Web担当者になったら知っておきたい「基本」が学べる Web担ビギナー

Step 3-2 ドキュメント上の「システム構成」を読み解く

Step 3-2で知ってほしいことは、要件定義書等ドキュメントに記してある「システム構成」が何となくわかることです。

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クイズ

まずは、Step 2-7で掲載したシステム構成の図を思い出してみましょう。キャッシュサーバーやCMSといった用語が並んでいますが、こうした図は、情報システム部門だけが理解していれば良いのでしょうか?
Step 2-7で紹介した「要件定義書中のシステム構成例の図」

確かに、システムを管理するのは情報システム部門ですから、Web担当者が詳細を理解している必要はないでしょう。ただし、おおまかに知っておくことは大切です。ミーティングでシステムの話になったときに、「その話、全然わかりません」という状態にならずに済みます。ある程度、プロジェクト内の皆が使える共通ワードとして把握しておきましょう。

  • わからないままで良い
  • おおまかにでも理解しておく

3-2では、要件定義書など、プロジェクトで使うドキュメントに記すような「システム構成」が大まかに把握できるよう、解説していきます。

システム構成の概要を知ろう

クイズに出した図にユーザー側を追加すると、次図になります。ユーザーはブラウザなどを使って、インターネットを介し、システムを利用するわけです。そして、「利用する側をクライアント側、提供する側をサーバー側」に分けることができます。

クライアント側とサーバー群側に分けることができる

サーバー群には、次のようなサーバーがあります。

Webサーバー

クライアント側の要求に応じて、Webサイトを表示させるなど、情報を返すサーバーのことです。上図では、Web領域にあるサーバーを指します。

CMSサーバー

やはり、Web領域にあるサーバーです。CMSはContents Management Systemの略で、コンテンツ管理サービスと訳せます。Webサイト中のコンテンツは、HTMLやCSSという言語で書かれています。しかしCMSを使うと、HTMLやCSSをゼロから書かなくても良いようにシステム化されているため、コンテンツ作成を簡単にスピーディに行えます。その他、便利な機能が付加されている場合があります。

データベースサーバー

上図のデータベース領域にあるサーバーで、データベース(Database)を略してDBサーバーと表記されることもあります。データを保管し、追加・削除などが行えます。

キャッシュサーバー(CDN)など

Webサイトのコンテンツをスピーディに提供できるよう、よく使われるコンテンツの複製を保管しておくサーバーです。

そして、Webサーバーやデータベースサーバーには、サーバー障害・システム障害などで1つのサーバーが止まっても、もう1つで動かすことができるように(冗長化のために)「ロードバランサ」が設置されていることが一般的です。

その他、サーバーの利用目的によっては、「サイト内検索ASP」「マーケティングオートメーション」のような外部にあるサービスやソフトウェアとも連携する場合があります。

サイト内検索ASP

Webサイト内でキーワードによる検索を行うことをサイト内検索と呼びます。ASPはインターネットを介して提供されるサービス、ソフトウェアを指します。もともとは、Application Service Providerの略で、インターネットを介してサービスを提供する事業者のことでしたが、現在はサービスやソフトウェアそのものを指すことが一般的で、ASPサービスとも呼びます。つまり、サイト内検索ASPは、サイト内検索を実現するためのASPサービスを指します。

マーケティングオートメーション

従来は人力で行っていた見込み客へのマーケティング活動を自動化するツールのことで、Marketing Automationを略してMAと表記することもあります。あとで、もう少しだけ詳しく解説します。

クラウドサービスを使っていますか?

では次に、サーバーをどこに設置しているか、どこでシステムを構築しているかを考えてみましょう。「自社ではクラウドサービスを利用している」という方も多いかもしれません。クラウドサービスとは、インターネットを介して利用できるサービスのことで、コロナ禍の影響もあり、今では経理清算や勤怠管理などもクラウドで行っている会社が増えています。Webサイトを構築するためのシステムもまた、クラウドで提供している会社があります。

クラウドサービスを利用することには、次のようなさまざまなメリットがあります。

  • ゼロから構築する必要がないため、構築期間を短縮できる
  • 災害対策などがあらかじめ施されているので、セキュリティ面でも安心できる
  • ハードウェアの管理をする必要がない など

ただし一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 長期間利用することを考えれば、自社内に構築した方が安価になる場合がある

上記のように、クラウドサービスを利用するメリットがたくさんあります。そのため、現在ではWebサイト構築においてもクラウドサービスを利用することが多くなっていますが、「自社内にサーバー群があるよ」という方もいるはずです。たとえば、次のような場合の多くは、自社内にサーバーを設置しています。

  • 外部に個人情報を置いてはいけない社内規約がある
  • すでに大規模な基幹システムがあり、それとクラウドをつなぐとコストが高額になる

MA(マーケティングオートメーション)とは

先述したようにMAは、従来は人力で行っていた見込み客へのマーケティング活動を自動化するツールのことです。たとえば、問い合わせをしてくれた人の情報を集めてメールを送る作業を自動化し、受注へとつなげる仕組みがあります。

このMAには、次のような特徴があります。

  • BtoB企業の利用が多い(BtoC企業の場合は、見込み客の数も膨大になり、費用も高額になる場合が多いから)
  • 検討期間が長い場合に適している(問い合わせを1回受けただけで、長期間アプローチを続けていけるから)
  • 従来よりも深いマーケティング活動ができる(今までは人力でやっていたことを自動化するため、空いた時間で深いサービスが行えるから)

なお、MAとよく間違われる機能にCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)がありますが、こちらは既存顧客へのアプローチを行う仕組みのことです。つまり見込み客が顧客になったときからのツールがCRMになります。

CMSとは

更新頻度が多い、ページ数が多いときにはCMSの利用が便利です。Web担当者の多くがCMSを利用して作業を行っていますので、Step 3-3で少し詳しく解説します。

◇◇◇

3-2では、システムを構成するサーバーなどの概要を紹介しました。3-3では、CMSの活用事例を紹介します。

ポイント

3-2 「ドキュメント上の「システム構成」を読み解く」ポイント

  • 「利用する側=クライアント側」と「提供する側=サーバー側」に分けることができる
  • Webサイト構築においても、クラウドサービスを利用することが多い
  • MAは、従来は人力で行っていた見込み客へのマーケティング活動を自動化するツールのことである
やってみよう
  • 自社サイトの「システム構成」が書かれたドキュメントを確認して、おおまかにでも把握しておこう。あるいは、以下の「もっと学び、成長するために」からシステム構成例をダウンロードして、本記事を見ずに各サーバーは何のためのものか、答えて復習してみよう。
もっと学び、成長するために
本記事に掲載しているシステム構成例をダウンロードできます。ダウンロードはこちら
本記事の監修者

高橋 輝(たかはし あきら)

株式会社キノトロープ 執行役員 開発部部長
プロジェクトマネージャー/SE・プログラマー

2008年キノトロープ入社。CMSを活用した大規模Webサイトから会員機能、検索機能などのスクラッチ開発を含むWebサイトの要件定義~設計・開発・制作まで多くのプロジェクトに従事。クラウドサービスを用いたインフラ構築を得意とする。

デザイン:三苫慧子
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