ニュースサイトと生活情報・SNSを融合
ブロックを組み合わせて使う新感覚CMS
佐賀新聞+SITE PUBLIS(株式会社ミックスネットワーク)
取材・文:加藤さこ
URL | http://www.saga-s.co.jp/ |
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目的 | 佐賀県関連のニュースや生活情報の配信とUGMプラットフォームの提供 |
総ページ数 | 新聞記事で2万ページ前後+ブログ記事など |
PV数 | ニュースサイトで300万PV/月程度 |
ビジター層 | 佐賀県民/佐賀県関連の情報に興味がある人 |
オープン | 1997年(ニュースサイトのみ) |
更新頻度 | 毎日 |
- 既存サイトをCMSを導入してリニューアル
- 出力形態は動的ページ生成を、利用形態はインストール型を採用
- 選定期間:2~3か月
- 導入期間:ミックスネットワークでの機能の作り込みに約2か月、佐賀新聞でのデザインの実装に約1か月
- CMS導入費用:約2,000万円(ハードウェアやSNS構築費用などすべて含む)
- プロジェクト人数:佐賀新聞のスタッフ8人(記者、広告営業、制作)+ミックスネットワークのスタッフ
- 既存コンテンツの扱い:CMSに慣れるために手動でCMSに移行
ニュースサイトと生活情報・SNSを融合
ブロックを組み合わせて使う新感覚CMS
限界を感じ始めた独自の簡易更新システム
佐賀新聞は「100%郷土eye」というキャッチフレーズで地域に親しまれ、佐賀県に関連するニュースを扱っている日刊新聞。コンテンツは佐賀に関係するニュースを主としているが、通信社から配信される全国のニュースもリアルタイムで取り上げ、最近では紙面に載せる前のものを速報としてネットに流している。
速報ニュースはだれでも無料で閲覧でき、アーカイブは会員登録をすれば無料で利用できる。また、情報コミュニティサイト「ひびの」を10月にオープンし、ニュースサイトと生活情報サイトを連携させ、生活情報サイトではSNSをドッキングさせたしくみを作ることで、ファッション、グルメなどニュース以外のコンテンツも充実させることに成功した。
これらはすべて、CMSの導入に踏み切ったことで実現できたとデジタル戦略チームサブリーダーの牛島清豪氏は言う。佐賀新聞がCMS導入に至るまで、どのような経緯をたどって来たのだろうか。
「佐賀新聞のウェブサイト開設は古く、1997年には紙面の主なニュースをピックアップしてネットに流していました。サイトでは、地域密着型のニュースに加えて通信社から流れる全国・世界のニュースもリアルタイムで伝えていこうという方針を打ち出し、また、新聞社サイトの使命として、記事の企画ごとにアーカイブページを設け、関連イベントの詳報の掲載も求められていました。そこで、まず独自の簡易更新システムを作り、朝刊から主なニュースを1日5~6本掲載していました」
簡易更新システムとは、テキストファイルに「タイトル」「コンテンツ」「写真の情報」を書き、サーバー内の特定の場所に保存しておくと、定期的に自動でHTMLに変換する仕組みだった。
このシステムのおかげでサイトにニュース記事を掲載する更新作業は楽になった。とはいえ、紙面に載った記事データを専用のテキストファイルにする作業は2~3名で行っており、作業量としては多かった。また、ニュースページの作成は自動化されたが、一覧ページやアーカイブの作成や、リンクの追加などは手作業で行わなければならなかったため、ページが増えれば増えるほど、作業負担が増していった。
「IT系の会社と違って、うちは新聞社なので、技術に長けている人ばかりではないんです。技術的な面は他部署の技術者に任せていました。でもその人はサイト運営の専属担当ではないので、他の事業をやりながらの兼業になり、仕事が忙しいときはサイトの仕事に集中してもらせんし、広告キャンペーンなどの期間掲載の管理も、兼任している人に負担が集中してしまっていました」(牛島氏)
新しいメディアの実現で必要性が出てきたCMS
CMSベンダーでもあり、現在のウェブ制作パートナーでもあるミックスネットワーク(以下「MICS」)の成瀬俊介氏は、以前の佐賀新聞の状況を振り返り、こう語る。
「去年から佐賀新聞社様には、ウェブサイトのCMS導入を提案させてもらっていて、何度か足を運んでいました。しかし、現行ウェブサイトの運営自体はできていたので、導入には至らなかったのです。しかし、佐賀新聞社様で新たなメディアの構想が出てきたことで、改めてCMSの導入が具体的な案件になってきたのです」(成瀬氏)
新たな構想とは、ニュースと生活情報との融合、そしてユーザーにコミュニケーションの場を提供するというものだった。サイト運営をしていく中で、新聞社としてニュース記事を提供しているだけでいいのかという疑問を持つようになり、利用者にとってより良いサイトにしていこうという考えから発展していったプランだ。
「このプランを実現するのは、これまでのシステムでは到底現実的ではないことはわかっていました。そこで、以前からMICSの成瀬氏に提案していただいていたCMSについて検討してみることになったわけです」(牛島氏)
こうして、作業負担の軽減とともに、ニュースサイトに生活情報とSNSを融合したサイトを実現するために、CMSを導入することとなった。
技術者不在でもコンテンツを扱えるCMSが必要
CMSの選定に関して牛島氏は、いくつかの製品を検討するために、いくつかのメーカーから資料を取り寄せた。
「私は個人的にもサイトを作り、オープンソースのCMSを利用していたので、だいたいどんなものかは知っていました。しかし、オープンソースのCMSは、コスト面で大きな利点がある反面、何かトラブルがあった場合に責任の所在が定かでないというのが問題点でした。何かあれば、わかっているエンジニアが対応する必要があるということです。
しかし、ニュースサイトは24時間止めるわけにはいきません。技術者のいない環境でサイトをきちんと管理運営していくことを考えると、オープンソースソフトの利用は現実的ではないため、メーカーにサポートしてもらえる商用製品から選定することに決めました」(牛島氏)
商用製品に限定して検討を続ける中で、今回のリニューアルでやりたいことを網羅できる機能、コスト、システム負荷など、トータルで考えてMICSのSITE PUBLIS(サイト・パブリス)を含む4製品に絞り込み、それぞれの営業担当者から説明を受けた。
「どれが理想に近いものか、メーカーとしてどの製品が導入するのに適しているかを比べていきました。4製品とも機能面では問題ありませんでしたが、サイト・パブリス以外の製品はコスト面で予算が合いませんでした。当初の想定予算は、リニューアルや構築など、SNSシステムやハードウェア整備まですべてを含んで2,000万円程度。この枠の中で機能が充実していて拡張性が高いものがサイト・パブリスでした」(牛島氏)
牛島氏がサイト・パブリスを評価したのは、その「プラグインブロック」という仕組みで、自由にカスタマイズして機能を拡張できる点だ。欲しい機能をもったカスタムのブロックもオプションで作ってもらえるし、PHPが書ければ自社で開発していくことも可能だという点も選択理由となった。その他にも、全体の操作性が簡単で直感的に操作でき、ブロックを組み合わせることで簡単にサイトを構築できる点も理想的だった。
「検討にかけた時間は約3か月で、その後構築作業を開始しました。テンプレートを作るのは、各機能のブロックを組み合わせていくだけで、それに合わせて自社デザイナーがデザインを作っていきました。
まずはニュースサイトから手がけ、コンテンツ部分にはニュース用の機能をもったブロックをカスタマイズして使い、さらにその他のブロックで佐賀新聞の機能を盛り込んで固めていきました。こういった機能面での作り込みはMICSさんに依頼し、構築は2か月ほどで完了しました」(牛島氏)
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