B2BのSEO戦略にも有効! 製品の“シノニム”で検索上位を獲得する6つのステップ
この記事のテーマは「シノニム(synonym)を使ったSEO戦略」だ。「シノニム」とは、別の単語と意味が同じまたはよく似ている単語、つまり同義語や類義語のことだ。
シノニムの意味を知っている人は多いだろう。しかし、製品やサービスのユースケース(利用事例、実際に使われるシーン)をマーケティングに活用していくうえで、シノニムがどう役立つかに関しては、知らない人がいるかもしれない。
具体的には、シノニムをうまく使うと次のように効果をもたらす:
製品について多角的に説明することで、多くのユーザーを引き付けられる。そのため、より関連性の高いキーワードで検索結果の上位に表示されるようになり(検索ユーザーが購入意思の高ければさらに良い!)、SEO戦略を拡張できる。
さらには、製品のシノニムを見つけて対象キーワードに含めることで、ターゲット市場に向けて新しい独自のセールスポイントを活用できる。
シノニムがいかに今後の成長を牽引できるかを見ていこう。
SEOにおけるシノニムの価値
まずシノニムの使用は、SEOの一般的なベストプラクティスとしてグーグルも推奨している。
グーグルのジョン・ミューラー氏は、特に検索意図とコンテキストとの関連でシノニムがどのように機能するかを次のように説明している:
とりわけ、次の2つの検索クエリを比べてみると、ユーザー側が期待していることが少し異なることがわかる:
- 「edit video」(動画の編集)
- 「video editor」(動画編集ソフトウェア)
前者では動画を編集したいと考えている。後者では、動画編集ソフトウェアをダウンロードしたいのかもしれない。
とてもよく似ているように見えるが、(中略)ユーザーが求めているものは若干異なる。
そのため、製品のシノニムを使ってSEO戦略を拡張するには、製品のユースケースをユーザーの検索意図に応えるように整理していくことが重要だ。
シノニムの活用はEコマースだけでなくB2Bにも有効であることを強調したい。B2B企業の次のような点で、シノニムが役立つのだ:
- B2B企業は製品関連の検索ボリュームが少ないために特に苦労し、SEOを強化する価値がないと思ってしまう場合が多い
- 製品やカテゴリの呼び方が社内と顧客で異なる場合が多い
どちらの課題にもシノニム戦略で対応できる。シノニムをうまく使ったSEO施策を重ねていくことで、次のようなメリットを得られる:
- ブランドの認知度が高まる
- 検索ボリュームの少ないニッチな製品でも、月間数十万件のオーガニック検索を集められるようになる(トピックによってはそれ以上も)
- つまり、リード獲得や販売につなげられる
いくつか例を挙げてみよう。
SEOに利用できる製品シノニムの例
ユースケースは、製品のシノニムを当てはめるうえで、すばらしい方法だ。「ユースケース」はこの場合、次のようなものを意味している:
- 製品やサービスの利用事例
- 製品やサービスが実際に使われるシーン
- 顧客が製品やサービスをどのように利用できるかを示すロードマップ
製品をどのように利用できるかを知ってもらえば、「自分に関係のある製品だ!」と感じてもらえる可能性も高まる。ユースケースが詳細なほど、オーディエンスにとって製品がより自分事化しやすくなるというわけだ。
Eコマースにおける製品のユースケースの例
Eコマースにおける商品のユースケースはかなりわかりやすい。たとえば、次のような検索クエリをイメージするのだ:
- 「occasionwear」(特別なときに着る服)
- 「wedding guest wear」(結婚式に招待されたときに着る服)
- 「party wear」(パーティーで着る服)
いずれもオーダーメイドのメンズスーツ店で重点キーワードとして確認できる商品のシノニムだ。
オンラインのスポーツ用品店であれば、次のようなものがあるだろう:
- テニスシューズ
- スニーカー
- トレーニングシューズ など
シノニムを使うことで、スポーツウェアのあらゆるターゲット市場におけるさまざまな段階の潜在顧客を取り込めるかもしれない。
では、実際にやってみよう。次の製品では、どのようなシノニムを使えばいいだろうか?
- ウェブカメラ
- Bluetoothヘッドフォン
ウェブカメラについては、次のようなものだろうか:
- 配信用カメラ
- ウェブミーティング用カメラ
- Zoom用カメラ
Bluetoothヘッドフォンについては、次はどうだろうか:
- 防水ヘッドフォン
- ランニング用ヘッドフォン
重要なのは、検索意図に合ったユースケースにすることだ。
B2Bにおける製品のシノニムの例
B2Bでは、ユースケースの関連性がさらに高まる。というのも、購買サイクルで最も一般的な疑問の1つが、「これは本当に自分のビジネスに関連しているか?」だからだ。
次のフレーズを見てみよう:
- 会話型AIチャットボット
- 顧客サポートの自動化
- 製品レコメンデーションソフトウェア
- オムニチャネルのエンゲージメントプラットフォーム
これらのユースケースは違いが大きく、意味的にも異なる。しかし実は、これらはすべて、1つの製品(チャットボット)のユースケースを示している。
製品は1つなのだが、各フレーズが表現しているものに合致するビジネス価値をもたらすものなのだ。言い換えると、前出のフレーズはチャットボットを導入して得られる価値を異なる表現で伝えているにすぎない。
この例では、製品であるチャットボットと、上記すべてのフレーズの関連性を話題にすることがコツだ。これをくり返すことで、検索ボリュームが限られたニッチな製品からHubSpotレベルのオーガニックトラフィックになり、そのすべてがターゲットオーディエンスにとって大いに関連性の高いものとなる。
製品のシノニムを見つけ、そのシノニムで検索上位を獲得するには
製品のシノニムを利用する機会を見出すには、市場やバイヤーペルソナの検索行動を深く理解する必要がある。言い換えれば、オーディエンスが何を求めているかを知り、君の製品がそれをどのように提供できるかをさまざまな方法で説明する必要があるということだ。
その手順は次の6ステップだ:
- 製品のユースケースを理解する
- 競合各社を評価、分析する
- オーディエンスが使っている言葉を知る
- 「他の人はこちらも質問」および関連する検索を精査する
- キーワード調査を行う
- サイトの構造に応じてキーワードの場所を変える
各ステップについて解説していく。
ステップ①製品のユースケースを理解する
製品のユースケースから始めよう。
まず、関連するすべてのブランドテーマをまとめてから、それに基づいてトピッククラスターを構築する。
たとえば、「あらゆる体型に対応した環境に優しい水着」を販売しているとしよう。この場合のトピッククラスターは、次の2点に重点をおく:
- 環境に優しいこと
- 体型に応じた水着であること
トピッククラスターのページはいずれもブランドの中心的テーマと製品に関連しているが、中心的なテーマとは異なる角度から説明している。
B2Bでは、製品のユースケースを業界や手法ごとにクラスター化するのが一般的だ。たとえば、前出のチャットボットの例では、次のようになる:
- 会話型AIチャットボット ―― Eコマースの責任者をターゲット
- 顧客サポートの自動化 ―― カスタマー対応部署向け
- 製品レコメンデーションソフトウェア ―― 製品チームの注意を引くもの
- オムニチャネルのエンゲージメントプラットフォーム ―― マーケティングチームが関心を持つもの
このようにたった4フレーズだけでも、企業のさまざまなチームがチャットボットを使うとメリットを得ることがわかる(あと販売チーム向けのフレーズがあれば企業のほぼ全部署にアプローチできる)。
ステップ②競合各社を評価、分析する
ウェブサイトで使われている単語を普通にメモするだけでなく、競合他社のキーワードギャップ分析をするのも有益だ。「検索結果に競合他社が表示されているが、自分が(まだ)表示されていない単語」がわかれば、新しいユースケースを思いつく助けになる。
ステップ③オーディエンスが使っている言葉を知る
ターゲットオーディエンスが君の製品を自分の言葉でどのように呼んでいるか調査しよう。B2Bの場合は、「潜在顧客が検索などで使う表現」と「君の社内で使っている表現」が大きく違っていることが多い。次に関する知見に注意を払おう:
- 言葉
- フレーズ
- 使われている言語
そのためには、次などを探ってみてほしい:
- Slackのコミュニティ
- ソーシャルメディア(特にLinkedIn)
- Redditなど
対面式のイベントも敬遠してはいけない。オーディエンスの話し方に合わせて言葉を選べば、理解しやすい製品だと思ってもらえるし、共感も得やすいだろう。相手に寄り添い、相手の目線で話そう。
専門的なアドバイス:顧客と定期的に話をしよう。15分間のフィードバックセッションを設定してもらい、内容を記録しよう。君の製品がどのように話題にされ、どのように使われているかについて、膨大な知見を得られるだろう。
ソーシャルメディアで人気のビジネスなら、多くの情報を素早く集約するうえで、次の2つが非常に重要だ:
- ソーシャルモニタリング
- ソーシャルリスニング
「ソーシャルモニタリング」では過去に起こった情報を取得し、「ソーシャルリスニング」では君のブランドについて現在交わされている会話に耳を傾ける。
Hootsuiteは広範にわたって、表面からは見えない部分を深く掘り下げるソーシャルモニタリングツールを提供している。Talkwalkerはリアルタイムで話題についていけるソーシャルリスニングツールを提供している。
ステップ④「他の人はこちらも質問」および関連する検索を精査する
グーグルのSERP機能には、シノニム発見に役立つものが豊富にある。
たとえば「靴」で検索すると、「スニーカー」や「靴 おしゃれ」などを検索している人がいることが、SERPの下部に表示される「他のキーワード」機能でわかる。
この機能は、より関連性の高いシノニムを見つけるのに役立つ。ユーザーの検索意図を把握し、すでに検索結果に表示されている情報に基づいて適切な種類のコンテンツを作成しよう。
「他の人はこちらも質問」機能は、「他のキーワード」に似ており、これを使ってシノニムを集約することもできる。
最後に、検索バーにキーワードを入力すると検索候補を表示するオートコンプリート機能(関連検索やサジェストとも呼ばれる)を活用することも重要だ。
専門的なアドバイス:AlsoAskedを利用し、潜在的な顧客が検索した「他の人はこちらも質問」をもう少し深く掘り下げて、グラフィックのデータを一括で取り出してみよう。これらの質問にすべて回答できれば、SEOの拡張性向上に向けた道筋が明確になる。
ステップ⑤キーワード調査を行う
キーワード調査をせずにコンテンツを作成してSEO向けに最適化しても、ただ闇雲に試行錯誤を重ねるようなものだ。Mozなどのキーワード調査ツールを利用して、ユースケースに基づいたキーワードを見つけよう。そうすることで、関連性が高く、検索ボリュームがあり、競合が比較的少ないキーワードを確認できる。キーワード調査の詳細は、このガイドをぜひチェックしてみてほしい(英語のみ)。
キーワード調査が終わったら、意味的に関連するキーワードのグループをクラスターにまとめて、クラスターごとに個別のコンテンツを作成しよう。
ステップ⑥サイトの構造に応じてキーワードの場所を変える
どのウェブサイトにもメインの製品ページがあるため、購買意欲の高いキーワードの完全一致でそれらのページに誘導し、売り上げの可能性を最大限に高める必要がある。
意味的には無関係でも、ユースケースで関連性の高い製品のシノニムはブログなどに配置し、より詳しく説明したうえで主要な製品ページにリンクを張ることで、コンバージョンを後押しできる。
チャットボットの例に戻ると、「会話型AIチャットボット」は通常の製品ページに最適だ(頻繁には更新していかないページ)。「製品レコメンデーションソフトウェア」はブログ記事として置くほうが有効かもしれない。チャットボットとの関連性について説明する必要があるからだ。
まとめ
そもそも、なぜ製品のシノニムを使うのだろうか?
それは、SEOでシノニムを利用すると、特定の検索クエリに対する製品ページの関連性が高まるからだ。同時に、将来のコンテンツ戦略を拡張するのに役立つため、SEOの強化やブランドの認知度向上にもつながる。
ただし、まずは製品のユースケースを理解する必要があることを忘れてはならない。
- 顧客は製品をどのように使用しているのか
- 顧客は製品をどのように呼んでいるか
このプロセスを深く掘り下げることで詳細な情報を得られる。顧客が各所で使っている言葉を確認し、競合各社を詳しく調べて着想を得て、キーワードを徹底的に調査しよう。「他の人はこちらも質問」機能や関連する検索を精査してさらに多くの情報を収集し、サイト構造に応じてキーワードの配置を変えよう。
これで、製品のシノニムを使ってユースケースの認知を高めるための基本は身についたはずだ。今日の授業はここまでにしておこう。
ソーシャルもやってます!