Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

【AI×SEO前編】SEOにAIは敵? 味方? コンテンツ作成でAIを活用したい19のタスク

SEOにAIを活用する方法について解説。ChatGPT以外の価値あるAIツールも紹介する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事では、マーケターでありSEO担当者でもある筆者が、「SEO」「ブログ」「ソーシャル」にAIを活用する方法について解説する。ChatGPTの台頭で、コンテンツがどうなるのかを予想した後、次の2つを紹介しよう:

  • AIを活用したいコンテンツ作成のタスク19個
  • ChatGPT以外の価値あるAIツール

ChatGPTの登場で状況は一変、もう後戻りはできない?

人工知能(AI)は目新しいものではない。数年前から多くのマーケティングツールに組み込まれている。

しかし、ここで重要なのは、これまでAIが使われていたのは見えないところだったということだ。実際に機能しているのを自分の目で見たわけではないし、AIによってスマートになったツールがあったとしても、それほど注意を払っていたわけではなかった。

だが、2022年末にChatGPTが登場したことで状況は一変した。ChatGPTは、記事まるごとだけでなくコードまでも、あらゆる種類の記述作業を瞬時に完了できる。

誰もがログインして何時間もこのツールと対話するようになり、さまざまなプロンプト(命令文)を入力し、どのようなタスクでも理解して瞬時に完了できるその能力に驚嘆することになった。以来、このツールの驚くべき能力を示すスクリーンショットを添えて紹介する記事が後を絶たない。

遊んでいるだけなら楽しいのだが、ChatGPTの台頭は恐ろしい疑問をいくつも生じさせた:

  • チャットAIは人間の仕事に脅威となるか? それはどのくらい先のことか?
  • 人間によるコンテンツは消滅し、ウェブはAIで生成された記事ばかりになるのか?
  • 人はまもなく、疑問に対する答えを探すために検索エンジンを使うことをやめてしまうのか?
  • すべてはどこへ向かっているのか?

私は大胆な予測をするのがとても苦手なので、いずれの疑問にも明確な答えを出すのは避ける。しかし、次の点については強い確信がある:

  • AIの技術は、あらゆることに関して私たちのやり方を変える(これは、SEO業界やその他のマーケティング関連分野に限らない)。

  • AIは、人々が答えを探す(そして見つける)方法を変える。ただし、人間の作成したコンテンツが消滅することはない

    新型コロナウイルスから得られた教訓があるとすれば、どんなテクノロジーも人間同士の交流に取って代わることはできないということだ。私たちは、「個人的な接触」「個人的なスタイル」「個人的な体験」といったものを求めている。

  • AIが消え去ることはなく、私たちはまさにこの新たなAI主導の世界の誕生に立ち会っている。後戻りはできない。そして正直なところ、インターネットの誕生とAIの誕生の両方を目の当たりにした私たちは、この上なく幸運な世代だと思う。

そう考えると、現時点で考えられる選択肢としては、基本的に次の2つがある:

  • 選択肢1 可能な限りAIを無視する(今でもインターネットを拒否している人はいるに違いないし、そういう人はきっと幸せだろう)。

  • 選択肢2 今すぐAIを使い始め、できる限り情報を得てこの波に乗る。あらゆる変化にはチャンスがつきものであり、それをつかむには、その変化の中に飛び込むしかない。

AIの使い方はあらゆるタスクで無限にあるが、私はマーケターでありSEO担当者でもあるので、この記事では、次の3つのタスクでAIを活用する方法を紹介しよう:

  • ブログ
  • ソーシャルメディア
  • SEO

コンテンツの作成や最適化にAIを活用できる方法は19以上

人々が特に疑問に思っている問題に話を戻そう。問いは次のものだ:

AIを使ったコンテンツは、人間が書いたコンテンツに取って代わるだろうか?

この問いに対して、否定派として次のように主張する人たちが大勢いるのはわかっている。

コンテンツの作成で、AIが人間に取って代わることはない

だが実を言うと、AIが人間の代わりにコンテンツを作るということは、ある程度はすでに起こっていることだ。AIは大学生より優れた論文を書ける。その内容は、オンラインで公開されている平均的なコンテンツより優れている。

ではグーグルは、そうしたAI生成コンテンツをどう扱うだろうか。グーグルは、それがAIによるコンテンツだと検出できたとして、検索結果から除外するだろうか?

答えは「NO」だ。よく書けていて、有益な回答を提供できるのであれば、AI生成コンテンツであろうが人間が書いたコンテンツであろうが、グーグルは検索結果に含める可能性が高い。

グーグルは何年も前からアンサーエンジンになろうとしており、最終的にはAIの技術がそれをかなえることになるだろう。AIが作成する次の3つは、すでにほとんどのブロガーより優れており、しかも私たちの誰よりも速く作成できる:

  • 文章
  • 要約
  • 回答

それでも「優れたコンテンツ」とは、単に優れた文章や正しい回答というだけではなく、はるかに深い意味を持つ。優れたコンテンツとは、「次の1つ」または「両方」に当てはまる:

  • 個人的な意見を述べている。人は何かを読むとき、批評やフィードバック、皮肉を求める。

  • 特定のトピックについて、高度な教育と長年の経験に基づいた専門知識が反映されている。

AI技術は、他者のコンテンツを再利用することしかできない。そのため、上に挙げたことは、どちらもできない。そのため、主に再利用をコンテンツ戦略としている場合は、残念ながらマイナスの影響を受けることになるだろう。

それでも、コンテンツ作成のタスクにおいて、AIをかなり役立てられる部分がある。次のようなものだ:

AIを活用できるコンテンツ作成のタスク19種
  1. コンテンツの要約やmeta descriptionの作成

  2. 記事の導入部や結論

  3. 記事のポイントや概要

  4. 既存の仕様を厳格に踏まえた商品説明(あいまいな内容を避ける)

  5. FAQのセクションやページ(既存の記事や、ターゲットにする予定のキーワードを基にする)

  6. プレスリリース

  7. ポッドキャストや動画のスクリプト

  8. YouTube動画の説明文(または、アクセシビリティを考慮してサイトで使用するYouTube動画の要約)

  9. 既存の記事に盛り込むべきアイデア(盲点)(「記事に何が足りないか?」)

  10. コンテンツや調査で欠けている手順や視点

  11. 関連記事を紹介する場合などに挙げるべき追加の情報源

  12. ソーシャルメディアのプロフィールに使う自己紹介ページや経歴(ChatGPTにクリエイティブな文章やおもしろい文章を書いてもらう)

  13. 欠けているキーワード(や、検索意図に応じて既存のキーワードを整理してもらう)

  14. 読みやすくなるように、コンテンツをさらに細かくセクションやサブセクションに分割した場合の小見出し

  15. ページ内のアンカーリンク(そのためのHTMLコードや、さらにはページ内の目次も作成してもらう)

  16. 参考にしたいタイトル案

  17. サイト全体の記事やページの画像に指定するalt属性のテキスト

    ※Web担編注 原文で「アンカーテキスト」としているが、意味が通じないため日本語訳では「alt属性」とした(記事の他の箇所でこの内容に触れている部分がないため、これが正しい解釈かどうかは確かではない)
  18. 厳密にはSEOと関係ないが、コンテンツを宣伝するための独自のツイート、Facebookの近況アップデート、Instagramのキャプションを作成してもらえる

  19. 用語の定義(強調スニペットに最適化するため)

ChatGPTで良い回答をだすプロンプトの基本的なテクニック

とはいえ、ChatGPTはだれがどんな聞き方をしても良い回答をだしてくれるわけではない。SEOにうまく使うには、ちょっとした「プロンプト(質問文)」のテクニックが必要だ。それをいくつか紹介しよう。

※Web担編注 下記テクニック以外にも、「深津式プロンプト・システム」なども参考にしてほしい。

たとえば用語の定義(解説)をChatGPTに生成される場合を考えてみよう。ChatGPTに可能な限り良いな文章を作らせるには、プロンプトで「ターゲットオーディエンスや身近なトピックに関する知識のレベル」を指定するとよい。

たとえば、「SEO」という言葉の定義をChatGPTに作らせる場合、「SEOという言葉を初めて聞く人」向けにSEOについて説明するよう指示できる。

ChatGPTでSEOについて説明するように指示する際に、どんな人向けに作文させるかをプロンプトで指定
ユーザー: SEO(検索エンジン最適化)について、この言葉を初めて聞く人に説明して。

ChatGPT: はい、もちろん喜んでSEOについて説明します!

SEOとは、「Search Engine Optimization」の略です。検索エンジンの結果ページ(SERP)でより見やすく目立つように、ウェブサイトやウェブページを最適化することです。SEOの最終的な目標は、検索エンジンからウェブサイトへのオーガニックトラフィックの量と質を高めることです。

簡単に言うと、SEOとは、ウェブサイトの所有者やデジタルマーケターが「グーグル」「Bing」「Yahoo」などの検索エンジンで対象のウェブサイトの表示順位を引き上げるために用いる一連の戦略や戦術のことです。検索エンジンの結果ページでウェブサイトが上位に表示されるほど、ユーザーがそれをクリックしてウェブサイトを訪れる可能性は高くなります。

SEOの取り組みは多岐にわたり、たとえば「関連キーワードを使用したコンテンツの最適化」「質の高い被リンクの作成」「ウェブサイトにおける優れたユーザー体験の実現」「ウェブサイト全体の構造や技術的側面の改善」などがあります。こうした取り組みの目的は、検索エンジンに対してウェブサイトの魅力を高めることであり、結果としてビジビリティを高め、より多くの訪問者を引き付ける助けになります。

要するに、SEOはデジタルマーケティングに不可欠な側面として、ウェブサイトの所有者や企業がオンラインでのビジビリティを高め、より多くのオーガニックトラフィックをウェブサイトに呼び込む役割を担っています。

ChatGPTには、画像を与えて、画像になにが書かれているか説明させることもできる。これは、SEOとアクセシビリティの両方にとって便利だ。

ChatGPTに、画像の説明を生成させる
ユーザー: この画像のどこが面白いのか、パネルごとに説明して。

ChatGPT: 画像は、3枚のパネルに「Lightning Cable」アダプタのパッケージが写っています。

パネル1: VGAコネクタ(一般にコンピュータのモニターに使われる青色の大きな15ピンコネクタ)を充電ポートに接続したスマートフォン。

パネル2: 表面にVGAコネクタの絵が描かれた「Lightningケーブル」アダプタのパッケージ。

パネル3: VGAコネクタを至近距離から撮影した写真で、先端に小さなLightningコネクタ(iPhoneなどアップル製デバイスの充電に使われる)が見える。

この画像の面白いところは、大きくて時代遅れのVGAコネクタを、最新の小型スマートフォンの充電ポートに差し込むという滑稽さにあります。

これらの発想はいずれも、コンテンツ作成の生産性や品質を高めるものだ。ツールや拡張機能を使えば、さらに多くの方法でChatGPTをSEOやコンテンツに活用することもできる。

ChatGPT以外にもある、コンテンツ作成に使えるAIツール

コンテンツの作成に使えるAI搭載ツールはChatGPTだけではない。チェックする価値のあるツールは他にもある。

  • Narratoは、AI技術を使ってチームの共同作業によるコンテンツ作成を支援するツールだ。

    Narratoを利用すれば、AIを使ってコンテンツのトピックを生成し、SEOの概要情報を作成し、ライターにタスクを割り当て、コンテンツの最適化や校正をしてもらえる。

    ※Web担編注 日本語でのトピック指定は認識するが、出力は現時点では英語のみの模様
    Narratoのイメージ画
  • Text Optimizerは、AI技術とセマンティック分析を組み合わせ、記事の意図に合わせて最適化された要約を作成できるツールだ。

    ※Web担編注 現時点では日本語の文章には未対応の模様
    Text Optimizerのイメージ画

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、AIの創造性について説明し、それがSEO施策にどれほど役立つかを紹介する。

→後編を読む

用語集
Facebook / HTML / Instagram / SEO / SERP / meta description / アクセシビリティ / アンカーテキスト / クリエイティブ / スニペット / スマートフォン / ソーシャルメディア / フィード / リンク / 検索エンジン / 被リンク / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

SFA
SFAは「Sales Force Automation」の略。もともとはSale ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]