失敗しないためのCMS導入事例

グローバル標準のCMSとワークフローを採用してブランド担当者の意識を向上/サッポロビール+TeamSite

グローバル標準のエンタープライズCMSでワークフローを標準化しWebの業務フローを改善
失敗しないためのCMS導入事例

サッポロビール株式会社+TeamSite(オートノミー株式会社)

Webサーバーのリプレイスに合わせてTeamSiteを導入
業務フローの改善と内部統制に役立て、作業効率の向上を実現

TEXT:野本幹彦

サッポログループのなかで、ビールをはじめとする国内酒類事業を行うサッポロビール。同社では、自社運用していたWebサーバーのリプレイスにともない、業務アプリケーションも入れ替え、2009年5月からWebサイト用のCMS導入を検討。複数の製品を検討した結果、オートノミー・インターウォーブンのCMS「TeamSite(チームサイト)」とコンテンツ配信プラットフォーム「OpenDeploy(オープンデプロイ)」を採用し、2010年7月のサイトリニューアルにあわせて本稼動させている。CMS導入の経緯について、サッポロビール 営業本部 サッポロブランド戦略部 宣伝室の石原 友樹氏と森 勇一氏に話を伺った。

サッポロビールのCMS導入の目的

  • コンテンツ公開までのタイムラグをなくす
  • 更新の業務フローを改善して担当者ごとの作業範囲と責任を明確に
  • グローバル標準のワークフローを採用してガバナンスを整備
  • 柔軟な公開設定で深夜や祝日の作業負担を軽減
  • サイトの構造を保ち、リンク切れが発生しないように

Webサイトの基本的な情報や利用CMSに関する情報はページの末尾に記載

更新フローを明確にしてコンテンツオーナーの意識を高める

サッポロビールでは、Webサイトを消費者とのコミュニケーションを行うツールの1つと捉え、会社情報や採用情報、プレスリリースなどの企業情報のほか、各商品の情報、同社製品を飲める飲食店の情報、レシピ、キャンペーンなどを展開している。また、さまざまな特典を受けられる無料会員制の「マイページ」を開設し、ユーザー別のサービスも行っている。

サッポロビール株式会社
営業本部 サッポロブランド戦略部
宣伝室
マネージャー
石原 友樹氏

同社のWebサイトは、CMS導入以前から自社で運用されており、レシピとプレスリリースを出す場合だけは自社で開発した簡易的なCMSツールを使っていたものの、その他のコンテンツはほぼ手作業で公開していたという。営業本部 サッポロブランド戦略部 宣伝室 マネージャーの石原友樹氏は、CMS導入以前のサイト運営について「2005年頃から、我々もCMSツールを入れてコンテンツ管理を行いたいとは考えていました。しかし、当時CMSは価格が高く予算の関係もあったため導入には至りませんでした」と話す。

CMS導入を検討し始めていたという2005年当時、サッポロビールではサイトを自社サーバーで運用しており、コンテンツを制作会社のサーバー上でチェックした後に社内の検証サーバーにアップし、宣伝室で内容をチェックしてからシステム管理者が公開サーバーにアップするという手順を踏んでいた。しかし、関係者(制作会社、各商品のサイトオーナー、宣伝室、システム管理者)がメールや電話で連絡しながら手作業でコンテンツを公開していくのには限界があったという。

たとえば、システム管理者が不在だったり、他の業務に追われているようなときには、コンテンツが公開されるまでに30分から1時間のタイムラグが生じてしまうこともありました。店舗や他のサイトと連動させたキャンペーンを行う際に、コンテンツがしっかりと公開されるように社員が遅くまで残業しなければならないのも不便でした」(石原氏)

また、同じ宣伝室の森勇一氏も、「従来のシステムでは公開のタイマー設定が一度しか行えないため、長期休暇の場合もWebを更新させるためだけに出社しなければならないこともありました」と話す。たとえば、サッポロビールがスポンサーを務め、毎年1月2日と3日に行われる箱根駅伝にあわせた特設サイトでは、正月返上で更新に対応しなければならなかったという。

CMSの必要性を実感しながらも、一度は導入を見送っていたサッポロビールだが、2009年に入りCMSの導入を再検討するようになる。2010年のサーバー乗り換え時期に向けたサーバー更新プロジェクトにあわせて、アプリケーションも一新することになった同社では、システムの更新とともにCMS導入によるWebサイト運営の業務フロー改善を検討することになったのだ。

各商品のサイトオーナーのコンテンツ公開に対する意識を変えなければならない、ということも考えていました。代理店や制作会社が作ったコンテンツの内容はもちろんチェックしていますが、それがいつ、どのような形で公開されているかという意識が低く、社内の内部統制も含めて、コンテンツのチェックから承認、公開までの業務フローをCMSで変えることを期待しました。宣伝室としても、全体の流れや現在のサイトの状態などを把握していく必要を感じていました」(石原氏)

グローバル標準のワークフローに
自社の体制を合わせてガバナンスを整備

2009年5月ごろからCMSの検討に入ったサッポロビールでは、3製品ほどの候補のなかからTeamSiteの導入を同年7月に決定し、Webサーバーの入れ替えやアプリケーションの一新とともに、CMSの導入を開始している。価格面では、他の2製品の方が安価だったというが、TeamSiteの導入を決めた理由はどこにあるのだろうか。

先行してグローバルにビジネスを展開している競合他社も内部統制に力を入れているということを聞いているので、将来的なことを考えてもしっかりとした体制作りが必要だと考えていました。これまでのサッポロビールの体制にシステムの業務フローを合わせるのではなく、ベストプラクティスとしてグローバル標準のフローに合わせることによってガバナンスを効かせたいと考えていたので、導入実績が多く、グローバルな実績でも申し分ないという点がTeamSiteを選ぶ決め手となりました。ユーザー会で他社状況をしっかりうかがえたことも決め手です。また、承認フローがしっかりとしているので、社内の承認体制をしっかりと整え、内部統制をきちんと行えると思いました」(石原氏)

サッポロビール株式会社
営業本部 サッポロブランド戦略部
宣伝室
森 勇一氏

実際の導入では、ワークエリアの設定や権限の決定など、ワークフローを理解することに時間をかけたという。「これまでは、しっかりとした業務フローがなかったので、TeamSiteのフローに合わせて、だれが承認者でだれが最終的な公開者になるかを決めていく必要がありました。これらの作業は時間がかかりましたが、社内の意識改革も含めてやっていきました」(森氏)

そのため、外部の制作会社には勉強会を開くとともに2週間のTeamSite試用期間を設けて理解を深め、商品ごとのサイトオーナーにはチェックするポイントだけを限定的に教えるなど、担当者にあわせたトレーニングを行ったという。「サイトオーナーには、マニュアルをすべて理解してもらうのではなく、公開するにはこのボタンをクリックしてこうすればよい、というように限定したことだけを教えて、もし困った場合はサポートするようにしました。サイトオーナーの作業を簡略化することによって、軽減された時間はブランディングなどの企画に当てることができます。また、サイトオーナーが変わったとしても、承認作業について特に引継ぎする必要がなく、20~30分で理解してもらえるはずです」(石原氏)

コンテンツ公開までの業務を大きく削減
Webに対する社内意識も高まる

リニューアルに合わせたCMS導入のため、既存コンテンツの移行についてはそれほど苦労しなかったというサッポロビールでは、2010年6月にCMSへの移行を完了し、2010年7月からTeamSiteとOpenDeployを本番稼動させている。承認フローを整えることによって、現在では承認や公開をスムーズに行えるようになったという。各ブランドサイトのオーナー自身が承認ボタンを押して公開する仕組みを整えたことで、コンテンツ公開への社内意識が高まり、検証サーバーでのチェックをより責任を持って行えるようになった。

また、テレビCMの切り替え時には、CM詳細ページ以外にもCM一覧のページなどの多数のページを書き換える必要があるが、テンプレートを利用することによって、変更したCMのページを新しくするだけで関連するすべてのページを自動的に更新できるようになり、さらに期間が終了したものは自動的に外すことができるようになった。これにより、作業を軽減できたほか、リンク切れなどの人的ミスも抑えられたという。

これまでは、電話やメールで連絡しあいながら行っていた制作会社とのやり取りもスムーズになり、制作会社が制作業務に集中できるようになったことも導入効果の1つだ。「これまでは、制作会社側のサーバーでコンテンツのチェックを行い、OKが出たものを圧縮して送ってもらい、検証用のサーバーにアップしていました。制作会社は検証用のサーバーにアクセスできなかったため、追加の修正が発生した場合は、その都度ファイルのやり取りを行わなければなりません。現在は、TeamSiteできちんと管理し、制作会社が直接アップロードできるようにしているので、追加の修正にもすぐに対応できます」(石原氏)

また、導入してみて改めて気づいた利点として、ミスのあったページの修正にCMSのバージョン管理機能を使って以前のバージョンに戻せることが役立ったことがあったという。「検証用サーバーでしっかりとチェックは行っていたのですが、公開直後に内容のミスに気づいて、すぐに元のページに戻したことがありました。これまでは、元に戻すのが大変だったので便利だと思いました」と森氏が話せば、石原氏も「SSI(Server Side Includes)を使っているページが多いのですが、使い始めたばかりのころ、構造を理解しないままページをアップしてしまったことがあり、ヘッダーなどがきちんと読み込めていないことがありましたが、すぐに元のページに戻して修正することができました」と話している。

懸案であった担当者の夜遅くまでの残業や休日出勤に関する問題も、TeamSite導入後は解消された。これまでの箱根駅伝では、正月にもかかわらず出社して対応する必要があったが、2011年の箱根駅伝では事前にコンテンツの公開予定を設定でき、全員が休暇を取ることができたという。「12月31日の23時に更新しなければならないコンテンツもあったのですが、自宅で確認すればよいだけだったので、我々もかなり楽になったといえますね。必要であれば、自宅で更新することもできるので、わざわざ更新作業のためだけに出社する必要もなくなりました」(森氏)

CMSが本稼働してからおよそ半年。社内業務フローの改善といった効果のほか、Webサイトのコンテンツの導線が整備されたことで、ユーザー1人あたりのページビュー数が増加するなどの効果も見えてきているという。今後のサイトの活用について、「やはり、ソーシャルメディアがコミュニケーションツールとして脚光を浴びているので、今後は我々も取り入れていくことを検討していきたいですね」と話す石原氏。また、自社サイトについては「無料会員制の“マイページ”を充実させていきたい」と話し、個別のカスタマイズやレコメンド機能の導入などを行っていきたいと考えているようだ。CMSツールによって軽減された作業負荷を、コンテンツ開発やブランディングに向けていくことによって、今後もサッポロビールのサイトは充実し、消費者とのコミュニケーションを深めていくことになる。

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時のものです。

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サッポロビール
「サッポロビール」サイト概要
  • 目的:消費者とのコミュニケーションを行うツールの1つとして、会社情報や採用情報、プレスリリースのほか、各商品の情報、同社製品を飲める飲食店の情報、レシピ、キャンペーンなどを展開。会員ユーザー向けのサービスも提供する。
  • オープン:2010年7月リニューアルオープン
  • コンテンツ数:1万ページ超
  • URL:http://www.sapporobeer.jp/

◇◇◇
利用CMS情報
オートノミー株式会社
製品名:Autonomy Interwoven TeamSite
提供事業者:オートノミー株式会社
  • 概要:Autonomy Interwoven TeamSiteは、コンテンツの制作から配信までをトータルに管理し、企業サイトの最適化を実現できるエンタープライズCMS。グローバルで4,800社、国内140社の導入実績を誇る。
  • Autonomy Interwoven TeamSiteの特徴
    • 大規模サイトへ単一サーバーにて対応する特許ベースのアーキテクチャ
    • 多数ユーザーでの編集を円滑にする共同作業環境
    • コンプライアンス要求へ応えるサイト全体のバージョン管理
    • ビジネスプロセス全体を自動化するワークフロー管理
    • 外部制作コンテンツも含めた全コンテンツの管理プラットフォーム
  • 出力形態:静的・動的コンテンツ生成
  • URL:http://www.interwoven.co.jp/
製品名:OpenDeploy(オープンデプロイ)
  • 概要:OpenDeployは、HTMLや画像などの静的コンテンツからCGI、PHP、JAVAなどのプログラムソースまでを、様々な配信元から本番Webの実行環境へと、自動かつ確実に配信するための基盤製品。単なるITコストの削減にとどまらず、Web上のサービスや情報提供のレベルを向上するためのプラットフォームとなる。
  • OpenDeployの特徴
    • スケジューリングやワークフロー連携による配信業務の自動化
    • システム化による安全・確実な本番配信
    • 複数の本番サーバーへの同期配信、エラー時のロールバック
    • 暗号化によるセキュリティ強化
    • 配信ログ出力、レポート
    • システムや回線状況にあわせた柔軟な配信ルート構成
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