ウォークの予測によると、2026年のネットフリックスの広告収益は前年の2倍以上の30億ドルとなり、2030年には80億ドルを超える。コネクテッドテレビ広告市場におけるネットフリックスの占有率は、2025年は3.7%だが2027年には9.2%に。
Platform Insights: Netflix
https://www.warc.com/content/paywall/article/Warc-Data/Platform_Insights_Netflix/en-GB/162423
Netflix's ad tier is booming, set to hit 9.2% of global CTV ad spend by 2027. With 325M subs & 1B viewers, this is trust & attention monetised 👇 pic.twitter.com/0T5CxEc17U
— WARC (@WARCEditors) February 18, 2026
MRCが、デジタル広告オークションの透明性についての要件や指針を策定。広告のオークションは不透明な部分が多く、買い手からするとルールの分からないゲームに参加するようなものともいえる。オークションの種類、勝者の決定方法、価格の決定方法、最低入札価格とその変更、入札価格と予算の事前情報による調整などについて、開示や報告の要件や指針を整理した。
MRC Issues Final Digital Advertising Auction Transparency Standards
https://www.mediaratingcouncil.org/sites/default/files/Standards/012926_MRC_Digital_Advertising_Auction_Transparency_Standards_Final.pdf
MRC Digital Advertising Auction Transparency Standards
https://www.mediaratingcouncil.org/sites/default/files/Standards/MRC_Digital_Advertising_Auction_Transparency_Standards_FINAL.pdf
ボストンコンサルティンググループがグーグルと共同で調査。EC専業プラットフォーマーを除く店舗事業者のリテールメディア広告費は、2025年の1,190億円から、2035年には1兆905億円まで成長すると推計。
https://business.google.com/jp/think/consumer-insights/retail-promotion-research2025/
unerryは、ブログウォッチャーのすべての株式をリクルートと電通グループから取得し、完全子会社にする。位置情報データサービスの事業基盤を拡大する。
IABが、広告コンテンツにおける責任あるAIの使用を推進するため、「AI Transparency and Disclosure Framework」を公開。AIの使用が、消費者に誤解を与えかねない方法で真正性、アイデンティティ、表現に著しく影響するときは、それを開示すべきとした。例えば、プロンプトが生成した画像や映像、AIが生成した架空の発言音声などを広告で使用する際は、消費者向けの開示およびメタデータ(C2PAプロトコル)が必要になる。
IAB Releases Industry’s First AI Transparency and Disclosure Framework to Guide Responsible Advertising in a Generative-AI Landscape
https://www.iab.com/news/iab-releases-industrys-first-ai-transparency-and-disclosure-framework-to-guide-responsible-advertising-in-a-generative-ai-landscape/
LINEヤフーは、「LINE」の国内月間利用者数が1億を突破したと発表し、「LINE」の歴史を振り返るウェブサイトを公開。
CARTA HOLDINGSはデジタルインファクトと共同で、リテールメディア広告費の推計を更新。2025年のリテールメディア広告費は前年比129%の6,066億円で、年初の見込みを上回った。今回、2026年以降の予測も上方修正している。
アメリカの大統領令に基づき、アメリカにおける「TikTok」事業を継続するため、シルバーレイク、オラクル、MGXなどが出資する合弁会社「TikTok USDS Joint Venture」が設立された。アメリカ人が過半数を所有する合弁会社で、データプライバシーとサイバーセキュリティーを徹底し、アメリカの利用者に安全にサービスを提供する。バイトダンスの出資比率は19.9%。
Announcement from the new TikTok USDS Joint Venture LLC
https://newsroom.tiktok.com/announcement-from-the-new-tiktok-usds-joint-venture-llc
オープンAIは、アメリカにおいて、無料版の「ChatGPT」と低価格の「ChatGPT Go」向けに広告の試験を開始する。広告の原則として、ミッションとの整合性、回答の独立性、会話のプライバシー、選択と管理、長期的な価値の5項目を挙げた。「ChatGPT」の回答は広告の影響を受けず、また利用者は広告のパーソナライズを無効にできる。
In the coming weeks, we plan to start testing ads in ChatGPT free and Go tiers.
— OpenAI (@OpenAI) January 16, 2026
We’re sharing our principles early on how we’ll approach ads–guided by putting user trust and transparency first as we work to make AI accessible to everyone.
What matters most:
- Responses in… pic.twitter.com/3UQJsdriYR
https://openai.com/ja-JP/index/our-approach-to-advertising-and-expanding-access/
私自身、アクセス解析業界に携わって20年近くになりますが、振り返ってみると本当にたくさんのツールが生まれ、そして消えていきました。Google Analyticsが登場する前の時代を知っている方は、今となっては少数派かもしれません。でも、あの頃の試行錯誤があったからこそ、今のアクセス解析があります。
本記事では、1990年代後半から現在まで、約25年にわたる日本のアクセス解析ツールの歴史を振り返ります。「あのツール使ってたな」と懐かしんでいただける方も、「そんな時代があったのか」と新鮮に感じる方も、ぜひ最後までお付き合いください。
なお、本記事では主にWebサイトのアクセス解析ツールを中心に扱いますが、モバイルアプリ解析やヒートマップなど周辺領域にも触れていきます。また、記事の最後には、この業界を支えてきた方々についてもご紹介させていただきます。
本記事は生成AIにもファクトチェックを行った上で執筆しておりますが、私自身の体験を多聞に含みます。そのため、一アナリストとしての所感として優しく受け取っていただけたらなーと
日本でインターネットが一般に普及し始めた1990年代後半、個人サイトには必ずと言っていいほど「アクセスカウンター」が設置されていました。私も最初に作ったウェブサイトは1997年(「スレイヤーズ!」の英語ファンサイト)ですが、当然のようにセットしていました。

この時のハンドルネームが、はてなブログのURLに入っています(笑)私にとって「自分のサイトにどれくらい人が来ているか知りたい」という、アクセス解析の原点だったと言えます。
カウンターは「何人来たか」しかわかりませんでした。しかし、Webサーバーには実はもっと詳しい情報が記録されていたんです。それが「アクセスログ」です。
アクセスログには、いつ、どのIPアドレスから、どのページにアクセスがあったか、どこから来たか(リファラー)、どんなブラウザを使っていたか——こうした情報が1行ずつテキストファイルに記録されていました。この生データを集計・分析すれば、サイトの状況がもっと詳しくわかる。そう気づいた人たちが、ログ解析ツールを開発し始めます。
192.168.1.1 - - [10/Oct/1998:13:55:36 +0900] "GET /index.html HTTP/1.1" 200 1024 "-" "Mozilla/5.0..."
Combined Log Format(複合ログ形式)の代表例。懐かしいという方もいるでしょう。
海外では「Analog」「Webalizer」「AWStats」といったオープンソースのログ解析ツールが登場し、日本でも技術者を中心に使われるようになりました。ただし、これらはサーバーにインストールして設定する必要があり、一般のWeb担当者にはハードルが高かったのも事実です。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、より高機能な商用ログ解析ツールが登場します。アメリカで開発された「WebTrends」や、後にGoogleに買収されることになる「Urchin」などです。

これらのツールは、ログファイルを読み込んで見やすいレポートを自動生成してくれました。グラフや表で可視化されるので、技術者でなくても理解しやすい。企業のWebサイト運営者にとって、これは画期的なことでした。
ただし、当時の商用ツールは非常に高価でした。ライセンス費用だけで数十万円、場合によっては数百万円。大企業でなければ導入は難しかったんです。
2003年、日本のアクセス解析市場に大きな変化が訪れます。株式会社デジタルフォレスト(後にNTTコミュニケーションズが買収)が「Visionalist(ビジョナリスト)」をリリースしたのです。元々「ClickTracer」という名称で提供されていたツールが、この年「Visionalist 4.0 WEB解析」として生まれ変わりました。

Visionalistは、日本企業が日本市場向けに開発した本格的なアクセス解析ツールでした。ASP(Application Service Provider)型、つまりWebサイトにタグを貼るだけで利用できる形式で、サーバーへのインストールは不要。これが画期的でした。リクルート、マツダ、野村證券など、大手企業が続々と導入しました。
当時としては、セッションの概念や、広告パラメータ、コンバージョン計測など、今では当たり前の機能をしっかり実装していました。私が2006年にリクルートに入った時の最初の仕事は、リクルート全社で導入されていた「Visionalist」の運用でした。

Visionalistは2020年7月にサービスを終了するまで、約18年間にわたって日本のアクセス解析市場を支え続けました。
有料ツールが主流だった時代に、無料で使えるアクセス解析ツールも登場し始めます。
2002年には「忍者アクセス解析」(サムライファクトリー)がサービスを開始。無料プランでも基本的な解析機能が使え、個人サイトや中小企業を中心に爆発的に普及しました。

同じく2004年には「i2iアクセス解析」(エムフロ)もスタート。どちらも現在まで20年以上サービスを継続しています。2006年には、福岡のコンサルティング会社ペンシルが「チーター」(現在のスマートチーター)を自社開発しリリース。こちらはログ型の解析ツールで、コンサルティングのノウハウを詰め込んだ「わかりやすさ」が特徴現在も続いています。
ツールが増え、利用者が増えると、次に必要になるのは「標準化」と「人材育成」です。
2009年には大内範行氏が中心となり「アクセス解析イニシアチブ(a2i)」が設立されました。アクセス解析の啓発・普及活動、業界内の情報交換、ベストプラクティスの共有などを目的とした団体です。定期的に開催されるセミナーやカンファレンスは、実務者にとって貴重な学びの場となりました。私自身、設立当初から関わらせていただき、最初の登壇もa2iでした(多分a2i主催で登壇した回数も私が一番多いはず&2026年3月にも登壇予定です!)。

続いて2010年には「ウェブ解析士協会(WACA)」が江尻俊章氏によって設立されます。こちらは「ウェブ解析士」という資格制度を通じて、解析人材の育成と能力認定を行う団体です。「アクセス解析ができる人材が足りない」という当時の課題に対し、体系的な教育カリキュラムと資格試験を整備したことで、多くの実務者のスキルアップに貢献しました。現在では累計5万人以上がウェブ解析士の資格を取得しており、業界の人材基盤を支えています。私は、顧問として現在まで参画をさせていただいております。
a2iとWACA、アプローチは異なりますが、どちらも日本のアクセス解析業界の発展に欠かせない存在です。
2005年11月、Googleがアクセス解析ツール「Google Analytics」を無料で公開しました。これは業界にとってこの25年間で最も大きな出来事でした。

Googleは同年3月にUrchin社を買収しており、その技術をベースにしたツールが無料で使えるようになりました。それまで数十万円、数百万円を払わないと使えなかったレベルの機能が、タダ。しかもGoogleという巨大企業が提供する安心感。
当時の有料ツールベンダーの衝撃は、想像に難くありません。実際、Google Analytics登場後、いくつかの有料ツールはシェアを大きく落とし、撤退を余儀なくされるケースを沢山見てきました。
Google Analyticsは登場後も急速に進化を続けました。主要なアップデートを振り返ってみましょう。2007年には、トラッキングコードが「urchin.js」から「ga.js」に刷新されます。より軽量で、より多くの機能をサポートするようになりました。2008年にはイベントトラッキング、2009年には非同期トラッキング、そしてeコマース機能なども充実していきました。
Google Analyticsの登場で有料ツールが全滅したかというと、そうではありません。
2009年、AdobeがOmniture社を約18億ドルで買収し、「SiteCatalyst」(現Adobe Analytics)を傘下に収めました。エンタープライズ向けの高機能ツールとして、大企業を中心に導入が進みます。リクルート、楽天、ヤフー(Yahoo!ショッピング)、カカクコム(価格.com、食べログ)、花王、アスクルといった大規模サイトを運営する企業が採用しました。「無料のGAでは足りない」「より細かいセグメントやカスタマイズが必要」という企業にとって、Adobe Analyticsは有力な選択肢であり続けました。

私自身も2008年~2010年にリクルート内でVisionalistからAdobe Analyticsに全社移行するプロジェクトにがっつり携わり100を超えるサイトへの導入と数百名の教育を行ってきました。
同じく2009年には、Yahoo! JAPANが「Yahoo!アクセス解析」のベータ版を公開します(2011年8月終了)。

また、国産オープンソースの「Research Artisan」も登場し、自社サーバーで運用したいというニーズに応えました。
こうして、「無料のGoogle Analytics」「エンタープライズ向けのAdobe Analytics」「特定用途に強い専門ツール」という棲み分けが形成されていきます。
Google Analyticsが「汎用ツール」として市場を席巻する中、特定の用途に特化したツールが存在感を示し始めます。
2010年に販売を開始した「X-log」は、韓国で開発されたツールですが、日本市場向けにローカライズされました。最大の特徴は「不正クリック対策」機能。リスティング広告の不正クリックを検出し、対策を講じることができます。また、クッキー削除やIPアドレス変更があっても同一ユーザーとして追跡できる技術は、当時としては画期的でした。

「らくらくログ解析」(サイバーエリアリサーチ社、現Geolocation Technology)は、BtoB企業向けに強みを発揮しました。IPアドレスから訪問企業名を特定する機能は、法人営業のリード獲得に直結します。「どの企業が自社サイトを見ているか」がわかるのは、BtoBマーケターにとって非常に価値のある情報でした。

ドイツ発の「econdaショップモニター」は、EC特化型として2010年に日本上陸。ショッピングカート分析や商品分析など、ECサイト運営に必要な機能を網羅していました。

アクセス解析の「周辺」とも言える領域も、この時期に大きく発展します。
2008年にサービスを開始した「Readscope」(後のリードスコープPro)は、ページの「精読率」を測定するという新しいコンセプトを打ち出しました。ユーザーがページのどこまでスクロールしたか、どの部分を長く読んだかがわかる。ランディングページの改善に威力を発揮しました。

2012年には、イスラエル発のヒートマップツール「ClickTale」が日本市場に本格参入。マウスの動きを録画する機能は、ユーザー行動を「見る」という新しい体験を提供しました。

同じく2012年、「Googleタグマネージャー」が登場します。複数の計測タグを一元管理できるこのツールは、Web担当者の作業効率を劇的に向上させました。HTMLを直接編集せずにタグの追加・変更ができる。これがどれだけありがたいか、実務経験のある方ならおわかりいただけるでしょう。
この時期、業界の統合・再編も進みます。
2010年、IBMがCoremetrics社を買収。後にIBM Customer Experience Analyticsとして統合されます。

2013年には、Yahoo! JAPANが「Yahoo!アクセス解析」の第2世代をリリース(バックエンドはUserLocal社の技術)。しかし、こちらも2018年3月に終了することになります。
サイオステクノロジーが提供していた「Site Tracker」も、この時期に新規販売を終了。

後継としてオープンソースの「Matomo」(旧Piwik)を案内するようになりました。
2010年頃まで、日本のモバイルWeb市場は独自の進化を遂げていました。いわゆる「ガラケー」の時代です。
ガラケーのアクセス解析は、本当に大変でした。まず、キャリアごとに仕様が違う。ドコモ、au、ソフトバンクでそれぞれ対応が必要でした。さらに、多くのガラケーはJavaScriptが動作しないため、タグ型の解析ツールが使えません。
「うごくひと」「myRT」といったモバイル特化の解析ツールが登場し、サーバーログ型やリダイレクト型でなんとか計測を実現していました。セッション管理もIPアドレスベースが主流で、精度には限界がありました。

他にもパケットキャプチャ型を利用する必要があり、サーバートラブルでデータの40%が某旅行サイトで取れなくなっていた時は大変な目にあいました(汗)
2008年のiPhone日本発売、2009年以降のAndroid端末普及により、状況は一変します。
スマートフォンは基本的にPCと同じWebブラウザを搭載しています。JavaScriptも動く。つまり、PC向けの解析ツールがそのまま使える。ガラケー時代の苦労は何だったのか、と思うほどの変化でした。一方で、新たな課題が生まれました。「アプリ」の計測です。
スマートフォンアプリは、Webサイトとはまったく異なる計測の仕組みが必要です。2010年頃から、アプリ専用の解析ツールが次々と登場します。
「App Annie」(2010年〜、現data.ai)は、アプリストアのランキングやダウンロード数の分析に強みを持ちました。競合アプリの動向を把握するツールとして、アプリマーケターの必須ツールとなります。
「Flurry」は、アプリ内のユーザー行動を詳細に分析できるツールとして普及。2014年にはYahoo!が買収しました。

同じく2014年、Googleが「Firebase」を買収。後にGoogle Analyticsとの統合が進み、現在のGA4の基盤となっていきます。

広告効果測定に特化した「adjust」「AppsFlyer」「Kochava」といったツールも、この時期に日本市場で存在感を増していきました。どの広告からアプリがインストールされたかを計測する「アトリビューション」は、アプリマーケティングの要となります。
また一部の企業は、自社でログを貯めて分析できる環境を作っていきました。ウェブサイトと違いアプリは様々なフォーマットや役割を持ちます。ソーシャルゲームを運営している会社の大半は自前の仕組みを持っているのではないでしょうか。私もサイバーエージェント時代は、ログをSQLと取得してくる日々でした。
ここで新たな課題が浮上します。同じユーザーがWebサイトとアプリの両方を使っている場合、どうやって統合的に計測するのか?
Webの解析ツールとアプリの解析ツールは別々。データはバラバラ。「同じ人なのに、別々のユーザーとしてカウントされてしまう」という問題が発生します。
この課題への回答が、後にGA4として結実することになります。
2012年、Googleは「ユニバーサルアナリティクス」を発表しました。
最大の特徴は「User ID」機能です。ログインユーザーに対して、デバイスをまたいで同一ユーザーとして計測できるようになりました。PCで商品を見て、スマホで購入する——そんなカスタマージャーニーを追跡できるようになったのです。
ユニバーサルアナリティクスは約10年間、世界中のWebサイトで使われ続けました。多くのマーケターにとって、「アクセス解析=Googleアナリティクス」という時代です。
2020年10月、Googleは次世代の「Google Analytics 4」(GA4)を正式リリースします。リリースされるまで約1年間ほどApp+Web Google Analyticsというツール名でした。この辺りも思想が表れていますね。
GA4は、ユニバーサルアナリティクスとは根本的に異なる設計思想を持っています。
まず、「イベント」ベースのデータモデルへの転換。従来の「ページビュー」「セッション」中心から、すべてのユーザー行動を「イベント」として統一的に扱う方式に変わりました。これにより、Webとアプリのデータを同じ基盤で扱えるようになります。
プライバシー規制への対応。Cookieに依存しない計測手法の導入、データ保持期間の制限など、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとする各国の規制強化を見据えた設計になっています。
2023年7月1日、ユニバーサルアナリティクスは新規データの処理を終了しました。
これは、業界史上最大級の「移行プロジェクト」でした。全世界で何百万というWebサイトが、GA4への移行を迫られたのです。
正直に言って、混乱もありました。GA4は従来とは操作性もレポート構成も大きく異なります。「使いにくい」「欲しいデータが見つからない」という声は少なくありませんでした。
私自身も、移行支援の相談を数多くいただき実行。どこのベンダーも大変だった記憶があります。私もセミナーや社内勉強回も1年間で120回行いました。
GA4の情報サイト「ga4.guide」もこのタイミングに立ち上げました。
しかし、これは避けられない変化でした。プライバシー規制の強化、Cookieレス時代の到来、Webとアプリの統合計測——こうした課題に対応するには、根本的なアーキテクチャの刷新が必要だったのです。
2015年以降、長年親しまれてきたツールが次々とサービスを終了しました。
2018年3月、Yahoo!アクセス解析が終了。バックエンドを担っていたUserLocal社の無料ツールへのデータ移行機能が提供されましたが、一つの選択肢が消えたことに変わりはありません。
2019年、ClickTaleがContentSquare 社に買収され、ブランドが統合されます。ヒートマップ・行動分析市場の再編が進みました。
2020年7月、Visionalistがサービス終了。約18年間の歴史に幕を閉じました。日本のアクセス解析黎明期を支えたツールの終焉は、一つの時代の終わりを象徴していました。
一方で、変化に適応し、生き残っているツールもあります。
Adobe Analyticsは、エンタープライズ市場での地位を維持しています。大規模サイトや複雑な要件を持つ企業にとって、GA4では対応しきれないニーズに応えています。
忍者ツールズやi2iは、20年以上にわたってサービスを継続中。個人サイトや中小規模のサイトにとって、手軽に使える選択肢として根強い支持を得ています。
オープンソースの「Matomo」(旧Piwik)は、プライバシー重視の選択肢として注目を集めています。自社サーバーで運用できるため、データを外部に出したくない企業や、GDPRへの対応を重視する欧州企業での採用が増えています。
また、「Amplitude」「Mixpanel」といったプロダクトアナリティクス系のツールが、特にSaaS企業やアプリ開発企業で採用されるようになっています。「ユーザーがプロダクト内でどう行動しているか」を深く分析することに特化したツールです。
解析ツール側にもAI機能の導入が進んでいます。GA4には「予測オーディエンス」機能があり、機械学習によって「購入する可能性が高いユーザー」「離脱する可能性が高いユーザー」を自動的に抽出してくれます。異常検知機能も、従来より高度になっています。
さらに、自然言語でのレポート生成も現実のものとなりつつあります。「先月のコンバージョン率が下がった原因は?」と聞けば、AIが分析して回答してくれる。そんな未来が、すぐそこまで来ています。実際、いくつかのツールではすでにこうした機能が実装され始めています。Microsoftが提供している「Clarity」はその代表例でしょう。

現在、生成AIとGoogle Analytics 4 を連携して分析できる環境までは整ってきました。2026年からの動きは今後とても楽しみです。
生成AIと並んで、アクセス解析に大きな影響を与えているのがプライバシー規制の強化です。
2018年のGDPR(EU一般データ保護規則)施行、日本での改正個人情報保護法の施行など、個人データの取り扱いに対する規制は年々厳しくなっています。
AppleのITP(Intelligent Tracking Prevention)は、Safariブラウザでのトラッキングを大幅に制限しました。サードパーティCookieはもちろん、ファーストパーティCookieの有効期限も短縮され、長期的なユーザー追跡が難しくなっています。
Googleも、Chromeでのサードパーティcookie廃止を進めていましたが、廃止を廃止するというアナウンスもあり不明瞭な状態が続きそうです。
こうした変化への対応として、「サーバーサイドタギング」が注目を集めています。従来のクライアントサイド(ブラウザ側)での計測に加え、サーバー側でデータを収集・処理する方式です。ブラウザの制限を受けにくく、より安定したデータ取得が可能になります。また自前ログに回帰する動きやFirst Party Dataの重要性が改めて増すでしょう。
役割の変化として、解析担当者に求められるスキルも変わっていくでしょう。「データを集める人」「レポートを作る人」から、「データで意思決定を支援する人」「AIを使いこなす人」へ。ツールの操作スキルよりも、ビジネス課題を理解し、データから示唆を導き出す力が重要になります。
25年前、アクセスカウンターの数字を眺めていた時代から、AIがインサイトを自動生成する時代へ。変化の速度はますます加速しています。
日本のアクセス解析業界は、多くの先人たちの努力によって発展してきました。ここでは、特に大きな貢献をされた方々を一部ご紹介します(敬称略、順不同)。
すべての方を網羅することはできませんが(他にも入れたい方もたくさんいます…)、主に直接知り合いの方へ、そして業界への敬意を込めて。
石井研二——株式会社ミルズ 主任研究員。「直帰率」という言葉の名付け親であり、「日本一のログ読み男」として知られるアクセス解析の草分け的存在。1995年からウェブプロデューサーとして活動し、2002年からはアクセス解析サービス「サイトグラム」を展開。『アクセス解析の教科書』(翔泳社)など多数の著書を通じて、アクセス解析の実践的なノウハウを広めてきました。
萩原雅之——トランスコスモス・アナリティクス フェロー。元ネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役社長として、日本のインターネット視聴率調査の基盤を築きました。アクセス解析を学術的・研究的なアプローチで捉え、調査手法の標準化や業界への知見還元に長年貢献されています。
衣袋宏美——クロス・フュージョン代表取締役。NEC、日経BP社、ネットレイティングスを経て独立。「衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座」をはじめWeb担当者Forumでの長期連載、『Googleアナリティクスによるアクセス解析入門』など多数の著書で「GAの伝道師」的存在に。a2i副代表、アユダンテ社外フェローも務め、初心者にもわかりやすい解説で多くの実務者を育てました。
大内範行(X)——アユダンテCSO(最高戦略責任者)。アクセス解析イニシアチブ(a2i、現アナリティクスアソシエーション)を創設し、業界の標準化・情報共有に尽力。カンファレンスの開催など、コミュニティ形成にも貢献されています。Googleでも7年間、Google AnalyticsとDoubleClick広告のマネージャーを歴任されました。
江尻俊章——ウェブ解析士協会(WACA)創設者・代表理事、環株式会社代表取締役。2010年に「ウェブ解析士」資格制度を立ち上げ、体系的な教育カリキュラムと認定試験を整備。累計5万人以上の解析人材育成に貢献し、日本のデジタルマーケティング人材の底上げに大きく寄与しました。『ウェブ解析士認定試験公式テキスト』の監修も担当。
清水誠(X)——Adobe Analytics(SiteCatalyst)のエバンジェリストとして日本市場での普及に尽力。楽天在籍時にはアクセス解析の全社展開を主導し、大規模サイトでの実装ノウハウを確立。Adobeにも在籍し、コンセプトダイアグラムの提唱者としても知られ、Adobe Analyticsnoユーザー会「eVar7」の共同創始者としてコミュニティ活動にも熱心に取り組まれています。
木田和廣(X)——プリンシプル取締役副社長/チーフエバンジェリスト。Google認定パートナーとして多数の企業を支援するとともに、GA4とBigQueryを組み合わせた高度な分析手法の普及に尽力。『できる逆引きGoogleアナリティクス4』など著書多数、セミナー登壇も精力的に行い、実践的なノウハウを発信し続けています。
山浦直宏——アユダンテ取締役COO、チーフエグゼクティブコンサルタント。読売広告社、ファーストリテイリング、トランスコスモスを経て2016年より現職。GAIQ資格講座で1,200名以上の合格者を育成し、立教大学など複数の大学で教鞭も執る。『いちばんやさしいGoogleアナリティクス4の教本』など著書多数。
高田和資——アユダンテ シニアカスタマーサクセスコンサルタント。2017年入社以来、GA360専任コンサルタントとしてエンタープライズ企業の導入支援を担当。KPI設計やBIツール連携を得意とし、『いちばんやさしいGoogleアナリティクス4の教本』の共著者としても知られます。a2iセミナー講師として登壇多数。
真摯(いちしま泰樹)(X)——株式会社真摯代表。2000年代からブログ「真摯」でウェブ解析やマーケティングの情報を発信し続ける老舗ブロガー。『できる逆引き Googleアナリティクス』シリーズなど実践的な著書で知られ、丁寧でわかりやすい解説が特徴。長年にわたり実務者の学びを支えてきました。
井水大輔(X)——ウェブ解析士マスター、株式会社S-FACTORY代表。GA4移行期には実務者向けの情報発信で多くの人の助けとなり、『1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本』など著書も執筆。ウェブ解析士協会での講師活動を通じて、後進の育成にも注力しています。
森野誠之(X)——運営堂代表。2006年に独立後、名古屋を拠点に中小企業のWeb運用支援に取り組む。毎日発行するメルマガ「毎日堂」は業界内で愛読者が多く、ネットショップ担当者フォーラムでの10年以上の連載など、地方と中小企業の視点からの情報発信を続けています。愛知大学非常勤講師、a2iセミナー編成委員。
カグア!(吉田喜彦)(X)——フリーIT講師。2000年代からブログ「カグア!」でGoogleアナリティクス情報を発信し続ける老舗ブロガー。GA公式フォーラムでレベル6アンサリストとして活動し、『Googleアナリティクス基礎講座』など著書も執筆。元立教大学・大東文化大学非常勤講師として教育活動にも従事されました。
最後に自分も…
小川卓(X)——HAPPY ANALYTICS代表取締役、ウェブアナリストとして多くの企業のデータ活用を支援。『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』など10冊以上の著書を執筆し、ブログ「Real Analytics」やGA4ガイドでの継続的な情報発信を通じて、実務者の学びを支え続けています。
ここに名前を挙げられなかった方々も含め、日本のアクセス解析業界を支えてきたすべての皆様に、心より感謝を申し上げます。
アクセスカウンターの数字に一喜一憂していた時代から、AIがインサイトを自動生成する時代へ。この25年で、アクセス解析を取り巻く環境は劇的に変化しました。
ツールは進化し、手法は洗練され、扱えるデータ量は桁違いに増えました。Cookieが使えなくなり、プライバシー規制は厳しくなり、AIが台頭し——変化のスピードは加速する一方です。
しかし、変わらないものもあります。
「データを見て、改善する」
この本質は、25年前も今も、そしておそらくこれからも変わりません。ツールが何であれ、技術がどう進化しようと、「ユーザーを理解し、より良い体験を提供したい」という想いが根底にある限り、アクセス解析の価値は失われないでしょう。
オーストリア政府観光局が、オーストリアの冬の魅力を紹介するウェブサイト「Non Disclosure Austria」(略すとNDA)を公開。情報はとっておきの秘密であるため、モザイク処理や伏字で隠されており、閲覧するには秘密保持契約(NDA)に署名する必要がある。本物の秘密保持契約だが、友人同士の約束のようなもので、法的措置はとらないとのこと。
Non Disclosure Austria
https://non-disclosure-austria.at/
https://www.thedrum.com/news/ad-of-the-day-austria-asks-tourists-to-sign-an-nda
ウーバーテクノロジーズが、没入型の広告体験を提供する「Journey Takeover」を発表。乗客が目的地に到着するまで、移動するアイコンや広告など、ブランドによってカスタマイズされた地図をアプリ上で提供する。
Uber Advertising Creative Studio Debuts Journey Takeover, Turning Everyday Trips Into Immersive In-App Advertising Experiences
https://www.uber.com/blog/introducing-journey-takeovers/
オムニコムメディアのレポート「The Future of Brand Influence」によると、消費者は、他の消費者、AI、インフルエンサーの情報と比較して、ブランドの広告が意思決定に与える影響は小さいと考えている。ブランドの広告より何が影響しているのか消費者に問うと、71%は他の人々、45%はAI、43%はインフルエンサーと答えた。
"Future Of Brand Influence" Outlines How Brands Must Balance Human Connection and Machine Intelligence to Drive Growth
https://www.prnewswire.com/news-releases/omnicom-media-study-reveals-new-rules-for-brand-growth-in-the-era-of-fragmented-influence-302652954.html
イルグルムによるシルバーエッグ・テクノロジーの株式公開買い付けが成立。AIを事業の中核に据え直そうとするイルグルムにとって、長期にわたりAIを追究してきたシルバーエッグは魅力的だったようだ。