検索してほし~の?
Google Trendsで読み解く2006年検索キーワード
林 信行(ITジャーナリスト)
今や技術面でもビジネス面でも、インターネットを語るうえで欠かせない存在となったGoogle。この連載では、そんなGoogleが提供しているサービスとそれを支える技術の解説、ビジネス的な可能性の考察など、さまざまな視点から捉えていく。
2006年のGoogle検索キーワードトップ10
12月20日、日本のGoogleが2006年を通してもっとも検索されているキーワードの一覧「2006年検索キーワードランキング」を発表した。2006年1月1日から12月15日までに検索されたキーワードのランキング結果だ。
総合ランキングのトップ10は以下の通り。
総合
トップ10
- 1位 地図
- 2位 翻訳
- 3位 辞書
- 4位 動画
- 5位 ほしのあき
- 6位 天気予報
- 7位 au
- 8位 価格
- 9位 郵便番号
- 10位 倖田來未
世相を反映した旬なキーワードよりも、むしろ日常の生活や仕事シーンを思わせるものが多い。これはもしかしたらインターネットの検索が、いかに日常でパソコンの第一義の使い方として利用されているかの証明なのかもしれない。
Googleは以前、こうした人気キーワードをZeitgeistというWebサイトで公開していたが、それを振り返ってみると、2004年2月頃からこうした傾向が始まっている(もっとも、もしかしたらそれ以前の結果は、あらかじめ重み付けがされたものなのかもしれない)。
ちなみに「地図」といったキーワードは単体で使われるとは考えにくい。「地図」単体で検索すると、地図検索サイトの「Mapion」や「MapFan Web」、「Yahoo!地図情報」などが出てくるが、これらのサイトを探している人はそんなにいないだろう。
それよりも多いのは「インプレス 地図」といった複数キーワードでの検索というケースだ。「動画」や「価格」にしても同じで「ゲド戦記 動画」、「iPod 価格」といった複合キーワード検索で使われていることが多そうだ。
Google Trendsで人気キーワードの推移を見る
さて、Google社は、2006年を通して、驚くほど多くのサービスを発表した。
しかし、その中でも今後特に人気を伸ばしそうなのが、現在ベータ版サービスとしてGoogle Labs内で公開中の「Google Trends」だろう。
これは、Googleの膨大な索引を探って、特定のキーワードがどの時期にどれくらい出現したかをグラフなどで表示してくれるサービスだ。
同様の評判検索サービスは、他にもいくつかある(たとえば日本では、「kizasi.jp」が人気で、gooラボでも「評判クラウド」などを展開している)。しかし、Google Trendsでは複数のキーワードの趨勢を1つのグラフに表示して比較できたり、どの地域や言語で話題になっているかを分析できたりする。それになんといってもGoogleの巨大な索引を元にグラフを描いているという強みがある。
このGoogle Trendsを使って、さっそくトップ10キーワードの人気の推移を比較してみた(ちなみにトレンドを分析する範囲は日本だけに限定し、年も2006年に限定した)。
すると、トップ5のキーワードは、ほぼ1年を通してコンスタントに使われてきたことがわかる。やはり日常的に利用されることが多いキーワードなのだろう(そして「ほしのあき」さんについては、常に話題が絶えなかった、あるいは常に慕っているファンが多いということなのだろう)。
人気変動型キーワード
一方で、トップ6~10のキーワードには、時期によって人気が変動しているものが多い。たとえば6位の「天気予報」は1月中頃や7月~10月に大きなピークがある。これらは、明らかに気候変化と連動している。たとえば1月21日頃には関東平野で大雪が降っている。また、7月は各地で大雨が続いた。8、9月は台風の接近や短い周期での気温の変動が報告されている。
7位の「au」については、音楽サービスの「LISMO」などを開始した1月頃に大きなピークを迎え、そこから緩やかに下がり始めるが、MNP開始が迫る8月頃から徐々に人気が高まり、MNPで人気1位だったことが発表される10月末頃に、もう1度、大きなピークを迎えている。
8位の「価格」はコンスタントに使われていそうだが、実はお正月頃の利用がとりわけ高いようだ。
いや、実はその他のキーワードも軒並みお正月時期が高く、2月以降、年の真ん中に向かって緩やかな下降線を描く傾向にあるようだ。
そんな中、お正月ではなく、そのちょっと前にピークがあるのは、年賀状を書く際に必須の「郵便番号」だろう。お正月前半は、それでもまだ利用率が高いが、その後は全体的にやや低調だ。
改めて2005年の統計を調べてみると、やはり「郵便番号」のピークは12月後半にあった。大晦日をピークに12月はじめ頃からかなりの勢いで登りつめている。
今回公開されたランキングは12月15日までの統計で集計されたが、今年の年賀状の差し出し締め切りは12月25日。この前後まで統計を取れば、「郵便番号」はもう少し上位に食い込めたかもしれない。
バリエーションが増えるトレンド検索
このような評判検索の応用は、来年にかけてますます利用される機会が増えていきそうだ。
評判検索はマーケティング調査のツールとしては、現象を単純化し過ぎてしまっていたり、どういうコンテクストでの評判なのかがわかりにくかったりと、まだまだ改善の余地もあるが、カジュアルなリサーチをするためのツールとしては極めて有望だ。実際、日本でも最近、kizasi.jpが提示するさまざまな情報が雑誌やテレビ番組でも使われ始めている。
Googleは、2006年の後半にかけて、数え切れないほど多くのサービスを発表してきたので見落としてしまっている人も多いかもしれないが、実はこのGoogle Trendsにもいくつかのバリエーションを誕生させ、Google Labsでひっそりと公開している。
たとえば「Google Music Trends」という音楽の流行を調べるのに特化したサービスもある。これは、Google Talkのユーザーが再生している曲を元にした人気音楽チャートだ。20曲を並べたチャート形式で1週間後との推移を「何ランクアップ」、「何ランクダウン」といった形で表示する。
Googleは、これにあわせて現在Google Talkに、iTunesやWinAmp、Windows Media Playerなどで再生中の曲を表示する機能を追加している。
また、中国語版のGoogle Trendsも始まっている。Google Trendsは英語の情報に限って、グラフで大きな変化がある箇所に印が付き、その時期にどういうニュースがあったかを表示してくれるが、中国語版にも同様の機能がある。今後、英語版、中国語版、そしてまだない日本語版などが1つのサービスにまとまるのかは気になるところだ。
その他の人気キーワードでトレンド分析を試してみよう
では、最後にGoogle社が公開している「検索キーワードランキング」のジャンル別のランキングを紹介しよう。
お正月は1年でもっとも検索が多い季節。もし、あなたも自宅のパソコンで検索三昧に明け暮れるようなら、これらのキーワードの人気がどのように推移してきたのかをGoogle Trendsと、その他の検索結果から読み解いてみると、トレンド分析のいいレッスンになるかもしれない。
グラビアアイドル
トップ10
- 1位 ほしのあき
- 2位 中川翔子
- 3位 安めぐみ
- 4位 井上和香
- 5位 小倉優子
- 6位 熊田曜子
- 7位 安田美沙子
- 8位 磯山さやか
- 9位 山本梓
- 10位 インリン
TVタレント
トップ10
- 1位 綾瀬はるか
- 2位 沢尻エリカ
- 3位 上戸彩
- 4位 叶美香
- 5位 赤西仁
- 6位 亀梨和也
- 7位 相武紗季
- 8位 伊東美咲
- 9位 小池徹平
- 10位 後藤真希
女優
トップ10
- 1位 長澤まさみ
- 2位 綾瀬はるか
- 3位 沢尻エリカ
- 4位 蛯原友里
- 5位 上戸彩
- 6位 宮崎あおい
- 7位 伊東美咲
- 8位 堀北真希
- 9位 長谷川京子
- 10位 石原さとみ
男優
トップ10
- 1位 赤西仁
- 2位 亀梨和也
- 3位 小池徹平
- 4位 山下智久
- 5位 オダギリジョー
- 6位 木村拓哉
- 7位 福山雅治
- 8位 錦戸亮
- 9位 堂本剛
- 10位 玉木宏
ミュージシャン
トップ10
- 1位 倖田來未
- 2位 大塚愛
- 3位 浜崎あゆみ
- 4位 aiko
- 5位 中島美嘉
- 6位 椎名林檎
- 7位 レミオロメン
- 8位 コブクロ
- 9位 福山雅治
- 10位 B'z
コメディアン/お笑いグループ
トップ10
- 1位 桜塚やっくん
- 2位 オリエンタルラジオ
- 3位 次長課長
- 4位 ラーメンズ
- 5位 オセロ
- 6位 長州小力
- 7位 劇団ひとり
- 8位 猫ひろし
- 9位 タカアンドトシ
- 10位 キングコング
ニュースキャスター
トップ10
- 1位 高島彩
- 2位 大橋未歩
- 3位 中野美奈子
- 4位 滝川クリステル
- 5位 小林麻耶
- 6位 内田恭子
- 7位 西尾由佳理
- 8位 平井理央
- 9位 山本モナ
- 10位 中村仁美
テレビ番組
トップ10
- 1位 あいのり
- 2位 あるある大事典
- 3位 チャングムの誓い
- 4位 結婚できない男
- 5位 タイヨウのうた
- 6位 冬のソナタ
- 7位 不信のとき
- 8位 のだめカンタービレ
- 9位 オーラの泉
- 10位 はなまるマーケット
映画
トップ10
- 1位 ゲド戦記
- 2位 海猿
- 3位 日本沈没
- 4位 嫌われ松子の一生
- 5位 ナルニア国物語
- 6位 トリック
- 7位 ダ・ヴィンチ・コード
- 8位 硫黄島
- 9位 マトリックス
- 10位 県庁の星
食
トップ10
- 1位 マクドナルド
- 2位 ラーメン
- 3位 スターバックス
- 4位 モスバーガー
- 5位 ケーキ
- 6位 ワイン
- 7位 コーヒー
- 8位 チョコレート
- 9位 焼肉
- 10位 居酒屋
美容
トップ10
- 1位 資生堂
- 2位 アットコスメ
- 3位 DHC
- 4位 エステ
- 5位 ヘアスタイル
- 6位 オルビス
- 7位 香水
- 8位 カネボウ
- 9位 美容院
- 10位 シャネル
ロケーション/地名
トップ10
- 1位 沖縄
- 2位 京都
- 3位 北海道
- 4位 東京
- 5位 韓国
- 6位 ハワイ
- 7位 北朝鮮
- 8位 大阪
- 9位 横浜
- 10位 富士山
金融
トップ10
- 1位 宝くじ
- 2位 新生銀行
- 3位 みずほ銀行
- 4位 三井住友銀行
- 5位 株価
- 6位 株
- 7位 消費者金融
- 8位 自動車保険
- 9位 中国株
- 10位 りそな銀行
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