GoogleがSEO目的のディレクトリにペナルティ――どんなサイトがなぜ罰せられたのか? 対策は?
2週間前、Googleは雑多なトピックを集めるウェブディレクトリの多くに対して厳しい措置を取った。
当然のことながら、それに対して、いつものように各所のフォーラムで騒動が起こり、ウェブディレクトリのオーナーからブログ投稿が相次いだ。
僕を非難するSphinnへの投稿まで現れた。これは腹を抱えて笑ってしまうほどひどかったけどね。
これらのディレクトリはいずれも、もはやそれぞれの商標名でランクに入っていない。(リンク購入を黙認している)Rand Fishkinはディレクトリが嫌いだから、お仲間のMatt Cuttsに文句を言い続け、それを受けてMattは多数の主要ディレクトリに手作業でペナルティを加えたのだ。
さて今回は、Googleがどのようにして、またなぜこのような行動に出たのか、真剣に考えてみたい。同時に、将来ディレクトリを立ち上げる人へのアドバイスもいくつか挙げてみたい。
では最初に、ペナルティを受けたディレクトリについて検証しよう。次に示したリストは完全なものじゃない(他に知っているものがあればコメントで挙げてほしい)が、罰を受けたドメイン名の実例を表すものとしては悪くない。
- AvivaDirectory.com
- AliveDirectory.com
- Haabaa.com
- DirectoryDump.com
- BigWebLinks.com
- ElegantDirectory.com
- eWebPages.org
- LinkBook.org
- Trincas.org
- CBravo.com
- CDHNow.com
- FreeWebIndex.com
- Mingleon.com
- PremiumDir.com
- Submission4u.com
- Aerospect.com
- Bakie.com
- LinkForever.net
- LinksArena.com
- LinksFactory.net
- LinksHolder.com
- WebVerve.com
- Wezp.com
- BestInternetResource.info
- DirSpace.com
- Eonte.com
- Frogengine.com
- LinkLister.co.uk
- LinkVerve.com
- LivelyDirectory.com
- Submitdotcom.com
なぜこれらのサイトがペナルティを受けたかわかるのかって? 多くの場合、検索結果がいい証拠になる。Alive Web Directoryなどのサイトでは、次のような構図が成り立っている。
- 「alive directory」で上位に現れない。
- 「alivedirectory」で上位に現れない。
- 「alive web directory - internet site resources powerful human edited web directory」で上位に現れない(titleタグとmeta descriptionで使われている単語)。
- 「alivedirectory.com」では1位になる(従って、まだ検索インデックスには存在する。それにサイトリンクも得ている ― 後々誰かがサイトリンクは信用度の高さを示すものだと言い出したら、このことを思い出すといい)。
という訳で、ざっと検索してみた。「avivadirectory」「aviva directory」「haabaa」「haabaa directory」「directorydump」「bigweblinks」「elegantdirectory」「elegant directory」「ewebpages org」「ewebpages web directory & catalog」などなど、上に挙げたディレクトリについて一通りやってみたんだ。パターンはどれも同じだった。そのサイトの名前ではランクに入っていない。たとえ、そこのホームページの中から取った語句を検索フレーズに加えてもね。ランクに現れたのは、そのドメイン名で検索したときだけだった。賭けていいけど(何なら大金でも)、これらのドメイン名はGoogle経由のトラフィックがあったとしてもごくわずかで、これらのディレクトリにあるリンクには、現在のところ価値がない。
それはなぜか?
明らかな操作的ディレクトリが持つ特徴を備えているからだ(これを今回の題名にしようかと思ったんだけど、ちょっと強すぎるかと判断してやめた)。
雑多な主題
これ自体は特段悪いことじゃないが、確かに操作的なディレクトリになりがちな兆候だといえる。雑多な主題を集めたディレクトリの中には、Googleが重視したいと考えるだろう優れたもの(Lii、Yahoo!、DMOZ)もあるけれど、潜在的な売上を最大化する目的だけで(誰でも登録できるからね)、雑多なトピックを扱っているところがはるかに多い。誰でも登録できる
質の低いスパムサイトがディレクトリに入り込まないよう選別しないと、出来の悪いアルゴリズムにも見抜かれて、そのディレクトリ自体が検索インデックスから削除されてしまう。それにGoogleはここ数年、質の悪いリンクや悪質な隣接サイトにご立腹で、そのようなサイトにリンクしているのをスパム識別のしるしとして捉えている。ウェブマスターたちに対するマーケティング
Digitalpointフォーラムで使っている署名(ステレオタイプでごめん、でも本当によく当てはまるんだもの)に、所有するディレクトリのリンクが3つほども書いてあったら、明らかに操作的なディレクトリを3つ持っていると想定せざるを得ない。いくつか例外もあるだろうが、もし僕がMatt Cuttsだったら、数日かけてDigitalpointからディレクトリドメイン名をくまなく探すよう、品質管理担当に命じるだろう。トラフィックではなく、検索エンジンリンクの価値を謳う
上に挙げたドメイン名の大多数は、それぞれのディレクトリの説明として「検索エンジンに最適化済み」とか「高いPageRank」とか「上位ランク入り」などの文言を使っている。繰り返すが、これはディレクトリ登録の販売ではなく、検索エンジンにおけるランク操作と受け取れるリンク販売の明確な兆候と言える。操作的リンクビルディングの使用
テーマを限定しないディレクトリの業界は、ツールバーのPageRank値が自慢のようで、多数のディレクトリオーナーが、非常に怪しいリンクビルディング手法を行っている。スポンサー付きブログテンプレート、低級なディレクトリでのリンク購入(そう、これをうまく皮肉るのはおもしろい)、くだらないプレスリリースの発表、リンクを渡すアフィリエイトプログラム、署名内リンクを認めるウェブマスターフォーラムへの参加、などなど。リンクとコンテンツを「自然発生的」に見せかける
政府や教育リソースのウェブサイトとか、大手メディアサイトへのリンクを追加するなどして、多くのディレクトリオーナーが自然さを「訴求」しようと取り組んでいるのを見るにつけ、実に気分が滅入る。多くの場合、この「自然に見せかけた」ものと本当に自然に作られたディレクトリを見分けるのは至極簡単で、だいたいはカテゴリから判断できる。たとえば、社会科学のセクションには少数の素晴らしいサイトが並ぶが、Minnesota DUI Lawyers(ミネソタ 飲酒運転 弁護士)のページはちょっと変に見える。「プレミアム」スポンサーの設定
高い料金で「追加リンク」を提供したり、ページ内の良い場所に置けるようにしたり、全カテゴリからのリンクを保証しているディレクトリの場合、近日中にGoogleのスパム対策チームから電話がかかってくると覚悟すべきだ。他のディレクトリとの相互リンク
あるディレクトリから、別のディレクトリと抱き合わせで「まとめて安く」リンクを購入できるとしたら、それに20ドルを支払うよりも、その紙幣を燃やして暖でも取るほうがましだ(もしくは、19カナダドルに両替するか)。共通の人気リンク
ディレクトリの「最近追加されたリンク」を見て、そこに美容整形とか、インターネットカジノサイトとか、イギリス抵当財産とか、ペンシルバニアの医療保険業者とかが並んでいる場合、まともで自尊心のある検索エンジンなら、そのリンクの価値を今すぐにでも引き下げたいだろうと、個人的には割と確信できる。リンクへの入札
これは僕が最近見た中で、最もあからさまなリンク操作に違いない。率直に考えて、検索エンジンがこんなのを有効なものと見なすと思う? スパムのeBayみたいなものだ。マイナスのフィードバックがないだけ。アンカーテキストの選択によるリンク操作
説明するまでもないが、アンカーテキストを選択できて、登録リンクから自分のドメイン名の複数ページを指し示せるとしたら、そのディレクトリは人間が使うことを意図していないのは、実に明らかじゃないか。SEOサイトにバナー広告を掲載するディレクトリ
これは旗を振りながら風力発電式のスピーカーで、「僕を追放して!」と連呼しているようなもの。もちろん、クリックとお金と登録を得ることはできるだろうが、検索エンジンの品質管理担当もSEO関係のブログを読んでいると知るべきだ。つまり、こういうことをすれば、検索エンジンの担当者が手作業でそのディレクトリのチェックに入る、ということ。相互リンクの要求
あるディレクトリが、登録にあたってそのディレクトリへのリンクを要求したり、登録料金の割引や無料登録の条件として、別サイトにリンクすることを要求している場合、リンクを通じて検索ランク操作を狙っているのは、ほぼ間違いない。登録リンクのアンカーテキストを自由に選択できる
自由に選択という言葉の響きから感じる楽しさには程遠い話で、このことが意味するのは、そのディレクトリが「操作的かつランク獲得目的専用のもので、人間用のものじゃない」ということだ。DMOZやYahoo!など、多数のもっと真っ当なディレクトリでは、登録の際にアンカーテキストを選ぶことはできず、社名やサイト説明しか使えない。4~5ページへのリンクを登録でき、その際にアンカーテキストを選べるとしたら、そのディレクトリはかなりひどいと言わざるを得ない。
しかし少々理解に苦しむ点がある。なぜこれら50サイトなんだろう? なぜGoogleは数十のディレクトリ(いや数百かもしれない、僕はたぶん全部把握していないだろうから)にペナルティを与えながら、低級で明らかに操作的な多数のサイトを放置しているのだろうか?
放置したわけじゃない可能性はある。Googleは、他の多くのディレクトリにもリンクジュースの受け渡し能力を消すことでペナルティを与えたのかもしれない。でも、今のところそのようには見えない。怪しいリンクビルディングを手がける少数の友人から聞いたのだが、彼らは競争率がそこそこの語句(たいていは地域を示す修飾語を含む)について、数百のディレクトリリンクを購入するだけで、いまだにトップランクを得ているという。ちょっと高くつくが、まだこの方法は健在だ。そしてそれが根本的な問題なんだ。
記録のために書いておこう。Google(とYahoo!とMSN/Live)が馬鹿正直にディレクトリのリンクを根拠にしてサイトやページのランキングを決めている限り、ディレクトリ業界はなくならない。検索エンジンが有料リンクや操作的ディレクトリを真剣に問題にしたいなら、主題が雑多な数千のディレクトリに厳しく対処しなければならなくなるだろう。そうして初めて、検索エンジンはこの分野で真の信頼性を標榜できる。それまで検索エンジンが科すペナルティは、リンク購入を思いとどまらせたり、うまく行けばそのディレクトリがペナルティを受けているのかわからないという理由で、事情に明るくない人にお金を払いにくくさせるだけの、不安を煽るものに過ぎない。そして、動向を追いかけている人のために、Googleなどの検索エンジンはSOCEngineのようなディレクトリに対し、絶対にペナルティを与えるべきだと思う(長年の読者は思い出したかもしれないけど、SOCEngineはSEOmozが2004年に立ち上げたけれども、ここ数年活動を停止しているディレクトリだ。何て言えばいいのかな、この僕ですら、かつてはディレクトリでラクに稼ごうかなって、魔が差したわけ)。
ディレクトリ問題についてもう1つ。Aliveのようなディレクトリにペナルティを与えておきながら、ツールバーのPageRankが6/10のままでは、多くの人のリンク購入を思いとどまらせることはできないだろう。Googleにとって、ディレクトリオーナーにGoogleのインデックスは操作できないと知らしめることの方が大事かもしれないけど、個人的には、十分な知識を持っていないウェブマスターや企業が、ディレクトリリンクの購入を検索マーケティング的に良い方法だと勘違いしてしまうことにも気を配ってほしい。ツールバーのPageRankで裏書きを与えてしまっては、リンク購入者が実際に検索してそのディレクトリが出てこないのに気付き、その価値を正しく推測するなんてことは期待できない。
終わる前に、この記事のもう1つの大きなテーマ、良いディレクトリとはどんなものか、についても触れなきゃね。
答は、「上に挙げたやり方の真逆を行け」のように簡単ではないけれど、手始めとしては悪くない。ディレクトリを再構築したい、新しい試みに挑戦したい、そして真に価値の高いリソースを構築したいと願うディレクトリ作成者にとって、役に立つヒントを挙げていこう。
ニッチから始めよう
自分が本当に興味を持つテーマを見つけよう。鳥でも、ルーターでも、オンライン衣料販売でも。ディレクトリを作るだけじゃダメ
ブログ投稿や、記事、ツール、リソースリスト、チャート、図表、調査的な情報収集などの形で、自分のテーマに関する優れたコンテンツをサイトに載せよう。自分が選んだニッチ分野のサイトを論評してみよう
ただし、これはお願いだから、本当に推薦したいものだけを載せてほしい。なぜ登録しているのか、理由を示そう
現実世界で、自分のテーマに興味を持つ趣味仲間や研究者がいると考えてみよう。その人と膝を突き合わせ、ノートパソコンを見せながら、なぜそのサイトをディレクトリに入れたのか説明できないなら、決して登録してはいけない。トリックやリンクジュースを提供しない
ディレクトリには、自分のテーマに本当に興味のある人間が読み、利用して楽しむサイトを載せる。検索エンジンにおける価値のためにリンクを売るようになったら、もうその先はない。闇の利益は手に入るだろうし、リンクを求めてやって来る人の多くは、その点を期待しているだろうけど、将来的なペナルティや地位の低下を本当に避けたいなら、そこに力を入れてはいけない。
最後に、高品質かつ堅実で、長期的に価値を高めてくれるディレクトリリンクを探している人へのアドバイスで話を締めくくろう。
確かに簡単な仕事ではないが、登録に値するすばらしいディレクトリは、数万と言わないまでも、数十サイトは存在する。一般に、先に示したディレクトリとはちょっと違うのが普通で、登録方法が古風だったり、電話での支払いや個人の電子メールアドレス、果ては登録理由まで求めてくるディレクトリが多いんだ。Te Puna Web Directoryや、Atlantic Canada Portal Web Directory、ハーバード大学分子細胞生物学部のBiology Links、Comic Books X(華美なデザインのサイトではないけど、僕がさっき言った点を裏付ける良い例だ)、Directory of Ecourses & Ebooksのようなサイトでは、登録してもらうのがはるかに難しいかもしれないが、それこそこれらディレクトリの価値を高めている理由の1つだ。
ところで、検索エンジニアが操作的ウェブディレクトリを見つけるのに苦労しているなら、こんなところから手を付けてみるといいんじゃないかな? 僕としては、首尾一貫してさえいれば、ペナルティの適用は構わない。
追伸:この件については、元々AvivaDirectory(少なくとも僕の見たところでは、上のリストの中でも良い部類のディレクトリだ)のJeff Behrendt氏にインタビューする予定だったんだけど、残念ながら同氏は辞退した。心残りではあるけれど、この投稿が彼の意見を反映できていなくても(本当はそうしたかったけど)、有益な情報になることを願うばかりだ。
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