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酷暑が続く夏に「五季」戦略で夏物5か月展開する三陽商会の商品戦略。ウィメンズ「半袖ジャケット」9倍、「メンズ日傘」220%に増産
三陽商会は、気候変動による夏の長期化・高温化に対応するため、2024年に導入した独自の「五季」商品展開カレンダーに基づき、2026年夏商戦を展開している。
気象庁が最高気温40度以上の日の名称を「酷暑日」と決定するなど、記録的な暑さが見込まれるなか、夏物商品の展開期間を従来の3か月間(5〜7月)から5か月間(5〜9月)へと拡大。暑い環境でも快適性とファッション性を両立する商品ラインアップを強化している。

2026年夏の重点施策として掲げるのが、ビジネススタイルの見直しと夏向け商材の拡充だ。通勤スタイルの多様化を背景に、ウィメンズでは「袖なしのジレ」に続く定番アイテムとして「半袖ジャケット」を強化し、生産数を前年比約9倍に拡大する。あわせて、薄手で透け感がありながら、きちんとした印象も演出できる「シアージャケット」も同じく110%へ増産する。
メンズでは、従来のテーラードジャケットに代わる軽快な通勤スタイルとして、シャツとパンツのセットアップやVカラーのカーディガンジャケットを提案する。さらに、6〜8月の商品構成の約5割を占めるトップスカテゴリーも強化。ジャケットのインナーとして開発した「ドレスTシャツ」や、1枚でも着映えする「ドレスニット」の生産数を前年比145%に、ハーフパンツも同140%へ拡大する。
ウィメンズのトップスでは、レースやシアー、メッシュ素材などを採用したデザイン性の高い商品を充実させる。暑さ対策としての機能性に加え、「夏でもおしゃれを楽しみたい」という需要への対応も狙う。

雑貨も強化、「メンズ日傘」は前年比220%に増産
雑貨カテゴリーの強化も今夏戦略の柱の1つ。三陽商会は、気温の変化の影響を受けやすい衣料品に比べ、雑貨の販売は左右されにくいと見ており、売り上げの安定化に向けて雑貨全体の生産数を前年比130%に拡大。総生産数に占める雑貨の構成比も前年の14%から18%へ引き上げる。
なかでも男性の日傘需要の拡大を見込み、「メンズ日傘」は前年比220%に増産。このほか、夏向けバッグや扇子、ミニトートバッグ、チャーム、ミニスカーフなどのラインアップも拡充する。

夏物投入を最大1か月半前倒し
「五季」戦略の実効性を高めるため、夏物商品の投入時期も柔軟に見直している。東京都では4月第2週に夏日を記録するなど、気温上昇が例年より早まったことを受け、一部商品の販売開始を前倒しした。
メンズでは、半袖ニットやニットポロシャツの投入時期を5月上旬から4月上旬へ、ハーフパンツも5月下旬から一部商品を4月上旬へと、最大で約1か月半前倒しした。ウィメンズでも、ノースリーブワンピースを例年の5月から4月へ、フレンチスリーブやノースリーブトップスを5月から4月下旬へと早めて展開している。
8〜9月は「夏物」と「秋物」の2軸で需要を取り込む
一方、8〜9月の猛暑期に向けた商品戦略も見直す。2025年夏商戦では、盛夏・猛暑対応商材の積極投入により7月以降は販売が回復し、8月は前年比110%、6〜8月累計では前年並み(100%)となった。一方、9月は同92%と苦戦した。
この結果を踏まえ、2026年は「気温対応夏物」と「早期秋物需要」の2軸で売上確保を図る。具体的には、「秋色×夏素材」「秋素材×夏デザイン」といった高温対応の商品と、レザーやファー素材のアウターなど早期秋物を並行展開し、気温に合った実用性と季節感を両立させる考えだ。
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佐川急便が取り組む従業員の熱中症対策および紫外線対策とは? 「安定したサービスを継続してご提供するための取り組み」
佐川急便は、屋外で勤務する従業員の健康を守り、安定した配送関連サービスを継続して提供するため、熱中症対策や紫外線対策への理解を呼びかけている。紫外線対策として、サングラスやアンダーシャツ、レギンスの着用を認める運用を開始した。

熱中症対策では、クールファンベストやネッククーラー、ネックファン、ハーフパンツなどの着用を必要に応じて認めている。加えて、アイスラリーや冷感スプレーの使用、冷感機能付きアンダーウェアの着用も可能としている。

また、経口補水液と冷却剤をセットにした応急キットを全拠点・全車両に常備。塩飴や塩タブレットも配布している。

暑さ指数(WBGT)は午前・午後の1日2回計測し、従業員に対してこまめな水分補給や適切な休憩を促している。

従業員の体調管理も強化している。出発前には運行管理者がドライバーの体調を確認し、夏季は朝食の摂取状況もチェック。熱中症が疑われる場合の対応フローも全従業員に共有しており、体調に異変があれば作業を中断し、安全推進課へ連絡したうえで、必要に応じて119番通報する体制を整えている。

さらに、暑さに負けない身体づくりに向けて、ウォーキングやサイクリング、入浴などによる暑熱順化の重要性についても周知。気温が本格的に上昇する前から、無理のない範囲で身体を暑さに慣らすよう呼びかけている。
佐川急便は、「紫外線対策ウェアや熱中症対策グッズを着用した従業員がお客さまのもとへお伺いする場合がございます。何卒ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」とコメントしている。
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物価高で約5人に1人がリユース品の購入を「検討する頻度が増えた」。約5割は、直近1~2年間でリユース品を購入していない【メルカリ調査】
メルカリが実施した「物価高とリユース活用に関する意識・実態調査」によると、物価高の影響で、約5人に1人がリユース品の購入を「検討する頻度が増えた」と回答した。一方、約5割は直近1~2年間でリユース品を購入していない実態も明らかとなった。
調査対象は事前調査では20~60代の男女1万人、本調査では20~60代の男女1040人。本調査の内訳は、直近1~2年間でリユース品を「習慣的に購入している」「時々購入している」と回答した520人(リユース利用層)と、直近1~2年間でリユース品を「ほとんど購入しない」「全く購入しない」と回答した520人の合計1040人。調査期間は2026年5月20~21日。
物価高で約5人に1人がリユース品購入の検討頻度が増加
物価高の影響によるリユース品購入の検討頻度について、「検討することが増えた」が6.4%、「検討することがやや増えた」が14.4%で合計20.8%、約5人に1人が「リユース品購入の検討頻度が増加した」と回答した。

直近1~2年間、リユース品を「全く購入しない」が51.0%
直近1~2年間でリユース品を購入した頻度は、最多が「全く購入しない」で51.0%だった。メルカリは「物価高を背景にリユース品への関心が高まっているものの、実際の購入には至っていない人が多い実態が浮き彫りとなった」と解説している。

リユース品を購入しない理由、最多は「商品の汚れや衛生面」
直近1~2年間でリユース品を「ほとんど購入しない」「全く購入しない」と回答した人にその理由を聞いたところ、「商品の汚れや衛生面が気になる」が最多で48.0%、続いて「故障や劣化などの品質に不安がある」が40.9%、「適正な価格かどうかわからない」が31.3%、「欲しい商品が見つかりにくい/見つからない」が24.1%、「偽物やコピー品ではないか不安」が22.4%だった。

高額リユース品ほど購入時に不安を感じる傾向
リユース品購入時に「不安を感じる」割合は、「高額ブランドのバッグ」が最も高く70.7%、続いて「高額ブランドの時計・ジュエリー」が70.1%、「スマートフォン・PC・タブレット」が69.9%だった。
高額リユース品の購入を阻む「品質への不安」
高額リユース品の購入に不安を感じると回答した人に、高額リユース品の購入を阻む具体的な要因を聞いたところ、「高額ブランドのファッションアイテム」については最多が「偽物・コピー品の懸念」で73.3%、続いて「衛生面(汚れ・臭いなど)」が59.7%、「写真や説明と実物の相違」が53.5%。
「スマートフォン・PC・タブレット」については、「動作不良・故障のリスク(バッテリー劣化など)」が73.3%、「保証やアフターケアの欠如」が46.3%、「データの初期化が適切に行われているか」が42.9%だった。
メルカリは「真贋や内部の劣化といった自分では判断しきれない「品質への不安」が高額リユース品の購入をためらわせる大きな障壁となっていることがうかがえる」としている。
8割以上がリユース品購入時の「品質保証」を重視
リユース品を購入する際に「品質の保証があること」はどの程度重要だと思うかを聞いたところ、「高額ブランドのファッションアイテム」について、「とても重要」が55.8%、「やや重要」が27.4%で合計83.2%が「重要」と回答した。
「スマートフォン・PC・タブレット」について、「とても重要」が58.6%、「やや重要」が27.3%で合計85.9%が「重要」と回答した。
メルカリは「いずれのカテゴリーでも8割以上が『品質保証』を重視しており、高額リユース品の購入において、品質への安心感が重要な判断材料となっている」と考察している。
プロによる品質保証で約5割が高額リユース品の購入に前向き
リユース利用層に対し、プロによる品質保証(整備・クリーニング・真贋鑑定など)があれば、高額品でもリユース品を購入しても良いと思うかを聞いたところ、「スマートフォン・PC・タブレット」については51.7%、「高額ブランドのバッグ」については51.2%、「高額ブランドの時計・ジュエリー」については49.0%、「高額ブランドの衣類・靴」については47.7%が、「とてもそう思う」または「ややそう思う」と回答した。
メルカリは「リユース未利用層においても約2割が購入意欲を示しており、プロの品質保証が新たな需要を喚起し、市場拡大の大きな鍵となることが示唆される」としている。
調査概要
- 調査期間:2026年5月20~21日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:事前調査 20代~60代の男女1万人/本調査 20代~60代の男女1040人(直近1~2年間で、リユース品を「習慣的に購入している」「時々購入している」と回答した520人(リユース利用層)と、直近1~2年間でリユース品を「ほとんど購入しない」「全く購入しない」と回答した520人の合計1040人)
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物価高の影響8割が実感。節約術上位は「特売の活用」「代替品の選択」「ポイ活」
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティマーケティングが実施した「物価高における節約行動に関する調査」によると、回答者の8割以上が物価高の影響を感じると答え、主な節約方法は「特売の活用」「代替品の選択」「ポイ活」などがあがった。
調査対象は国内在住の20~60代の1000人(Ponta会員で「Pontaリサーチ」の会員登録をしているユーザー)。調査期間は2026年6月8~15日。
8割超が物価高の影響を実感、50代では「非常に感じる」が63.0%
現在の生活において、物価高騰の影響をどの程度感じているかについて、「非常に感じる」が51.3%、「やや感じる」が32.1%で合計83.4%が物価高の影響を感じていることがわかった。

年代別に見ると、「非常に感じる」は50代が63.0%で最も高く、次いで60代が57.0%、40代が56.0%。40代以上では「非常に感じる」と回答した割合が半数を超えた。
特に値上がりを実感するものは、最多が「食品」で87.6%、続いて「日用品」が54.1%、「外食」が51.8%、「電気・ガス代」が43.1%だった。
65.0%が節約を実施、特売や代替品、ポイ活を活用
物価高騰を受けて節約をしているかを聞いたところ、「積極的に節約している」が23.2%、「やや節約している」が41.8%で合計65.0%が「節約をしている」と回答した。

現在実施している具体的な節約術は、「スーパーの特売を活用する」が48.5%で最も高く、続いて「安い商品・代替品を選ぶ」が47.6%、「ポイ活を積極的に行う」が45.7%、「ポイント・キャッシュレス決済を活用する」が44.8%、「クーポンを活用する」が44.4%だった。

節約しても減らしにくい支出、最多は「食品」
現在節約に取り組んでいる人に、節約をしていても支出を減らしにくいと思うものを聞いたところ、最も多かったのは「食品」で56.2%、続いて「電気・ガス代」が50.1%、「水道代」が35.4%、「ガソリン代」が33.1%だった。ロイヤリティマーケティングは「生活に欠かせない支出においては、節約だけでは対応しきれない」と考察している。
一方、「趣味・娯楽費」は11.3%、「旅行費(交通)」は9.1%、「旅行費(宿泊)」は8.8%、「サブスクサービス」は3.3%にとどまった。
節約情報の入手先は「テレビ」が最多、若年層はSNS・動画も活用
節約に関する情報を主にどこから得ているかは、「テレビ」が最多で51.2%、続いて「ニュースサイト」が35.9%、「YouTube」が24.0%、「家族・友人」が22.9%だった。
情報源におけるデジタルメディアや生成AIの利用状況を年代別に見ると、20代・30代では「YouTube」がそれぞれ36.5%・35.2%、「Instagram」がそれぞれ28.2%・24.7%、「X(旧Twitter)」がそれぞれ26.9%・24.1%で、SNSや動画サービスの利用割合が高かった。

物価高がなければお金を使いたいこと、旅行関連が最多
物価高騰の影響がなければ、本当はやりたいこと・お金を使いたいことを自由回答で聞いたところ、「海外旅行」「国内旅行」「家族旅行」「温泉旅行」など、旅行関連のキーワードが最も多く見られた。また、「外食」「趣味」「投資」「貯蓄」などの回答も見られた。
ロイヤリティマーケティングは「物価高を背景に節約や生活防衛の意識が高まる一方で、生活者の中には、旅行や外食、趣味などにお金を使いたいという本音がある」と推測している。

調査概要
- 調査方法:インターネット調査(「Pontaリサーチ」調べ)
- 調査期間:2026年6月8日~15日
- パネル:「Pontaリサーチ」会員(Ponta会員で「Pontaリサーチ」の会員登録をしているユーザー)
- 調査対象:国内在住の20~60代1000人
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AIエージェントコマース時代、ECはどう変わる? AI主導の購買行動で認知され、求められ、選ばれるブランドであり続けるためには
AIテクノロジー企業のAppier Groupは、AIエージェントコマース時代を見据えた小売事業者向けの新たなマーケティング手法として、「デュアル・マーケティング戦略」を提唱した。AIが商品発見から比較検討、購入までの購買プロセス全体に関与するようになるなか、消費者へのブランド訴求だけでなく、AIエージェントが商品やブランドを正しく理解し、推奨できるよう情報を整備することが重要になるとしている。

Appierは、従来の購買行動は消費者が検索エンジンや広告、ブランドサイトなどを経由して商品を探していた一方、今後はAIに「何を買うべきか」ではなく、「どうすれば目的を達成できるか」を相談する行動へシフトすると予測。AIが個人の状況や予算、好みに応じて商品を推薦し、その後、ブランドのECサイトや実店舗へ送客する「ハイブリッド・カスタマージャーニー」が広がると見ている。

こうした環境変化を踏まえ、Appierは人間とAIエージェントの双方に向けた情報設計を行う「デュアル・マーケティング戦略」を提唱。消費者向けにはブランドストーリーやクリエイティブ、ブランド体験への投資を継続する一方で、AI向けには商品メタデータやFAQ、仕様情報、在庫情報、レビュー、コンバージョンシグナルなどの構造化データを最適化し、AIが商品を正確に理解・評価・推奨できる環境を整えることが重要だとしている。

購買サイクルは短縮傾向にある
Appierはマーケティングの軸が「アテンション・エコノミー」から「インテント・エコノミー」へ移行していると説明。購買サイクルは従来の7〜14日間から、最短で1時間〜3日間に短縮する可能性があるという。
そのため、ブランドにはファーストパーティデータをリアルタイムで活用し、顧客インサイトを迅速に意思決定へ反映できる体制の構築が求められるとしている。
データが分断されることがAI活用の壁に
一方、小売事業者の課題として、「パーソナライズされた顧客体験の提供」「LTV(顧客生涯価値)の向上」「オンライン・オフラインを横断した顧客データの統合」の3点をあげた。
CRMやCDPを導入していても、顧客データがWebサイト、アプリ、SNS、POS、ECプラットフォーム、実店舗などに分散し、リアルタイムな活用を妨げているケースが少なくないと指摘している。
こうした課題に対しAppierは、統合データ基盤上でAIエージェントを活用することで、オーディエンス分析、カスタマージャーニー設計、予算配分、クリエイティブ生成、A/Bテストの最適化までを一連のワークフローとして実行できると説明する。
また、データ品質を高める仕組みによって、データの不整合やAIのハルシネーション(誤情報を生成する現象)のリスク低減にもつながるとしている。
AI時代にブランドが優先すべき3つの取り組み
Appierは、AIエージェントコマース時代に向けて企業が優先すべき取り組みとして、次の3点をあげた。
- オンライン・オフラインを横断した顧客データの統合
- リアルタイムで意思決定できるデータ基盤の構築
- 人間ならではのブランド体験価値の維持・強化
Appierは、反復的で購買意欲の高い顧客とのやり取りをAIエージェントに任せることで、マーケターはブランドストーリーの設計や顧客エンゲージメントの向上、複雑な意思決定など、より付加価値の高い業務へ注力できるようになるとしている。
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AI時代の外部を生かせる会社・生かせない会社の違い。「内製化」=「すべて自分でやること」ではない?
「EC事業を内製化する」。この言葉を聞くと、「広告運用もサイト制作もシステム開発も、すべて自社でできるようになること」と考える人も少なくありません。一方で、「プロに任せれば大丈夫」と考え、制作会社や開発会社、ツール会社に成果を委ねてしまうケースもあります。しかしECを取り巻く環境は、AIの登場も含めて大きく変化しており、「内製か外注か」という単純な話ではなくなっています。
ECサイト作りで「何のために行うのか」が曖昧なまま進むケースが多い
今回から新しい連載がスタートします。ボクラブロックの林昌孝です。
ECマーケティング人財育成(ECMJ)の石田麻琴です。よろしくお願いします。
この連載を始めるにあたって、最初に「なぜこのテーマを取り上げたのか」を、自己紹介と合わせてお伝えします。
石田さんは、これまで「ネッ担」で、EC事業の人材育成やマーケティングの内製化について長く発信してきました。一方で、私はどちらかというとECのシステム開発や保守といった、作る側の仕事を長く従事。20年近くデジタル業界に携わり、2007年にはEC事業者向けのシステム開発会社を創業し、約15年間、ECサイトの構築・保守・追加開発を中心に支援してきました。
ECサイトって、作って終わりではないんですよね。「ここを改善したい」「こういう機能がほしい」「こういうことをしたい」という話が次々出てきます。そういうものを長く作り続けてきたのですが、そのなかでずっと感じていたことがあります。それは、「何を作るか」という以前に、「何のために行うのか」が曖昧なまま進んでいるケースがとても多いということです。
開発自体の問題というより、その前段階に課題があるという感じですね。
そうです。たとえば「こういう機能を作りたいです」という相談は来るんです。
でも、「それを作ることで何を実現したいのか」が整理されていないケースが結構ある。その状態で進めると、当然ですが後で問題が起きます。「作ったけれど使われない」「改善が続かない」「思ったほど成果につながらない」――こういうことが頻繁に起きるんですよね。
それって開発を受ける側からすると難しいですよね。
難しいですね。受ける側からすると、「何をゴールにしたら良いか」がわからないから。もちろんプロなので、形にはします。けれども、「何を目的にしているか」が曖昧だと、結局作るものも曖昧になるんです。
だからこの連載では、単純に「このツールがいい」「こういう開発がいい」といった話ではなく、「外部をどう生かすか」ということをお伝えしていきます。
「何をするべきかを考えられる状態」が内製化
「内製」というワードは誤解されやすい言葉ですよね。
かなり誤解されています。内製化というと、「制作、広告、システム、運用、すべて自分たちで行えるようになること」というイメージを持っている人が多いです。
でも僕は、それは違うと考えています。今は、AIの進化もそうですし、広告もツールもシステムも、とにかく変化が速い。すべてを社内でキャッチアップして実施するのは、かなり現実的ではないです。
そうすると、本当に内製化するべきものは何でしょうか?
僕は「判断」だと考えています。課題を見つけること、優先順位をつけること、外部に頼んだ結果が良かったのか悪かったのかを評価すること――そういった部分ですよね。業務で手を動かすことではなく、「何をするべきかを考えられる状態」が内製化だと考えています。
プロに頼むことは悪いことではない。「何を得たいのか」を整理せずに頼むと失敗しがちになる
外注についても聞きたいんですが、「よくある誤解」ってありますか。
昔から変わらないのですが、「プロに任せればうまくいく」ですね。特に経営層ほど、この傾向が強い気がします。「専門家に頼んだのに」「プロに頼んだのに」という話ですね。
ただ、繰り返しになるのですが、受ける側からすると、そもそも頼む側が何を実現したいのかが曖昧なケースってすごく多いんです。だからプロが悪いとかではなく、「何を得たいのか」を整理して依頼しているかが重要なんです。
その「プロに任せればうまくいく」という発想は、そもそもなぜ生まれるんですかね。
僕は、経営層がデジタル領域を判断しにくかった時代背景も大きいと思っています。
今でこそAIが出てきたりDXという言葉が広まったりして、デジタルに対する拒絶反応ってかなり減ってきているのですが、少し前までは「IT」や「デジタル」ってかなり特殊なものだったと感じています。
「なんとなく難しい、よくわからない。でもやらないといけないらしい」、そんな位置づけだったと思うんです。だから、「よくわからないからプロに頼もう」という流れ自体は、ある意味自然だったのかなと。
今は「デジタルを活用しましょう」と言われてもそんなに抵抗感はないですが、昔は結構違いましたよね。
別に「プロに頼むこと」が悪いわけではないんです。むしろ頼んだ方がいいケースはたくさんあります。ただ、「何を実現したいか」を考えないまま、「とりあえずお願いしよう」になると、後で問題が起こる。そこが大きいです。
AI活用も同じ。「自分たちの考え方を載せる」ことが大事
今って、少し別の意味で似たようなことが起き始めている感じもしますよね。昔は「プロに任せればうまくいく」だったけれど、今は「AIに任せればうまくいく」みたいな(笑)
ありますね。でも結局、構造はまったく同じだと思うんです。たとえばAIに「提案書を作って」と言えば、それっぽいものは出てきます。「市場分析して」と言えば分析もしてくれる。
でも、その分析結果を見て「じゃあ自分たちは何をするのか」を考える人がいないと、多分同じことになるんですよね。
最近、提案書とか見ていても結構ありますよね。「あ、これAIで作ったな」って。
ありますね(笑)。資料はすごく綺麗なんです。でも、話している人が自分の言葉で説明できていない。資料の方が優秀すぎる状態になっている。
資料がしゃべっている感じね(笑)
そうそう(笑)。でも結局、お客さまは資料を買うわけではない。一緒にやる人を見ていると思います。だからAIが出してきたものをそのまま使うのではなく、自分たちの考え方を乗せることが大事なんじゃないかなと感じています。

外注先への依頼、EC運用で「もったいない」と感じた事例は?
少し具体例の話も聞きたいです。外注先である開発側にいた時、「これはもったいないな」と思ったケースはありますか。
多々あります。たとえば、開発予算があるにもかかわらず、お客さま向けの価値提供ではなく、社内運用を楽にすること(効率化に目を向けた機能)だけに予算を使ってしまうケースですね。もちろん効率化も必要ですが、本来なら「購入しやすくなる」「選びやすくなる」など、お客さま側に価値を生むことが重要なはず。でも現場だけで決めると、どうしても現状の運用に課題を感じている担当者の主観で優先されてしまう。
経営側としては、売上向上や顧客体験の改善に使われると思っていた予算が、結果的に社内運用の効率化に偏っていた、というケースもあります。
石田さんが経験した「運営側の課題」はありますか。
林さんの話を聞いていて、思い出したことがあります。
昔コンサルに入った会社で、担当者に「普段のEC運営は何をしているか」をホワイトボードに書き出してもらったんです。そうしたら、「受注・発送・問い合わせ対応」だけで1日が終わっていたんですね。それを見てかなり衝撃でした。
本来、EC運営は「市場では何が伸びているのか」「競合は何をしているのか」「トレンドはどう変わっているのか」といった市場を見る仕事なんです。
でも、日々の業務に追われると、視点がどんどん狭くなっていく……。
そうなんですよ。だからまず、「考える時間を持てるか」が重要なのではないかと感じています。
「担当者さんが悪い」わけではないんです、きちんと仕事をしていますから。受注も発送も問い合わせもあって、むしろ忙しい。
でも問題なのは、その会社のなかに「ECを考える時間を取る文化」がなかったことなんですよね。ECって目の前の仕事だけをしていると、一日が終わってしまう。でも本当は、「なんで売れたんだろう」「なんで売れなかったんだろう」「だったら次に何をしようか」っていう時間が必要なんですよ。
商品登録して、画像を修正して、問い合わせに返して、発送して、それで一日終わる。客観的に自社や市場を見る文化や習慣がない。
だから何かわからないことが起こると、「詳しい人にお願いしよう」になってしまう。そこって、業界全体の課題でもあるのかもしれません。上司でECに詳しい人なんてほぼいない会社ばかりですからね。
今回の話を最後にまとめます。
まず内製化は「ECの業務をすべて自社でやることではない」と思っています。自社で判断を持つこと、外部をうまく使うこと、自分たちが考えるべきことに集中できる状態を作ること。それが結果として、EC全体の成長につながっていくと考えています。
次回も具体的な事例を交えながら役立つネタをお話していきましょう。
本連載では、システム開発・事業支援に長年携わってきたボクラブロック代表の林氏と、マーケティングチームの内製化連載を執筆しているECMJ代表の石田氏が、「何を自社で持ち、何を外部に任せるべきか」をテーマに、ECの現場で起きているリアルな課題を掘り下げていきます。
ECマーケティング人財育成は「マーケティングチームの内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
ボクラブロックは、EC事業者ごとに異なる課題や目指す方向に合わせて施策を設計し、実行・改善まで伴走するEC支援会社です。外部パートナーも活用しながら、売上向上や業務改善につながる取り組みを支援します。詳しくはボクラブロックのホームページをご覧ください。
メルカリが開拓する新品・中古に続く“第3の市場”とは? プロが品質を保証するリユースサービス「m department」をスタート
メルカリは7月14日、プロが品質を保証するリユースサービス「m department(エムデパートメント)」の提供を開始した。フリマプリ「メルカリ」とは独立したECサイトとして展開し、整備済み製品(リファービッシュ品)や真贋鑑定済みブランド品を取り扱う。新品でも個人間取引の中古品でもない、品質保証付きリユース品を「第3の市場」と位置付け、サービス開始時点で88社の専門事業者が参画する。

「m department」は、厳正な審査を通過した専門事業者のみが出店できるマーケットプレイス。取り扱う商品はすべて、検査、修理、クリーニング、真贋鑑定などを経た品質保証付きの商品に限定する。

対象カテゴリーは、整備済み製品ではスマートフォン、タブレット、ノートPC、カメラ・レンズ、真贋鑑定済みブランド品ではバッグ、アクセサリー、財布・小物、腕時計、衣類、シューズを取り扱う。
特長の1つは、購入後の保証や返品体制を整えている点だ。整備済み製品には商品発送後180日間の動作保証を付帯し、正常に動作しなくなった場合は修理または交換で対応する。返品は、スマートフォン、タブレット、ノートPCが商品発送後30日以内、カメラ・レンズが同7日以内、ブランド品が同10日以内としている。
価格面では、プロによる品質保証が付いた商品を新品より手ごろな価格で購入できる点を訴求。加えて、「メルカリ」で不要品を販売して得た売上金を、「m department」での買い物に利用できるようにした。

サービス開始の背景についてメルカリは、物価高を背景に高額リユース品の需要が拡大する一方、購入時の品質に対する不安が大きな障壁になっていると説明。メルカリの調査では、高額ブランドのファッションアイテムやスマートフォン、PC、タブレットのリユース品購入について約7割が不安を感じると回答した。

高額ブランド品では「偽物・コピー品への懸念」、デジタル機器では「動作不良・故障のリスク」が主な不安要因となっていた。

こうした課題を踏まえ、メルカリは「プロが品質を保証するリユース品」を、新品、中古品に続く“第3の市場”と位置付ける。リユース経済新聞の調べによると、国内リユース市場は2024年に3兆2628億円に達し、なかでも携帯電話・スマートフォンやブランド品が市場拡大をけん引しているという。メルカリの調査によると高額リユース品購入時に8割以上が「品質保証」を重視すると回答しており、プロによる品質保証が新たな需要を喚起し、市場拡大の大きな鍵となることが示唆されている。

サービス開始を記念し、9月30日までウェルカムクーポン配布キャンペーンも実施する。対象商品の購入代金が30%オフとなり、割引上限額は1万円。税込1万円以上の商品購入時に利用でき、1人1回限り。クーポンは付与日から7日間有効とする。

今後は取り扱いカテゴリーを順次拡大するほか、2027年初頭には買取サービスの提供開始も予定する。メルカリは、掘り出し物との出会いを楽しめる「メルカリ」と、品質保証のもとで安心して商品を選べる「m department」を併存させることで、利用目的に応じた購買体験を提供していく考えだ。
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ファッション情報の収集はSNSが5割、ECサイトのレビュー・口コミは33%。“SNS疲れ”でAI利用が増加している傾向も
オンワードホールディングスが実施した「ファッション情報源と価値観の変化に関する意識調査」によると、ファッション情報の収集先としてSNSや動画、AIの利用が広がる一方、雑誌離れや“SNS疲れ”が進んでいる実態が明らかになった。生活者の関心も、「流行や憧れ」から「自分に合う最適解」へと移りつつあるという。

ファッション情報の収集はSNSが約5割、動画も4割超
「現在よく使うファッション情報収集メディア」は、SNSが49.3%、動画コンテンツが42.2%と高い水準だった。5年前と比べると、SNSは16.2ポイント増、動画コンテンツは12.1ポイント増と大きく伸長。一方、ファッション雑誌は41.5%から34.2%へ7.3ポイント減少した。

AIも新たな情報源として存在感を高めている。5年前には設問項目になかったAI(ChatGPTやGeminiなど)は、現在17.1%がファッション情報の収集に活用している。ECサイトのレビュー・口コミも28.8%から33.6%へ伸びており、実際の購入者の声を重視する傾向もうかがえる。
雑誌離れが進む一方、移行先は動画・SNS・ECレビューに
「ファッション雑誌を参考にする頻度はどう変わったか」という設問では、「大きく減った」が22.6%、「やや減った」が27.5%で、合計50.1%が雑誌を参考にする頻度が減ったと回答した。「変わらない」は33.6%、「増えた」は7.1%だった。

雑誌を参考にしなくなった回答者に移行先を聞くと、「動画コンテンツ」が50.0%で最多、「SNS」が46.4%、「ECサイトのレビュー」が42.2%で続いた。視覚的でリアルタイム性の高いデジタル情報源へのシフトが進んでいる。

“SNS疲れ”は47.2%、理由は「情報過多」と「信頼性の低下」
一方で、SNSを情報源とする生活者の間では疲弊感も広がっている。「SNSでのファッション情報収集に疲れ・うんざり感・限界を感じることがあるか」との問いに対し、「よくある」が12.5%、「たまにある」が34.7%で、合計47.2%が“SNS疲れ”を経験していた。

SNS疲れの理由として最も多かったのは、「情報が多すぎて自分に合うものが見つけにくい」の61.7%。次いで「広告・PRが多すぎて信頼できない」が47.2%、「インフルエンサーへの信頼度が下がった」が44.1%だった。情報量の多さと信頼性の低下が、SNS疲れの主な要因となっている。

SNS疲れを背景にAI利用が拡大
調査では、SNS疲れを背景にAIの活用が広がっていることも示された。SNS疲れを感じた人に「情報収集はどう変化したか」を聞くと、「AIを使うことが増えた」が37.6%で最多だった。

また、「ファッション情報の収集にAIを使う頻度は1年前と比べてどうなったか」という設問では、「やや増えた」が22.5%、「大きく増えた」が9.9%で、合計32.4%がAI利用を拡大していた。

SNS疲れの有無で比較すると、AI利用が増えた割合は、SNS疲れを感じている層が49.3%だったのに対し、感じていない層は20.6%で、約2.4倍の差があった。

情報収集の目的は「憧れ」より「自分に合う最適解」
ファッション情報を集める目的では、「自分に合う最適な服やコーディネートを見つけるため」が46.4%で最多となった。次いで「購入の判断材料として」が35.7%、「失敗しないための情報収集」が28.5%と続き、実用性を重視する回答が上位を占めた。

一方、「憧れの人やスタイルを参考にするため」は12.2%にとどまった。オンワードホールディングスは、ファッション情報収集の重心が「見て楽しむ」から「選んで使う」へ移行していると分析している。
また、「憧れや流行よりも自分に合う最適解を重視するようになった」と回答した人は全体の23.1%で、70代では40.0%に達した。
情報収集の手段については、「SNSで憧れや流行を参考にするようになった」が13.5%だった一方、「SNSよりも信頼できる情報源を探すようになった」が9.1%、「AIなどを活用して最適解を求めるようになった」が8.5%となり、合計17.6%が“脱SNS型”の情報収集へ移行している。
調査概要
- 調査主体:オンワードホールディングス コーポレートコミュニケーション室
- 調査方法:インターネットアンケート
- 調査システム:knowns
- 調査対象:全国の20〜70代の男女614人
- 調査期間:2026年6月22日
SHIPSがTBS系日曜劇場「VIVANT」と特別コラボアイテムを発売、ECサイトと限定店舗で展開
シップスはこのほど、TBS系日曜劇場「VIVANT」(ドラマ)との特別コラボレーションアイテムの販売を始める。7月15日から自社ECサイト「SHIPS 公式オンラインショップ」にて先行販売し、7月24日からは「SHIPS」の限定店舗で展開する。

2023年に大ヒットしたドラマ「VIVANT」は、7月26日から続編の放送を開始する。それを記念して今回のコラボレーションが実現した。今回の企画では、ドラマの象徴である「VIVANT」ロゴをモチーフにしたグラフィックを採用。さらに、登場人物や劇中の重要モチーフにインスパイアされたアイテムを展開する。
コラボレーションアイテムはTシャツ、ビジネスバッグ、ネクタイ、シルクスカーフ、シグネットリング、ペーパーナイフ、ポケットツール、カードマルチツール、ショップバッグ、ポーチ、サコッシュ。

7月15日から「SHIPS 公式オンラインショップ」で先行販売を開始。「ZOZOTOWN」では同日以降、順次販売を開始する予定。7月24日からは、「SHIPS 新宿フラッグス店」「SHIPS 池袋パルコ店」「SHIPS グランフロント大阪店」「SHIPS エスパル仙台店」「SHIPS 広島店」の一部店舗で限定販売する。
また、7月24日~8月2日の期間中、「SHIPS 新宿フラッグス店」で「VIVANT POP-UP STORE」を実施。7月28日には、劇中で公安・野崎の捜査を支える協力者、ドラムの来店イベントを行う。

顧客・社員の声を商品開発に生かすしまむらの取り組み「しまボイス」とは
しまむらはこのほど、利用者や社員の声を参考に改良した商品や新規開発した商品を、「しまボイス」として紹介していくと発表した。

「しまボイス」は“しまむらボイス”の略で、利用者や社員の「あったらいいな」「こうして欲しい」といった声に耳を傾け、商品改良・新規開発をする取り組み。声を参考に改良した商品を「改良品」、新規開発した商品を「アイデア品」として紹介する。
全国の「ファッションセンターしまむら」店舗で販売中の「しまボイス」商品のラインアップは次の通り。
- FIBER DRY(ファイバードライ)洗えるふかふかスリッパ:税込649円/(プレミアム)税込869円
- FIBER DRY カップ付タンクトップ:税込1089円
- ラクっと!快適 スムーズIN(イン)スニーカー:税込1969円
- COOL(クール)ルームウェア:税込1639円
- 活き活きラボ 姿勢サポートノンワイヤーブラジャー:税込1089円/(プレミアム)税込1419円
電通、統合メディアプランニングツールにリテールメディアを追加
電通は、統合メディアプランニングツール「クロスメディア・プランナー」の機能を拡充し、リテールメディアのデータを追加。リテールメディアを含めた統合メディアプランを提供する。
楽天が日本テレビと連携、テレビCMのプランニングをデジタル広告のように最適化
楽天グループは7月13日、日本テレビ放送網と連携し、楽天が保有する消費行動分析データを活用した地上波テレビCM向け広告ソリューション「RMP - TV Ads」の提供を開始した。「楽天市場」などで蓄積した購買データとテレビ視聴データを組み合わせることで、ライフステージやライフスタイル、購買属性に基づいたテレビCMのプランニングや広告枠の購入を可能にする。

「RMP - TV Ads」は、ビデオリサーチの技術を活用し、楽天の消費行動分析データとテレビ視聴データを連携させる広告ソリューション。たとえば、「楽天市場」で化粧品や子ども用品を購入した層といった購買属性から、広告主は特定ターゲットに向けた地上波テレビCMの精緻なプランニングを行える。
広告枠の購入は、日本テレビのアドプラットフォーム「Ad Reach MAXプラットフォーム」が提供する「AdRM-EXchange」と連携。広告主は、プランニング結果に基づいて入札条件を設定し、広告枠をリアルタイムで購入できる。テレビCM取引に、デジタル広告に近い運用性を取り入れる仕組みだ。
効果測定では、広告主が希望する場合、楽天IDと連携し、テレビCMの接触ユーザーと非接触ユーザーを対象にブランドリフトと購買リフトを計測できる。テレビCM配信後の認知度向上や購買への影響を検証しやすくする。
今回の連携について楽天と日本テレビ放送網は、生活者の消費行動データとテレビの持つリーチ力・信頼性を組み合わせることで、広告主のマーケティング課題の解決につなげるとしている。楽天のデータ分析力と日本テレビの放送枠運用体制を掛け合わせ、テレビCMのプランニングや運用をデジタル広告のように最適化していく考えだ。
日本テレビは、独自開発した「Ad Reach MAXプラットフォーム」の運用を2025年3月に開始し、テレビ広告のプログラマティック取引市場の拡大を進めている。今秋以降は他局の参画も予定しており、今回の連携は同プラットフォームの価値向上やテレビ広告取引の利便性向上にもつながりそうだ。
楽天によると、「RMP - TV Ads」の取扱企業は楽天、リンクシェア・ジャパン、および楽天のパートナー広告代理店。提供開始日は7月13日。
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カウシェ経由で一部法人向け特別料金を利用できる運賃取次サービス「カウシェ・マルチチャネル運賃」とは? 関東発関東着60サイズで470円
ソーシャルコマースアプリ「カウシェ」を運営するカウシェは7月6日、EC事業者向けの新サービス「カウシェ・マルチチャネル運賃」の提供を開始した。カウシェへの出店有無を問わず利用できる配送料の運賃取次サービスで、自社ECや各種ECモールなど販売チャネルを問わず、カウシェ経由で一部法人向けの特別料金を利用して商品を発送できるようにする。

「カウシェ・マルチチャネル運賃」を始めた背景には、自社ECと複数のECモールを併用する事業者の増加や、物流業務の効率化ニーズの高まりがある。販売チャネルを横断して利用できる配送インフラを提供することで、物流コストの削減や運用負荷の軽減を支援する。
特長の1つは、「カウシェ」に出店していない事業者でも利用できる点だ。自社ECやECモールなど、販売チャネルを問わず利用できるため、複数チャネルを運営する事業者やこれからEC事業を始める事業者でも導入しやすい設計としている。
料金面では、カウシェが配送パートナーと一括交渉することで、個別交渉では実現しにくい水準の特別料金を提供する。一例として、関東発・関東着の60サイズで税抜470円から利用できるとしている。
また、配送会社ごとの個別契約や与信審査・交渉が不要となるため、導入時の手間や日々の運用負荷を抑えられる点も特長としている。対応サイズは60~160サイズで、温度帯は常温のみ。自社倉庫、委託先倉庫のいずれからの出荷にも対応する。
今後は、複数店舗の注文を「カウシェ」の物流拠点で同梱して出荷する仕組みの提供も予定している。物流領域の機能拡充を進めることで、EC事業者の物流業務全体を支援するプラットフォームとしての役割を強化していく考えだ。
なお、カウシェは2026年3月、DeNAが出資および業務提携を発表している。DeNAのプロダクト開発力やAI活用の知見を取り込み、発見型コマース体験の高度化や組織体制の強化を進める方針を示していた。
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企業は「何を変えたか」を考え、お客さんは「どう感じたか」で評価する。AI時代に見落とされているかもしれないこと【ネッ担まとめ】
「従来のSEO」と「AI施策」のような構図を依然として感じるなか、「AIに引用されるために」「AIが好むコンテンツ」といった文脈で、AI検索施策を推進する広告がSNSのフィードによく流れてきます。内容を読むと「センセーショナルに表現したい」という意図がわからなくもないのですが、「AIが好む」の先には「人=お客さん」がいて、その行動意図が反映されていることを忘れてはいけません。これはWebやAI検索に限った話ではありません。企業が「良かれと思って変えたこと」と、お客さんが「どう感じたか」の間には、しばしばズレが生まれます。今回は、そんな企業とお客さんとの間で生じる「ズレ」の事例から、「健やかなWebでの最適化」を考えていきましょう。
話題と購買欲、安定供給をめざしたことがもたらした学び
カルビー白黒包装で購入意向が激減 3000人調査で判明、湖池屋を下回る | 日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01394/00003/
「貧ぼっちゃま仕様(笑)」 カルビー『ポテトチップス』片面カラー袋が話題『おぼっちゃまくん』連想 | オリコンニュース
https://www.oricon.co.jp/news/2466679/
表面はフルカラーで明るいが裏面は白黒のままで、ネット上ではアニメ『おぼっちゃまくん』登場キャラの「貧保耐三(貧ぼっちゃま)」と話題になっている。
一部商品の表面カラー印刷再開を報じる記事のなかで、おもしろいタイトルのこちらの記事をピックアップ。白黒→一部再開のいずれもが大きな話題となることは、副産物となったかもしれません。
一方、X(旧Twitter)では白黒のパッケージをキャンバスに見立てて絵を描く人たちの発表の場となり、こちらも盛り上がりました。
苦肉の策から、わずか2か月で二転三転したパッケージが巻き起こしたあれこれ。話題と購買欲について、学びが多いと感じました。
要チェック記事
SEO関連
SEOは「キーワード検索」から「意思決定エンジン」へ、AI検索がもたらす10の変化(前編) | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2026/07/06/52884
“クリックの前、つまりAIが生成する回答の中でもSEOの効果が発揮されるようになっている”
「タイパ・コスパ重視」と言われたZ世代の次α世代は、AIすらネイティブ。2010年度生まれの人たちは2026年高校生になり、バイト代を使ってECで買い物する人たちも増えてくるでしょう。
高校生や社会人数年目の人と話す機会も増えましたが、彼らは惜しむべきもの・惜しまないものを明確に持っていると感じます。
クリック、タップの前段に多くのフローがあり、意思決定を行うまでに、自社のサイトやSNSアカウントがどれだけ露出し、接点を持てるかがカギとなりそうです。
“AI検索最適化は「SEOの代替」や「裏技で成り立つ孤立した分野」だと考えるべきではない。むしろ「検索最適化の進化形」”
本当にこれは何度も何度でも伝えたいことです。
サードパーティの SEO ツール、サービス、アドバイスの使用に関する Google 検索のガイダンス | Google Search Central
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/third-party-seo?hl=ja
“有益なアドバイスもありますが、「Google が言っていること」や Google のランキング システムの仕組みについて誤解していたり、異議を唱えたりする人もいます。”
前回は「生成AI検索でもSEOは有効」と明言したGoogleの記事を紹介しましたが、こうした声明が増えてきたのも、AIの普及とそこに付随するサービスが増えているからでしょうか。
“Google はサードパーティ サービスを評価していない”
と言い切ってもらえることはありがたいですね。昔は「消防署から来ました」という消火器の訪問販売をよく聞きましたが、「Googleから来ました」にも気をつけたいところ。
ググると出る「AIによる概要」でゼロクリック検索急増、『SEO瀕死』は真実か? | Forbes JAPAN
https://forbesjapan.com/articles/detail/98888
Googleによる「生成AI検索でもSEOは有効」を解説した記事。上記記事と併せてどうぞ。
“コンシェルジュがいてもレストランの仕事は変わらない”
この表現、とてもしっくりきました。これから激変するかもしれませんが、今のところ
“検索の本質は、30年変わっていない”
See how content from social and video platforms performs on Google Search(ソーシャルメディアや動画プラットフォームのコンテンツがGoogle検索でどのように表示されるかを確認してください) | Google Search Central
https://developers.google.com/search/blog/2026/07/search-console-social-video-platforms
「Google Search Console」の新機能。現時点で、Instagram、TikTok、X、YouTubeのアカウントを連携することで、Google検索、Discover、Googleニュースでのパフォーマンスがチェックできるように。
縦型動画が隆盛を迎える今、動画集客に勤しむEC事業者も多いと思います。自社の動画がどのように検索されているかを見られるようになるのは、神アプデ。
マーケティング関連
客単価1900円増 ムラサキスポーツが挑んだ「誰でもデータ活用」の仕組み | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2606/24/news016.html
おそらく多くの企業に立ちはだかる
“データ活用の壁は「時間不足」「属人化」「文化」”
をどう解決したのかは参考になるかも。
「成長したい」と言うくせに「なんでもAIで答えを出す人」が見落としている“大事なこと”|DIAMONDonline
https://diamond.jp/articles/-/391273
こちらもあるある。
“AI時代は「結果を出せる人」ではなく「過程を知っている人」が評価される”
「なぜそうなったのか?」に至るまでを知っているかどうかは、本当に大切だと思います。
シニアの推し活は「若者化」なのか-コンテンツ経験から読み解くシニア像|ニッセイ基礎研究所
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=86189?pno=2&site=nli
Z世代、α世代が注目されがちですが、更新されているシニア像を生かしたシニアマーケティングも要注目。
「うちのお客さんはシニアなのでスマホを見ない」なんて言う事業者さん、もはやいませんよね?
今週の名言
New Look, Same Whole-Grain Mission for Bob’s Red Mill | PACKAGING DIGEST
https://www.packagingdigest.com/food-packaging/new-look-same-whole-grain-mission-for-bob-s-red-mill
冒頭で紹介した白黒パッケージは、ニュースやSNSでも大きく話題になる一方、「購買欲が下がった」という厳しいデータも。それでもお絵かきキャンバスとして話題になる副産物もありました。
ここで紹介するのは、アメリカで約50年の歴史をもつ、穀物食品のブランド「ボブズ・レッドミル」の事例です。
長年親しまれてきた創業者ボブの顔をプリントしたパッケージの変更が発表されると、SNSで「ボブが消えた」「昔の温かみがなくなった」「現代的すぎる」など反発の声も相次ぎました。
この変更には約3年をかけて消費者調査・小売業者へのヒアリングや社内テストを実施。「新パッケージにすることで、商品が見つかる時間を削減できる」という結論から、変更したのです。
創業者ボブの顔は品質保証のマークとして位置づけ、ボブは消えたのではなく、ブランドの象徴とする選択をしました。そして、一気に切り替えるのではなく2026年9月から商品ごとに順次新パッケージに切り替え、徐々に馴染んでもらうことをめざすようです。
2010年にGapがロゴを変更したところ不評の嵐で、わずか6日で元のロゴに戻し、当時のレートで約100億円の損失を出したことが報じられました。
2009年、Tropicana(トロピカーナ)はお馴染みだった果物にストローが刺さったパッケージを変更するも、38億円の広報費用が水の泡となり、30日で元のデザインに戻したこともありました。
大切なのは、企業が「何を変えたか」ではなく、その変化をお客さんが「どう感じるか」。わかりやすさ。見つけやすさ。そして「あ、これ知ってる」と思ってもらえる「おなじみの」を持つ企業やブランドは、やはり強いですね。
これはSEOやAI検索でも同じなのかもしれません。「AIに引用されるために何を変えるか」を考える前に、お客さんが自社をどのような言葉で探し、何を知りたがり、どんな情報があれば安心して選べるのかを考える。その積み重ねの先に、検索エンジンにもAIにも認識される「おなじみの存在」ができていくのではないでしょうか。AI時代だからこそ、「誰にどう感じてもらいたいのか」を忘れないようにしたいですね。
それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
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ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。
Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

原材料不足のなかでも安定供給のために変更した白黒パッケージは、大きなニュースとなりました。
購買意欲をかき立てる暖色系を消すことは、メーカー側も不本意だったと思います。上記調査では、「おいしそう」が33.1ポイント減、「安心・信頼」が24.9ポイント減となるなど、その影響は大きかったようです。有料会員限定記事ですが、読める人はぜひチェックしてみてください。
モノクロの新奇性によって短期的な注目を集める一方、それを上回る食欲や楽しさの減退を招いたことは、今後、企業が「変えること」と「お客さんがどう感じるか」を考えるうえで、1つの象徴的な事例になりそうです。その意味でも、この取り組みが残した学びは大きいと感じました。