ヘルプフルコンテンツアップデート対策にはブランド構築も重要(後編)
この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、この調査結果から読み取れること、実施されたばかりのアップデートの分析と、「SEO担当者は何をすべきか」を紹介する(調査の手法や「勝者」「敗者」の定義も解説する)。→ まず前編を読んでおく
前編では、2023年秋と2024年春のアップデートを通じた敗者と勝者を比較すると、ブランドオーソリティとBA:DA(ブランドオーソリティ対ドメインオーソリティ)比で大きく異なる結果になっていたことを示した。
つまり、どういうことか
この結果は、何を意味するのだろうか?
ブランドオーソリティは検索順位決定要因か? もちろん違う。これはMozの指標だ。グーグルは現時点で、Mozからブランドオーソリティのデータを購入しているわけではない。ここでは、グーグルがやっていることと相関関係があるものを見てみよう。
もしかして、ブランドオーソリティはコンテンツの有用性と相関関係があるのだろうか? 確かに、その可能性は高い。人々は、有用なウェブサイトを公開していることが分かっているブランドを検索するものだ。しかし、それが上図の説明になるとは思わない。かなり間接的な因果関係だろうし、この図から読み取れるほど明確なものではないだろう。DA:BA比とよく似たものが示されている特許の存在を考えると、なおさらそう思える。
したがって、これは決定的なものではない。しかし、かなり説得力があると僕には思える。ヘルプフルコンテンツアップデートの目的は、ブランドに対する需要にあった。ユーザーを当惑させるような検索結果を回避し、期待される結果を表示するうえで、グーグルがやろうとしていること、これまで常に試みてきたことを考えると、これは理にかなっている。
それに、「過剰なSEO」を実施したウェブサイトがこれらのアップデートによって打撃を受けたという他の複数の調査とも整合する可能性がある。
実施されたばかりのアップデートについてはどうか
ここまでで示したデータは2023年9月14日~9月28日と2024年3月5日~4月20日のものだった。では、直近のアップデート(2024年8月15日~9月3日)ではどうだったのだろうか?
2024年夏のアップデートは2024年9月3日に完了した。以下のデータはこの日付のものであり、アップデートのすべての動きを捉えていると思う。
今のところ、このアップデートは一部を元に戻したもののように見える。
多くのコアアップデートと同様、影響を受けたサイトオーナーは、次のように思うかもしれない:
グーグルがなぜ数か月もウチのビジネスを踏みにじるような判断をし、後になってそれが間違いだったと実質的に認めるようなことをしたのか?
今回は極端に下降したサイトもあったことを考えると、特にそうだ。
それに、これは部分的な回復に過ぎない。これらのサイトの現状を2023年9月のヘルプフルコンテンツアップデート前の状態と比較すると、全体として見れば、ごく一部が回復したにすぎない。
下落率は前年比わずか80%、つまりほとんど回復していないと言える!
では、SEO担当者は何をすべきか
ここで、僕の結論を誤って解釈してしまうと危険な場合がいくつかある。
コンテンツを有用なものにしようとする努力をやめてはいけない
ヘルプフルコンテンツアップデートが主にブランドや需要のシグナルだとしても、コンテンツを無視していいわけではない。ロングクリック※を生み出してユーザーを満足させるコンテンツをグーグルが評価してくれる方法は、他にもたくさんある。実際、長期的に見れば、これはブランドにも恩恵がある。
何もせずに放置してはいけない
確かに、僕が言いたのは、グーグルによるアップデートのたびに君がやっている修正作業のなかには、順位の回復につながらないものもあるということだ。
だからといって、それが無駄なわけではない。君の取り組みがいつ評価されるかは予測が難しいが、ここで僕はSEOの存在を否定しているわけではない。
検索順位の決定要因としてリンクを無視してはいけない
DA:BA比が今回影響したように見えるからといって、「では、リンクを減らすほうがいい」なんて思わないでほしい。SEOの取り組みにとって、リンクはマイナスのものでも、価値がないわけでもない。僕が言いたいのは、次のことだ:
ドメインオーソリティが高くても、ブランドオーソリティが低ければドメインオーソリティの恩恵を十分に得られない。
こうした状況に対する解は、ブランドの構築にある。重要なのはバランスだ。
つまり、これまでやってきたことをすべてやったうえで、さらにそれ以上のことをやろう
SEOの手法を否定するのではなく、SEOの一環だと思われていないかもしれないことを付け加えたい。
ブランドに対する需要を高めるのは、SEO担当者の仕事だろうか?
これについては、部分的にはイエスだ。ビジネスに携わる人なら誰でも、何らかの形でそれを目指している。
では、それはSEO担当者の主な仕事だろうか?
おそらくそうではないだろうが、オーガニックな成功の前提条件として、この分野に投資するよう上司やクライアントに働きかける必要はある。
今回の記事で用いた調査手法
グーグルのアップデートにおける勝者や敗者について優れた分析を行うのは非常に困難になっている。その背景には次のような事実もある:
グーグルはアップデートのたびに同じサイトを上げたり下げたりするため、「勝者」の定義が疑わしくなる。
一度に2つのアップデートを実施することも増えている。たとえば、「ヘルプフルコンテンツアップデート+コアアップデート」や「コアアップデート+商品レビューアップデート」「コアアップデート+バグ修正」といった具合だ(コアアップデート自体に複数のシステムが含まれることは考慮していない)。
グーグルが1日に何度もシステムを更新することもある。
さらには競合他社がトラフィックを奪うようなキャンペーンを開始していることもあり、状況は大きく変化しているのが普通だ。
ヘルプフルコンテンツアップデートの敗者の定義
こうした変化の影響を和らげるため、僕は、「ヘルプフルコンテンツアップデートで連続して敗者になったサイト」(あるいは連続して勝者になったサイト)を調査しようと考えた。具体的には、次のすべての条件を満たすサイトを敗者と定義した:
2023年9月14日~9月28日(3回目のヘルプフルコンテンツアップデート)の期間に、上位10件に入るキーワードが減少した
2024年3月5日~4月20日(初めて統合されたコアアップデート+ヘルプフルコンテンツアップデート)の期間に、上位10件に入るキーワードが減少した
これら2つの減少を掛け合わせると、上位10件に入るキーワードの減少率が50%以上になる
ヘルプフルコンテンツアップデートの勝者の定義
同様に、勝者をこれと正反対のものとして定義した:
2023年9月14日~9月28日(3回目のヘルプフルコンテンツアップデート)の期間に、上位10件に入るキーワードが増加した
2024年3月5日~4月20日(初めて統合されたコアアップデート+ヘルプフルコンテンツアップデート)の期間に、上位10件に入るキーワードが増加した
これら2つの増加を掛け合わせると、上位10件に入るキーワードの増加率が50%以上になる
コーパス
僕は、米国全体で追跡された(ロケールなしの)US-enキーワード最大190万件からなる一貫したコーパスを調べた。対象の期間を通じて、STATで日々のデータを取得した。これらのキーワードは、さまざまな垂直検索や意図を組み合わせたもので、望みうる限り広い範囲を代表しており、デスクトップとスマートフォンのSERPにほぼ均等に分かれている。
データの過度な汚染を避けるため、次のようなサイトもすべて除外した:
- コアアップデートの開始時点で上位10件に入るキーワードが50件未満のサイト
- ブランドオーソリティまたはドメインオーソリティのスコアが5以下のサイト
ここまでをまとめると、以下のようなサンプルセットが残った:
- US-enキーワードとデバイスの組み合わせ186万7745件
- サブドメイン1万4252件(以下を含む)
- 449件の「敗者」
- 486件の「勝者」
- 当該サブドメインの4つの日付にまたがる上位10件の5453万7783件
期間
最後に、比較対象として各ヘルプフルコンテンツアップデートが行われる前の同じ期間についても調査を繰り返すことで、通常の順位変動を無作為に取得しているだけではないことを確認した。これらの対照期間は次の通りだ:
- 2023年8月30日~9月13日(3回目のヘルプフルコンテンツアップデートと同じ日数の直前の期間)
- 2024年1月18日~3月4日(初めて統合されたコアアップデート+ヘルプフルコンテンツアップデートと同じ日数の直前の期間)
ソーシャルもやってます!