【レポート】Web担当者Forumミーティング 2021 秋

たった3人で電子コミック「ぼるコミ」の売上を伸ばす! 少人数チームでも確実にKPIを達成する秘訣

ユーザーインサイトを捉え、それに呼応する施策を少人数で迅速に実行するチーム作りの秘訣とは?
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ECやWebサービスの売上を向上させるには、ユーザーインサイトを捉え、それに呼応する施策を迅速に実行することが重要だ。しかしながら、なかなか思うように成果が出ないという声も少なくない。

Web担当者Forumミーティング 2021 秋」のセッションでは、Repro(リプロ)の嶋 颯太郎 氏をモデレーターとして、電子コミックストア「ぼるコミ」を運営するボルテージの玉井 謙介 氏、杉本 めぐみ 氏が、ユーザーインサイトの捉え方やセグメントに応じた施策設計、少人数での運用のコツなどを実際の取り組みとともに紹介した。

(左)Repro 嶋 颯太郎 氏(中)ボルテージ 玉井謙介氏(右)同 杉本めぐみ氏
(左)Repro株式会社 Customer Success Division Growth Marketing Team 嶋 颯太郎 氏
(中)株式会社ボルテージ 取締役 玉井 謙介 氏
(右)株式会社ボルテージ 電子コミックグループ/開発1部 マネージャー 杉本 めぐみ 氏

4か月でサービスをローンチ。年間計画にもとづくKPIを軸に少人数で運営

リアル店舗やWeb、アプリからのさまざまな情報を分析・セグメントし、一人ひとりのユーザーに最適な施策を実施する、マーケティングプラットフォーム「Repro」。世界66か国、7,300以上のサービスが活用している。今回紹介する電子コミックストア「ぼるコミ」を運営するボルテージもその1社だ。

ボルテージは、女性向け恋愛ドラマシリーズを主軸とするモバイルコンテンツベンダー。2006年に配信を開始した“恋ゲーム(現:ボル恋)”は100タイトル以上を数え、ユーザー数は世界累計で8,000万人以上に上る(2021年2月現在)。

また新規事業として、2020年7月より電子コミックストア「ぼるコミ」のWebサイトを開設し、2021年8月にはアプリをリリース。女性をメインターゲットに、出版社作品および自社レーベル作品について合計約23万冊の販売を行い、女性向けやテーィンズラブコミックに注力してきた。

エンジニア3名で4か月というスピード開発、しかも現在も同じメンバーで開発・運営まで行っているという。取締役である玉井氏が予算・方針の管理およびマーケティングを担い、杉本氏がスケジュール管理とサイト編成・SNS運用、もう1人のエンジニアが機能開発という分担で、施策提案・実行や集計・分析などを共通業務としている。

ボルテージのチーム体制
ボルテージのチーム体制

全員がエンジニア出身で、かつてプロジェクトも共に経験した仲間。心理的安全性が担保され、コミュニケーションが上手くいっていることが強み。率直にモノが言い合えるため、意見が割れることもあるが、議論の末に方向が決まれば一丸となって進んでいくチーム。さらにデザイナーやマーケティング担当、開発や編成など、必要に応じて社内にヘルプを要請できる恵まれた環境にある(玉井氏)

基本的には収支計画を立てたのち、年間計画をベースとし、3か月ごとにクリアすべきKPI目標を“大ネタ”として策定しながら、それに合わせて施策検討、実施を行っている。直近に解決すべき課題や斬新な提案が出ることもあるが、目標と照らし合わせて優先順位の高いものから手を付けるようにしているという。

主要なKPIと主な施策例
主要なKPIと主な施策例

業界の知見とプロによるグロース支援に期待し、Reproを選定

現在は円滑な運用がかなっている「ぼるコミ」だが、設立直後は新規事業として「事業の柱」とするためには3つの課題を解決する必要があった。

1つ目は、電子コミックサービスについての「ノウハウ不足」であった。玉井氏は「アプリの経験だけでは十分とはいえず、特にグロースに向けたKPI設計についても、確信ある予測が立てられずに悩んだ」と振り返る。

2つ目は、アプリでは経験したことがない新規会員登録がボトルネックとなり、その改善が火急の課題となっていた。

3つ目は、LTV最大化に向けて、ユーザーニーズを捉えた顧客接点を構築する上で、A/Bテストなどを含めたPDCAサイクルを迅速にまわせる体制づくりが必須だった。

そうした課題を踏まえ、外部パートナーとしてReproを選定した経緯について、玉井氏は「KPI周りを設計することが重要だったため、電子コミックサービスにおける豊富な事例を持っていることは大きかった」と語る。加えてコンサル的にグロース支援が得られること、そして開発コストを抑えつつ効果を上げるために、ノーコードでスピーディに扱えるツールも魅力に感じたという。

課題解決のために、外部パートナーへの要求事項をまとめた
課題解決のために、外部パートナーへの要求事項をまとめた

ユーザーインサイトについて仮説を立て、ステップごと施策を考える

こうしてReproがグロース支援に入り、ユーザーインサイトにもとづくPDCAを回していくこととなった。その中で、Reproに蓄積された電子コミックの知見が活かされたとはいえ、同業であってもユーザーのインサイトはサービスによって異なる。そこで、新たにユーザーのインサイトを把握することから開始された。

ユーザーのインサイトを把握するために、嶋氏は「まず仮説を立てることが一番大事」と語る。仮説を立てる前にGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスで定量的データをみてしまうと、ユーザーの行動を読み誤る可能性があるからだ。

インサイトを見つける仮説の立て方①
顧客になりきりウォークスルーをする

インサイトにつながる仮説の見つけ方として、嶋氏は2つの方法を紹介した。

1つ目は、「顧客になりきり、ウォークスルーをすること」。顧客になりきって、ある目的を果たそうとする時の行動を、始まりから終わりまで全て記録する。ポイントは、画面をキャプチャーしながら、行動理由や期待、感じたこと、心の引っ掛かりなどについてメモを取り、残すことだという。複数人で実施し、レビューし合うとなお効果的だ。

ウォークスルーを複数人で記録し、レビューし合う
ウォークスルーを複数人で実施し、レビューし合う

インサイトを見つける仮説の立て方②
個の行動を動画で観察する

2つ目は「個の行動を観察すること」。あるユーザーを選定し、ある目的を果たそうとする時の行動を始まりから終わりまで「動画」で記録する。このポイントも、記録後に動画で一つひとつの行動を確認し、どうしてそうしたかを推測することだ。なおニッチなサービスなどで周囲にユーザーがいない場合は、リモートユーザーテストなどのサービスを活用するとよい。

個の行動を動画で記録し観察する
個の行動を動画で記録し観察する

「ぼるコミ」についても両方の施策を行い、さまざまな気づきが得られたという。

たとえば、①の「顧客になりきりウォークスルー」からは、特に「広告からの導線」と「試し読みからの導線」に解決すべきハードルがあることがわかった。その結果を踏まえ、ぼるコミユーザーの顧客育成ステップとしてハードルや解決策などを可視化。ステップごとに考えることで、より具体的に実現可能な施策として捉えられるようになった。

ハードルや解決策を可視化し、顧客育成ステップを具体的に捉える
ハードルや解決策を可視化し、顧客育成ステップを具体的に捉える

そして具体的な成果として、会員化のメリットを「試し読み」の後に訴求するようにしたところ、会員化率が上昇した。そして、無料会員にポイントの価値や使い方を提示することで、初回の課金率が上昇したことが紹介された。

高速PDCAの秘訣は、目標の明確化とコミュニケーション、成果優先

こうしたユーザーインサイトの調査を行い、顧客育成ステップについて分析と課題整理を行ったら、以降は「効果検証・チューニング」として実際に施策を行い、その結果を踏まえて以下のような視点から考察を重ねていく。

  • 全体のKPIがどのような数値感となったか
  • 施策結果はどのような点を評価するべきか
  • 他社の数値感を踏まえるとどのような評価になるのか
  • 結果を踏まえて次回はどのような検証をすべきか

Reproではそうしたマーケティングのナレッジや他社事例も共有していくという。こうしたPDCAを回すことで、顧客の理解が進んでいく。この時、「どのような顧客がいるのか」を蓄積していくことが重要だ。

PDCAの目的は顧客の理解。ナレッジは蓄積することが肝要だ
PDCAの目的は顧客の理解。ナレッジは蓄積することが肝要だ

しかしながら、少人数で運営を行っている会社や事業部では、このPDCAをしっかり高速で回していくことはハードルが高い。はたして「ぼるコミ」では、3人でどのようにして高速でPDCAを回しているのだろうか。

高速PDCAのポイント

そのポイントとして、杉本氏から3つのポイントが提示された。

1. 役割・目標を明確化すること
上から“ただ落とす”のではなく、3人が同じ目標に向かっていることを認識し、それぞれ納得感をもって取り組めるようにすることでスピードが増す。

2. スピーディなコミュニケーションの習慣化
「チームの習慣」として、文章に時間をかけず、すぐにちょっとした時間をとってコミュニケーションをとること。

3. 成果を出すことを優先すること
無理に自分たちだけで行おうとせず、ノウハウがないなら外部から上手く調達する。Reproをパートナーとしたのも「知っている人に聞けばいい」という発想からだという。杉本氏は「エンジニアのチームとして、もともとコミュニケーションが密であったところ、コロナ禍の影響もあり、より意識して伝え合うことを心がけた」と語った。

少人数で素早くPDCAを回すポイント
少人数で素早くPDCAを回すポイント

しかし、高速でPDCAを回せるようになったとはいえ、「ぼるコミ」はローンチからまだ2年目。今後は販売作品数の拡大と、既存のボル恋ユーザーの囲い込みを図り、事業としての成長を目指すという。

販売作品数の拡大と、既存のボル恋シリーズのユーザーの囲い込みを目指す
販売作品数の拡大と、既存のボル恋ユーザーの囲い込みを目指す

Webマーケティングクイックレビューシートで迅速な現状把握

そして最後に、現在の課題を顕在化するツールとして、Reproの「Webマーケティングクイックレビューシート」が紹介され、それに照らし合わせての「ぼるコミ」での状況も紹介された。

「Webマーケティングクイックレビューシート」による分析結果。セクション1:分析/施策策定
「Webマーケティングクイックレビューシート」による分析結果。セクション1:分析/施策策定
セクション2:施策の質
セクション2:施策の質
セクション3:改善頻度
セクション3:改善頻度
セクション4:効果検証
セクション4:効果検証

セクション1で「分析/施策策定」としてKPIやユーザーテストなどの定性分析など、セクション2では「施策の質」として、ユーザー群の定義やセグメントに対する施策、A/Bテストの有意差の出る施策などが問われた。

セクション3では「改善頻度」としてWebサイトの改善施策頻度や、3か月間の勝ち施策の本数、施策の実現日数など、セクション4では「効果検証」としてコントロールグループを用いたA/Bテストの有無や、数値のモニタリングと異常値検知、立案施策に対しての定量データでの裏付けなどが問われる。

これらについては、Reproでの配布を行っているので、興味のある方は問い合わせてみるとよいだろう。

なお、「ぼるコミ」に導入されたのは、Reproの「コンバージョン最大化サービス」であり、専属のプロフェッショナルチームによる分析・改善運用と、独自のノーコードツールによる高速PDCAを実現することで、Webサイトのコンバージョンと売上の最大化を図るというもの。嶋氏は「社内にデジタル人材が不在でも、Reproならプロフェッショナルチームによる一貫した施策実施が行える。ぜひ安心してお任せいただきたい」と強調し、セッションのまとめとした。

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