、根気を持って取り組もうというものだ。

ラルフ・ウィルソン博士の電子メールマーケティング

電子メールマーケティングのパネラーの間で、それほど多くの論争は起きていない。ラルフ博士はこの方面で最も人望を集める人物の1人で、彼が自ら語った以上、激しい論争は見込めない。電子メールは数ある手段の中でも、最高の投資利益率(ROI)をもたらす広告手法の1つなので、書式と配信問題が何より大事な点だ。

当たり前のことだが、HTML形式のメールはテキスト形式のメールに比べ、クリック率が2~3倍高いが、一部のスパムフィルタや企業のメールボックス制御メカニズムを通過するには、マルチパートMIMEを使った方が良い。画像の使用は控えめに、そしてコンテンツは短く簡潔にまとめ、必要ならば完全版コンテンツへのリンクを添えるべきだ。

このセッションにおける最大のテーマは、メールの承諾についてだった。特にCAN-SPAM法のオプトアウト要件などを考えた場合、チェックボックスによる承諾意思確認を、あらかじめ承諾する設定にしておくべきか否か、まばらな聴衆から論じる声が上がった。承諾意思確認のチェックボックスを空白にしておけば、ユーザー体験的には相手を尊重する格好となるが、逆にすれば、より大規模な(しかしおそらくは質の低い)配信先リストを構築する上で明らかに都合が良い。

このテーマで紹介できるもっと興味深い内容があれば良かったんだけど、残念ながらそれは叶わないんだ。だから、もう少しわくわくするテーマに移ろうと思う。

リンク購入

Googleのせいで、PageRankがSEO関係者を混乱させていることや、マッカーシズムのような恐怖、不安、疑念の空気が検索業界を捉えていたこともあり、リンク購入がしばらく前から大きな話題となっていたことはご存知のとおりだ。まるで猫を愛するメガネを掛けたドン・コルレオーネ(映画「ゴッドファーザー」のマフィアの大ボス)のように、部屋の奥で祭り上げられたマット・カッツ氏の幻影が、Randをはじめ、ジム・ボイキン氏、ジョン・レスノー氏アーロン・ウォール氏によるリンク購入の活発な議論を促した。

リンク売買サービス会社LinkXLのジョン・レスノー氏は、あまりにも見え透いたリンク購入に対する警告といった内容の簡単なプレゼンから開始した。リンクの購入があまりに明白な感じだと役に立たない。もし可能ならば、ばれないように。

これまではすばらしかったアーロン・ウォール氏だが、明白なリンク購入の代案を示した弱腰のプレゼンは期待外れだった。その代案とは、いわゆる自然発生的なリンクビルディングだ。その内容は基本的に、ロジャー・モンティ氏がリンクビルディングのセッションで行ったリンク購入のプレゼンを真逆にしたような、Bizarro(正義の味方スーパーマンと真逆の存在)の世界的といえるものだ。ただアーロン氏は、特にメディアの視点から、あるテーマに関する専門的な情報源となるために、質の高いコンテンツにアドワーズ広告を購入するといった、興味深い戦略もいくつか紹介していた。

先に行われたリンクビルディングのセッションで、セッション当日の朝までプレゼンの内容すらまとめていなかったと観衆に語ったジム・ボイキン氏だったが(ひどく無責任な大ぼらふきの態度だった)、このリンク購入のセッションでは、リンク購入の危険性について、すばらしく内容の充実したとてつもなく有益な講演を行った――プレゼン素材もまったくなしで、ほとんどの意図的に構築されたリンクは有料であることを45秒ほどで大まかに示唆した。好意的に解釈すると、彼はこのセッションのパネラーにぎりぎりになってから選ばれたのかもしれない(しかしそれはちょっと疑わしい。だって彼の名前はカンファレンス案内の印刷物に載ってるし)。何にせよ、この種のパフォーマンスは失礼にあたる。聴衆はたくさんのお金を払ってこのイベントに参加し、これらのプレゼンを見ているんだ。講演者がお金を受け取っていないことは知っているが、セッションに参加すると同意したのに、何も用意せずに現れるのは、僕の控えめな意見を言わせてもらえばナンセンスだと思う。ジムは利口な男だし、僕も彼がとても好きだけど、もっとしっかりやろうよ。

たぶん、前のパネラーたちの内容がちょっと貧弱だったのは、このパネルが“Rand Fishkinショー”になることを知っていたからだろう。たしかに僕はRandと一緒に働いているからおべんちゃらのように感じるかもしれないけど、彼のプレゼンはすばらしかった。

まずは理想的なウェブサイトと、金銭的な影響を考慮した現実的なウェブサイトの対比を表現したすばらしい説明図から始まった。そして、検索エンジンがこれほど有料リンクの取り締まりに関心を持つ理由(それによってよりすばらしい検索体験をもたらし、市場シェアを拡大できると検索エンジン側は考えている)と、何が許容範囲内にあると見なされる(あるいは少なくともばれない)のか分析を試みた。これらは、グーグルのマット・カッツ氏やマイクロソフトのエイタン・シードマン氏と交わした話に基づいたものだった。内容としては、一般に公開されリンク枠の調達が容易で、すでに検索エンジンの探知網に引っかかっているリンクブローカーを使うのは避けること。そしてそうした探知網をかいくぐっているブローカーや、1対1のリンク購入、ビジネス上の関係から生まれる副次的な結果としてのリンクを利用することだ。

Randは、公明正大で編集管理を徹底したリンク売買市場の必要性を提案し、プレゼンを締めくくった。それは、現在の有料レビューおよびブログサービスに似た性質を持ち、さらに透明性が高く、マット・カッツ氏がしょっちゅう言及するYahoo!のディレクトリのような、編集の目が行き届いた有料リンクが常に認められる売買市場のことだ。

質疑応答コーナーは、進行役のデトレブ・ジョンソン氏がこのテーマについて明らかに何か言いたそうで(そしてRandが何回も聴衆に呼びかけ、デトレブ氏の進行役としての役目を奪ってしまい、ちょっとイラついているのが明らかで)、とてもおもしろかった。デトレブ氏は、リンク購入が犯罪ではないと強く主張していた。グーグルは法律じゃないし、リンクに関してこれほどの力を持つべきではないということだ。聴衆の1人のジェイソン氏は、デトレブ氏の意見が正しいとグーグルに反発していた。グーグルは政府でもなく、法律でもなく、規制当局でもなく、1つのウェブサーブ椅子に過ぎず、彼らがどんな方針でサイトを運営しようが、知ったことじゃないというものだ。またジェイソン氏は、米連邦通信委員会(FCC)による規制案の類について、それがばかげたことだとも語っていた。なぜなら、FCCは米国の行政機関で、グーグルは米国の企業だが世界規模のコミュニティが用いるものだからだそうだ。

新しいサイトが認知度を集めるための跳躍板として、リンクを購入する必要がどの程度あるのかについても、たくさんの議論があった。リンク購入の後は、新鮮味こそないものの、検索結果で上位にランクできるほどのリンク人気を持つ古いサイトと同じように、自然発生的なリンクを構築し、楽に評価を得ることができる。デトレブ氏は、リンク購入が有効手段になるにはまだ数年かかると述べ、ステファン・スペンサー氏はこれから5年間、リンク購入がウェブサイトに悪影響を与えると主張した。僕としてはこうした議論を聞くにつけ、検索エンジンが検索結果を時宜に応じていて関連性が高く、「善きもの」にしておくためには、時間的リンク分析とランキングをより強化していく必要があると、思わざるを得なかった。

ある聴衆は、だれがリンクを購入したかだけが問題になるのかと質問していた。もし良質サイトのみがリンク購入を行っていたら、問題となるのだろうか? PPCを展開しているサイトは、それ以外のサイトすべての取り組みを無効にしてしまうのか? そういったことは確かに要因の1つとなるかもしれない。それこそLinkExpertsのCEOを務めるセス・ベスマートニク氏が、リンク購入に関する基準と実行権威の必要性を提案する理由だ。こうした基準と権威は、品質管理と許容可能な実行方法に関するポリシーの策定を支えることになるだろう。うまく行けば、検索エンジンとも連携することになる。僕としては、おそらく遠くない将来にこうした要素が不可欠になるという印象を持った。

全般的に見て、Randが議論を独占してしまい、少し出過ぎた感じだったが(彼は少々興奮してしまうときがしばしばある)、これは非常に活発なセッションだった。いずれもセッションのテーマに沿った、すばらしい議論や優れたアイデアがいくつも出た。もちろん、僕らはみなグーグルに翻弄されているのだけど、最終的にグーグルが態度を変えて、他のみんながすでに行っていることを認めてほしいと思う。グーグルがリンクに基づいて検索結果を提示する限り、ウェブはリンクを基盤とした経済圏となるのだし、リンクの価値は売買に値するものなのだから。

以上が僕のPubConに関する記事さ。サラとジェフが2日目のセッションを、そしてレベッカとメルも3日目のセッションについて記事を投稿する予定だ。これまでのところ今回のカンファレンスはすばらしく、あとの2日間に関しても同じように有益で楽しいものになると思う。読んでくれてありがとう!

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