古い記事を放置するとサイトが危ない? 検索順位を維持するコンテンツ管理術(前編)
古くなった記事は、SEO的には「サイトに残す」べきなのだろうか、「削除してしまう」のがいいのだろうか。
ニュースサイトは膨大な量のコンテンツを抱えていることが多く、その管理には微妙なバランスが必要になる。というのも、「どの記事にも歴史的価値がある」一方で、「古くなった記事はSEOの取り組みを阻害しかねない」からだ。
ユーザー体験や検索結果での表示順位を維持するには、次の3つが非常に重要だ:
- 更新
- アーカイブ化
- 削除する記事を適切に判断すること
一歩間違えれば、トラフィックを失い、被リンクが壊れ、サイトのオーソリティが低下してしまうこともある。
この記事では、古いコンテンツを管理するうえで、効果を確認できた枠組みを紹介する。アーカイブの関連性を保ち、パフォーマンスを高め、読者と検索エンジンを満足させる戦略とはどういうものかがわかるだろう。
ニュースサイトで古くなったコンテンツを削除するとどうなるか
私の経験では、古くなったコンテンツを削除するのは必ずしも簡単なことではなく、予想外の影響があるかもしれない。君はSEOの専門家として、潜在的なトレードオフを慎重に検討し、情報に基づいて判断しなければならない。
私が目にしたケースでは、良かれと思って実施したクリーンアップによって重要な被リンク群を失ってしまい、主要なセクションのオーガニックトラフィックが大幅に減少してしまった。リダイレクト戦略は適切だったが、検索順位が回復するまで3か月以上かかった。
コンテンツ削除の影響は、単なるメリットとデメリットの話にとどまらない。各コンテンツが、
- より大きなオーソリティ
- 関連性
- 検索エクイティのエコシステム
にどう貢献しているかを理解しなければならない。「外部のオーソリティ」や「ニッチな関心」と関連のあるコンテンツを削除すると、サイト全体の認知度が損なわれ、関連ページのパフォーマンスが低下する可能性がある。
ただし良い面もある。コンテンツの削除を戦略的かつ慎重に実行すれば、次のような効果を得られる:
- クロールを効率化できる
- コンテンツの認知度を高められる
- ユーザー体験を効率化できる
コンテンツ評価基準を策定する
何を削除して何を残すかを決めるには、サイトのニーズに合わせて一貫性のある基準が必要だ。次では、評価基準を策定する際に私が用いたアプローチを紹介しよう。
コンテンツの種類
コンテンツの種類は多くの場合、長期的な価値を示す最も明確な指標だ。「公開してすぐ価値を生み出すが、関連性を失うのが早い」記事もある。たとえば、次のような記事だ:
速報: 「ハリケーン『マリア』がフロリダに残した影響」
ライブアップデート: 「2020年選挙当日の結果」
これに対し、エバーグリーンコンテンツは時間が経っても価値を保つものが多い:
ガイド: 「ハリケーンの季節に備えるには」
解説記事: 「選挙人団を理解する:入門ガイド」

業界特有の課題
古くなったコンテンツを特定するプロセスは、業界によって異なる。次に、いくつか例を挙げる:
テクノロジ: 急速な技術革新により、「2019年の人気スマートフォン」のような記事はすぐに重要でなくなる。
金融: 「2018年の株式市場予測」のようなコンテンツは古くなったように見えるかもしれないが、過去の分析として価値のある情報になることもある。
健康: 「2020年の人気健康トレンド」のようなコンテンツは、賞味期限こそ短いかもしれないが、適切に構成すれば、習慣の改善に関する知見をもたらせる。
次のセクションで説明するように、長期的な関連性があるコンテンツは保持する価値があることが多い。
コンテンツの評価における歴史的意義
ニュースコンテンツのなかには、重要な瞬間や社会の変化を記録することで永続的な価値をもたらすものがある。たとえ今日の時点でその記事が高いトラフィックを生み出していなくても、その歴史的重要性によってサイトのオーソリティとアーカイブ価値が高まる。
例:
「2008年の金融危機が中小企業に及ぼした影響」
「新型コロナウイルス:パンデミックは労働文化をどう変えたか」

このようなコンテンツを削除すると、サイトの信頼性と歴史的な奥行きを一部でも消し去ってしまう可能性がある。ニュースアーカイブを管理するSEO担当者としては、世論を形作る広範な社会のナラティブという観点から、現時点での関連性だけでなく、常にコンテンツの長期的な価値を考慮しよう。
削除しないほうがいい記事
削除せず保持しておくほうがいい場合が多い記事には、次のようなものがある:
大きな出来事: 金融危機、パンデミック。たとえば、2008年の金融危機。
社会運動: 転機や節目。たとえば、ブラック・ライヴズ・マター運動。
新たなトレンド: 後に大きな影響を与えることになったトレンドの最初の報道。たとえば、仮想通貨の台頭。
政策の変更: 長期的な影響を及ぼす政策転換に関する最初の報道。たとえば、英国の欧州連合(EU)離脱の決定(ブレグジット)。
現在のパフォーマンス指標
明らかに削除すべき候補は、次のような記事だ:
長期にわたってトラフィックを獲得していない。
クリックや共有などのエンゲージメントシグナルがない。
信頼できるソースからのインバウンドリンクがない。
これらの指標を他の評価基準と組み合わせることで、サイトのSEOやエンゲージメントの目標に役立たないパフォーマンスの低いコンテンツが浮き彫りになる。

ただし、必ずしも指標ですべてがわかるわけではない。あまりトラフィックを集めていなくても、サイトのオーソリティを高めている記事もあるかもしれないからだ。そうした記事には、たとえば次のようなものが考えられる:
- 重要な出来事に関する基本的な記事
- 信頼できるソースからインバウンドリンクが張られている記事
そのような場合は、パフォーマンス指標だけを当てにするのではなく、コンテンツのより広範なコンテキストと長期的な影響力を考慮しよう。
ユーザー価値と維持コストの比較
「もうユーザーの興味を引くことのない古い記事」や「頻繁に更新する必要のある記事」は、サイト運営リソースを消耗する可能性がある。たとえば「2016年のお買い得なノートPC」に関する記事は、まだ閲覧されることもあるかもしれない。しかし、製品リンクや仕様の更新に時間がかかるのであれば、維持コストがその価値を上回る可能性がある。

とはいえ、コンテンツによっては、その独自の関連性やニッチな魅力から、維持コストが高くても正当化される場合がある。
次のような記事は、大量のトラフィックを生み出さないかもしれないが、オーソリティの高いリソースとしてサイトの評判を固めることになる:
- 詳細なガイド
- 参考資料
- 歴史的に重要なコンテンツ
コンテンツの優先順位を決める採点システムの作成
「採点システム」を作っておけば、コンテンツのアーカイブを一貫性のある方法で客観的に評価するのに役立つ。サイトのミッションに沿った要素に基づいて採点しよう。
たとえば、次のような配点でコンテンツを評価していく(この場合、最高得点は65点になる):
- 歴史的意義: 30点満点
- ユーザー価値: 10点満点
- コンテンツの種類: 10点満点
- 現在のパフォーマンス指標: 15点満点
こうしたアプローチを使ってコンテンツを評価していったうえで、「保持」「更新」「削除する」コンテンツに優先順位を付けよう。

たとえば、2008年の金融危機に関する記事は、歴史的重要性と安定したエンゲージメントにより高得点になるかもしれない。それに対し、四半期決算の記事は長期的な価値が最低限にとどまり、点数は低くなるかもしれない。
すぐに削除すべき候補(時間的制約のあるコンテンツ)の特定
ニュースサイトには、賞味期限が短いコンテンツもある。そうしたコンテンツは、採点評価することなく削除できる。これらのコンテンツはすぐに関連性が失われ、オーディエンスやSEOの目標には役立たなくなる。
こうしたコンテンツを効果的に管理するには、明確な削除基準となるトリガーを実装し、適切にリダイレクトしてリンク切れを回避しよう。いくつか参考になるガイドを以下に示すので、参考にしてみるといいだろう。
すぐに削除するべきコンテンツの種類
次のようなコンテンツは、採点せず時間で削除していいだろう:
サービス停止の報告や状況の更新
特定の日付に関連したイベントの告知
最終報告に置き換えられる暫定的な更新
短期的な価値のある定型ニュース(日々の交通情報、普段の天気予報、継続的な関連性のない小さな事件など)
実装のヒント
賞味期限切れコンテンツ削除のワークフローを作る場合、次の点に注意するといいだろう:
イベントの完了やサービスの復旧など、明確な削除トリガーを設定する。
特定のチームメンバーに削除権限を割り当てる。
必要に応じて統合し、リダイレクトすることで、価値のある情報を包括的なレポートや関連コンテンツで引き続き閲覧できるようにしておく。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、前編で述べた内容を踏まえて、戦略的な削除プロセスについて説明する。(後編は5/19公開予定)
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