―何を解析すればいいのかわからないあなたに―
Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座
正しいアクセス解析は正しい用語の理解から
ウェブサイトはようやく「数字」を見ながら訪問者の動きをコントロールする時代に入った。正しい読み取りと判断でサイトを一歩も二歩もリードさせよう。
アクセス解析の仕組みをふまえれば何がわかるか見えてくる
2005年にブログやCMSが流行したが、アクセス解析結果を初めて目にしたウェブマスターも多いことだろう。今年は、ただ数字を見て「ヘェー、こんなキーワードが来てるのか」と感心するだけでなく、もっと解析結果を生かして次の一手を決める運営を目指してほしい。
アクセス解析というと難しいシステム的なものと思って尻込みするウェブマスターはまだ多い。しかし、アクセス解析とは、出てきた数字を使ってサイトをどう改善していくか、そこからユーザーのニーズをつかんでどうコントロールするかというマーケティング判断の問題なのだ。
この連載では、アクセス解析での数字の見方やサイトの改善方法をできるだけ具体的かつ実践的に解説する。とは言え、アクセス解析では、正しく理解しておかなければその後の判断に悪影響を与える可能性のある用語や概念がある。第一回となる今回は、具体的な解説に入る前に、アクセス解析を正しく理解するための知識を解説する。
アクセス解析の具体的な「分析」の簡単な例を挙げてみよう。サイトの「入り口」の把握に関する話だ。
今のウェブサイトは検索エンジンを通じてたくさんの訪問者が来ている。検索エンジンで検索すると、トップページ以外のさまざまなページが出てくる。となると、あなたのサイトでも、トップページから入るのではなく検索結果からトップページ以外のページに直接訪れる人がたくさんいることになる。実際、今のウェブサイトでは、トップページから訪れるのは3割弱のユーザーに過ぎない。7割はトップページ以外のさまざまなページを入り口にしてサイトを訪れているのだ。
顧客が何を求め、どのドアから入ってきているのか把握せずに、いつまでも正面玄関(トップページ)でだけ声を張り上げていても、顧客にはその声はまったく伝わらない。まずは実態を把握すること。それから問題点を改善してサイトを良くすること。この手順で進めれば、ウェブサイトは論理的に良くなっていくのだ。
アクセス解析の方式は3つ
方法によって長所も短所も
アクセス解析ツールがサイトのアクセス状況を取得する方法は3つに大別される(図1)。
1つはサーバーが内部に記録するサーバーログファイルを集計する“サーバーログ型”だ。画像やFlashのアクセスもすべて記録されるため、深い解析も可能となる。どのPDFやXLSがよくダウンロードされたのかといった解析は得意だ。伝統的な方式なので、オープンソースのものも含めて優秀な解析ソフトがそろっている。レンタルサーバーの管理画面から解析結果を見られるサービスもこのタイプが多い。しかし、ログファイルは月に何百MB~何GBといった重いデータになることもあり、サイトへのアクセス数が多ければ多いほど解析集計にも時間がかかる。
そこで第2の方法として、“ウェブビーコン型”が人気を集めている。ウェブサイトの各ページにJavaScriptなどを埋め込んでおいて、ページがブラウザーで表示されるたびに、アクセスを示すデータを解析サーバーに送信する仕組みだ。送られた情報はその場でデータベース化されるので、解析結果をほぼリアルタイムに見られる。あくまでもビーコンを埋め込んだページへのアクセスしか解析できないので、ビーコンの埋め込み作業が大変だったり、画像のカウントはできなかったりという導入の難しさもある。しかし、ブラウザーの[戻る]ボタンでのページ移動も把握できることや、ページごとにさまざまなデータを埋め込んでおいてアクセス情報と合わせて解析できるなどから、特にマーケティングを目的としたアクセス解析においては主流となっている。話題のGoogle Analyticsもビーコン型の解析サービスだ。
第3の方法は“パケットキャプチャー型”だ。これはウェブサーバーと同じネットワークに解析サーバーを設置して、ウェブサーバーに送られるすべてのネットワーク信号をコピーして解析するものだ。リアルタイムに結果が見られ、画像へのアクセスも把握できる。LAN内に複数のサーバーを抱えているサイトや、大きなキャンペーンを展開するサイトにはパフォーマンス的にも特におすすめの方法だと言える。
最近の解析ツールでは、複数の方法に対応したものも増えている。
長所 | 短所 | |
---|---|---|
サーバーログ型 |
|
|
ウェブビーコン型 |
|
|
パケットキャプチャー型 |
|
|
ソーシャルもやってます!