ヒットの法則:Google、mixi、iPodを6つの教訓で検証
林 信行(ITジャーナリスト)
今や技術面でもビジネス面でも、インターネットを語るうえで欠かせない存在となったGoogle。この連載では、そんなGoogleが提供しているサービスとそれを支える技術の解説、ビジネス的な可能性の考察など、さまざまな視点から捉えていく。
Googleとmixiの類似点
成功しているIT企業にはどんな秘密があるのだろう。最近、日本でノリにノッている企業と言えばソーシャルネットワークのmixiだ。7月26日には会員数500万人突破を発表している。
mixiはこの2年半、ほとんど広告を打つこともなく、日本でもっとも注目されるIT企業へと成長した。
筆者は2年前にmixiが一般向けに本格的にサービスを始める前からの会員で、同サービスがほとんど誰にも知られていない頃から紹介記事を書き始めていた。
当時、筆者のまわりではほとんどmixiは知られていなかったが、その後、ポツリポツリとユーザーが増えていく。取引先の出版社に足を運ぶと、毎週着実にオレンジ色のページが増えていくのだ。
実は筆者が、その様子を見て真っ先に思い出したのが、5年前となる2001年のできごとだ。
この年、mixiと同様に一切広告を打たないあるITサービスが、口コミだけで同様の広がりを見せていったのだ。
この当時も、筆者がGoogleの記事を書いた雑誌の編集部ですらGoogleを使っている人は5分の1くらいで、その他のほとんどの人は新聞社やポータルサイトのウェブページを開いていた。
しかし、2001年の終わりから2002年にかけて、これが次々と真っ白で味気ないほどシンプルな検索エンジンの画面に置き換えられていった。そう、Googleだ。
mixiが日本一注目されるIT企業なら、世界一は間違いなくGoogleだ。
両社の成功にはいくつかの共通項がある。
例えば売り上げの多くを広告収入に頼っていること。それから自社のサービスについては、ほとんど宣伝を行っておらず、口コミで広まってきたこと。さらに、目的が驚くことはっきりしていること。
Googleは、「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすること」、mixiは明文化はしていないが、あえていえば「友達を常にアクセス可能にし、有益かつ楽しい交友関係を築くこと」だろうか。
誰に強制されるでもない形で、友達とゆるく楽しくつながる手段をたくさん用意することで、毎時間とは言わないまでも8割近くのユーザーに3日に1度はアクセスしてもらおう、というのがmixiの狙いであり、実際、同社はその試みにおいて成功している。
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